紅茶の一期一会

紅茶歴(だけは)10年以上の管理人が、
主に、購入した紅茶の感想を書いています。

感想:ハムステッド(Hampstead) 有機ダージリン ファーストフラッシュ

2017-11-02 13:24:44 | ダージリン
素晴らしいお茶だったので、少しご紹介。

『ハムステッド(Hampstead) 有機ダージリン ファーストフラッシュ』

マカイバリ農園の3月~4月のファーストフラッシュ。
ハムステッド(Hampstead)社のブレンド。

紙箱入りで100g1069円。
茶園物のダージリンとしては非常に廉価。
90周年記念入荷として、成城石井に売っていた。

6gの茶葉に360ccのお湯。3分蒸らし。

水色は薄い橙色。

香り立ちは控えめ。
グリニッシュな香りとハーブ香が織り合わさったような香り。
清涼感と優雅さの調和した心地よさ。

飲み始めは少し渋みを感じる。
しかし、その後は滑らかにスーッと入っていく感じ。
ファーストフラッシュとしては、しっかり目のバランス。

口いっぱいに広がる優しい風味。
フローラルで青みのある風味の溶け合いが素晴らしい。
フルーティーなマスカテルもほのかに感じられる。

飲み応えがありながら、上品で優雅な味わい。

特筆すべきはフローラルな余韻。とても強く長く残る。

口に含んだときのキリっとした味わいと、
風味・余韻の優しさのコントラストが印象的。

こうしたおいしいダージリンが100g1069円で買えるのは、とてもうれしい。

非常におすすめのお茶。

○参考記事
『iherbの紅茶の中で最もオススメしたい
Hampstead Teaのファーストフラッシュダージリンです』(by 独身男性のiherbさま)

 今回取り上げた茶葉の写真、パッケージ外観の写真がある。
 また、マカイバリ農園やハンプステッド社についても詳しく書かれており、興味深く拝見しました。

音楽感想:魔法少女まどかマギカ オリジナルサウンドトラックⅠ・Ⅱ・Ⅲ(MUSIC COLLECTION)

2013-11-03 20:30:59 | 音楽系
ついに、あの「魔法少女まどか☆マギカ」のサウンドトラックCDが12月25日に発売される。
その名も「魔法少女まどか☆マギカ MUSIC COLLECTION」である。

これを待ち望んでいた方が、かなりいらっしゃるのではないかと思う。
かつての自分もその一人であった。
しかし、結局待ちきれず、サウンドトラックの付属している本編DVD・Blu-rayを購入してしまった。

よって、今回のMUSIC COLLECTIONの発売に関しては、少し複雑な気持ちである。

しかし、こうして多くの方に聴いていただける形になった。
それは、本作の音楽好きである自分にとっても、嬉しいことである。

それを記念して(?)、DVD・Blu-rayに付いてきたサウンドトラックのレポートを書くこととする。

以下、<1.総論><2.各曲紹介><3.まとめ>という3部構成で書いていこうと思う。


<1.総論>
サウンドトラックは、本編DVD・Blu-rayの初回限定版2巻・4巻・6巻に分かれて付属している。
それぞれ、2巻にSoundtrackⅠ、4巻にSoundtrackⅡ、6巻にSoundtrackⅢが付属する。
この3枚のCDは、他の梶浦作品とは一線を画した雰囲気と存在感を持っている。

まさに「梶浦音楽の集大成」といっても過言ではない楽曲集である。

まず、一曲一曲の密度が濃い。

曲の中のメロディーパターンが多いわけではない。
しかし、変奏・アレンジの勘が冴え渡っており、キレがある。
結果として、聴き飽きない曲が多いのである。

次に、非常に楽曲のバラエティーに富んでいる。

今回の梶浦さんは、これまでの作曲経験を縦横無尽に活用し、
比較的「脚本家」に近い立ち位置で、音楽が隙なく最適化されているように思う。

また、オペラ的な劇性を持った、悲劇的な雰囲気が漂う楽曲が多い。

作品本編がミュージカルを意識した作りになっているからだろうか。
通しで聴くと満腹になってしまいそうな重量級の楽曲がそろっている。

しかし、それはいわば「美麗な暗さ」であり、これが病み付きになってしまうのである。

早速、強く印象に残った曲をSoundtrackⅠから順に紹介していこうと思う。
下記の他にも好みの曲はあるが、全て書いていると長くなるので、かなり割愛している。


<2.各曲紹介>
(1)SoundtrackⅠ
・Track1「Sis puella magica!」
美しい透明感が印象的な楽曲。

民俗調で神妙な雰囲気のメロディーを、ギターとコーラスが演奏する。
そこに悲劇を暗示するようなチェロが入り、柔らかなフルートと共に変化を与えている。
アレンジに起承転結がある感じで、完成度が高い曲だと思う。

・Track4「Credens justitiam」。
爽やかな風のようなスピード感と明るさを持ったコーラスとストリングス。
梶浦音楽を聴いている方であれば、確実に彼女の曲だとわかるのではないだろうか。

曲が短めなので少し食い足りない気もするが、
このサウンドトラックでこういう曲調は結構珍しく、聴く頻度の多い曲ではある。

・Track5「Clementia」
SoundtrackⅠで最も好みの曲である。

包み込むような慈しみが感じられるオーボエの音色。
そこに繊細なハープが夢幻的な雰囲気を作り出す。

柔らかい光のなか、草原に咲くタンポポが、優しい風に揺れている。

そうした、穏やかで暖かな風景が浮かんでくる。
シンプルで短い曲ではあるが、幸福感の漂う素晴らしい楽曲である。

似たような曲調では、同じDisc1のTrack12「Scaena felix」もなかなか好み。

・Track11「Terror adhaerens」
今回のサウンドトラックでは、低弦楽器が活躍し、黒光りするような渋みを持った曲が多い。
本曲も、そうした雰囲気を持った悲劇調の楽曲である。
人を飲み込まんとする夜影を暗示するような低弦のうねりが印象的。

(2)SoundtrackⅡ
・Track1「Decretum」
これは素晴らしい曲である。
民俗調の雰囲気に、濃厚な哀切感が漂う楽曲。

スムーズなギターのアルペジオに、
スピード感のある2本の弦楽器が滑らかなメロディーラインを演奏する。

流されるように運命に飲まれてしまった悲劇。

それを、切実かつ感情的に歌い上げているような感じ。
ここまで感情を前面に出した梶浦さんの音楽は、かなり珍しいのではないかと思う。

・Track3「Venari strigas」
スピード感のあるゴシック調の曲。
デーモニッシュな弦楽器の音色が独特の雰囲気を醸し出し、
疾走するエレキギターが花(?)を添える。

・Track5「Amicae carae meae」
ピアノとヴァイオリンで、静かに悲しみを奏ずるような楽曲。
情緒的でありながらも、劇性を抑えることで、美しさを引き立てている。
こういう曲調もこのサウンドトラックでは意外に少ないため、貴重である。

(3)SoundtrackⅢ
・Track11「Symposium magarum」
分厚い荘厳な音の響きに圧倒されるような曲。
途中のヴァイオリンソロの部分は、洋城の石造りの広間を想起させる、重厚で凜とした雰囲気を持つ。
この部分では、独特の浮遊感を感じる事も出来、その点でも美味である。

・Track4「Surgam identidem」
前半と後半で曲調が大きく異なる。
前半は、スピード感と重厚さを兼ね備え、弱さに支えられたような力強さも感じる楽曲。
後半は、悲壮的なニュアンスが極めて強く、劇的な曲調である。

・Track7「Nux Walpurgis」
曲調は「Surgam identidem」とよく似ている。
中盤の呻き声のような弦の低音からして悲劇的。
しかし、その後の管弦楽器と聖歌隊が織りなすドラマティックな悲壮感が、たまらなく美しく胸に来る。

不幸の中にある、更なる絶望を認識させられるような、只事ではない雰囲気を持つ楽曲である。

・Track6「Sagitta luminis」
これは、3枚のCDの中で、最も素晴らしいと思う曲である。

頼りない最初の小さな一歩が、次第に壮大な広がりを持っていく様。
悲壮な論理から、何の言葉もいらない、優しい許しへ。
全ての罪を浄化し、暖かく抱きしめるような清らかな音色である。

美しいだけではない、この柔らかな神々しさ。

これはまさに、無垢なる「母性」の権化ではないか。

このような楽曲はそうそうあるものではない。

私はこの曲がTV版本編で流れたとき、梶浦音楽がさらに一段上の境地に入ったのを感じた。
ただただ、聴き入るしかないという曲である。

・Track12「Pergo pugnare」
落ち着きの中に、過去を振り返るような切なさの入った楽曲である。
弦楽器が奏でる連綿とした情緒が素晴らしい。

「最後はほんの少しだけ前向きに。」

そんな曲調で締め括る。


<3.まとめ>
以上、作品世界を忠実に描写したサウンドトラックであった。

作品を見ていない方にもお勧めできるかどうかは、自分にはわからない。
できれば、作品を見てから聴いていただきたい気持ちもないではない。

しかし、神妙な楽曲、疾走感のある暴力的とも思える楽曲あり。
悲劇的かつ情緒的な楽曲、母性的な清浄さのある楽曲あり。

聴く者を飽きさせない楽曲が揃ったCDだと思うことは事実である。

作品を見てからでも、そうでなくとも、
是非聴いてみていただければ幸いである。

P.S
MUSIC COLLECTIONの紹介文にある、
「梶浦由記による新規書き下ろし楽曲」が気になるのは、自分だけだろうか…。


○参考リンク
・Amazon「魔法少女まどか☆マギカ 2 【完全生産限定版】 [Blu-ray] 」
・Amazon「魔法少女まどか☆マギカ 4 【完全生産限定版】 [DVD] 」
・Amazon「魔法少女まどか☆マギカ 6 【完全生産限定版】 [Blu-ray] 」

 →自分が持っているものは、このようにBlu-rayとDVDが混ざっている。

・Amazon「魔法少女まどか☆マギカ MUSIC COLLECTION」
 →これから音楽を聴かれる方はこちらのサウンドトラックへ。

感想:新宿高野 特選アッサム(『シルバーラベル』)

2013-04-20 14:43:42 | アッサム
本日は紅茶レポートをさせていただく。

<茶葉名>
『特選アッサム』
追記:今は『アッサムTAKANOシルバーラベル』という名前で販売されている。

<メーカー>
首都圏を中心に店舗を展開している、新宿高野さんのお茶。
フーズショップは名古屋の他、大阪、神戸にもあるようだ。

<価格>
100g630円と、リーフタイプのアッサムとしては、かなり安価な部類に入る。
新宿高野さんのラインナップでは、中間の価格帯に位置する。

なお、通信販売では送料がかかってしまう。

しかし、最寄りのフーズショップに電話をかけ、
その店舗に取り寄せてもらうという方法がある。
そこへ引き取りに行けば、送料をかけずに手に入れることができる。

だが、店舗によっては、この方法を受け付けていないところがあるかもしれない。

よって、この茶葉に興味を持たれた方は、
取り寄せが可能か否かを、電話で確認されたほうが良いと思う。
『新宿高野 店舗一覧』

<レシピ、蒸らし時間>
新宿高野さんによると、茶葉3gに対し、湯を150cc~180cc注ぐのが推奨とのこと。
それに従い、6g300ccを3分蒸らしで入れた。

<茶葉>
2mmから5mmほどのリーフで、黒褐色の茶葉。
ゴールデンチップなどは、ほとんど見受けられない。

<水色>
深い紅色。

<香り>
香りは強め。
黒糖のような甘い香りに、僅かに笹のようなさわやかなニュアンスがある感じ。

<味>
・全体的な印象
口に含むと、黒糖のような風味と、笹のようなウッディーさを持った渋みが立ち上がる。
その中に、上品なフラワリーさと、やさしいコクが感じられる。

雑味がほとんどなく、まろやかな味わい。
しかし、味・コクはしっかりと強めに出て、凜とした一面もある。

渋み、旨み中心のバランス。
複雑な風味こそあまりないが、非常にバランスよくまとまっている。

芳醇な洋酒にも似たフルーティーな後味を残す。

・甘み
必要十分にある。
しっとりとしたやさしい甘み。

・旨み
多め。
軽いマーガリンのような、ほんのりとしたコクがある。
まろやかな味わいに貢献している。

・渋み
若干多め。
さっぱりとして、コクと一体となった渋み。
舌に絡みつくということもなく、良質な渋みだと思う。

・その他特徴
僅かに酸味があるが、邪魔にはなっておらず、味のキレのよさに貢献している。

特筆すべきは後味である。
非常に芳醇な南国フルーツ系のフルーティーさ、フラワリーさを残す。
アッサムで、これほど心地よい後味を感じられるものは、滅多にないのではないか。

冷めると、渋みを強く感じるようになる。
しかし、飲み辛くなるということはない。

味が強めなので、ミルクティーにしても美味しい。
コクのあるオーソドックスなミルクティーが味わえる。

コストパフォーマンスは極めて高い。
この値段で、アッサムの美味しいストレートティーが飲めることに驚かされた。
非常に素晴らしいお茶であると思う。

感想:リーフル アッサム リーフタイプ 12セカンドフラッシュ アムグーリー農園 OR-432

2013-03-28 07:47:24 | アッサム
本日は紅茶レポート。

<茶葉名>
『アッサムリーフタイプ 12セカンドフラッシュ アムグーリー農園 OR-432』

<メーカー>
リーフルさんのお茶。

<価格>
50g945円と「リーフルの」アッサムの中では中間の価格帯に位置する。
アッサムとしては、なかなかいいお値段である。

<レシピ、蒸らし時間>
3g300ccを5分蒸らし。

<茶葉>
フルリーフの黒褐色の茶葉。
ゴールデンチップは、ほとんど見受けられない。

<水色>
深い紅色。

<香り>
焼き芋のような柔らかく赤みのある香りに、
花蜜のようなフラワリーなニュアンスを併せ持つ。
香りの量はほどほどにある。

<味>
・全体的な印象
口に入れると、花弁のように瑞々しく滑らかな舌触り。
その後、洋酒のような風味が、若干の香ばしさを伴って、控えめに立ち上がる。

アッサムにしては、繊細な軽めの飲み口。

暖かいうちは、甘み中心のバランスで、繊細な印象。
若干ふわふわとした物足りなさを感じる向きもあるかもしれない。
冷めるにつれ、旨み・甘み・渋みのバランスが整ってくるような感じ。

フラワリーかつ黒糖系の優しい後味を残す。

・甘み
やや強め。
フラワリーで、繊細な甘みがある。

・旨み
必要十分にある。
滑らかでウッディーなコクが、全体のやさしい印象を作り出している。

・渋み
若干少なめ。
刺激的な主張はない。
コクとよく溶け合っている。

・その他
冷めるにつれ、穏やかな渋みが主張するようになる。
これにより、全体のバランスが整ってくる印象。
地に足の着いた味わいが楽しめる。

また、若干スパイシーな表情を覗かせるようになる。

ミルクティーにすると、若干味が消え気味になる。
ミルクティーにはあまり向いていないかもしれない。
しかし、コクをはじめ、風味の良さはほのかに残る。


コストパフォーマンスはまずまずといったところ。

感想:リーフル ダージリン 2012 オータムナル タルボ農園 スペシャルチャイナディライト DJ-622

2013-03-20 14:10:03 | ダージリン
9ヶ月ぶりの更新です。

編集画面を開くのすら久しぶりという不義理ぶりです。
定期的に見ていただいている読者の方に、合わせる顔がありません…。

不更新期間中に頂いたコメントについては、
かなり遅まきながらではありますが、返信をさせていただきました。
長い間何も返信せず、大変申し訳ありませんでした。


ここ最近は、自分の考えたことを文章にする機会が、
法律の文章のみという状況でありました。

なので、気分転換に別の文章を書いてみようという、
なんともいい加減な動機での更新であります。


今回は紅茶レポートです。

<名前>
『タルボ農園 スペシャルチャイナディライト DJ-662』

<メーカー>
リーフルさんの茶葉。オータムナル。

<価格>
50g1575円と、リーフルさんのラインナップの中では、中間の価格帯に位置する。

<レシピ、蒸らし時間>
3gの茶葉に300ccの湯。5分蒸らし。

<茶葉>
黒褐色の茶葉と茶褐色の茶葉が半々といった感じ。

<水色>
淡い橙色。
オータムナルとしては若干明るめの水色。

<香り>
僅かに清涼感を伴った金木犀のようなフラワリーな香り。
香りの量は控えめだが、良質なもの。

<味>
・全体的な雰囲気
 口に入れると、とろりとした滑らかさが、舌を優しく包み込む。 
 その後、マスカットのような清涼感を持つ、甘くフラワリーな風味が立ち上がる。
 第一印象の優しい舌触りと、凛とした味の立ち上がりのコントラストが特徴的。

 全体的に、旨み中心のバランスで、味わいがよく解け合っている。
 
 後には、フルーティーな心地よさを残す。
 
・甘み
 若干弱め。
 とろみのある旨みと一体となって、優しい味わいに貢献している。

・旨み
 強め。
 とろりとした舌触りが印象的な、優しい旨み。

・渋み
 ほどほどにある。

 刺激的な主張は皆無。
 しかし、飲み応えがないということはなく、
 味全体をしっかりと支えている。
 良質な渋み。

・その他
 後味に、円熟したマンゴーのような風味をしっかり残す。
 僅かに爽やかさがあるため、ぼやけず、キレが良い。
 とろみがあるためか、後味が長く後を引く。

 冷めると、凜とした飲み応えのある味わいになる。
 旨み、甘みとのバランスも保たれており、1回で2度楽しめる。

 コストパフォーマンスはなかなか良いと思う。

感想:リーフル ダージリン 2012 ファースト タルボ農園 DJ-1

2012-06-09 12:54:24 | ダージリン
久しぶりの紅茶レポート。

<茶葉名>
『タルボ農園 DJ-1』

<メーカー>
リーフルさんのお茶。

<価格>
30g2250円と、リーフルさんのお茶の中でも高価格帯に位置する。

<レシピ、蒸らし時間>
3g300ccを6分蒸らし。

<茶葉>
濃緑色の茶葉に、シルバーチップがちらほら見受けられる。

<水色>
琥珀色。

<香り>
グリニッシュ。
力強い。餡のような柔らかい香ばしさ。

<味>
・全体的な印象
一口目は、キレのある渋み。
緑茶にも似た爽やかさと、凛としたフラワリーさが立ちあがる。

渋み中心のバランス。
しかし後味は、ふわりと残る、青みがかったハーブのような柔らかい風味。
このコントラストが面白い。

・甘み
必要十分。
渋みを最小限に包んでいるような感じ。

・旨み
必要十分である。
渋みの後に来る、こっくりとした柔らかい旨み。

・渋み
多め。
緑茶系のグリニッシュさに、柑橘系のニュアンスがある渋み。
最小限の甘みと、ほどほどの旨みと一体化している。
キレ・清涼感があり、飲み応えのある風味に寄与している。

・その他
温かいうちは、滑らかな舌触りだが、
冷めると、渋みが舌に染み込んでくるような力強い感じになる。
1回で2度美味しいという感じ。

コストパフォーマンスはそれほどでもないが、おいしいお茶だと思う。

吉田秀和氏の訃報に触れて

2012-05-30 20:24:31 | その他のWeblog
「音楽評論家の吉田秀和さん死去 98歳」(朝日デジタル)


当BlogのCD感想の大半は、
ゲームやアニメのサウンドトラックについてのものである。

しかし、私が持っているCDの7割以上はクラシック。
クラシックCDの感想記事が少ないのは不自然に思われるかもしれない。

これには理由がある。


私の持っているクラシックCDは、
そのほとんどが、1954年の前後10年に録音されたものである。

当然、既に、何人もの先人が感想を書いている。

今の自分が、これらの感想に付け足すことがあるのだろうか。
自分が書くまでもなく、言い尽くされているのではないか。


先人たちに対して、こうした思いを持つことが多かったからである。


こうした先人の筆頭が、吉田秀和氏である。

氏は、自分にとり、音楽と、その評論における師であった。

吉田秀和氏の著書『名曲300選』『世界の指揮者』は、
私のクラシック鑑賞の指針であったし、今なおその指針であり続けている。


吉田氏の文章には、その音楽を聴いてみたいと思わせる魅力がある。
そして、その音楽を聴いた後、再度文章を読み返すと、
これ以上に的確で豊かな表現があろうかと思わせるものがある。

恐らく私は、氏の文章の何割も理解できていない。
それを芯から理解するための、音楽や教養の知識、経験が不足しているからである。

だが、そんな自分でも何となく伝わるものがあるのだ。

また、音楽、演奏の分析の仕方についても、
音階の上がり下がり、楽器の使い方などの、
客観的な面をも根拠にしているがゆえ、説得力が大きい。

しかし、こうした分析の冷静さがありながらも、
その文章には、温かみがあり、上品さにあふれている。

自分も、このような文章を書きたいと思い続けてきた。
しかし、やはり、それは凡人には出来ない事なのであった。


そんな自分が音楽の感想を書く際、心に留めている氏の言葉がある。

1年ほど前だったか、レコード雑誌の企画で、吉田秀和氏を取り上げたものがあった。
そこで「演奏会の批評をどのように書いたらよいのか」を問われ、氏が返した言葉である。


「聴き終わった後に、何かこれだけは言っておかなければならないというものがあったはずです。
 それを書いて、最後に『よかった』と書く。それでいいのです。」




心よりご冥福をお祈りいたします。


○参考文献
Amazon:『名曲三〇〇選―吉田秀和コレクション (ちくま文庫)』
Amazon:『世界の指揮者―吉田秀和コレクション (ちくま文庫)』

感想:Benoist(べノア) アッサム

2012-04-18 13:04:38 | アッサム
さて、今日の本題は紅茶レポートである。

<茶葉名>
べノア(Benoist)アッサム

<メーカー>
ベノアさんのお茶。
JR名古屋高島屋の地下2階に入っているメーカー。

<価格>
60g945円(袋入り)
アッサムとしてはやや高めの値段。

<レシピ、蒸らし時間>
メーカーの推奨が、1杯あたり2gとされていたので、
1杯=150ccと解釈し、300cc4gを3分蒸らしで淹れた。

<茶葉>
黒褐色の茶葉で、形や大きさがそろっている。
ゴールデンチップがちらほら見受けられる。

<水色>
深い紅色。

<香り>
洋酒のような性質の、優しい香り。
量が多いわけではないが、良質である。

<味>
・全体的な印象
柔らかなコクと、優しい甘みが印象的なアッサム。
黒糖のような風味だが、粗野でない繊細な甘みが口の中に広がる。
全体的にあっさりとしているが、味のふくらみが良く、
味の柔らかさに包み込まれるような満足感がある。

甘み中心のバランスで、均衡がよく取れている。
味が渾然一体となって溶け込んでいる感じ。

後味は、南国フルーツのような風味に、若干の香ばしさがあるような感じで、
心地よさが長く後を引く。

オーソドックスなアッサムで、味の複雑さはそれほどでもない。
しかし、各要素が上質で、良くまとまったお茶だと思う。

・甘み
強め。
黒糖系の風味だが、
アッサムには珍しく、フルーティーさも持ち合わせている。
さっぱりとした優しい甘み。

・旨み
多め。
ウッディーで上品な旨みだが、
僅かに、円熟したトマトのような、まろやかなフルーティーさも感じる。

甘みと一体化し、味の柔らかさに貢献している。
旨みが多いためか、ミルクティーにしても味が消えにくい。

・渋み
心地よく柔らかい渋み。
刺激的な雑味がなく、優しい印象。

・その他
冷めてくると、コクが強めに感じられるようになるが、柔らかな味わいは変わらない。
しかし、味の表情が、やや単調になってしまうような印象も受ける。

冷めても、全体のバランスが崩れないのは良い。

あっさり目のアッサムにもかかわらず、
ミルクティーにしても味が消えない。
舌触りの滑らかな、ミルクティーが味わえる。

コストパフォーマンスはそれほどでもないが、
堅実で、隙のない品質のアッサムだと思う。

感想:リーフル ダージリン 2011 オータムナル タルボ農園 ティッピークローナル DJ-566

2012-03-26 17:34:07 | ダージリン
ファーストフラッシュも出始めたこの時期にオータムナルのレポート。

<茶葉名>
ダージリン 2011 オータムナル タルボ農園 ティッピークローナル DJ-566

<メーカー>
リーフルさん。

<価格>
30g1575円。
リーフルさんのダージリンの中では中間の価格帯に位置する。

<レシピ、蒸らし時間>
3g300ccの割合で、蒸らし時間は5分。

<茶葉>
黒褐色の茶葉に、シルバーチップがそれなりに見受けられる。

<水色>
薄い橙色。

<香り>
南国フルーツ系のどっしりした甘い香り。
かすかに焙煎的な香ばしいニュアンスもある。
量はやや多めで、涼やかな印象。

<味>
・全体的な印象
爽やかで清涼感のあるフルーティーな味わい。
木の実系のほっくりとしたニュアンスもある。
甘みを伴った柔らかな渋みが優しい印象を作り出している。
やや甘み中心のバランスであるが、まとまりが良いと思う。

・甘み
やや多め。
コーンのような香ばしさと、優しさを持った甘み。
柑橘系の爽やかなフルーティーさも併せ持っている。

・旨み
必要十分にある。
とろりとした舌触りとともに、後に優しい甘みを残す、程よいバランス。

・渋み
ほどほどにある。
しかし、刺激が少なく、優しい性質のもの。
後にも引かない。

・その他
後味に、マスカテルフレーバーが優しくもしっかり残る。

冷めると、とろりとした舌触りが弱まり、
ややシャープかつ渋み中心のバランスにシフトする。
香ばしさや、南国フルーツ系の風味をより強く感じるようになる。
しかし、嫌な風味が出ることはない。

コストパフォーマンスはなかなか良いのではないか。

音楽感想:『Melodies Of Life featured in FINAL FANTASY IX』

2012-03-20 17:36:32 | 音楽系
当Blogからリンクしていた『茶イイナ』がなくなっていたことに、
Ananda cafe氏の指摘を受けて初めて気がつく。(指摘に感謝。)
ということでリンクから外しておいた。

『茶イイナ』のキームンが飲めなくなってしまったのは非常に残念である。

しかし、最近別の方のコメントにて高山茶というものを薦めていただいたので、
ちょっと別の世界にも手を出してみようかと思案中の今日この頃である。


さて、今日はゲームの楽曲『Melodies Of Life』という曲の紹介。

この曲はファイナルファンタジーⅨというゲームの主題歌である。
当方、ゲームの方はプレイしていないのだが、
友人に聞かせてもらった結果、感銘を受けて購入したという経緯のある曲。

作曲はファイナルファンタジーではおなじみの植松伸夫さん。
編曲は劇伴業界ではよく名の知られた浜口史郎さんという方。
ボーカルは白鳥英美子さんという方。

当方、ボーカル曲はあまり取らないのだが、この曲は素晴らしい。

繊細でゆったりとしたメロディ。
楽器構成は、ピアノ・クラリネット・弦楽器(3種)とギター、パーカッション、トランペット。
中心となっているのは、弦楽器が織りなす、明るく美しい音色。

楽曲全体にふわりとした包容力、優しさや暖かみがあり、自分のツボである。

こういう曲にありがちなのは、
進行が淡々としすぎてしまい、退屈になってしまうことである。

しかし、この曲はそうなっていない。
これは、ピアノとエレキギターの使い方によるものであろうと思われる。

まず、ピアノの動きにメリハリがある。
2番開始直後などは、分散和音的に奏でられ駆け上がるピアノが、
弦楽器を迎えに行くような流麗な展開で、実に素晴らしい。

さらに、少し鋭さのあるエレキギターの音が随所に顔を出し、曲を引き締めている。
エレキギターをこういう柔らかな曲に採用するのも珍しいが、
これが実に良いアクセントになっている。

弦の動きも、手を変え品を変えうまく絡ませてある。

ボーカルは、流れるような優しい歌い方で、楽曲に良く合っている。
日本語歌詞、英語歌詞の両方が収録されている。
私は、どちらかというと、流麗さが際立つ英語の歌詞の方が好みである。


久しぶりに感想記事を書くと、
上手く感想が出てこなくなっていることに気付かされる。

やはり、こういう頭も定期的に使わないとダメなのだろうな・・・。


○参考リンク
Amazon:『Melodies Of Life featured in FINAL FANTASY IX』

2012年以降も持ち越さざるを得ない原発の問題。

2012-02-02 09:09:22 | その他のWeblog
年始の挨拶もなく、1月も過ぎたというときにようやく更新。

去年の年末のあるTV番組で、こんな光景を見た。
司会者らしき者が何人かの出演者に「今年はどんな年でしたか。」と聞き、
それに対し誰もが「楽しい一年でした。」「いい年でした。」と答える。そんな光景。

しかし、去年が楽しく、いい年だったとはお世辞にも言えないのではないか。
少なくとも、私は公共の電波で、そのようなことを言うことはできない。

いうまでもない。先の震災のことである。

当Blogを長年見てくださっている方は、うすうす感づいていらっしゃるかもしれない。

震災以降、当Blogの更新頻度が激減したことを。

上記光景のように、自分の楽しかったことなどを公共の場所に書くことに、
抵抗があったというのはひとつの理由としてある。

しかし、それ以上の理由。
今後一生涯、事故を起こした原発を引き受けて生きていかねばならないという事実。
これに対して、気が滅入っているというのが正直な気持ちである。

私は、これから社会に出ようとしている位の年齢である。

日本政治の迷走、国際社会全体の景気後退。
これらのことを考え合わせると、将来について陰鬱たる気持ちになる。
戦争でも起こるのではなかろうか。

大袈裟だが、原発を引き金に、そんなところまで考えてしまう。

名古屋で暮らしている私にしてこのような気分なのだから、
東北・関東の方々の気持ちは、想像するに余りある。

今年初めての更新であるので、今年の原発に関する問題を思いつくままにまとめてみる。


<事故の収束について>
福島の原発の状況はいまだ予断を許さない状況である。
つまり、冷却が止まればいつ危機的状況を起こしてもおかしくない。
それをすんでのところで阻止しているに過ぎないのだ。

配管の凍結による破損を大きく報道するのは、そのためである。


<放射性物質の放出と、それに対する国の措置について>
放射性物質の放出も現在進行形の状態である。

作業員の発癌リスクに対する国の補償については、知る限りいまだ言及がない。
チェルノブイリの事故作業員(リクビダートル)について、
ソ連は生涯の特別年金支給と、医療費無料の措置を講じた。

現在は有名無実化しているところもあるが、日本も参考にすべき点があると思う。

また、福島原発の周辺住民に対する措置につき、
『ふくしま集団疎開裁判』が起こされている。
この裁判の結果は、住民の移転にかかわる今後の政策形成に大きな影響をもたらすと考えられる。

それにも拘らず、報道がほぼ皆無という事態に背筋が凍る。


他にも
<除染>
<食品管理>
<原子炉の封印・管理>
など、いまだかつてなく問題が山積している。

除染は現実的な策なのか、有効なのか。

このようなことも考えつつ、当面は、チェルノブイリやビキニ環礁などの事案を参考に、
できる限り被曝量を抑える策を講じることが課題となろう。


なんだか暗い感情的な記事になってしまったが、
これからは少しずつ明るい趣味の記事も書き始めようと思う。

いろいろなことからエネルギーを得て、問題に取り組んでいく。
それが最も建設的であろうから。

感想:リーフル ダージリン 2011 セカンド セリンボン農園 DJ-87

2011-09-28 09:24:28 | ダージリン
一年ぶりくらいのリーフルダージリンの感想記事。
2010オータム、2011ファースト、2011セカンドと欠かさず飲んではいるのだが、
文章化の機を逸してしまっていた。

今回は、リーフルさんのセカンドフラッシュ。

『セリンボン農園 DJ-87』

<価格>
30g1575円。
リーフルさんの茶葉では、中間の価格帯に当たる。

<茶葉>
黒褐色で大ぶりの茶葉。
シルバーチップなどはあまり見受けられない。

<レシピ、蒸らし時間>
3g300ccを5分蒸らしで淹れました。

<水色>
赤褐色。

<香り>
量はほどほど。
香水のような気品のある香り。
フルーティー。ブドウのような感じ。
わずかに香ばしいニュアンスもある。

<味>
・全体的な印象
最初は穏やかな味わい。
冷めるにつれて、シックで気品のある味わいになっていく。
穏やかな中にも、ほどほどに渋みが効いている。

飲み始めは甘みを強く感じるが、
飲み進めていくうちに、
まろやかなコク中心→じわりとした渋み中心のバランスになっていく感じ。 

ブドウのようなフルーティーな味わい。マスカテルフレーバー。
どちらかというと、ノーブルな感じの風味。
冷めると、焙煎的なニュアンスが強くなってくる。

戻り香もそこそこにある。口の中での広がりはまずまず。
後に、フルーティーで甘やかな清涼感が残る。
このスズランのような後味はかなり印象が良い。

・甘み
必要十分な量という印象。

・旨み
割と多め。
まろやかなコクが、穏やかな味わいを支えている感じ。

・渋み
若干多めだと思う。
じわりと舌にしみこんでくるような渋み。後には引かない。
上記コクとともに、シックな味わいを作り出すのに寄与している。

・その他
水量を280cc位にすると、優しいテイストが一変する。
渋みや味が前に出て、ダージリンらしい華やかな香りと、複雑な味わいが強く感じられるようになる。
反面、苦味のようなものも出てくる。一長一短な感じ。

お勧め度は「なかなか」といったところ。

音楽感想:『異国迷路のクロワーゼ』OP・EDテーマ 世界は踊るよ、君と。/ここからはじまる物語

2011-08-14 12:05:35 | 音楽系
久しぶりのCD感想記事。

今回のお題は、古いCDの感想を主に書いている当Blogとしては珍しい、
現在進行系で放送しているアニメの主題歌シングルCDである。

『異国迷路のクロワーゼ The Animation』というアニメの主題歌、
『世界は踊るよ、君と。/ここからはじまる物語』という曲。

アニメの方もなかなか好みに合う感じだった。

忙しくドタバタせず、日々を淡々と過ごしていく。
その中で、様々なことを思い、考えていくという落ち着いた作風だ。
この作風が、19世紀のパリという舞台で展開されるのである。

この世界観の雰囲気が、画だけでなく、楽曲でも表現されている。
BGMも含め、この楽曲の雰囲気が実に良く、かなりツボにはまった。
サウンドトラックが出たら、おそらく買ってしまうのだろうと思う。

さて、ここで、サントラを買う予定があるのに、
なぜわざわざ主題歌のシングルCDを買うのかという疑問が出る。
サントラには、主題歌の「TVサイズ」が収録されるらしいのに、である。

あのエンディングテーマにやられた。

というのが率直な理由である。
早速、以下主題歌2曲の感想を述べてみようと思う。


オープニングテーマ『世界は回るよ、君と。』
作曲:千葉はな 編曲:市川和則 Vocal:羊毛とおはな

異国情緒な雰囲気が漂う楽曲。

流れるようなギターの音色がなかなか心地良い。
軽妙なフットワークがあり、アニメアニメした感じがなく、割と個性的ではないか。
嫌みのない楽曲に仕上がっているのではではないかと思う。


エンディングテーマ『ここからはじまる物語』
作曲:松浦みつを 編曲:保刈久明 Vocal:湯音(東山奈央)

このシングルのイチ押しはこの曲。

どちらかというと和風で童謡的なテイストをもった曲。

作曲もさることながら、保刈久明氏の編曲(アレンジ)が絶品。

メロディーの方は結構淡々としているように思うが、
アレンジが積極的に前に出て、かなり聴かせる。
この構造が、押しつけがましくない情感の表出に寄与しているように思う。

生き生きとして融通無碍。
それでいて無秩序にならず、品のある優しさ、しなやかさがあるのだな。

また、変化のあるアレンジのおかげで、曲の2番以降の存在意義が増している。
このため、1番2番は当然同じメロディーが流れるのだが、飽きがこない。
サントラのTVサイズではなく、このシングルのフルサイズを買わざるを得なくなったほどである。

2本のヴァイオリンが、1番ではたどたどしく、2番では伸びやかに歌う。
この2本の音のハーモニーが、また色気があって美しいのだな。
彩度を押さえたパステル調の音色も魅力的である。

テンポの変化も、自由闊達かつ嫌みがなく、素晴らしいと思う。
流れるようなピアノ伴奏が、耳に心地よい。

歌い手の方については多くは触れない。
ただ、3回目のサビ部分「始めよう ここから」を重ねてくるところは、なぜか胸に来る。


聴いた後に、優しいものがほのかに残る。そんな楽曲であった。


○参考リンク
Amazon『世界は踊るよ、君と。/ここからはじまる物語』
→今回感想を書いた楽曲の試聴が出来る。

Amazon『TVアニメーション「異国迷路のクロワーゼ The Animation」オリジナルサウンドトラック 』
→8月24日発売だそうだ。

拙著記事『音楽感想『NOIR(ノワール) オリジナルサウンドトラックⅠ』
→この記事で紹介している『きれいな感情』という曲の編曲が、保刈久明さんである。
 こちらの曲も方向性は違うが、良いと思う。

公式ページ『異国迷路のクロワーゼ Thi Animation』

ポータブルCDプレーヤー『SL-S550』が不調に・・・。

2011-06-10 18:23:30 | その他の音楽機材
タイトルの通り。
う~む・・・困った・・・。

『SL-S550』は、Panasonicの出したポータブルCDプレーヤーである。

もう10年以上前の製品ではないかと思う。
「うきょうたかしのPCDP&CD日記」さんのページ)によると、
「1992年の発売」とあるから、約20年前のものということになるのか。

確か、ジャンク屋で500円くらいで転がっていたものを買ったのだが、
なかなかどうして、『ER-4S』との相性がよく、度々用いていた。
メインのSTAXのシステムとはまた違った、面白さのある鳴り方をする。

デジタルオーディオプレーヤーも持っているのだが、音の密度が全く違う。
いまやポータブルCDプレーヤーなどは、斜陽の産物なのかもしれないが、
この力強く生き生きとした音を聞いてしまうと、やはり存在意義があると思ってしまう。

このCDプレーヤーのDACは、松下お得意の『MASH』である。
自分のイメージとしては、『MASH』搭載機は優しく繊細な音を出す印象があった。

しかし、なぜかこの『SL-S550』は芯のある、押し出し感の強いサウンドを出す。
押し出し感と引き替えに、透明感と音色の美しさを犠牲にすることもない。

これに『ER-4S』をつなぐと、『処女が脱兎の如く』鳴るのである。

だが、最近、特定の音が鳴るときに雑音が混じるようになってきた。
どうも、中域より少し下の音が鳴るときに生じるようだ。
ジャリジャリと音にまとわりついてきてどうにも困る。

このページにコンデンサの表が上げられているので、
久しぶりに半田ごてを握って、修理に挑戦するのも良いかもしれない。

しかし、直るかどうかも不明であるため、買い換えにしてもいいが、
こういう音のポータブルCDプレーヤーが現行機で存在するのかはわからない。

オーディオ機器は、新しければいいというのが当てはまらない世界なので、
直すか、新調するか、実に悩ましいところである。

いっそ自然に治ってくれないだろうか(爆)。

音楽感想:Selfconsciousness-岩崎琢 劇伴音楽集-

2011-05-30 09:23:01 | 音楽系
気付けば2ヶ月間放置とは・・・。
どうも趣味のことを書くような気分ではなかったというのが正直なところ。

この2ヶ月間でやっていたことと言えば、音楽を聴くことくらいであった。
それなりに新しいCDもいくつか買ってみたのだが、中でも強い衝撃を受けたのがこのCD。


『Selfconsciousness-岩崎琢 劇伴音楽集-』


作曲は『岩崎琢』氏。


いや、このCDは本当に凄かった


1日で1枚聴くのがやっとというくらい、どの曲も密度が濃い。

それに加え、さらに恐ろしいことがある。

だいたいどのような作曲家であっても、いくつかの作品のCDを聴けば、
その作曲家の作風というものが何となく感じられるのが通常である。

しかし、この劇伴音楽集はどうであろうか。
少なくともこのCDを聴く限り、私にはこの作曲家の底が見えない
(穏やかな曲などでわずかに感じられる程度。)

いつまで、この底が見えない状況が続いていくのか分からないが、
今後もこの人に注目していきたいと思わせるそんなCDであった。


正直、曲を選択するのも憚られるくらい、どれも完成度が高いと思う。
どの曲を取っても、響きが豊かで厚く、聴き応えがある。
内声部も充実し、よく動いている感じ。
それでいて、何とも言えず繊細なのがたまらない。

しかし、全曲について感想を書いていたら、記事の完成日が永遠に来ない気がするので、
Disc「2」で自分が良く聴くものを挙げてみることにする。
(Disc1の「R.O.Dのテーマ」なども良いのだが。)


『13.お前のXXX(トリプルエックス)で天を衝け!!/Another mix』なんかは、
いかにもそれらしい力強さを持った曲。
ゆっくりとしたメロディーの移り変わりと、それを支える弦の厚みが、凜とした意志の強さを感じさせる。

もう少しメロディーの変化があればなお良かったと思う。
また、失礼ながら、このトランペットにはちょっと笑ってしまった。


『14.“Libera me” from hell』はかなり好みの曲。
変化が多彩で、聴いていて非常に面白い。
ある旋律の繰り返しの背後で、他の旋律が留まることなく変化していく様が何とも好み。

それに加えて、強い進行感があり、この盛り上がりも魅力の一つである。
表面上の熱さでなく、周りの熱源が大きくなってくるような熱さを持つ音楽。
なんというか、地表を掘り下げながら、地下の熱源にどんどん近づいていくような感じ。


『16.「萌え」っていったい何ですか?』もイチオシの曲。
どこか繊細でありながら、濃厚なものを内包した感じ。
それでいて、マーラーの交響曲の緩除楽章のような、気味が悪いくらいの美しさを持っている。
美しくも切ない「別れの微笑み」という印象。


また『02.菩提樹』は、清浄感に溢れていながら、濃厚かつ豊かな色彩が感じられる楽曲。
厚みのある弦楽器群が織りなす、瑞々しく清らかなメロディーが心地よい。


『01.Nostalgia』も、特徴的な音楽である。
幻想的といったら俗になってしまうが、霧がかった山を彷彿とさせるような霊感を感じる。
この柔らかでふわりとした質感は筆舌に尽くしがたい。
実に素晴らしい音楽である。(こればかり)


他にも『10.Take over disteny』は、推進力がありながら、節制のきいた感じで好みだし、
『11.Magic mushroom』も、危険な響き(?)が感じられ、面白い楽曲であると思う。


全体的に、ありがちな方向へ行っていないところが好み。
「この」CDを手元に置いておく価値を十分すぎるほど見いだせる。
(各アニメのサントラを全て持っている人はともかく。)

ただ、人を選ぶのだろうとは思う。

人を選ばない音楽などあるのかと言われればそれまでだが、何となく。

なにはともあれ、自分のような雑食的な人間にはたまらない逸品であった。


参考リンク
Amazon『Selfconsciousness-岩崎琢 劇伴音楽集-』