紅茶の一期一会

紅茶歴(だけは)10年以上の管理人が、
主に、購入した紅茶の感想を書いています。

感想:「『クドわふたー』 オリジナル・サウンドトラック」

2010-06-27 14:12:04 | 音楽系
『クドわふたー』というのは、所謂18禁ゲームの名前です。
keyというメーカーが手がけたゲームですが、そこで使われる音楽はその業界では高く評価されているようです。

とかく美少女ゲームというのは偏見を受けたりするわけですけれども、音楽の美しさとは関係ないですね。
綺麗であればそれでいいというのが私のスタンスであります。

ちなみに私、この『クドわふたー』というゲームはプレイしておりません。
本当は、ゲームをやってから聴くのが筋なのでしょう。
(特にkeyのゲームはその要請が強いと思われる。)

しかし、私がこのゲームをプレイすることはないと思ったので、単体で聴いてしまいました。

<総論的な感想>

当サウンドトラックはゲームの特典なのですが、友人が貸してくれました。
曲はなかなか良い出来だと思います。

ジャケットも夕焼けの写真になっていて、キャラクター臭は皆無です。
なんというか、「ヒーリングミュージック」CDのような装いになっています。
ライナーノーツやCDのレーベルもそんな感じです。


・作曲家
 このサントラのメイン作曲者は「清水準一」さん。
 keyの作曲と言えば、「麻枝准」さんと「折戸伸治」さん・「戸越まごめ」さんですが、清水さんは新人のようです。

 本CDを聴く限り、かなり味の濃い音楽をしているように感じました。
 味の濃さだけで見ると麻枝さんを凌いでいると思います。
 「濃さ」という観点だけですと、自分の認知としては佐野広明さんに近いかもしれません。

 佐野さんはその濃さを悲劇的な方向にもって行きますが、
 清水さんはもう少し親しみやすい郷愁的な方向に行く感じ。

 また、音楽としては、よく響く音を多用して、
 良い意味でベタな曲を上品なヴェールで包んで見せるような印象がありますね。
 天門さんの曲のテイストを甘め方向に振った感じと言ったらいいでしょうか。

 どちらにしろ、麻枝さんとはまた違った作風をお持ちの方と感じました。


・全体的な曲調など
 ノスタルジックな感じの和風テイストの曲が散見される。
 これはゲームの雰囲気との関係かもしれません。

 ゲームの内容としては、小さい女の子と一夏を過ごすというような感じらしいです。
 確かに、小さな子とのそういう感情って、
 どこかノスタルジックなニュアンスがあるのではないかと思うので、納得と言えば納得(?)です。

 どの曲も荒削りではあるものの力が入った作品になっていると思うのですが、
 ゲームでこれらを流され続けると少し疲れてしまうかもしれないですね。

 こういう曲は、サントラ単体で聴くと映えるので、
 サントラしか聴かない自分のような人間にはいいのです。

 しかし、ゲーム音楽としては、もう少し遊び心というか、抜いた部分があっても良かったのではないかと感じるところもありますね。
 初めてのメイン作曲でプレッシャーがあったのだと推測します。
 ただ、こういう作風を続けてほしいという気持ちもあるので、なかなか複雑です。

 後は、パートを混ぜて聴いた時のぎこちなさがもう少し取れれば、なお良いような気がします。


<各論的な感想>
 
02.At The Mountain Behind
 和風テイストのある曲。音の広がりもなかなかのもの。
 爽やかさに、夏の少しけだるい雰囲気を足したような感じの曲。
 曲の雰囲気が、智代アフターの「old summer days」やAIRの「夏影」に若干似ているような気がします。


04.Path of Sunset
 こんな時がいつまでも続いたらいいのにと思いつつも、
 結局過ぎていく日々を少しセンチに意識するような、そんな感じの曲でしょうか。

 少し音の下がり方に不自然な部分があるような気がしますが、雰囲気はなかなかです。
 展開部のノスタルジーの発散が凄い。


06.Color blossom
 個人的にかなり好みの曲。曲全体として出来がいいと思う。

 ピアノ曲で儚い感じなのですが、琴のような音の重ね方が少し独特。
 かなり主旋律に近い部分の和音を使っている部分が所々にあって、
 くっついたり離れたりといったような微妙な距離感を表現しているよう。

 ライナーノーツによると、その手のシーンで使われているらしい。
 こんな儚い曲を流されたらその気が萎えそうな気がするのですが、大丈夫なのでしょうか(爆)。


07.Where I Belong
 「リトルバスターズ」のクドのテーマ『えきぞちっく・といぼっくす』のピアノアレンジバージョン。
 普通に綺麗な曲だと思うのですが、少し単調な感じはします。


08.When We Wish a Upon a Star
 主題歌のオルゴール、器楽アレンジバージョン。
 主題歌では、明るめに作ってあったために目立ちにくかった「健気」な部分が強調されていて、なかなかいいですね。

 ちなみに、歌付きの原曲は24.に収録されていて、シンフォニックな部分もあるなかなかの曲だと思います。
 しかし、歌の方がどうにも…。
 歌い手に罪はないのですが、客観的には清水さんが「被害」にあったとしか言いようのない事態になっています(爆)。


09.Cape of Futuer
 ベタなのだろうけど、こういう曲は好みですね。

 悲しみの中で、一生懸命前向きに歩もうとしているような感じ。
 前を向くことを決めた中間の展開部、やはり音が良く響きますね。
 最後ピアノだけになる部分は、響きを無理に止めてしまう感じで、少し唐突に思う。


10.Adagio for Summer Wind
 デモムービーで一部分が流れていた曲。過去記事に書いたとおり、この曲は素晴らしいと思います。
 爽やかで、新緑のように瑞々しい、透明感ある音色。過去を振り返っているような切なさが僅かに感じられます。

 しかし、中間部は今ひとつ単調で、音的にも曲全体の統一感を崩すような感じがします。
 個人的には、ムービー用にカットされたものの方が好みです。

 そして、やはり「old summer days」を思い浮かべてしまう。


12.August Green
 自転車に乗って草原を駆け抜ける時のような、爽やかで疾走感のある曲。
 そして、中間部に僅かな切なさ成分をはさんでくる。
 本CDではこういう甘さを控えた曲は貴重というか、聴くとなんとなくホッとします。


13.Moontan
 出だしがKanon「pure snow」のアレンジバージョンのような荘重な感じ。
 運命の分かれ道というか決意を迫られるというような、そんな場面で使われていそうな曲。

 中間部以降の弦が、燃え上がるノスタルジック全開というような感じで、煌々と輝く満月を感じさせる。
 終わりのピアノも美しいです。


15.Bloom of Youth
 これは素晴らしいですね。
 10.が原曲のアレンジですが、これくらいシンプルにしてしまった方がノスタルジックな主旋律が生きてくるように思います。

 楽器を少しずつ足していく王道の展開で、中間部以降は低い方の支えもあり、音のバランスもなかなか良いと思う。
 なんか序盤のピアノ部分は過去回想的なシーンで使われていそう。


17.grief
 ベタと言えばベタなんでしょうけど、かなり好きですね。この儚さと悲しみの表現が美味。

 何気ない日常に彩られた幸せな過去と、それが失われてしまった現在との対比。
 keyの御家芸を表したような曲ですね。

 展開部のピアノの霰と、荘重な対位弦がたまらなく胸に来る。
 その前の部分に詰め切れていない所が見られるものの、やはり好みですね。


19.Reminiscence
 出だしは荘重な感じ。シンフォニックな響きがいいですね。
 なんとなく梶浦さんの曲のような作り方のように思えますが、
 彼女は、ここまで郷愁を前面に押し出す曲は作らないでしょう。

えいこく屋 アッサム

2010-06-24 22:41:17 | アッサム
忘れたころにやってくる紅茶レポートです。今回はアッサム。

『えいこく屋 アッサム』

えいこく屋さんのブレンドです。
過去にレポートした「アッサムタイガー」とはうって変わって、なんとも飾り気のないシンプルなネーミング。
アッサムタイガーは緑色のラベルでしたが、こちらは白色のラベルが貼ってあります。

80g630円でした。

茶葉は大ぶりのホールリーフ。
ゴールデンチップこそ見当たりませんが、茶葉の大きさは揃っており、見事なものです。

5gの茶葉に400ccのお湯、3分蒸らしで入れました。

<水色>
濃い目の橙色をしています。

<香り>
甘い黒糖のような芳香に、僅かにメントール系のアクセントが入ったような香り。
少し個性的であるが、決して悪くない上品な香り。

<味>
甘み中心のバランス。
アッサム独特の落ち葉のような味わいに、香りとぴったり合った芳醇な風味がある。
味は強めなのに、すっきり・こっくりとした感じがするのは不思議ですね。
舌にじんわり染みこむような旨み・コクがある。

ただ、少し平板な感じがする。これは価格上やむを得ないか。

渋みは少なめで、非常に飲みやすい。
ホールリーフの恩恵か、舌へのざらつき、雑味などは一切ない。
このしっとりとした舌触りの滑らかさは特筆すべきもの。

しかし、冷めてくると苦味が少し気になってくる。
この点は、ミルクを入れると全く気にならなくなる。
パッケージの説明書きにミルクティー用とあるが、確かにその通りだと思う。


ミルクティーにするのならコストパフォーマンスは高いと思います。

感想「ツバサ・クロニクル」 オリジナル・サウンドトラック Future Soundscape II

2010-06-19 19:10:20 | 音楽系
久しぶりの更新になってしまいました。

今回は、サウンドトラックの記事を書かせていただきます。
少し前のサントラではありますが、当Blogのスタンスは「埋もれているものを掘り起こす」というものですので、少し前の作品もしっかり取り上げていきます。

今回取り上げるサントラは「ツバサ・クロニクル」 オリジナル・サウンドトラック Future Soundscape IIです。


<総論的な感想>
なぜか「Ⅰ」ではなく「Ⅱ」です。
「ツバサ・クロニクル」というのはNHKで放送されていたアニメ「らしい」です。
「らしい」というのは、毎回恒例の通り自分は見ていないということであります。人気があるアニメなのかも良く知りません。

作曲者は『梶浦由記』さん。アニメサントラファン(?)で名前を知らない人はほとんどいないと思われる方です。

特徴的なのは、何語かわからない歌声を多用した楽曲。
しかし、私は声ものよりも、ピアノ曲、管弦楽器のみの曲の方が好みのものが多いですね。
それに、民族的な世界観が付与されると完全に自分好みの曲です。

あと、梶浦さんの曲は、童謡の旋律のようなやさしい雰囲気を持っていることが多く、不思議な魅力があるように思います。

ちなみに、ライナーノーツに「FictionJunction」という名詞が出てきます。
これはなんだろうと思って調べてみたところ、所謂梶浦さんの「一人バンド」のようなものらしいです。
そこに、ボーカリストとして様々な人を起用しているという形のようです。


<各曲の感想>
さて、早速自分が気に入っている曲を挙げていきます。
ちなみに曲名を太字にしているものは特に素晴らしいと思うものです。
(もちろん、挙げていない曲が良くないという趣旨ではありません。)
 

3. storm and fire
壮大な存在を前にして人は何が出来るのか。
それに立ち向かうようなスピード感と民族的な雰囲気漂う曲。
最初の2本の弦の対位が推進力を、中盤の笛の音色が民族的なニュアンスを良く出していると思います。


4. lost wings
梶浦さんのピアノ曲は本当に美しいと思うのですが、当CD1曲目のピアノ曲。
悲しみの中でも、どこか慈しみと前向きさを感じさせるような表現だと思うのですが、いいですね。
『時をかける少女』の挿入歌『変わらないもの』が好きな方などは、結構受け入れやすいのではないでしょうか。


6. the dreamers
これまた民俗音楽のような趣のある曲。

明るい舞踊曲のような雰囲気から、なぜか切ない弦楽器の旋律が入ってきて、
疾走感がありながらも、悲しみを感じさせるような曲になっていると思います。

夢と現実の狭間というやつでしょうか。


9. 風の街へ(Vocal:FictionJunction KEIKO)
私、ボーカル曲は滅多に取らないのですが、この曲は最初のピアノから素晴らしかったので挙げてみました。

「コッコッ」と入るパーカッションは好き嫌いが分かれそうな気もしますが、全体の切なくて健気な雰囲気は非常に好きです。

最初、小さくて暖かな世界にいたのが、中盤以降の世界が広がるような前向きな表現との対比。
これが目覚めみたいなものを感じさせるように思う。
最後、最初の世界へ静かに帰っていく感じなども好みです。


10. wayside
「寄り道」みたいな感じの意味なのかな。
なんというか、旅先の町でのショッピング風景というかそういう異世界の日常的な雰囲気。
淡々としているように見えて、伸びやかな美しさもあっていいですね。

『魔法遣いに大切なこと』の音楽のような、ほのぼのとした癒し系の曲でしょうか。


11. if you are my love
これは、このCDの中で非常に気に入っている曲。

最初健気に振舞っているような感じ。
そこから一転、涙が零れ落ちるような悲しげな転調がなんともはや…。
青空の遠くを仰ぎ見て、そこへ行きたいと願うような、でもそれは叶わないことなのだというようなそんな感じ。

中盤の管楽器の出るタイミングと音の伸び、本当にわかってるよなぁ…という感じ。
その後の弦とピアノの使い方も完全に自分好み。非常に素晴らしいです。

やはり、梶浦さんの曲はこういうロマンティックなものがいいなと思ってしまう。


14. fatigue
一人で静かに物思いするような情景を、淡々とピアノと弦で奏するような感じでしょうか。
地味に見えるけれど、やはりいいですね。

個人的に、サントラにはこういう曲が1曲は入ってないと、CD全体のバランスが取れないような気がしています。


16. when two powers collide
最初の急襲表現の音は嫌な感じなのですが、一転してカッコよく推進力のあるフレーズが流れる所からがいいですね。
若干悲劇性を纏ったような曲調。

どことなく往年の民族的RPGサウンドを髣髴とさせるような感じかな。
ベースラインと後ろで鳴っているピコピコした音が、そういう雰囲気を感じさせるのではないかと思います。


17. blue clouds
これは非常に好みの曲ですね。
もう最初のピアノのアルペジオから素晴らしいです。

こういう澄み渡った青空、草原などを連想させる、暖かい牧歌的な雰囲気のある曲は非常に好みです。

もう戻らない楽しかった子供時代を思い出す時のような、僅かに寂しさが入り混じった感じもいいですね。
楽器の使い方も良くまとまっていて綺麗だと思います。


<まとめ>
流石に梶浦さんだけあって、いいCDに仕上がっていると思います。
少し年月のたった中古CDは、内容に比して安く買えるのがいいところなのですが、製作者側としては複雑な気持ちだろうと思いますね…。


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リーフル ダージリン 2010 ファースト マーガレッツホープ農園 ティッピークローナル

2010-06-07 12:09:20 | ダージリン
はい、久しぶりのダージリン紅茶レポートです。
最近音楽記事に偏っていましたが、別にダージリンを飲まなくなったというわけではありません。
しっかり飲んでいます。

『マーガレッツホープ農園 ティッピークローナル』

リーフルさんのファーストフラッシュ(春摘み)ダージリンです。
もうこんな時期ですか…月日が経つのって早いですね…。
30g1260円と、リーフルさんのラインナップの中では、割とお値打ちな価格帯に位置しています。

手もみで作られた、大ぶりで薄緑色がかった茶葉。
シルバーチップも豊富に含んでいます。

3g300ccを6分蒸らしで淹れました。
(茶葉が大きいので6分蒸らしにしています。)

<水色>
薄めの琥珀色をしています。

<香り>
ほっくりと香ばしい木の実のような香り。
甘くフルーティーで、ハーブのようなニュアンスもある。
マーガレッツホープらしい香りではないでしょうか。

<味>
青みのあるハーブのようなさわやかな風味に、仄かに木の実のような香ばしさがある。
しっとりと染み込むようなやさしい味わい。どちらかと言えば繊細な感じ。
凛として、すっきりと雑味のない清らかな印象。穢れなき乙女という感じ(謎)。
バランスは甘み中心に仕上がっていると思う。
渋みは皆無。
旨みは少なめだが、甘みが少し強めに出るので気にならない。
さわやかで、少し青みがかったような後味が仄かに残る。
若干南国フルーツ系のニュアンスがある後味。
後味の量は少し物足りないような気もする。


マーガレッツホープのファーストダージリンらしい香り、味ですね。
かなり費用対効果は高いと思います。

フォション セイロン ブロークンオレンジペコー

2010-06-04 10:56:02 | その他の紅茶(メーカーブレンドなど)
『セイロン ブロークンオレンジペコー』

フォションさんの紅茶。100g2000円くらいの値段。高島屋さんなどで取り扱っていると思います。
ブロークンタイプで茶葉は割と細かめです。(2mm~3mmくらい?)

5g420ccを2分蒸らしで淹れました。

<水色>
濃い目の茶褐色。

<香り>
針葉樹のような爽やかな香り。
若干マスカットのようなフルーティーなニュアンスもある。

<味>
杉のような爽やかな味わい。
さらに、フルーティーでジューシーな甘みが割と強めに出る。
ミルクを入れても十分耐えられるコクがある。

渋みも旨みに変わるような感じで、心地の良いもの。
どこかに物足りなさを感じることもなく、バランスが良いと思います。
後味はスッキリとして清々しい。

ミルクティーにしても、もちろん美味しいです。

「さすがフォション。いい茶葉を出しますね。」という感じです。

感想:Angel Beats主題歌「My Soul, Your Beats/Brave Song 」

2010-06-01 19:09:47 | 音楽系
TVアニメ「Angel Beats!」主題歌「My Soul, Your Beats!(OP)」「Brave Song(ED)」の感想記事です。

先日記事で書いた、けいおん!の主題歌みたいな批判的感想を期待してくださっている方には申し訳ない(?)。
今回は普通の感想記事です。

基本的に自分は批判が好きではないので、ああいうことは滅多にないです。
なぜなら、批判というのは、自分の無知をさらけ出すかもしれないという危険と隣り合わせにあると思うので、それが恐ろしいからです。
しかも、自分のそこまで好きでないものについて書くのもあまり楽しくないですしね。

さて、本CDの曲を、先日Music Stationという番組で見かけて驚いたという話は前に書きましたね。
Yahooニュースでも取り上げられていたりします。(→http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100601-00000013-mantan-ent

で、ちょっと詳しい感想を書いていこうと思います。

作曲は知ってる人は知っている「麻枝 准」さん。

この人の作る曲は、割と耳に残りやすい旋律が多いような気がします。

ストリングスやピアノ主体の曲では、音の配置こそシンプルですが、
それら一つ一つの綺麗な旋律をうまく絡めて、しっとりと透明感のある、和風な質感を出してくる作曲家という印象を持っています。
(若干、久石譲さんの曲のような雰囲気を感じなくもない。)

あと、テクノやロック系の楽器を混ぜて、疾走感のある曲も作られたりしますね。
これは、割と変わった風味があって、病み付きになる人もいると思います。

自分は、前者のような曲の方が好みですね。

ちなみに、本CDの曲の「歌詞」も麻枝さんです。
しかし、この人のリリックはちょっと凄いというか、独善的な部分がかなりあるように思います。

受け入れられる人と受け入れられない人が二分されるところがありますね。
いや、受け入れられる人の方が少ないと思います。

自分は「Last Reglet」「鳥の詩」辺りの歌詞までは、まだ辛うじて受け入れられるのですが、それ以降は…ですね。
本曲でも、その感想は変わりません。むしろ、ますます「進行」しているという印象を受けました。

麻枝さんは、シナリオライターもやっている方なので、シナリオと歌詞を連動させたいという気持ちはわからなくもないのです。
しかし、ここまで来ると、あまりに愚直すぎる気がします。
完全に朗読劇みたいになってしまっているような感じなのですね。

もう少し抽象化して、想像の余地と色彩感を残してくれてもよさそうなものですが…。

さて、曲の方の感想に行きます。


「My Soul, Your Beats!」(Vocal:Liaさん)
これはちょっと冒険してきたなという感じがします。
この人が、こういう悲壮感を出してくるのは珍しいような気がします。
この雰囲気は結構好みです。出だしの重厚感もなかなかいいですね。

しかし、そこから歌に入る部分が若干唐突な感じがします。

また、ボーカル部分に入ってすぐのピアノ、ストリングスの絡め方があまり綺麗でない。麻枝さんらしくないですね。
ピアノやストリングスを使ってある曲の場合、その旋律を単体で取り出して美しくないと、どうも気になるのです。

さらに、サビに入る部分の転調の仕方にも不完全燃焼感があるような気がいたします。
ここでもう少し決意感というか、悲壮感みたいなものを付加して欲しい所なのですが、その辺が若干物足りないように感じます。
最初から一貫して悲壮的な雰囲気なので、落差があまり感じられないだけかもしれません。

なんだかんだ酷いことを言ってしまった…。ただ、サビ部分の音はよくまとまっていると思います。(お世辞ではなく。)


「Brave Song」(Vocal:多田葵さん)
うって変わって、典型的な麻枝サウンドという感じですね。
自分はこちらの方が断然好みです。

儚く寂しげで、少し爽やかな感じの曲。

後ろのピアノの旋律がまた美しい。
こういう風にボーカルに美しく絡めてくれると、曲の様式美が良く出てくるように思います。
少しづつ楽器を足していって壮大にしていく手法も王道ですね。

転調もうまくいっていると思います。「こ~ど~くさ~え~」あたり、堪らないですね。
この程よい崩し方が麻枝さんという感じがします。「風はやがて凪いでた」の所もまた然りです。
わかっていてもやられてしまう。

曲として少し無難すぎるという向きはあるかもしれません。
しかし、変にひねってしまうよりは断然いいと思います。

ちなみに歌い手さんは始めて聞く名前ですが、麻枝さんの曲にこういう声質の人はあっていると思います。
声のたどたどしさが曲にとけ込む感じで、なかなか良いのではないでしょうか。


さて、いろいろ書いてみましたが、全体的に悪い曲と言うわけではないと思います。
ただ個人的に、これらの曲について病みつきになるという感じにはなぜかならないのですね。
これが不思議な所なのですが、先日「感想を書くほど引っかからない」と書いたのはそういうことです。

ということで感想のまとめとしては「根っからの」麻枝ファン・歌詞に耐えられる人なら買ってもいいかもしれないCDという感じでしょうか。


一応リンクを貼っておきます→「My Soul,Your Beats!/Brave Song」(Amazon)