ヒマローグ

毎日の新聞記事からわが国の教育にまつわる思いを綴る。

定説化?

2022-08-24 08:28:54 | 我が国の教育行政と学校の抱える問題

「定説となった?」8月18日
 『メタバースで授業没入』という見出しの記事が掲載されました。『「メタバース」について、教育界でも活用を模索する動きが始まっている』ことを報じる特集記事です。記事の本筋とはあまり関係がないのですが、とても気になる一文がありました。『今後のメタバース教育の可能性について、「技術的問題よりは日本の社会で『対面でないと伝わらないものがある』という価値観がまだ強いため、すぐに普及はしないだろう」』という一文です。
 この一文は、私の言語感覚では、「対面でないと~」という価値観は時代遅れで間違っているが、我が国では古い価値観を捨てきれない人が多く、そうした人々はメタバース教育を問題視し、その進展を拒もうとするので、その妨害により普及には時間がかかる、という意味に受け取れたのです。
 つまり、「対面でないと伝わらないものがある」というのは間違いであるということが前提となった見解だということです。私は「対面でないと~」を支持する立場です。より正確に言えば、「対面でなくても伝えられるが、よりよく伝えるには対面のほうがよい事象や場面がある」という考えです。
 例を挙げれば、社会科の「伝統的な技術を生かした工業」の単元で、伝統的な技術の継承という主題の下で授業をする際に、メタバース教育でも、工夫や努力、必要性や問題点などを理解させることはできるでしょうが、働く人の誇りや願い、不安や希望、喜びや悲しみといったものは、実際に工房に出向いてその人に会い、仕事の様子を観察して話を聞くことの方が理解が深まるという考え方です。
 教育研究も日々進んでいます。研究が進み、現時点では「対面とメタバース」の間にはいかなる差異も生じない、という結論が研究者の間では常識になっているのかもしれません。しかし、まだそこまでの結論は得られていないのであれば、上記の一文のように、あたかも「対面とメタバース」問題についての結論が確定したかと思わせるような書きぶりはミスリードだと思うのです。
 現時点では、どのような結論になっているのでしょうか。

 

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