[ロンドン 3日 ロイター] - 外為オプション市場では、今月26─27日に上海で開かれる20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総会会議に絡んで人民元が切り下げられるとの思惑から、今週に入って人民元安を見込むポジションの構築が盛んになっている。
オプション市場ではこの1週間に人民元のボラティリティと下落バイアスが過去最高水準に上昇。
複数のディーラーによると、オフショア人民元が1ドル=7.20元を超える水準まで下落した場合にのみ権利行使となるデルタ値の低いプットオプションが数十億ドル規模で組まれたという。
人民元はオフショアのスポット市場でも下げ圧力を受けており、3日のロンドン市場は6.6510元と3週間ぶりの安値水準で始まった。中国当局が厳しく管理しているオンショア市場では、6.5778元で落ち着いている。
オフショア人民元の1カ月物のボラティリティは8%弱から10%程度に上昇し、過去最高を更新した。
これに対してユーロ/ドルの1カ月物は8.5%となっている。
オプションは相対取引が中心のため実態の把握が難しいが、トレーダーによると取引高は1日に120億ドルに達し、2日には約170億ドルに拡大したという。
またロンドン市場では朝方、1カ月、2カ月、3カ月、6カ月の全ての約定で人民元安バイアスが昨年8月につけた過去最高を超えた。
コメルツ銀行(シンガポール)の通貨ストラテジストのハオ・ツォー氏は「中国人民銀行による集中的な介入は持続不可能で、中銀はいずれ介入を断念せざるを得ないと市場がみているのは明らかだ」と述べた。
市場の関心は中国の外貨準備が1月にどの程度減ったかに集まっている。中国は今週末に先月分の統計を発表する。
ロイターの調査によると、1月の外貨準備の落ち込みは過去最高の1300億ドルに達し、準備高は3兆2000億ドルに落ち込むとの予想が十数行に達した。
人民元安に賭けるヘッジファンドの中には落ち込みが2000億ドルを超えるとの予想もある。またロンドンの大手銀行のセールスデスクは2日、特定の顧客に対して、落ち込みは2620億ドルと予想する電子メールを送付した。
バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチは1月29日、G20は人民元を一時的に切り下げてドルを安定させるとの姿勢を明確に示し、成長を押し上げて金融市場の動揺の再発を防ぐべきだと訴えた。
これに対して中国は旧正月を控えて、投機筋に対して人民元の安定を維持すると繰り返し警告している。
中国は今回から1年間G20の議長を務める。
今週はソシエテ・ジェネラルのアナリストチームも、人民元が今年末までに7.50元に下げる確率は33%とするリポートを公表した。
ソシエテは「人民銀行は人民元を切り下げる意思はないと主張するかもしれないが、資本の流れが人民元にとって大きな下げ圧力となっている。中国の外貨準備は巨額だが、もし大量の資本流出が続くならば、無限どころか十分ですらない」と指摘。人民元の対ドル相場が年内に6.80ドルに達するとの予想を確率65%のメーンシナリオに据えているが、7.50ドルに達するリスクが高まっているとした。
以上、ロイター記事
12月末時点の中国の外貨準備高は3兆3300億ドルが、1月には1300億ドル落ち込んで3兆2000億ドルになっており、今後も加速的に外貨準備高が減少しそうだ。1年後だと1兆5600億円落ち込むと残高1兆6400億ドルの半分になってしまう。つまり、2年後には外貨準備高はなくなっていることになる。
中国経済の実態と金融の数字の乖離があるようで、坂道を転がる中国経済がここ2年間見られる。共産党も2年間の命かも知れない。