NPOな人

NPOの現状や日々の雑感などを徒然なるままにお伝えします。

「逝きし世の面影」にみる江戸人のNPO魂(その4)

2014年01月01日 | NPO




時代劇では毎晩のように悪党が出没しますが、実際は今では考えられないほど安心・安全で、正直者が多い世の中だったようです。

エドワード・モース(フェノロサとの広島への旅の途中で)
「岩国では日本人たちのお客になることになっているのだから、そう沢山金を持っていく必要もない、そこで(宿屋の)亭主に私が帰るまで時計と金とをあずかってくれぬかと聞いたら、彼は快く承諾した。召使が一人、ふたのない浅い塗盆を持って私の部屋に来て、それが私の所有品を入れる物だといった。で、それらを彼女が私に向かって差し出している盆に入れると、彼女はその盆を畳の上においたまま出て行った。しばらくの間、私は言うまでもないが彼女がそれを主人のところに持っていき、主人は何らかの方法でそれを保護するものと思って、じりじりしながら待っていた。しかし下女は帰ってこない。私は彼女を呼んで、なぜ盆をここにおいて行くのかと尋ねた、彼女はここにおいてもいいのですと答える。私は主人を呼んだ。彼もまた、ここに置いてもおいても絶対に安全であり、彼はこれらを入れる金庫も、他の品物も持っていないのであるといった。未だかって日本中の如何なる襖にも、錠も鍵も閂(かんぬき)も見たことが無い事実からして、この国民が如何に正直であるかを理解した。」

イザベラ・バード(東北地方と北海道への旅の従者兼通訳を雇う際に)
「わたしはこの男が信用できず、気に入りませんでした。とはいえ、彼にはわたしの英語がわかり、わたしには彼の英語がわかります。それに早く旅に出たくてたまらなかったわたしは、月12ドルで彼を雇うことにしました。その後すぐに彼は契約書を持ってもう一度やってきました。契約書には合意した賃金で忠実に仕えることを神明に誓うと明記してあり、彼は捺印を、わたしは署名をしました、翌日彼から1ケ月分の賃金を前払いしてほしいとたのまれて支払いましたが、ヘップバーン博士がわたしを慰めるようにおっしゃるには、あの男はもう来ないだろうね!
契約書を交わした厳粛な夜以来わたしは気をもんでいましたが、昨日彼が約束の時刻にちゃんと現れたので、まるで本物の「海の老人」[「千夜一夜物語」「船乗りシンドバードの物語」に出てくる妖怪]が自分の肩にしがみついたような気がしました。

勿論、日本に盗人がいなかったわけではありませんが、昨今のように安心・安全なまちづくりを掲げるNPOが存在しなければならない世の中でなかったことだけは確かだと思いますね。
コメント
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