よみびとしらず。

あいどんのう。

めがね

2019-01-14 12:24:41 | 散文
反射しないガラスがうつす世界は
鮮明な輪郭と明確な意思と
みるだけでは伝わらぬあなたの気色

はだかの瞳からはとらえられない視界の先に
失われた光はその場に留まりてかりそめの形して
嘘偽らぬ姿は何よりも大切な胎動を守るため
やわらかく強固な殻となる

どんなに分厚い眼鏡をかけても
殻の強度までははかれずに
わたしたちは傷つきやすいはだかの眼差しでものをみて
その姿におびえて目をつむる

みえぬ世界のおそろしや

不確かな交流に姿かたちなく
わたしはあなたの手をとることさえ叶わずに
ただそこにあるのはあたたかな熱をもつ失われた光

丸いレンズは頑なな世界を明瞭なものとして
そのなかで文字(ことば)はわたしとあなたをつなぐ橋となる
姿かたちのあるかなしかを
かける眼鏡のあるかなしかを
問う言葉うつしたガラスの世界

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