『クドわふたー』というのは、所謂18禁ゲームの名前です。
keyというメーカーが手がけたゲームですが、そこで使われる音楽はその業界では高く評価されているようです。
とかく美少女ゲームというのは偏見を受けたりするわけですけれども、音楽の美しさとは関係ないですね。
綺麗であればそれでいいというのが私のスタンスであります。
ちなみに私、この『クドわふたー』というゲームはプレイしておりません。
本当は、ゲームをやってから聴くのが筋なのでしょう。
(特にkeyのゲームはその要請が強いと思われる。)
しかし、私がこのゲームをプレイすることはないと思ったので、単体で聴いてしまいました。
<総論的な感想>
当サウンドトラックはゲームの特典なのですが、友人が貸してくれました。
曲はなかなか良い出来だと思います。
ジャケットも夕焼けの写真になっていて、キャラクター臭は皆無です。
なんというか、「ヒーリングミュージック」CDのような装いになっています。
ライナーノーツやCDのレーベルもそんな感じです。
・作曲家
このサントラのメイン作曲者は「清水準一」さん。
keyの作曲と言えば、「麻枝准」さんと「折戸伸治」さん・「戸越まごめ」さんですが、清水さんは新人のようです。
本CDを聴く限り、かなり味の濃い音楽をしているように感じました。
味の濃さだけで見ると麻枝さんを凌いでいると思います。
「濃さ」という観点だけですと、自分の認知としては佐野広明さんに近いかもしれません。
佐野さんはその濃さを悲劇的な方向にもって行きますが、
清水さんはもう少し親しみやすい郷愁的な方向に行く感じ。
また、音楽としては、よく響く音を多用して、
良い意味でベタな曲を上品なヴェールで包んで見せるような印象がありますね。
天門さんの曲のテイストを甘め方向に振った感じと言ったらいいでしょうか。
どちらにしろ、麻枝さんとはまた違った作風をお持ちの方と感じました。
・全体的な曲調など
ノスタルジックな感じの和風テイストの曲が散見される。
これはゲームの雰囲気との関係かもしれません。
ゲームの内容としては、小さい女の子と一夏を過ごすというような感じらしいです。
確かに、小さな子とのそういう感情って、
どこかノスタルジックなニュアンスがあるのではないかと思うので、納得と言えば納得(?)です。
どの曲も荒削りではあるものの力が入った作品になっていると思うのですが、
ゲームでこれらを流され続けると少し疲れてしまうかもしれないですね。
こういう曲は、サントラ単体で聴くと映えるので、
サントラしか聴かない自分のような人間にはいいのです。
しかし、ゲーム音楽としては、もう少し遊び心というか、抜いた部分があっても良かったのではないかと感じるところもありますね。
初めてのメイン作曲でプレッシャーがあったのだと推測します。
ただ、こういう作風を続けてほしいという気持ちもあるので、なかなか複雑です。
後は、パートを混ぜて聴いた時のぎこちなさがもう少し取れれば、なお良いような気がします。
<各論的な感想>
02.At The Mountain Behind
和風テイストのある曲。音の広がりもなかなかのもの。
爽やかさに、夏の少しけだるい雰囲気を足したような感じの曲。
曲の雰囲気が、智代アフターの「old summer days」やAIRの「夏影」に若干似ているような気がします。
04.Path of Sunset
こんな時がいつまでも続いたらいいのにと思いつつも、
結局過ぎていく日々を少しセンチに意識するような、そんな感じの曲でしょうか。
少し音の下がり方に不自然な部分があるような気がしますが、雰囲気はなかなかです。
展開部のノスタルジーの発散が凄い。
06.Color blossom
個人的にかなり好みの曲。曲全体として出来がいいと思う。
ピアノ曲で儚い感じなのですが、琴のような音の重ね方が少し独特。
かなり主旋律に近い部分の和音を使っている部分が所々にあって、
くっついたり離れたりといったような微妙な距離感を表現しているよう。
ライナーノーツによると、その手のシーンで使われているらしい。
こんな儚い曲を流されたらその気が萎えそうな気がするのですが、大丈夫なのでしょうか(爆)。
07.Where I Belong
「リトルバスターズ」のクドのテーマ『えきぞちっく・といぼっくす』のピアノアレンジバージョン。
普通に綺麗な曲だと思うのですが、少し単調な感じはします。
08.When We Wish a Upon a Star
主題歌のオルゴール、器楽アレンジバージョン。
主題歌では、明るめに作ってあったために目立ちにくかった「健気」な部分が強調されていて、なかなかいいですね。
ちなみに、歌付きの原曲は24.に収録されていて、シンフォニックな部分もあるなかなかの曲だと思います。
しかし、歌の方がどうにも…。
歌い手に罪はないのですが、客観的には清水さんが「被害」にあったとしか言いようのない事態になっています(爆)。
09.Cape of Futuer
ベタなのだろうけど、こういう曲は好みですね。
悲しみの中で、一生懸命前向きに歩もうとしているような感じ。
前を向くことを決めた中間の展開部、やはり音が良く響きますね。
最後ピアノだけになる部分は、響きを無理に止めてしまう感じで、少し唐突に思う。
10.Adagio for Summer Wind
デモムービーで一部分が流れていた曲。過去記事に書いたとおり、この曲は素晴らしいと思います。
爽やかで、新緑のように瑞々しい、透明感ある音色。過去を振り返っているような切なさが僅かに感じられます。
しかし、中間部は今ひとつ単調で、音的にも曲全体の統一感を崩すような感じがします。
個人的には、ムービー用にカットされたものの方が好みです。
そして、やはり「old summer days」を思い浮かべてしまう。
12.August Green
自転車に乗って草原を駆け抜ける時のような、爽やかで疾走感のある曲。
そして、中間部に僅かな切なさ成分をはさんでくる。
本CDではこういう甘さを控えた曲は貴重というか、聴くとなんとなくホッとします。
13.Moontan
出だしがKanon「pure snow」のアレンジバージョンのような荘重な感じ。
運命の分かれ道というか決意を迫られるというような、そんな場面で使われていそうな曲。
中間部以降の弦が、燃え上がるノスタルジック全開というような感じで、煌々と輝く満月を感じさせる。
終わりのピアノも美しいです。
15.Bloom of Youth
これは素晴らしいですね。
10.が原曲のアレンジですが、これくらいシンプルにしてしまった方がノスタルジックな主旋律が生きてくるように思います。
楽器を少しずつ足していく王道の展開で、中間部以降は低い方の支えもあり、音のバランスもなかなか良いと思う。
なんか序盤のピアノ部分は過去回想的なシーンで使われていそう。
17.grief
ベタと言えばベタなんでしょうけど、かなり好きですね。この儚さと悲しみの表現が美味。
何気ない日常に彩られた幸せな過去と、それが失われてしまった現在との対比。
keyの御家芸を表したような曲ですね。
展開部のピアノの霰と、荘重な対位弦がたまらなく胸に来る。
その前の部分に詰め切れていない所が見られるものの、やはり好みですね。
19.Reminiscence
出だしは荘重な感じ。シンフォニックな響きがいいですね。
なんとなく梶浦さんの曲のような作り方のように思えますが、
彼女は、ここまで郷愁を前面に押し出す曲は作らないでしょう。
keyというメーカーが手がけたゲームですが、そこで使われる音楽はその業界では高く評価されているようです。
とかく美少女ゲームというのは偏見を受けたりするわけですけれども、音楽の美しさとは関係ないですね。
綺麗であればそれでいいというのが私のスタンスであります。
ちなみに私、この『クドわふたー』というゲームはプレイしておりません。
本当は、ゲームをやってから聴くのが筋なのでしょう。
(特にkeyのゲームはその要請が強いと思われる。)
しかし、私がこのゲームをプレイすることはないと思ったので、単体で聴いてしまいました。
<総論的な感想>
当サウンドトラックはゲームの特典なのですが、友人が貸してくれました。
曲はなかなか良い出来だと思います。
ジャケットも夕焼けの写真になっていて、キャラクター臭は皆無です。
なんというか、「ヒーリングミュージック」CDのような装いになっています。
ライナーノーツやCDのレーベルもそんな感じです。
・作曲家
このサントラのメイン作曲者は「清水準一」さん。
keyの作曲と言えば、「麻枝准」さんと「折戸伸治」さん・「戸越まごめ」さんですが、清水さんは新人のようです。
本CDを聴く限り、かなり味の濃い音楽をしているように感じました。
味の濃さだけで見ると麻枝さんを凌いでいると思います。
「濃さ」という観点だけですと、自分の認知としては佐野広明さんに近いかもしれません。
佐野さんはその濃さを悲劇的な方向にもって行きますが、
清水さんはもう少し親しみやすい郷愁的な方向に行く感じ。
また、音楽としては、よく響く音を多用して、
良い意味でベタな曲を上品なヴェールで包んで見せるような印象がありますね。
天門さんの曲のテイストを甘め方向に振った感じと言ったらいいでしょうか。
どちらにしろ、麻枝さんとはまた違った作風をお持ちの方と感じました。
・全体的な曲調など
ノスタルジックな感じの和風テイストの曲が散見される。
これはゲームの雰囲気との関係かもしれません。
ゲームの内容としては、小さい女の子と一夏を過ごすというような感じらしいです。
確かに、小さな子とのそういう感情って、
どこかノスタルジックなニュアンスがあるのではないかと思うので、納得と言えば納得(?)です。
どの曲も荒削りではあるものの力が入った作品になっていると思うのですが、
ゲームでこれらを流され続けると少し疲れてしまうかもしれないですね。
こういう曲は、サントラ単体で聴くと映えるので、
サントラしか聴かない自分のような人間にはいいのです。
しかし、ゲーム音楽としては、もう少し遊び心というか、抜いた部分があっても良かったのではないかと感じるところもありますね。
初めてのメイン作曲でプレッシャーがあったのだと推測します。
ただ、こういう作風を続けてほしいという気持ちもあるので、なかなか複雑です。
後は、パートを混ぜて聴いた時のぎこちなさがもう少し取れれば、なお良いような気がします。
<各論的な感想>
02.At The Mountain Behind
和風テイストのある曲。音の広がりもなかなかのもの。
爽やかさに、夏の少しけだるい雰囲気を足したような感じの曲。
曲の雰囲気が、智代アフターの「old summer days」やAIRの「夏影」に若干似ているような気がします。
04.Path of Sunset
こんな時がいつまでも続いたらいいのにと思いつつも、
結局過ぎていく日々を少しセンチに意識するような、そんな感じの曲でしょうか。
少し音の下がり方に不自然な部分があるような気がしますが、雰囲気はなかなかです。
展開部のノスタルジーの発散が凄い。
06.Color blossom
個人的にかなり好みの曲。曲全体として出来がいいと思う。
ピアノ曲で儚い感じなのですが、琴のような音の重ね方が少し独特。
かなり主旋律に近い部分の和音を使っている部分が所々にあって、
くっついたり離れたりといったような微妙な距離感を表現しているよう。
ライナーノーツによると、その手のシーンで使われているらしい。
こんな儚い曲を流されたらその気が萎えそうな気がするのですが、大丈夫なのでしょうか(爆)。
07.Where I Belong
「リトルバスターズ」のクドのテーマ『えきぞちっく・といぼっくす』のピアノアレンジバージョン。
普通に綺麗な曲だと思うのですが、少し単調な感じはします。
08.When We Wish a Upon a Star
主題歌のオルゴール、器楽アレンジバージョン。
主題歌では、明るめに作ってあったために目立ちにくかった「健気」な部分が強調されていて、なかなかいいですね。
ちなみに、歌付きの原曲は24.に収録されていて、シンフォニックな部分もあるなかなかの曲だと思います。
しかし、歌の方がどうにも…。
歌い手に罪はないのですが、客観的には清水さんが「被害」にあったとしか言いようのない事態になっています(爆)。
09.Cape of Futuer
ベタなのだろうけど、こういう曲は好みですね。
悲しみの中で、一生懸命前向きに歩もうとしているような感じ。
前を向くことを決めた中間の展開部、やはり音が良く響きますね。
最後ピアノだけになる部分は、響きを無理に止めてしまう感じで、少し唐突に思う。
10.Adagio for Summer Wind
デモムービーで一部分が流れていた曲。過去記事に書いたとおり、この曲は素晴らしいと思います。
爽やかで、新緑のように瑞々しい、透明感ある音色。過去を振り返っているような切なさが僅かに感じられます。
しかし、中間部は今ひとつ単調で、音的にも曲全体の統一感を崩すような感じがします。
個人的には、ムービー用にカットされたものの方が好みです。
そして、やはり「old summer days」を思い浮かべてしまう。
12.August Green
自転車に乗って草原を駆け抜ける時のような、爽やかで疾走感のある曲。
そして、中間部に僅かな切なさ成分をはさんでくる。
本CDではこういう甘さを控えた曲は貴重というか、聴くとなんとなくホッとします。
13.Moontan
出だしがKanon「pure snow」のアレンジバージョンのような荘重な感じ。
運命の分かれ道というか決意を迫られるというような、そんな場面で使われていそうな曲。
中間部以降の弦が、燃え上がるノスタルジック全開というような感じで、煌々と輝く満月を感じさせる。
終わりのピアノも美しいです。
15.Bloom of Youth
これは素晴らしいですね。
10.が原曲のアレンジですが、これくらいシンプルにしてしまった方がノスタルジックな主旋律が生きてくるように思います。
楽器を少しずつ足していく王道の展開で、中間部以降は低い方の支えもあり、音のバランスもなかなか良いと思う。
なんか序盤のピアノ部分は過去回想的なシーンで使われていそう。
17.grief
ベタと言えばベタなんでしょうけど、かなり好きですね。この儚さと悲しみの表現が美味。
何気ない日常に彩られた幸せな過去と、それが失われてしまった現在との対比。
keyの御家芸を表したような曲ですね。
展開部のピアノの霰と、荘重な対位弦がたまらなく胸に来る。
その前の部分に詰め切れていない所が見られるものの、やはり好みですね。
19.Reminiscence
出だしは荘重な感じ。シンフォニックな響きがいいですね。
なんとなく梶浦さんの曲のような作り方のように思えますが、
彼女は、ここまで郷愁を前面に押し出す曲は作らないでしょう。