劇場版リリカルなのはのサントラ、先刻の予告どおり購入いたしました。
<総論的な感想>
やっぱり佐野広明さんは凄い。個人的に3000円の価値は十分ありました。
(ちなみに、作曲として「中條美沙」さんという方のクレジットがあります。
サブで作曲と編曲をされています。ただ、下で挙げるのは全て佐野さん作曲のものです。)
ブックレットには佐野さん自身による曲解説も付いていて、ファンなら垂涎ものですね。
1期TVアニメ版のサントラも過去にレポートしましたが、
それと比較して、まず楽器の使い方が非常にカラフルになっている。
飽きさせないような流れよい楽器の交代が非常に素晴らしい。
さらに、楽器の選び方に関しても、楽器間調和の配慮が以前にも増してよく練られているように感じました。
そのせいか、耳当たりがよくなっているような気もします。
また、新曲も結構入っていて(特にDisc2)、TVアニメ版のサントラを持っている方も十分楽しめると思います。
音質・録音も、鑑賞に差し支えのないレベルです。
ただ、音場は狭めで、響きを味わえるというところまではいかない。
演奏の方はなかなかいい感じです。
佐野広明さんの音楽は、生演奏でやると素晴らしく映えるという事がよくわかりました。
<各論的な感想>
◎まずDisc1から。(番号はTrack No.)
01.『この広い世界に』
TV版の同名の曲をアレンジしたもの。
(→申し訳ない…間違い。TV版の『君に会いたくなったなら』という曲のアレンジでした。)
「この世界には、私の知らないものがまだたくさんある。」というような感じの曲。
中盤の低弦の支えにより、壮大さが増して聴きやすくなった。
06.『Raising Heart Set up!』
1期のサントラではカタカナ表記だった同名曲のアレンジ。
巷で話題の(?)変身シーンに使われている曲。
しなやかさが前面に出て、力強さは減ったような。
『なのは』という女の子の等身大の雰囲気に近いのはこっちなのかも。
3回目の曲展開のところ、弦のポルタメントで音の質が変わる部分が、
盛り上がりを加速する感じでよくはまっている。
11.『Blitz of Gold』
佐野さんも解説に書いているとおり、2期TVアニメ版(A's)の『金の閃光』という曲のアレンジ。
フェイトの変身シーンで用いられた曲。
前のバージョンは、曲自体はカッコいいのに、楽器の使い方が単調で今ひとつと思っていた。
しかし、今回のアレンジでは、それが見事に払拭されていて素晴らしい出来。
おなじみのフレーズが、低い管→高い管→高弦と渡されていく様は、
遠くからぼやーっと見えて、だんだんその像がシャープになっていく「閃光」を思わせる。
旋律が弦に渡されるところで、細かく装飾を加えている点も、迸る稲妻のような力強さを付加しているようで非常にいい感じ。
◎次にDisc2。
01.『嵐雨』
新曲だと思われる。
→追記:新曲ではなかった。TVアニメ版サントラのTrack26に入っている『飛翔』という曲のアレンジ。
これに比べて曲の重厚さが増しており、自分好みになっている。
出だしから緊張感が凄い。十字架背負っている感じがありあり。
そして闘い。孤独に支えられた壮志感がたまらない。かなり好きですね。
02.『伝えたい思い』
上の『嵐雨』の別バージョン。出だしと終わりが違います。
出だしのキュルキュル感は、エヴァンゲリオンの曲のような雰囲気がしなくもない(爆)。
しかし、戦いが始まるとやはり佐野節ですな。
そして、終わりのピアノとストリングスのところも、見せることの出来ない弱さを表現しているような感じで非常に美味。
個人的には『伝えたい思い』の出だしだけを、『嵐雨』の出だしと差し替えるとすごくいいのではないかと勝手に思っています。
04.『Blood』
新曲だと思う。タイトルが…(ry
出だしは静かだけど不気味。暴れだす前の不穏な「血」というような感じがする。
なんだろうと思って1分ぐらい聴いていると、いきなり悲壮感あふれるメロディーに撃たれる。
道を外れて歩み始めてしまう悲しさと、その悲惨な結末を暗示しているような曲展開が好み。
05.『雛鳥の翼-Flying high!』
「雛鳥」というのは、やっぱり「なのは」のことなのでしょうね。
自分は新曲と思っていた。しかし、解説によると「サウンドステージ01」に収録された曲のアレンジのようです。
本曲、このCDでは3本指に入る出来の良さだと思う。完成度では一番と言っても良いかもしれない。
雛鳥が、少しずつ外の声に反応し始めて、目覚め、羽ばたき、飛び立つ。
この一連の成長劇が一曲に集約されているような前向きなイメージ。
この曲を聴いていると、なのはが健気にフェイトに立ち向かっていく中で、決意を育てていくような、
そんな様子が走馬灯のように呼び起こされてしまうのは自分だけでしょうか。
終わりのストリングスの盛り上がりはまさに「Flying high!」という感じですね。
青空が美しくどこまでも広がる様が思い浮かぶよう。
これほど美しく纏まっていながら、内容が凝縮され、詰め込まれた曲も昨今そうそうないのではないかな。
07.『わたしのおかあさん』
新曲らしい。おそらく本映画の柱はこの旋律なのだろうと思う。かなり好みの曲。
静かな慈しみを表すような旋律が非常に美しい。ピアノだけの演奏が寂しさを引き立たせる。
「どんなに辛くても、大切なたった一つの宝物、存在があるから大丈夫。」というようなニュアンスなのかな。
終盤の、記憶が捻じ曲がって深みに落ち込んでいくような不協和音と転調の表現がなんともいえず怖悲しい。(妙な造語だ。)
09.『星の輝き』
1期TVアニメ版『集え、星の輝き~スターライト・ブレイカー』という曲のアレンジ。
言わずと知れた『魔王(?)のテーマ』。
中盤の静かな部分で、弦のクレッシェンドと震えるような弾き方がうまく使われている。
これが、力が集約され、高まっていく様子の表現に大きく寄与している。
しかし、おなじみの旋律に入る前の音の引き伸ばしに、不自然な長さがあるような気がします。
(聴いていると、これはこれで良いような気もしてきますが。)
11.『アリシア・テスタロッサ』
新曲だと思う。この曲の旋律はその他の曲にも散見されます。
アリシアは本作物語の始まりであり、柱でもあるのですから、当然ではあります。
(「始まりはジュエルシード。」というのは、なのは中心に物語構成を捉えた場合のもの。)
出だしは外面の恐ろしさ、大きさを表現するような感じ。
次に低弦が昔語りを始める。その昔話から道を踏み外して、大きな野望というか、暗く深いところに落ち込んでいくような表現。
さらにその次、道を外していく起点がアリシアという小さな幸せを求めることにある悲しみをピアノで淡々と奏ずるような感じ。
外面を恐ろしく大きく見せているプレシアの、内面にある悲しく繊細な感情へ分け入っていくような曲展開が見事。
12.『旅立ちの宴』
新曲だと思われる。凄い曲だ。
出だしから、どこへ旅立つのかというくらい悲痛。
神の法則のような壮大なものを動かして思いを遂げようとするような重い表現。
中盤の寂しくなるところは常套手段だとわかっていても、過去の幸せにすがる弱い内面が現れているようでグッとくる。
次に出る伸びやかな弦が、悲しみの中で想いと力を解き放つ様子を表しているような感じ。
そして、最後の悲惨な終末への行進で完全にノックアウト。
曲展開の変化が急で飲み込まれそう。
本CDでも3本指に入るくらい好き。
でも、この曲は特に人を選ぶだろうとは思う。
13.『アルトセイムの四季』
新曲らしい。
『アルトセイム』ってなんだろうと思って調べてみたら、どうもプレシアとアリシアが住んでいた場所の地名のようです。
何気なく流れていく時間。その中に挟みこまれた小さな幸せと後悔。
地味な感じもするけど、そこがまたしっとりとした感じで好き。
14.『愛情』
新曲らしい。弦1本のシンプルな構成。
静かな悲しみ。過去を振り返って一人で思い悩むようなニュアンスがあるような。
こういう細かい表現は弦楽器が得意とするところですね。
16.『何度も、何度も』
「伝えるよ。」なのでしょうか、後に続く言葉は。
全体的に健気で悲しい雰囲気。
悲しいながらも必死に向き合おうとする様子が表現されているような感じ。
最初のピアノは、想いを伝えるのを躊躇しているような感じを表現しているよう。
中盤の、管楽器が出てくるところは、心がほどけて感情の吐露を決意するような表現で、ものすごくいとおしく感じる。
その後、管弦が盛り上がっていくところは、胸の高鳴りまで感じさせるようです。
これらの一連の曲進行の構築が、フェイトの感情の高まりを表現しているようで本当に素晴らしいですね。
短い曲ですが、可愛らしく健気でやはり好きです。
17.『本当の気持ち』
この曲は本CDの中でも3本指に入るくらい好みの曲。
筆舌に尽くしがたいほど好き。
出だしは本CDにも収録されている『寂しさと愛しさ』という曲。
苦悩している場面に用いられていた曲ですね。
その苦悩を乗り越えて、前向きさを感じる低弦の表現。これはフェイトの気持ちなんでしょう。
次に、それに答えることのできないプレシアの気持ちがピアノで奏されるような感じ。
そこへ色気のある低弦が花を添えていてなんとも滋味。運命の無常さ、人が分かり合えないことの悲しみ。
中盤、静かなピアノの儚さがもう堪らない。やはりもう遅すぎたのかと、ここでも運命の悲しさ。
大切なものが遠くに行ってしまうようなイメージ。しかし、ほんの僅かな救いも感じる表現。
そして次にアリシアのテーマの旋律。これは反則。盛り上がった後の別れのピアノも美しい。
曲全体のテーマの統一感、旋律の流れ方、楽器の厚みなどの点でも素晴らしい。
20.『なまえをよんで』
言わずと知れたあれ。
1期TVアニメ版に比べて壮大感が増して、何かがゆっくりと、しかし大きく花開くような感じが強調されている。良いですね。
ひとつだけ気になるのが、時々鳴る「うがい」みたいな音。これがなければもっといいように思います。
<まとめ>
今回のサントラの曲は、感情を露にするというより、じわじわと効いてくるような構成のものが多かったような気がします。
また、曲自体が完全に完成されているという感じでなく、少し欠乏感がある曲が多いような感じがします。
しかし、それが故、何度も聞いてしまうという魔力がある。
本当に素晴らしいCDでした。
リンク→魔法少女リリカルなのは THE MOVIE 1st オリジナルサウンドトラック(Amazon)
<総論的な感想>
やっぱり佐野広明さんは凄い。個人的に3000円の価値は十分ありました。
(ちなみに、作曲として「中條美沙」さんという方のクレジットがあります。
サブで作曲と編曲をされています。ただ、下で挙げるのは全て佐野さん作曲のものです。)
ブックレットには佐野さん自身による曲解説も付いていて、ファンなら垂涎ものですね。
1期TVアニメ版のサントラも過去にレポートしましたが、
それと比較して、まず楽器の使い方が非常にカラフルになっている。
飽きさせないような流れよい楽器の交代が非常に素晴らしい。
さらに、楽器の選び方に関しても、楽器間調和の配慮が以前にも増してよく練られているように感じました。
そのせいか、耳当たりがよくなっているような気もします。
また、新曲も結構入っていて(特にDisc2)、TVアニメ版のサントラを持っている方も十分楽しめると思います。
音質・録音も、鑑賞に差し支えのないレベルです。
ただ、音場は狭めで、響きを味わえるというところまではいかない。
演奏の方はなかなかいい感じです。
佐野広明さんの音楽は、生演奏でやると素晴らしく映えるという事がよくわかりました。
<各論的な感想>
◎まずDisc1から。(番号はTrack No.)
01.『この広い世界に』
TV版の同名の曲をアレンジしたもの。
(→申し訳ない…間違い。TV版の『君に会いたくなったなら』という曲のアレンジでした。)
「この世界には、私の知らないものがまだたくさんある。」というような感じの曲。
中盤の低弦の支えにより、壮大さが増して聴きやすくなった。
06.『Raising Heart Set up!』
1期のサントラではカタカナ表記だった同名曲のアレンジ。
巷で話題の(?)変身シーンに使われている曲。
しなやかさが前面に出て、力強さは減ったような。
『なのは』という女の子の等身大の雰囲気に近いのはこっちなのかも。
3回目の曲展開のところ、弦のポルタメントで音の質が変わる部分が、
盛り上がりを加速する感じでよくはまっている。
11.『Blitz of Gold』
佐野さんも解説に書いているとおり、2期TVアニメ版(A's)の『金の閃光』という曲のアレンジ。
フェイトの変身シーンで用いられた曲。
前のバージョンは、曲自体はカッコいいのに、楽器の使い方が単調で今ひとつと思っていた。
しかし、今回のアレンジでは、それが見事に払拭されていて素晴らしい出来。
おなじみのフレーズが、低い管→高い管→高弦と渡されていく様は、
遠くからぼやーっと見えて、だんだんその像がシャープになっていく「閃光」を思わせる。
旋律が弦に渡されるところで、細かく装飾を加えている点も、迸る稲妻のような力強さを付加しているようで非常にいい感じ。
◎次にDisc2。
01.『嵐雨』
新曲だと思われる。
→追記:新曲ではなかった。TVアニメ版サントラのTrack26に入っている『飛翔』という曲のアレンジ。
これに比べて曲の重厚さが増しており、自分好みになっている。
出だしから緊張感が凄い。十字架背負っている感じがありあり。
そして闘い。孤独に支えられた壮志感がたまらない。かなり好きですね。
02.『伝えたい思い』
上の『嵐雨』の別バージョン。出だしと終わりが違います。
出だしのキュルキュル感は、エヴァンゲリオンの曲のような雰囲気がしなくもない(爆)。
しかし、戦いが始まるとやはり佐野節ですな。
そして、終わりのピアノとストリングスのところも、見せることの出来ない弱さを表現しているような感じで非常に美味。
個人的には『伝えたい思い』の出だしだけを、『嵐雨』の出だしと差し替えるとすごくいいのではないかと勝手に思っています。
04.『Blood』
新曲だと思う。タイトルが…(ry
出だしは静かだけど不気味。暴れだす前の不穏な「血」というような感じがする。
なんだろうと思って1分ぐらい聴いていると、いきなり悲壮感あふれるメロディーに撃たれる。
道を外れて歩み始めてしまう悲しさと、その悲惨な結末を暗示しているような曲展開が好み。
05.『雛鳥の翼-Flying high!』
「雛鳥」というのは、やっぱり「なのは」のことなのでしょうね。
自分は新曲と思っていた。しかし、解説によると「サウンドステージ01」に収録された曲のアレンジのようです。
本曲、このCDでは3本指に入る出来の良さだと思う。完成度では一番と言っても良いかもしれない。
雛鳥が、少しずつ外の声に反応し始めて、目覚め、羽ばたき、飛び立つ。
この一連の成長劇が一曲に集約されているような前向きなイメージ。
この曲を聴いていると、なのはが健気にフェイトに立ち向かっていく中で、決意を育てていくような、
そんな様子が走馬灯のように呼び起こされてしまうのは自分だけでしょうか。
終わりのストリングスの盛り上がりはまさに「Flying high!」という感じですね。
青空が美しくどこまでも広がる様が思い浮かぶよう。
これほど美しく纏まっていながら、内容が凝縮され、詰め込まれた曲も昨今そうそうないのではないかな。
07.『わたしのおかあさん』
新曲らしい。おそらく本映画の柱はこの旋律なのだろうと思う。かなり好みの曲。
静かな慈しみを表すような旋律が非常に美しい。ピアノだけの演奏が寂しさを引き立たせる。
「どんなに辛くても、大切なたった一つの宝物、存在があるから大丈夫。」というようなニュアンスなのかな。
終盤の、記憶が捻じ曲がって深みに落ち込んでいくような不協和音と転調の表現がなんともいえず怖悲しい。(妙な造語だ。)
09.『星の輝き』
1期TVアニメ版『集え、星の輝き~スターライト・ブレイカー』という曲のアレンジ。
言わずと知れた『魔王(?)のテーマ』。
中盤の静かな部分で、弦のクレッシェンドと震えるような弾き方がうまく使われている。
これが、力が集約され、高まっていく様子の表現に大きく寄与している。
しかし、おなじみの旋律に入る前の音の引き伸ばしに、不自然な長さがあるような気がします。
(聴いていると、これはこれで良いような気もしてきますが。)
11.『アリシア・テスタロッサ』
新曲だと思う。この曲の旋律はその他の曲にも散見されます。
アリシアは本作物語の始まりであり、柱でもあるのですから、当然ではあります。
(「始まりはジュエルシード。」というのは、なのは中心に物語構成を捉えた場合のもの。)
出だしは外面の恐ろしさ、大きさを表現するような感じ。
次に低弦が昔語りを始める。その昔話から道を踏み外して、大きな野望というか、暗く深いところに落ち込んでいくような表現。
さらにその次、道を外していく起点がアリシアという小さな幸せを求めることにある悲しみをピアノで淡々と奏ずるような感じ。
外面を恐ろしく大きく見せているプレシアの、内面にある悲しく繊細な感情へ分け入っていくような曲展開が見事。
12.『旅立ちの宴』
新曲だと思われる。凄い曲だ。
出だしから、どこへ旅立つのかというくらい悲痛。
神の法則のような壮大なものを動かして思いを遂げようとするような重い表現。
中盤の寂しくなるところは常套手段だとわかっていても、過去の幸せにすがる弱い内面が現れているようでグッとくる。
次に出る伸びやかな弦が、悲しみの中で想いと力を解き放つ様子を表しているような感じ。
そして、最後の悲惨な終末への行進で完全にノックアウト。
曲展開の変化が急で飲み込まれそう。
本CDでも3本指に入るくらい好き。
でも、この曲は特に人を選ぶだろうとは思う。
13.『アルトセイムの四季』
新曲らしい。
『アルトセイム』ってなんだろうと思って調べてみたら、どうもプレシアとアリシアが住んでいた場所の地名のようです。
何気なく流れていく時間。その中に挟みこまれた小さな幸せと後悔。
地味な感じもするけど、そこがまたしっとりとした感じで好き。
14.『愛情』
新曲らしい。弦1本のシンプルな構成。
静かな悲しみ。過去を振り返って一人で思い悩むようなニュアンスがあるような。
こういう細かい表現は弦楽器が得意とするところですね。
16.『何度も、何度も』
「伝えるよ。」なのでしょうか、後に続く言葉は。
全体的に健気で悲しい雰囲気。
悲しいながらも必死に向き合おうとする様子が表現されているような感じ。
最初のピアノは、想いを伝えるのを躊躇しているような感じを表現しているよう。
中盤の、管楽器が出てくるところは、心がほどけて感情の吐露を決意するような表現で、ものすごくいとおしく感じる。
その後、管弦が盛り上がっていくところは、胸の高鳴りまで感じさせるようです。
これらの一連の曲進行の構築が、フェイトの感情の高まりを表現しているようで本当に素晴らしいですね。
短い曲ですが、可愛らしく健気でやはり好きです。
17.『本当の気持ち』
この曲は本CDの中でも3本指に入るくらい好みの曲。
筆舌に尽くしがたいほど好き。
出だしは本CDにも収録されている『寂しさと愛しさ』という曲。
苦悩している場面に用いられていた曲ですね。
その苦悩を乗り越えて、前向きさを感じる低弦の表現。これはフェイトの気持ちなんでしょう。
次に、それに答えることのできないプレシアの気持ちがピアノで奏されるような感じ。
そこへ色気のある低弦が花を添えていてなんとも滋味。運命の無常さ、人が分かり合えないことの悲しみ。
中盤、静かなピアノの儚さがもう堪らない。やはりもう遅すぎたのかと、ここでも運命の悲しさ。
大切なものが遠くに行ってしまうようなイメージ。しかし、ほんの僅かな救いも感じる表現。
そして次にアリシアのテーマの旋律。これは反則。盛り上がった後の別れのピアノも美しい。
曲全体のテーマの統一感、旋律の流れ方、楽器の厚みなどの点でも素晴らしい。
20.『なまえをよんで』
言わずと知れたあれ。
1期TVアニメ版に比べて壮大感が増して、何かがゆっくりと、しかし大きく花開くような感じが強調されている。良いですね。
ひとつだけ気になるのが、時々鳴る「うがい」みたいな音。これがなければもっといいように思います。
<まとめ>
今回のサントラの曲は、感情を露にするというより、じわじわと効いてくるような構成のものが多かったような気がします。
また、曲自体が完全に完成されているという感じでなく、少し欠乏感がある曲が多いような感じがします。
しかし、それが故、何度も聞いてしまうという魔力がある。
本当に素晴らしいCDでした。
リンク→魔法少女リリカルなのは THE MOVIE 1st オリジナルサウンドトラック(Amazon)