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三田村鳶魚(えんぎょ)  江戸生活辞典

2010年04月25日 | エコでボランタリーな江戸の町
4月17日のブログで、私が江戸の風俗や事物を知りたいときには、「守貞謾稿(筆者は喜田川守貞)」を広げていると申し上げましたが、今日は、諸制度や用語の意味などを調べるときに参考としている「三田村鳶魚 江戸生活辞典(稲垣史生編 青蛙房刊 昭和38年)」について紹介したいと思います。





三田村鳶魚翁は、明治三年(1870)、八王子同心の子として生まれ、昭和二十七年に八十二歳で亡くなった江戸の研究家で、江戸の政治、風俗、文学、文化などを広範囲に研究し、膨大な業績を残しています。鳶魚翁の著作集としては、中央公論から「三田村鳶魚全集」が出ています。

江戸生活辞典は、稲垣史生氏が鳶魚翁の江戸に関する随筆・評論・論講のすべてを、項目別に配分し、体系づけ、事典形式に編纂したものです。鳶魚翁の多様式な著述を集めているために、内容には相当むらがありますので、稲垣氏が補足記事と他書の引用で補っています。最近、江戸時代に関する本などで読むと、諸制度や用語の意味などについての出典を鳶魚翁の著書としているものが少なくありません。











鳶魚翁は、吉川英治や大佛次郎、島崎藤村などの時代物の作品について、時代考証がなっていないと批判しているようですが、自身の記述も根拠を示していない場合が多く、読み物の形をとっていますので、一次史料を重視する研究者の中には鳶魚翁批判する意見も少なくありません。

また、鳶魚翁は八王子同心の子であったことが影響しているのでしょうか、町方については蔑視というか、上から目線での記述もありますので、すべてを鵜呑みにすることはできません。

しかしながら、今日の江戸学研究の基礎を築いた一人であることは紛れもない事実であることを考えると、稲垣氏が補足記事と他書の引用で補っている江戸生活辞典は、江戸時代の全体像を知るうえでは大変使い勝手のよい本だと思います。

世の中のことは、すべて一面的にとらえるのではなく、常に多面的にみるように習慣づけておく必要があるのでしょうね。
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