がん登録等の推進に関する法律(案) 【素案(未定稿)】

2013-11-29 20:24:10 | Weblog
がん登録等の推進に関する法律(案) 【素案(未定稿)】
目次
第一章 総則(第一条―第四条)
第二章 全国がん登録
第一節 全国がん登録データベースの整備(第五条)
第二節 情報の収集及び記録(第六条―第十五条)
第三節 情報の利用及び提供(第十六条―第二十一条)
第四節 権限又は事務の委任(第二十二条・第二十三条)
第五節 情報の保護等(第二十四条―第三十八条)
第六節 雑則(第三十九条―第四十三条)
第三章 院内がん登録等の推進(第四十四条・第四十五条)
第四章 がん登録等の情報の活用(第四十六条―第四十八条)
第五章 雑則(第四十九条―第五十一条)
第六章 罰則(第五十二条―第六十条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、がんが国民の疾病による死亡の最大の原因となっている等がんが国民の生命及び健康
にとって重大な問題となっている現状に鑑み、がん対策基本法(平成十八年法律第九十八号)の趣旨にの
っとり、がん医療の質の向上等(がん医療及びがん検診(以下「がん医療等」という。)の質の向上並び
にがんの予防の推進をいう。以下同じ。)、がん、がん医療等及びがんの予防についての国民への情報提
供の充実その他のがん対策を科学的知見に基づき実施するため、全国がん登録の実施並びにこれに係る情
報の利用等及び保護について定めるとともに、院内がん登録等を推進し、あわせて、がん登録等により得
られた情報の活用について定めることにより、がんの罹

患、診療、転帰等の状況の把握及び分析その他の
がんに係る調査研究を推進し、もってがん対策の一層の充実に資することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「全国がん登録」とは、国及び都道府県による利用及び提供の用に供するため、
この法律の定めるところにより、国が国内におけるがんの罹患、診療、転帰等に関する情報をデータベー
ス(情報の集合物であって、当該情報を電子計算機を用いて検索することができるように体系的に構成し
たものをいう。以下同じ。)に記録し、及び保存することをいう。
2 この法律において「院内がん登録」とは、がん医療の提供を行う病院において、そのがん医療の状況を
詳細に把握するため、当該病院において診療が行われたがんの罹患、診療、転帰等に関する詳細な情報を
記録し、及び保存することをいう。
3 この法律において「がん登録」とは、全国がん登録及び院内がん登録をいう。
4 この法律において「がん」とは、悪性新生物その他の政令で定める疾病をいう。
5 この法律において「がんに係る調査研究」とは、がん、がん医療等及びがんの予防に関する統計の作成
その他の調査研究(匿名化を行った情報を当該調査研究の成果として自ら利用し、又は提供することを含
む。)をいう。
6 この法律において「匿名化」とは、個人又は死亡した者(以下「個人等」という。)に関する情報を特
定の個人等の識別(他の情報との照合による識別を含む。第二十七条第一項において同じ。)ができない
ように加工することをいう。
(基本理念)
第三条 全国がん登録については、がん対策全般を科学的知見に基づき実施する上で基礎となるものとして、
広範な情報の収集により、がんの罹患、診療、転帰等の状況ができる限り正確に把握されるものでなけれ
ばならない。
2 院内がん登録については、これが病院におけるがん医療の分析及び評価等を通じてその質の向上に資す
るものであることに鑑み、全国がん登録を通じて必要な情報が確実に得られるようにするとともに、その
普及及び充実が図られなければならない。
3 がん対策の充実のためには、全国がん登録に加えて、がんの診療の状況をより詳細に把握することが必
要であることに鑑み、院内がん登録により得られる情報その他のがんの診療に関する詳細な情報(以下
「がん診療情報」という。)の収集が図られなければならない。
4 全国がん登録及びがん診療情報の収集により得られた情報については、これらががん患者の罹患に基づ
く貴重な情報であることに鑑み、民間によるものを含めがんに係る調査研究のために十分に活用されると
ともに、その成果ががん患者及びその家族をはじめとする国民に還元されなければならない。
5 がんの罹患、診療、転帰等に関する情報が特に適正な取扱いが求められる情報であることに鑑み、がん
登録及びがん診療情報の収集に係る個人等に関する情報は、厳格に保護されなければならない。
(関係者相互の連携及び協力)
第四条 国、都道府県、市町村、医療施設の開設者及び管理者並びに前条第四項の情報の提供を受ける研究
者は、同条の基本理念の実現を図るため、相互に連携を図りながら協力しなければならない。
第二章 全国がん登録
第一節 全国がん登録データベースの整備
第五条 厚生労働大臣は、次節の定めるところにより収集される情報に基づき、原発性のがんごとに、登録
対象情報(次に掲げる情報及び附属情報(次条第一項に規定する病院等から同項の規定による届出(同項
の厚生労働省令で定める期間を経過した後に行われた同項に規定する届出対象情報の届出(政令で定める
ものを除く。)を含む。同条、第七条及び第四十条第二項を除き、以下この章において単に「届出」とい
う。)がされた次条第一項に規定する届出対象情報をいう。第十九条において同じ。)をいう。以下この
章において同じ。)及び特定匿名化情報(第二十条第五項及び第六項の規定により記録することとなる情
報並びに第二十七条第一項の規定により匿名化を行った情報をいう。第三節において同じ。)を記録し、
及び保存するデータベース(以下「全国がん登録データベース」という。)を整備しなければならない。
一 当該がんに罹患した者の氏名、性別、生年月日及び住所
二 当該がんの初回の診断に係る当該がんに罹患した者の住所として厚生労働省令で定める住所の存する
都道府県及び市町村の名称
三 診断により当該がんの発生が確定した日として厚生労働省令で定める日
四 当該がんの種類に関し厚生労働省令で定める事項
五 当該がんの進行度に関し厚生労働省令で定める事項
六 当該がんの発見の経緯に関し厚生労働省令で定める事項
七 当該がんの治療の内容に関し厚生労働省令で定める事項
八 当該がんの診断又は治療を行った医療施設に関し厚生労働省令で定める事項
九 当該がんに罹患した者の生存確認情報(生存しているか死亡したかの別並びに生存を確認した直近の
日として厚生労働省令で定める日又は死亡を確認した場合にあってはその死亡の日及びその死亡の原因
ががんであるかどうかの別をいう。第十二条第一項及び第十九条において同じ。)
十 その他厚生労働省令で定める事項
2 全国がん登録データベースについては、同一人の複数の原発性のがんの把握が容易となるようにするも
のとする。
第二節 情報の収集及び記録
(病院等による届出)
第六条 病院又は次項の規定により指定された診療所(以下この章において「病院等」という。)の管理者
は、原発性のがんについて、当該病院等における初回の診断が行われたとき(転移又は再発の段階で当該
病院等における初回の診断が行われた場合を含む。)は、厚生労働省令で定める期間内に、その診療の過
程で得られた当該原発性のがんに関する次に掲げる情報(以下この章において「届出対象情報」とい
う。)を当該病院等の所在地の都道府県知事に届け出なければならない。
一 当該がんに罹患した者の氏名、性別、生年月日及び住所
二 当該病院等の名称その他の当該病院等に関し厚生労働省令で定める事項
三 当該がんの診断日として厚生労働省令で定める日
四 当該がんの種類に関し厚生労働省令で定める事項
五 当該がんの進行度に関し厚生労働省令で定める事項
六 当該がんの発見の経緯に関し厚生労働省令で定める事項
七 当該病院等が行った当該がんの治療の内容に関し厚生労働省令で定める事項
八 当該がんに罹患した者の死亡を確認した場合にあっては、その死亡の日
九 その他厚生労働省令で定める事項
2 都道府県知事は、厚生労働省令で定めるところにより、その開設者の同意を得て、その区域内の診療所
のうち、届出対象情報の届出を行う診療所を指定する。
3 都道府県知事は、前項の規定による指定を行うに当たっては、診療に関する学識経験者の団体の協力を
求めることができる
4 第二項の規定により指定された診療所は、厚生労働省令で定めるところにより、その指定を辞退するこ
とができる。
5 都道府県知事は、第二項の規定により指定された診療所の管理者が第一項の規定に違反したとき又は当
該診療所が同項の規定による届出を行うことが不適当であると認めるときは、その指定を取り消すことが
できる。
(届出の命令)
第七条 都道府県知事は、病院の管理者が前条第一項の規定に違反した場合において、がんの罹患、診療、
転帰等の状況を把握するため特に必要があると認めるときは、当該管理者に対し、期限を定めて当該違反
に係る届出対象情報の届出をするよう命ずることができる。
(都道府県知事による審査等及び提出)
第八条 都道府県知事は、その区域内の病院等から届出がされた届出対象情報について審査及び整理を行い、
その結果得られた登録対象情報(以下この章において「都道府県整理情報」という。)を厚生労働大臣に
提出しなければならない。
2 都道府県知事は、前項の規定による審査及び整理を行うに当たっては、全国がん登録データベースを利
用して、全国がん登録データベースに記録された登録対象情報(以下「全国がん登録情報」という。)の
うち、第五条第一項第二号の情報として当該都道府県の名称が記録されているがん及びその区域内の病院
等から届出がされたがんに係る情報(以下「都道府県利用情報」という。)を利用することができる。
(厚生労働大臣による審査等及び記録)
第九条 厚生労働大臣は、前条第一項の規定により都道府県知事から提出された都道府県整理情報について
審査及び整理を行い、その結果得られた登録対象情報を全国がん登録データベースに記録しなければなら
ない。
2 厚生労働大臣は、前項の規定による審査及び整理を行うに当たっては、全国がん登録データベースを利
用して、全国がん登録情報を利用することができる。
(厚生労働大臣による審査等のための調査)
第十条 厚生労働大臣は、前条第一項の規定による審査及び整理を行うに当たって、がんに罹患した者の氏
名、がんの種類その他の厚生労働省令で定める事項に関する調査を行う必要があると認めるときは、その
旨を関係都道府県知事に通知するものとする。
2 前項の規定による通知を受けた都道府県知事は、当該通知に係る事項に関する調査を行い、その結果を
厚生労働大臣に報告するものとする。
(死亡者情報票の作成及び提出)
第十一条 市町村長(地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市
(以下この章において「指定都市」という。)にあっては、区長とする。)は、戸籍法(昭和二十二年法
律第二百二十四号)による死亡の届書その他の関係書類に基づいて、死亡者情報票(死亡した者の氏名、
性別、生年月日、住所、死亡の日、死亡の原因、死亡診断書の作成に係る医療施設の名称及び所在地その
他の厚生労働省令で定める情報の電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識す
ることができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをい
う。)又はこれらの情報を記載した書類をいう。以下この章において同じ。)を作成し、政令で定めると
ころにより、これを都道府県知事を経由して厚生労働大臣に提出しなければならない。
(死亡者情報票との照合及びその結果の記録)
第十二条 厚生労働大臣は、全国がん登録情報(第八条第一項の規定により都道府県知事から提出された都
道府県整理情報のうち、まだ全国がん登録データベースに記録されていない情報を含む。次項、第二十四
条第一項、第二十五条、第二十六条、第二十八条第一項、第二十九条第一項及び第三十五条において同
じ。)を前条の規定により提出された死亡者情報票に記録され、又は記載された情報と照合し、その結果
判明した生存確認情報及び死亡者情報票に基づく新規がん情報(死亡者情報票に記録され、又は記載され
た情報により厚生労働大臣が新たに把握したがんに関する登録対象情報をいう。第十四条において同
じ。)を全国がん登録データベースに記録しなければならない。
2 前項の規定による照合は、がんに係る調査研究のためにがんに罹患した者が生存しているか死亡したか
の別を調査する必要があると認められる期間として政令で定める期間が経過した全国がん登録情報につい
ては、死亡者情報票のうち死亡の原因その他の情報としてがんの罹患に関する情報が記録され、又は記載
されているものとだけ行うものとする。
(死亡者情報票との照合のための調査)
第十三条 厚生労働大臣は、前条第一項の規定による照合を行うに当たって、がんに罹患した者の氏名、が
んの種類その他の厚生労働省令で定める事項に関する調査を行う必要があると認めるときは、その旨を関
係都道府県知事に通知するものとする。
2 第十条第二項の規定は、前項の規定による通知を受けた都道府県知事について準用する。
(死亡者情報票に基づく新規がん情報に関する通知)
第十四条 厚生労働大臣は、死亡者情報票に基づく新規がん情報が判明したときは、その死亡者情報票に係
る死亡診断書の作成に係る医療施設の所在地の都道府県知事その他の厚生労働省令で定める都道府県知事
に対し、その旨並びに当該医療施設の名称及び所在地その他の厚生労働省令で定める事項を通知するもの
とする。
(協力の要請)
第十五条 都道府県知事は、この節の規定の施行のため必要があると認めるときは、市町村、病院等の管理
者その他の関係者に対し、資料の提出、説明その他の協力を求めることができる。
第三節 情報の利用及び提供
(厚生労働大臣による利用等)
第十六条 厚生労働大臣は、国のがん対策の企画立案又は実施に必要ながんに係る調査研究のため、これに
必要な限度で、全国がん登録データベースを利用して、全国がん登録情報又は特定匿名化情報を自ら利用
し、又は次に掲げる者に提供することができる。ただし、当該利用又は提供によって、その情報に係るが
んに罹患した者又は第三者の権利利益を不当に侵害するおそれがあると認められるときは、この限りでな
い。
一 国の他の行政機関及び独立行政法人(独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二条第一項
に規定する独立行政法人をいう。次号において同じ。)
二 国の行政機関若しくは独立行政法人から国のがん対策の企画立案若しくは実施に必要ながんに係る調
査研究の委託を受けた者又は国の行政機関若しくは独立行政法人と共同して当該がんに係る調査研究を
行う者
三 前号に掲げる者に準ずる者として厚生労働省令で定める者
(都道府県知事による利用等)
第十七条 都道府県知事は、当該都道府県のがん対策の企画立案又は実施に必要ながんに係る調査研究のた
め、これに必要な限度で、全国がん登録データベースを利用して、都道府県利用情報又はこれに係る特定
匿名化情報を自ら利用し、又は次に掲げる者に提供することができる。この場合においては、前条ただし
書の規定を準用する。
一 当該都道府県が設立した地方独立行政法人(地方独立行政法人法(平成十五年法律第百十八号)第二
条第一項に規定する地方独立行政法人をいう。次号及び次条において同じ。)
二 当該都道府県若しくは当該都道府県が設立した地方独立行政法人から当該都道府県のがん対策の企画
立案若しくは実施に必要ながんに係る調査研究の委託を受けた者又は当該都道府県若しくは当該都道府
県が設立した地方独立行政法人と共同して当該がんに係る調査研究を行う者
三 前号に掲げる者に準ずる者として、がん、がん医療等若しくはがんの予防又は個人情報の保護に関し
て高い識見を有する者その他の学識経験を有する者(以下単に「学識経験者」という。)の意見を聴い
て当該都道府県知事が定める者
(市町村等への提供)
第十八条 都道府県知事は、次に掲げる者から、当該市町村のがん対策の企画立案又は実施に必要ながんに
係る調査研究のため、都道府県利用情報のうち第五条第一項第二号の情報として当該市町村の名称が記録
されているがんに係る情報又はこれに係る特定匿名化情報の提供の求めを受けたときは、これに必要な限
度で、全国がん登録データベースを利用して、その提供を行うものとする。この場合においては、第十六
条ただし書の規定を準用する。
一 当該都道府県の区域内の市町村の長又は当該市町村が設立した地方独立行政法人
二 当該都道府県の区域内の市町村若しくは当該市町村が設立した地方独立行政法人から当該市町村のが
ん対策の企画立案若しくは実施に必要ながんに係る調査研究の委託を受けた者又は当該市町村若しくは
当該市町村が設立した地方独立行政法人と共同して当該がんに係る調査研究を行う者
三 前号に掲げる者に準ずる者として学識経験者の意見を聴いて当該市町村の長が定める者
(病院等への提供)
第十九条 都道府県知事は、その区域内の病院等における院内がん登録その他がんに係る調査研究のため、
当該病院等の管理者から請求があったときは、全国がん登録データベースを利用して、当該病院等から届
出がされたがんに係る都道府県利用情報(生存確認情報及び厚生労働省令で定める当該病院等に係る附属
情報に限る。)を提供しなければならない。この場合においては、第十六条ただし書の規定を準用する。
(その他の提供)
第二十条 厚生労働大臣は、都道府県知事又は第十七条各号に掲げる者から、当該都道府県のがん対策の企
画立案又は実施に必要ながんに係る調査研究のため、当該都道府県に係る都道府県利用情報以外の全国が
ん登録情報であって当該都道府県の住民であった者に係るものの提供の求めを受けたときは、これに必要
な限度で、全国がん登録データベースを利用して、その提供を行うことができる。この場合においては、
第十六条ただし書の規定を準用する。
2 厚生労働大臣は、第十八条各号に掲げる者から、当該市町村のがん対策の企画立案又は実施に必要なが
んに係る調査研究のため、これらの者が同条の規定により提供を受けることができる都道府県利用情報以
外の全国がん登録情報であって当該市町村の住民であった者に係るものの提供の求めを受けたときは、こ
れに必要な限度で、全国がん登録データベースを利用して、その提供を行うことができる。この場合にお
いては、第十六条ただし書の規定を準用する。
3 厚生労働大臣は、がんに係る調査研究を行う者から二以上の都道府県に係る都道府県利用情報の提供の
求めを受けた場合において、次に掲げる要件を満たすときは、当該がんに係る調査研究に必要な限度で、
全国がん登録データベースを利用して、その提供を行うことができる。この場合においては、第十六条た
だし書の規定を準用する。
一 当該がんに係る調査研究ががん医療の質の向上等に資するものであること。
二 当該提供の求めを受けた情報に係るがんに罹患した者が生存している場合にあっては、当該がんに係
る調査研究を行う者が当該がんに罹患した者から当該がんに係る調査研究のために当該情報が提供され
ることについて同意を得ていること。
4 厚生労働大臣は、がんに係る調査研究を行う者から二以上の都道府県に係る都道府県利用情報につき匿
名化を行った情報の提供の求めを受けた場合において、当該がんに係る調査研究ががん医療の質の向上等
に資するものであるときは、当該がんに係る調査研究に必要な限度で、全国がん登録データベースを利用
して、全国がん登録情報の匿名化及び当該匿名化を行った情報の提供(当該提供の求めを受けた情報が特
定匿名化情報である場合にあっては、その提供)を行うことができる。この場合においては、第十六条た
だし書の規定を準用する。
5 厚生労働大臣は、全国がん登録データベースを利用して、前項の提供の求めを受ける頻度が高いと見込
まれる情報について、あらかじめ、全国がん登録情報の匿名化を行い、当該匿名化を行った情報を全国が
ん登録データベースに記録することができる。
6 厚生労働大臣は、第四項の規定により匿名化を行った情報が、同項の提供の求めを受ける頻度が高いと
見込まれる情報であるときは、当該情報を全国がん登録データベースに記録することができる。
7 厚生労働大臣は、第一項から第四項までの規定による提供又は第五項の規定による匿名化を行おうとす
るときは、あらかじめ、学識経験者の意見を聴かなければならない。
8 都道府県知事は、がんに係る調査研究を行う者から当該都道府県に係る都道府県利用情報の提供の求め
を受けた場合において、次に掲げる要件を満たすときは、当該がんに係る調査研究に必要な限度で、全国
がん登録データベースを利用して、その提供を行うことができる。この場合においては、第十六条ただし
書の規定を準用する。
一 当該がんに係る調査研究ががん医療の質の向上等に資するものであること。
二 当該提供の求めを受けた情報に係るがんに罹患した者が生存している場合にあっては、当該がんに係
る調査研究を行う者が当該がんに罹患した者から当該がんに係る調査研究のために当該情報が提供され
ることについて同意を得ていること。
9 都道府県知事は、がんに係る調査研究を行う者から当該都道府県に係る都道府県利用情報につき匿名化
を行った情報の提供の求めを受けた場合において、当該がんに係る調査研究ががん医療の質の向上等に資
するものであるときは、当該がんに係る調査研究に必要な限度で、全国がん登録データベースを利用して、
都道府県利用情報の匿名化及び当該匿名化を行った情報の提供(当該提供の求めを受けた情報が都道府県
利用情報に係る特定匿名化情報である場合にあっては、その提供)を行うことができる。この場合におい
ては、第十六条ただし書の規定を準用する。
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第七項の規定は、都道府県知事が前二項の規定による提供を行おうとする場合について準用する。
(都道府県データベース)
第二十一条 都道府県知事は、当該都道府県のがん対策の企画立案又は実施に必要ながんに係る調査研究に
利用するため、次の各号のいずれかに該当する情報と都道府県利用情報の全部又は一部を一体的に記録し、
及び保存する必要があると認めるときは、全国がん登録データベースを利用して、一を限り、これらの情
報及び第二十七条第二項の規定により匿名化を行った情報を記録し、及び保存するデータベースを整備す
ることができる。
一 この法律の施行前に診断された当該都道府県の住民のがんの罹患、診療、転帰等に関する情報を収集
し、保存する事業であって、全国がん登録に類するものとして政令で定めるものにより収集されたこれ
らの情報
二 その区域内の病院等から提供された届出対象情報以外のがんの罹患、診療等に関する情報
2 都道府県知事は、前項のデータベース(以下この章において「都道府県データベース」という。)を整
備しようとするとき又は都道府県データベースに記録し、及び保存する情報の範囲を拡大しようとすると
きは、あらかじめ、学識経験者の意見を聴かなければならない。ただし、都道府県データベースに記録し、
及び保存しようとする情報が、一般的に都道府県におけるがん対策の企画立案又は実施に必要ながんに係
る調査研究のために利用されることが想定される情報として政令で定める情報である場合は、この限りで
ない。
3 都道府県データベースを整備した場合における第十七条から第十九条まで並びに前条第八項及び第九項
の規定の適用については、第十七条及び第十八条中「全国がん登録データベース」とあるのは「全国がん
登録データベース又は第二十一条第二項に規定する都道府県データベース」と、「特定匿名化情報」とあ
るのは「特定匿名化情報若しくは第二十七条第二項の規定により匿名化を行った情報」と、第十九条中
「全国がん登録データベース」とあるのは「全国がん登録データベース又は第二十一条第二項に規定する
都道府県データベース」と、前条第八項及び第九項中「全国がん登録データベース」とあるのは「全国が
ん登録データベース又は次条第二項に規定する都道府県データベース」と、同項中「特定匿名化情報」と
あるのは「特定匿名化情報又は第二十七条第二項の規定により匿名化を行った情報」とする。
第四節 権限又は事務の委任
(厚生労働大臣の権限及び事務の委任)
第二十二条 次に掲げる厚生労働大臣の権限及び事務は、独立行政法人国立がん研究センター(以下この章
において「国立がん研究センター」という。)に行わせるものとする。
一 第五条第一項、第八条第一項及び第九条から第十四条までに規定する厚生労働大臣の権限及び事務
二 第十六条並びに第二十条第一項から第四項までの規定による提供に係る権限及び事務(当該提供の決
定を除く。)並びに同条第五項、第六項及び第七項(同条第五項に係る部分に限る。)に規定する権限
及び事務
(都道府県知事の権限又は事務の委任)
第二十三条 都道府県知事は、次に掲げる権限又は事務を行うのにふさわしい者として政令で定める者に、
次に掲げる権限又は事務を行わせることができる。
一 第六条第一項、第八条、第十条第二項(第十三条第二項において準用する場合を含む。)及び第十五
条に規定する都道府県知事の権限又は事務
二 第十七条から第十九条まで並びに第二十条第八項及び第九項の規定による提供に係る権限及び事務
(当該提供の決定を除く。)
三 第二十一条第一項に規定する権限及び事務(都道府県データベースの整備に係る決定を除く。)
第五節 情報の保護等
(国等による全国がん登録情報等の適切な管理)
第二十四条 厚生労働大臣及び国立がん研究センターは、第一節から第三節までの規定による事務を行うに
当たっては、全国がん登録情報及びその匿名化を行った情報並びに死亡者情報票に記録され、又は記載さ
れた情報の漏えい、滅失及び毀損の防止その他のこれらの情報の適切な管理のために必要な措置を講じな
ければならない。
2 都道府県知事(前条の規定により権限又は事務の委任を受けた者を含む。次条、第三十一条第一項、第
三十九条第一項及び第四十二条第一項において同じ。)は、第二節及び第三節の規定による事務を行うに
当たっては、都道府県利用情報(当該都道府県の区域内の病院等から届出がされた届出対象情報及び都道
府県整理情報のうち、まだ全国がん登録データベースに記録されていない情報を含む。次条、第二十六条、
第二十八条第二項、第二十九条第二項及び第三十五条において同じ。)及びその匿名化を行った情報並び
に死亡者情報票に記録され、又は記載された情報の漏えい、滅失及び毀損の防止その他のこれらの情報の
適切な管理のために必要な措置を講じなければならない。
3 市町村長(指定都市の区長を含む。)は、第十一条の規定による事務を行うに当たっては、死亡者情報
票に記録され、又は記載される情報の漏えい、滅失及び毀損の防止その他のこれらの情報の適切な管理の
ために必要な措置を講じなければならない。
4 第一項の規定は厚生労働省又は国立がん研究センターから同項に規定する情報の取扱いに関する業務の
委託(二以上の段階にわたる委託を含む。以下同じ。)を受けた者が当該委託に係る業務を行う場合につ
いて、第二項の規定は都道府県(前条の規定により権限又は事務の委任を受けた者を含む。第二十六条、
第二十八条第四項及び第二十九条第四項において同じ。)から第二項に規定する情報の取扱いに関する業
務の委託を受けた者が当該委託に係る業務を行う場合について、前項の規定は市町村から同項に規定する
情報の取扱いに関する業務の委託を受けた者が当該委託に係る業務を行う場合について、それぞれ準用す
る。

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