米艦船・ キティホークなどは11月下旬に、中国当局に香港寄港を許可されず・・・その後、日本の横須賀に向かった同艦隊に対し、中国当局は入港を許可したそうですが、このようなことが両国の関係に大きなしこりをこのしたと思います。
また、同時にフリゲート艦「ルーベンジェームズ」の香港入港も断られていたそうです。その他、荒天回避のため香港寄港を求めた掃海艇パトリオットなども同様に入港拒否されています。
この事について、米海軍のラフヘッド作戦部長は11月27日、「拒絶は驚きであり、建設的でない」との談話を発表しており、中国当局の対応を批判しました。
11月28日訪米した中国の楊潔外相は、ブッシュ米大統領との会談で、中国側の対応について「誤解があった」と釈明したそうですが・・・「誤解」の具体的な内容については明らかにしなかったとか・・・・
その後、中国側の二転三転振りが、図らずも中国政府と中国軍の軋轢がこのような問題を起したようですが・・・外務省の劉建超・報道官は、楊外相が上記の発言をしなかったと反論、寄港拒否の理由として、台湾へのミサイル売却のほか、チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世への米議会の栄典授与を挙げたそうです。
ワシントン・タイムズ紙は11月30日、今回の問題に関する米国政府の注目点として、中国最高指導部の内部権力闘争を挙げて、寄港拒否の判断はだれが出したのか、どの派閥は中国当局の外交政策の主導者なのか・・・多くの疑問を米側に与えた事は今後の米中関係にも影響すると思うのですが・・・
同報道は米国防省の幹部の匿名発言を引用し、中国の軍部と胡錦濤・国家主席の間に、著しい意見対立があると伝え、その根源は、胡錦濤と曾慶紅・元国家副主席の政治闘争である可能性を暗示したそうです。
同幹部は、曾慶紅氏は江沢民・前国家主席の心腹である事は良く知られた事です。今年10月の第17回党大会で定年による引退を強いられた事に相当頭に来たらしく、曾慶紅氏が中国軍部に強い支配力を持っているため、軍は曾慶紅氏に偏っている可能性を指摘しています。
米国について、中国当局の歴代指導者は、米国との友好関係の構築は、党内で威厳を樹立する重要不可欠の条件として来ただけに・・・このような事は中国内の問題としてではなく、他国には様々な反応が見られます。
いずれにしろまだ曾慶紅氏が中国政治に影響力がある事をこれらの事からも想像できます。もう嫌がらせのような行動は、温家宝・総理が日本訪問中にもおき、ウラで民権活動弁護士の釈放を求める抗議活動を起したり・・・また、今年7月、香港返還10周年記念活動のため胡錦濤が香港を訪問した際には、香港を主管する曾慶紅が香港政府に内部命令を下し、約千人の法輪功修練者を強制送還する事件を起こしたそうです。
現に今年8月、胡錦濤が中部アジアとロシアを訪問する前、中国当局内部から、ドルや米国債を売ってドルの下落を招く発言したために、国際金融業界に不安をもたらしたそうです。さすがにブッシュ大統領は、この言論は胡・温政権の立場を代表しているかどうか疑問を抱いたとか言ってます。
米コロンビア大学の政治学博士、中国問題の専門家・李笑天氏は、「今回の一連の米軍艦寄港拒絶事件は、今年10月の第17回党大会後の中国当局内部の熾烈な権力闘争をさらに露呈した」との見解を示しているようです。
今回の米中摩擦で、とうとう曾慶紅氏に変わって、香港を主管するのは、胡錦濤の側近・習近平氏就任されたそうですが・・・