紅茶の一期一会

紅茶歴(だけは)10年以上の管理人が、
主に、購入した紅茶の感想を書いています。

ベートーヴェン第九の独断的名演集

2008-12-05 13:02:54 | 音楽系
政局が混迷を極める中、気付いたら1ヶ月以上間が開いてしまった…。(政局は関係ない?)
どうも、屋形でございます。
ダージリンなんかもいつの間にかオータムナル(秋摘み)が出始めていて、月日の流れを感じますね。

さて、そんな年末にかけての音楽として、なぜか第九がもてはやされたりしますね。
(「ベートーヴェン」交響曲第9番の方です。)

私は1年中第九を聞くような人間なので、年末に限って第九を聴くというのはいまいちピンとこないのです。
しかし、確かに素晴らしい曲であると思います。
1楽章の混沌、2楽章の深淵、3楽章の楽園、4楽章の歓喜と、人間の感情の全てが詰まっている音楽と言えるのではないでしょうか。(至極個人的な印象ですが…。)
4楽章がもちろん1番有名であり、素晴らしいとも思いますが、私は3楽章が1番好きです。
この3楽章を後述のフルトヴェングラー・ベルリンフィルの演奏で聞いたとき、これほど美しい音楽がこの世にあるのかと感動しきりだった記憶があります。
精神的に疲れきったときに、あの美しい旋律を聴いているとすごく癒されます。
という事で、3楽章を知らない方には、是非この年末にでも聞いていただきたいです。

 しかし、第九は様々な指揮者、演奏者が録音し、演奏はこの世の中にゴマンとあります。
なので、その中からどれを選べばよいか、非常に悩むことになると思います。
ということで、私がオススメする私好みの演奏を、10枚程度の第九マイディスクライブラリ(無理やりカタカナ)の中から、いくつかチョイスしてみる事にしました。
第九を年末に聞いてみようかという方の、CD選びの参考にしていただければ幸いです。


『フェレンツ・フリッチャイ指揮ベルリン・フィル』
私の最も良く聴くCDですね。透明な音色でありながら、適度な重厚さもある演奏であると思います。
第3楽章では各旋律の響きがうまくブレンドされてゆっくりと流れ、まさに天上の音楽という感じです。
本当に美しい音質で、しかも録音もなかなか良いステレオであるので、CDとしての完成度も高いと思います。
フリッチャイなんて知ってる人しか知らない存在なのかもしれません。
しかし個人的には、高いレベルでバランスの取れた演奏をしてくれる、素晴らしい指揮者だと感じております。


『ヴィルヘルム・フルトヴェングラー指揮ベルリン・フィル(1942年3月)』
どうしようもなく疲れきった時に、無性に聴きたくなるCD。
よく、「ベートーヴェンを語るならフルトヴェングラーは外せない。」と言われます。
そんな彼ですから、やはり第九でも、全楽章通じて飽きさせない音楽を作り出してくれます。
しかし、私はフルトヴェングラーの真骨頂が緩徐楽章にあると思っております。(ベートーヴェン7番の記事参照
第九では3楽章がそれに該当しますが、やはり濃厚な素晴らしい演奏であると思います。
第九の3楽章で20分を超えている演奏は、この演奏しか知りません。しかし、飽きることなく聞くことができます。
さらに、この演奏の3楽章には、全域にわたって『悲しみ』が感じられるような気がいたします。
この演奏を聴くまでは、3楽章は癒しの楽章だと思っていたので、非常に驚き、感銘を受けた記憶があります。

 フルトヴェングラーといえば『バイロイトの第九(1951年)』が有名で、第九のベストチョイスなどとよく言われております。
私もその評判を聞いてCDを購入し、初めて第九全曲を聴き通すことのできた、思い出深い演奏です。
確かに、バイロイトの第九は、透明で静かな美しい演奏ではあると思うのです。
しかし、流れが今ひとつ良くないといいますか、呼吸が不規則であるというか、安心して聴いていられない演奏のように思った記憶があります。

 ということで、フルトヴェングラーで聴きたいと思うのは、この戦時中の演奏の方になってしまいます。
「わかってない!」とお叱りを受けるかもしれませんが、わからない人間なので仕方ないですね…(悲)
私は、なんとなくメロディの流れがスムーズに流れていないと、あまり聴きたくなくなってしまうという感覚的な人間であります。
なので、わかっていないと言われればそれまででありますね…。
その程度の人間のチョイスなので、あまりあてになさらぬようにお願いいたします(爆)


というわけで、以上が私の良く聴く2大巨頭の演奏であります。
他に、クレンペラー・フィルハーモニア管の演奏は、流れが良く、非常に大きなスケールを感じさせる素晴らしいもので好みです。
コンヴィチュニー・ゲヴァントハウス管の演奏も素晴らしいですね。ゆりかごに揺られているような安心できるメロディの流れで、たまに聴きたくなる演奏です。
長くなってしまったのでこれ位にいたします。
第九の3楽章の素晴らしい演奏を聴いて、1人でも多くの人の心が癒されてくれるなら幸いに思います。