紅茶の一期一会

紅茶歴(だけは)10年以上の管理人が、
主に、購入した紅茶の感想を書いています。

音楽感想:Selfconsciousness-岩崎琢 劇伴音楽集-

2011-05-30 09:23:01 | 音楽系
気付けば2ヶ月間放置とは・・・。
どうも趣味のことを書くような気分ではなかったというのが正直なところ。

この2ヶ月間でやっていたことと言えば、音楽を聴くことくらいであった。
それなりに新しいCDもいくつか買ってみたのだが、中でも強い衝撃を受けたのがこのCD。


『Selfconsciousness-岩崎琢 劇伴音楽集-』


作曲は『岩崎琢』氏。


いや、このCDは本当に凄かった


1日で1枚聴くのがやっとというくらい、どの曲も密度が濃い。

それに加え、さらに恐ろしいことがある。

だいたいどのような作曲家であっても、いくつかの作品のCDを聴けば、
その作曲家の作風というものが何となく感じられるのが通常である。

しかし、この劇伴音楽集はどうであろうか。
少なくともこのCDを聴く限り、私にはこの作曲家の底が見えない
(穏やかな曲などでわずかに感じられる程度。)

いつまで、この底が見えない状況が続いていくのか分からないが、
今後もこの人に注目していきたいと思わせるそんなCDであった。


正直、曲を選択するのも憚られるくらい、どれも完成度が高いと思う。
どの曲を取っても、響きが豊かで厚く、聴き応えがある。
内声部も充実し、よく動いている感じ。
それでいて、何とも言えず繊細なのがたまらない。

しかし、全曲について感想を書いていたら、記事の完成日が永遠に来ない気がするので、
Disc「2」で自分が良く聴くものを挙げてみることにする。
(Disc1の「R.O.Dのテーマ」なども良いのだが。)


『13.お前のXXX(トリプルエックス)で天を衝け!!/Another mix』なんかは、
いかにもそれらしい力強さを持った曲。
ゆっくりとしたメロディーの移り変わりと、それを支える弦の厚みが、凜とした意志の強さを感じさせる。

もう少しメロディーの変化があればなお良かったと思う。
また、失礼ながら、このトランペットにはちょっと笑ってしまった。


『14.“Libera me” from hell』はかなり好みの曲。
変化が多彩で、聴いていて非常に面白い。
ある旋律の繰り返しの背後で、他の旋律が留まることなく変化していく様が何とも好み。

それに加えて、強い進行感があり、この盛り上がりも魅力の一つである。
表面上の熱さでなく、周りの熱源が大きくなってくるような熱さを持つ音楽。
なんというか、地表を掘り下げながら、地下の熱源にどんどん近づいていくような感じ。


『16.「萌え」っていったい何ですか?』もイチオシの曲。
どこか繊細でありながら、濃厚なものを内包した感じ。
それでいて、マーラーの交響曲の緩除楽章のような、気味が悪いくらいの美しさを持っている。
美しくも切ない「別れの微笑み」という印象。


また『02.菩提樹』は、清浄感に溢れていながら、濃厚かつ豊かな色彩が感じられる楽曲。
厚みのある弦楽器群が織りなす、瑞々しく清らかなメロディーが心地よい。


『01.Nostalgia』も、特徴的な音楽である。
幻想的といったら俗になってしまうが、霧がかった山を彷彿とさせるような霊感を感じる。
この柔らかでふわりとした質感は筆舌に尽くしがたい。
実に素晴らしい音楽である。(こればかり)


他にも『10.Take over disteny』は、推進力がありながら、節制のきいた感じで好みだし、
『11.Magic mushroom』も、危険な響き(?)が感じられ、面白い楽曲であると思う。


全体的に、ありがちな方向へ行っていないところが好み。
「この」CDを手元に置いておく価値を十分すぎるほど見いだせる。
(各アニメのサントラを全て持っている人はともかく。)

ただ、人を選ぶのだろうとは思う。

人を選ばない音楽などあるのかと言われればそれまでだが、何となく。

なにはともあれ、自分のような雑食的な人間にはたまらない逸品であった。


参考リンク
Amazon『Selfconsciousness-岩崎琢 劇伴音楽集-』