「豊栄くらす」でご一緒したギターのおふたりが「悲しき街角」の楽譜をお持ちだった.原題は Runaway で歌は Del Shannon.「悲しき...」は邦題で,「悲しき雨音」「悲しき16歳」「悲しき少年兵」など,あちらのポピュラーソングにこの枕詞をつければ売れると,当時のレコード会社は考えていたらしい.
1960年代初頭,我が学生時代のヒット・チューン.短調B♭mで始まり,サビで同名長調B♭に転調.ファルセットの後復調してから現れる,Max Crook のオルガンソロがかっこいい.
仕掛け満載なところ,特にオルガンがツボに来た.これが後年ジャズ好きに転じた潜在原因かもしれない.
しかし僕の見解では,このオルガンはジャズではない.演る・歌うたびに違うのがジャズ.いつも同じに演る・歌うのはジャズではない.ちかごろ人気歌手がジャズナンバーを歌って話題になっているが,僕の意見では,松田聖子も八代亜紀もジャズではない.フランク・シナトラもN・K・コールも,ジャズとして歌うとき以外はジャズを歌っていない.