よみびとしらず。

あいどんのう。

カタメ

2021-10-20 12:51:47 | 散文
片目は落ちて
芽吹きて育む
大切なものを失ったままのいま
豊饒の月は枯れて海を渡った
兎は祈りを託されて
亀の甲羅に隠るれば片目を瞑る
私は果たして誰であるかと
あずかり知らずの月明かり照る
閉じた片目は誰を探すか
落ちたままの涙は海に到りて
私達の身体は泳ぎ方を忘れる
そうして蹴り上げた大地はカタメの眠る場所
閉じこめたままにしたのは誰の為かと
鐘の音はただずっとひめやかに 
わたしに居場所を乞うていた

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