Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

芥川賞受賞作「ニムロッド」

2019-02-21 09:43:34 | 読書
カットは単行本の表紙だが,読んだのは文藝春秋3月号誌上で.

単行本のための Amazon の内容紹介を引用すると,
*****それでも君はまだ、人間でいつづけることができるのか。 あらゆるものが情報化する不穏な社会をどう生きるか。仮想通貨をネット空間で「採掘」する僕・中本哲史。中絶と離婚のトラウマを抱えた外資系証券会社勤務の恋人・田久保紀子。小説家への夢に挫折した同僚・ニムロッドこと荷室仁。やがて僕たちは、個であることをやめ、全能になって世界に溶ける。すべては取り換え可能であったという答えを残して。*****

上の文章の「やがて僕たちは...」以下はニムロッドこと「荷室仁」の小説 ? の内容.文春によれば営々と続いてきた人間の人間らしい営みの終焉がテーマらしいが,それが作中作の出来事だから迫力がない.「田久保紀子」はブンガク的なメッセージを残して去るが,LINE でのやりとりがなくなったというだけのこと.「中本哲史」は相変わらず地下鉄に乗っている.

小説の滑り出しは仮想通貨が前面に出て面白いかな,と思ったんだけど.「僕はニムロッド,人間の王」などという文章が出てくるあたりで,しらけてしまった.
複数の芥川賞審査員も指摘していたが,ネタは NAVER まとめと Wikipedia とわかると,安直な小説に思えてしまう.

「駄目な飛行機コレクション No.9,航空特攻兵器 桜花 ; パイロットが生還できないように設計された飛行機.兵器としてみれば高性能の誘導ミサイル」にリアリティを感じた.
コメント
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