よみびとしらず。

あいどんのう。

蝶々

2021-08-04 11:43:18 | 散文
蝶々の戯れに
あなたは美しいものだと錯誤した
そのどろどろとしたタールにまみれて
あなたは微笑み赤く煌々とした
蝶々の仮面に優しく化粧を施した

風に揺られてはらはらと
蝶道は先回りされて夜を迎えた
道なき道に見たわたしの経路を
夜の暗闇よ
どうか隠しおおせとの望みは断たれて
そうしてたどり着いたのは真昼の空のした
太陽の熱に化粧は剥がれてわたしは笑う
蝶々の仮面はひらひらと
青色の本来の姿でたゆたいながら
あなたの嘆きは夜の暗闇へ
わたしはその暗闇に足を踏み入れ手を伸ばす
泥濘に座り込んだ月日まで

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