Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

いつもひとりだった,京都での日々

2020-03-02 09:27:01 | 読書

図書館の閉鎖が心配.不特定多数が触る図書館の図書は,ウイルス感染媒体と目の敵にされそう.今のうちに制限冊数まで借りておこうか...昨日の「蜂工場」も今日のこの本も,図書館本である.

宋 欣穎, 光吉 さくら訳「いつもひとりだった、京都での日々」早川書房(2019/11).

著者は映画監督.1974年台北生まれ.京都大学大学院で映画理論を学んだのち,コロンビア・カレッジ・シカゴで映画修士号を取得.2018年アニメーション映画『幸福路のチー On Happiness Road』で各賞受賞.

このエッセイ集の原題は「京都寂寞」.原本は台湾語だが,ここでは台湾人の会話はていねいに京都ひとばに訳されている.
「いつもひとり...」はやや誇大.「ひとりワルツ」「ひとりカフェ」「夜のカフェで,ひとり」などのタイトルの文章もあるが,もっぱらおもしろいのは日本人・台湾人との人間関係.京大学生時代は周囲の学生よりひと回り近く年長だった.そのせいか,指導教授・家主・友人たち (台湾と中国は地下道で繋がっていると信じていた美香,着物フェチ坊主の寺内 など) に対する人間観察は,愛情もあるが冷静だ,

好奇心も行動力もあって,銭湯,五條楽園 (かっての赤線近い) にも入り込む.カフェに入り浸るのがお好きらしい.「ラ ・ヴァチユール」などと店が実名で登場するので,京都ガイドとしても役に立つかなと思ったが,ダメでしょう.著者の京都の日々は10年20年?まえのことだったらしい.

女性をすこしダサく描いたカバーイラスト(ながしまひろみ)がいい味.早川書房らしからぬ一冊.蜂工場の口直しに最適であった.

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