この時期、ワイナリー各社から発売されるワインがあります。その名は、「甲州シュール・リー」。白の辛口ワインです。
毎年、秋に収穫される葡萄を使って、ワイナリーは醸造に入ります。
そして、すぐに発売されるのは新酒(ヌーボー)です。白ワインの甲州種と、赤ワインのマスカットベリーA種は、11月3日が解禁日(発売日)になっています。
その他のワインの発売日は、各ワイナリーの自由ですが、甲州種のシュール・リー製法のワインだけは、貯蔵期間が5ヶ月以上と規定されているので、発売日は決まっていませんが、大体この時期に発売されます。
山梨で、昔から生食用の葡萄として圧倒的に栽培されてきた甲州種は、今でこそ色々な葡萄が出てきたため、食べる葡萄として少なくなっていますが、白ワインの原料としては最も多く使われている葡萄です。約80社ある山梨のワイナリーのほとんどが、甲州種の白ワインを作っています。
甲州種ワインの特徴は繊細な味わいですが、外国の白ワインと比較すると、薄い印象になります。そこで各ワイナリーは様々な工夫をします。
工夫の一つに「シュール・リー」製法があります。この製法の説明は、詳しくないので省きますが、シュール・リー製法のワインは、しっかりした味わいの極辛口です。ただシュール・リーのワインを発売するのは、全ワイナリーの半数以下です。
多くのワイナリーがシュール・リーで醸造しない理由のひとつは、手間隙かかること。山梨のワイナリーは家族経営が多いので、幾つものワインを醸造するのは困難です。
よって甲州シュール・リーのワインを作るのは、比較的大きなワイナリーです。同じ葡萄、同じ製法でも、出来るワインは違います。キリッと冷やした辛口の甲州種ワインはいかがですか。