東京・新宿のテアトルタイムズスクエアで「中国・上海映画祭」が開催された。この映画祭では中国のアニメスタジオ「上海美術映画制作所」の作品が上映され、特に水墨画アニメーションなどの独特の世界が観客を大いに魅了した。
1960年代など、かつて中国はアニメーション大国として数々の名作を世に送り出しており、手塚治虫も中国アニメの影響を受けたといわれる。
(産径新聞)
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最近、日本政府もアニメ映画の世界的広がりに注目し、後援する事のなったようですが、中国はこのアニメ映画に相当な関心を抱いているようで、中国でも手塚冶虫などは以前から人気があったそうです。
去年の8月に東京の杉並アニメミュージアムで開催された「手塚治虫のアトムと孫悟空展―『アトム』のルーツは中国アニメにあった?・・・」でも中国のアニメ映画「西遊記 鉄扇公主の巻」を題材に手塚作品のルーツを探る展示が行われ、中国と日本のアニメーション交流史が紹介されたそうです・・・
アニメーションは通常、元請けとなる大手プロダクションがテレビ局や広告代理店から受注して制作が行われるが、実際の作業は一次下請け、二次下請けに任され手いるのだとか・・
そのうち海外の下請けに出されるのは単純作業がメインの動画・作画の部分だったようですが、中でも中国は、世界の3分の1、日本の80-90%の作品にかかわるなど、アニメーションの分野で極めて重要な国に成長したようです・・・
こうした分業体制が始まった当初は、画風などの違和感のために一見して「中国製」と分かる作品も多かったようですが、最近はデジタル技術の進歩にも支えられ、中国のアニメーション業界の全体的な質が向上しているとの事です。
その結果、「ポストプロダクション」と呼ばれる動画・作画の部分だけではなく、シナリオ・コンテ等の「プレプロダクション」部分も中国や韓国に発注されるケースが徐々に増加し、果たしてこのような工程を取る事がいいのかしら??と疑問に思います。
今では、吉林芸術学院動画学院、長影集団、吉林出版集団と小学館が共同でアニメ映画「関公」のシナリオ作成を進めているとか・・・
もうアニメーション産業は既に、単なる「分業」体制から東アジア「協業」の時代を迎えつつある」なんてのんきな事を言っていていいのでしょうか・・・
すでに、日本のアニメ業界では、代々木アニメーション学院が12月7日に事実上倒産したことに象徴されるように、業界の将来を担う人材育成が滞っているとの事で、「アニメーションの作り手を目指す学生数は減少し、労働集約型産業の宿命ともいうべき低賃金により他業種への人材流出が発生している・・・』そうです。
これまで日本のアニメーションは、東アジアの中で圧倒的な優位を保ってきましたが、大きな岐路に立たされているのが現状だとの事です。政府もこのアニメの世界的評価が高い事を知り、後援するらしいですが、早急に日本の誇るこの文化もこのままでは、気が付けば中・韓にその位置を奪われかねません・・・
今後は国際的な作業の分業化だけでなく共同制作も増えていくという大きな流れの中で新たなスタンスを見つけ出していかなければならないだろう。
共同制作が更に進めば国境にこだわらない新たなジャンルの作品を東アジアにもたらす可能性もあるが、やはり中核を担えるだけの力量は持ち続けたい。
そのためには、水平的な国際協業体制への移行が進む今こそ、人材育成や労働環境など、日本のアニメーション産業の足元の見直しが欠かせない。