70社ある山梨のワイナリーで、長居は禁物、と言わざる得ないワイナリーがあります。
甲州市塩山の機山洋酒工業です。
ワイナリーの3代目社長の土屋幸三氏と奥様の由香里さんは、国税局醸造試験場で出会ったので、どちらもワインのスペシャリスト。
ワインの種類は、レギュラーの白(甲州)赤(ブラッククイーン)と、セレクションの白(シャルドネ)赤(メルロー、カベルネソービニヨンのブレンド)、リザーブ(セレクションのセカンド)の赤の5種類なので、多くはありません。
ワイン作りのモットーは、「自分達が飲むために買いたいワイン」。
例えば、シャルドネなら、世界のシャルドネと比べて、この価格と品質なら、買っても良い、という点を追求するそうです。
フランスのシャルドネ、カルフォルニア、オーストラリア、チリなど、酒屋には世界中のシャルドネのワインがありますが、1800円なら日本のシャルドネもいいねえ、という事。日本のシャルドネが3000円では、キザンさんでは作らないでしょう。
味も妥協しません。2000円のフランスのシャルドネに負けるなら、キザンさんは明日、シャルドネの樹を切ってしまうでしょう。
キザンさんのシャルドネは1830円です。レギュラーワインは1357円です。価格の上限を決めて、その中で、質の向上を追求し続けます。
飲んでいて、心地よいワインです。
ところで、どうして長居は禁物なのか。
この2人、休みなく、働いています。
以前は週1度休もうか、と考えたそうですが、ワイナリーが自宅と同じ敷地にあるので、休みを設定しても、訪問客が来れば対応するし、電話番号も自宅と同じだから、電話があれば出るし、それなら休み無しで行こうか、ということになったそうです。
そんな2人の時間を1時間も拘束したら、目覚めが良くないでしょう。
土屋夫妻は穏やかな2人なので、居心地が大変良いのですが、訪問されたら、最長20分でお願いします。
最後に、キザンさんには、シャンパンと同じ製法のスパークリングワインがあります。
日本唯一の甲州種のブランデーもあります。グラッパもあります。
凄いワイナリーです。