独裁政権を夢見たベネズエラのチャベス大統領は2日に行なわれる大統領権限の強化や社会主義を改正した憲法改正の国民投票が行われるそうですが・・最近雲行きが大分可笑しくなって、あまりの大統領に対する権力集中に対して国民の反発が噴出しているそうです・・
そもそもこの相当な過激派の、チャベス大統領が掲げる「21世紀の社会主義」を推進するためとかいって、同国の体制を社会主義や反帝国主義に基づくとものと明記して・・・中央銀行の独立性をなくし、国が必要に応じて農業や漁業などの生産部門を管理できると制定しているほか、最も大切な大統領の任期を現行の6年から7年に延長し連続2期までの再選規定を撤廃して、無期限の再選を可能とするなど・・・要するにチャベス政権の無期限継続化でしかないこの法律に国民の怒りが爆発し・・・スムースにこの法案が通過できると思っていた政府側を慌てさせております。
AP通信によると、同日の反対デモはここ数年で最大規模だそうで、先週末に改正否決を予想する世論調査結果が発表されて以来・・・、学生やカトリック教会を中心とした反対運動が急激に勢いづいているとか・・・チャベス氏もこれに対抗して、30日、大規模な支持集会を予定しているようですが・・・
大統領はこのところ、隣国コロンビアとの外交関係凍結や米外交官の追放示唆、さらには自身の暗殺計画の存在を言い立てるなど、危機の演出に躍起となっているそうです。
1999年に大統領へ就任したチャベス氏は、医療無料化や識字教育などを導入し、貧困層を中心に支持を拡大したようです。また幸いな事に、原油価格の高騰を背景とした高い経済成長率に恵まれたことからその発言はますます過激になり、憲法改正をして、権力を一段と強化し、政権の長期化を図ろうとしたのでしょうが・・
しかし、排除されるグループには不満がうっ積しておりました。それが今回の国民投票でチャベス批判が一挙に顕在化し、大統領の思惑は外れた格好となったのかも知れません。
大きな誤算は、大学生や教会関係者を中心とする反対派が「憲法でイデオロギーを決めるのは思想の自由に反する」と反発した事です。そのため各地でデモを繰り広げ、大統領支持派のデモ隊や警官隊とたびたび衝突、死傷者も出ているようです。
支持基盤の貧困層からも改憲反対の動きが出ていると言う有様のようです。同国では価格統制の結果、生産者の反発を招いて砂糖や牛乳の生産量が低下して、物不足が深刻化しているそうです。こうした生活面での不満が「チャベス離れ」につながったとみられるようです・・・
しかもよ・・ 2002年に起きたクーデター未遂事件で、チャベス大統領の復権を後押ししたバドゥエル前国防相が改憲案に反対意見を表明して反対派に回りました。このように、かつての「身内」からも、権力の一極集中を批判する声大きくなっております。
改憲案の可決には、過半数の賛成が必要ですが・・・11月に入って反対票が49%で賛成票を10ポイント上回る結果が出たそうです・・・地元シモンボリバル大の教授が「政府の力は大きく、賛成票を上回ることはできないだろう」と予測しております。
また、地元有力紙ウルティマス・ノーティシアスのエレアサール・ディアス編集長は「賛成派の勝利が小差だった場合、反対派による暴動が起きる可能性もある」と指摘しております・・・これではチャベス大統領のもくろみもたとえ小差で勝ったとしても、国内は混乱する事でしょう・・・
ロシアでも近々プーチン大統領のいわば再任のような憲法を越えた選挙結果が出そうです。しかし時間はかかっても、独裁政治は否定されるべきものと考えます・・