紅茶の一期一会

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音楽感想:魔法少女まどかマギカ オリジナルサウンドトラックⅠ・Ⅱ・Ⅲ(MUSIC COLLECTION)

2013-11-03 20:30:59 | 音楽系
ついに、あの「魔法少女まどか☆マギカ」のサウンドトラックCDが12月25日に発売される。
その名も「魔法少女まどか☆マギカ MUSIC COLLECTION」である。

これを待ち望んでいた方が、かなりいらっしゃるのではないかと思う。
かつての自分もその一人であった。
しかし、結局待ちきれず、サウンドトラックの付属している本編DVD・Blu-rayを購入してしまった。

よって、今回のMUSIC COLLECTIONの発売に関しては、少し複雑な気持ちである。

しかし、こうして多くの方に聴いていただける形になった。
それは、本作の音楽好きである自分にとっても、嬉しいことである。

それを記念して(?)、DVD・Blu-rayに付いてきたサウンドトラックのレポートを書くこととする。

以下、<1.総論><2.各曲紹介><3.まとめ>という3部構成で書いていこうと思う。


<1.総論>
サウンドトラックは、本編DVD・Blu-rayの初回限定版2巻・4巻・6巻に分かれて付属している。
それぞれ、2巻にSoundtrackⅠ、4巻にSoundtrackⅡ、6巻にSoundtrackⅢが付属する。
この3枚のCDは、他の梶浦作品とは一線を画した雰囲気と存在感を持っている。

まさに「梶浦音楽の集大成」といっても過言ではない楽曲集である。

まず、一曲一曲の密度が濃い。

曲の中のメロディーパターンが多いわけではない。
しかし、変奏・アレンジの勘が冴え渡っており、キレがある。
結果として、聴き飽きない曲が多いのである。

次に、非常に楽曲のバラエティーに富んでいる。

今回の梶浦さんは、これまでの作曲経験を縦横無尽に活用し、
比較的「脚本家」に近い立ち位置で、音楽が隙なく最適化されているように思う。

また、オペラ的な劇性を持った、悲劇的な雰囲気が漂う楽曲が多い。

作品本編がミュージカルを意識した作りになっているからだろうか。
通しで聴くと満腹になってしまいそうな重量級の楽曲がそろっている。

しかし、それはいわば「美麗な暗さ」であり、これが病み付きになってしまうのである。

早速、強く印象に残った曲をSoundtrackⅠから順に紹介していこうと思う。
下記の他にも好みの曲はあるが、全て書いていると長くなるので、かなり割愛している。


<2.各曲紹介>
(1)SoundtrackⅠ
・Track1「Sis puella magica!」
美しい透明感が印象的な楽曲。

民俗調で神妙な雰囲気のメロディーを、ギターとコーラスが演奏する。
そこに悲劇を暗示するようなチェロが入り、柔らかなフルートと共に変化を与えている。
アレンジに起承転結がある感じで、完成度が高い曲だと思う。

・Track4「Credens justitiam」。
爽やかな風のようなスピード感と明るさを持ったコーラスとストリングス。
梶浦音楽を聴いている方であれば、確実に彼女の曲だとわかるのではないだろうか。

曲が短めなので少し食い足りない気もするが、
このサウンドトラックでこういう曲調は結構珍しく、聴く頻度の多い曲ではある。

・Track5「Clementia」
SoundtrackⅠで最も好みの曲である。

包み込むような慈しみが感じられるオーボエの音色。
そこに繊細なハープが夢幻的な雰囲気を作り出す。

柔らかい光のなか、草原に咲くタンポポが、優しい風に揺れている。

そうした、穏やかで暖かな風景が浮かんでくる。
シンプルで短い曲ではあるが、幸福感の漂う素晴らしい楽曲である。

似たような曲調では、同じDisc1のTrack12「Scaena felix」もなかなか好み。

・Track11「Terror adhaerens」
今回のサウンドトラックでは、低弦楽器が活躍し、黒光りするような渋みを持った曲が多い。
本曲も、そうした雰囲気を持った悲劇調の楽曲である。
人を飲み込まんとする夜影を暗示するような低弦のうねりが印象的。

(2)SoundtrackⅡ
・Track1「Decretum」
これは素晴らしい曲である。
民俗調の雰囲気に、濃厚な哀切感が漂う楽曲。

スムーズなギターのアルペジオに、
スピード感のある2本の弦楽器が滑らかなメロディーラインを演奏する。

流されるように運命に飲まれてしまった悲劇。

それを、切実かつ感情的に歌い上げているような感じ。
ここまで感情を前面に出した梶浦さんの音楽は、かなり珍しいのではないかと思う。

・Track3「Venari strigas」
スピード感のあるゴシック調の曲。
デーモニッシュな弦楽器の音色が独特の雰囲気を醸し出し、
疾走するエレキギターが花(?)を添える。

・Track5「Amicae carae meae」
ピアノとヴァイオリンで、静かに悲しみを奏ずるような楽曲。
情緒的でありながらも、劇性を抑えることで、美しさを引き立てている。
こういう曲調もこのサウンドトラックでは意外に少ないため、貴重である。

(3)SoundtrackⅢ
・Track11「Symposium magarum」
分厚い荘厳な音の響きに圧倒されるような曲。
途中のヴァイオリンソロの部分は、洋城の石造りの広間を想起させる、重厚で凜とした雰囲気を持つ。
この部分では、独特の浮遊感を感じる事も出来、その点でも美味である。

・Track4「Surgam identidem」
前半と後半で曲調が大きく異なる。
前半は、スピード感と重厚さを兼ね備え、弱さに支えられたような力強さも感じる楽曲。
後半は、悲壮的なニュアンスが極めて強く、劇的な曲調である。

・Track7「Nux Walpurgis」
曲調は「Surgam identidem」とよく似ている。
中盤の呻き声のような弦の低音からして悲劇的。
しかし、その後の管弦楽器と聖歌隊が織りなすドラマティックな悲壮感が、たまらなく美しく胸に来る。

不幸の中にある、更なる絶望を認識させられるような、只事ではない雰囲気を持つ楽曲である。

・Track6「Sagitta luminis」
これは、3枚のCDの中で、最も素晴らしいと思う曲である。

頼りない最初の小さな一歩が、次第に壮大な広がりを持っていく様。
悲壮な論理から、何の言葉もいらない、優しい許しへ。
全ての罪を浄化し、暖かく抱きしめるような清らかな音色である。

美しいだけではない、この柔らかな神々しさ。

これはまさに、無垢なる「母性」の権化ではないか。

このような楽曲はそうそうあるものではない。

私はこの曲がTV版本編で流れたとき、梶浦音楽がさらに一段上の境地に入ったのを感じた。
ただただ、聴き入るしかないという曲である。

・Track12「Pergo pugnare」
落ち着きの中に、過去を振り返るような切なさの入った楽曲である。
弦楽器が奏でる連綿とした情緒が素晴らしい。

「最後はほんの少しだけ前向きに。」

そんな曲調で締め括る。


<3.まとめ>
以上、作品世界を忠実に描写したサウンドトラックであった。

作品を見ていない方にもお勧めできるかどうかは、自分にはわからない。
できれば、作品を見てから聴いていただきたい気持ちもないではない。

しかし、神妙な楽曲、疾走感のある暴力的とも思える楽曲あり。
悲劇的かつ情緒的な楽曲、母性的な清浄さのある楽曲あり。

聴く者を飽きさせない楽曲が揃ったCDだと思うことは事実である。

作品を見てからでも、そうでなくとも、
是非聴いてみていただければ幸いである。

P.S
MUSIC COLLECTIONの紹介文にある、
「梶浦由記による新規書き下ろし楽曲」が気になるのは、自分だけだろうか…。


○参考リンク
・Amazon「魔法少女まどか☆マギカ 2 【完全生産限定版】 [Blu-ray] 」
・Amazon「魔法少女まどか☆マギカ 4 【完全生産限定版】 [DVD] 」
・Amazon「魔法少女まどか☆マギカ 6 【完全生産限定版】 [Blu-ray] 」

 →自分が持っているものは、このようにBlu-rayとDVDが混ざっている。

・Amazon「魔法少女まどか☆マギカ MUSIC COLLECTION」
 →これから音楽を聴かれる方はこちらのサウンドトラックへ。


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