ヒマローグ

毎日の新聞記事からわが国の教育にまつわる思いを綴る。

学校に何ができる?

2024-05-14 08:20:53 | 我が国の教育行政と学校の抱える問題

「分析は」5月9日
 公益財団法人「あすのば」代表理事小河光治氏が、『子どもの貧困 実態を直視せよ』という表題でコラムを書かれていました。その中で小河氏は、子供の貧困についていくつかのデータを示されています。
 『朝食を「毎日食べる」小学生は63%、中学生は53%にとどまる』『「毎日は入浴しない」という小中学生も約3割に達する』などです。その中で特に気になったのが、『授業が「いつも・だいたいわかる」との答えは、小学生37%、中学生16%、高校生35%にとどまった』というデータです。
 このデータについての解釈や分析は文中にありません。だから気になるのです。小学生の6割、中学生の8割が授業内容を理解できていないという結果は、衝撃的です。嫌らしいいい方ですが、「昼食は給食があるから助かる」という貧困家庭の子供は、学校を休むことは少ないと思われます。つまり、欠席が学力不振の原因ではないのです。
 貧困によって塾や習い事ができないことが理由なのだとすれば、それは貧困家庭にとどまらず、学校が学力形成というもっとも重要な責務を果たせていないことになります。教員の授業力の向上が急務となります。
 それとも、学校内の人間関係、例えばいじめなどが要因となって授業に集中できないのでしょうか。いつも給食をたくさん食べようとすることをからかわれる、風呂に入っていないので臭いと言われる、いつも同じ服を着ていることでバカにされる、子供の世界では起きやすいことです。それがいじめや無視、仲間外れ等に発展し精神的ダメージを受けるということは十分に考えられることです。
 特に近年の傾向として、スマホなどの保有が小学生にまで広がる中で、経済的理由からスマホを持てない子供が、そのことを理由に人間関係が築けなくなるという状況は十分に考えられます。
 対処法としては、教員の観察眼を磨き、人権感覚を高め、それを学級経営や子供理解、生活指導に生かすことが求められます。教科の授業能力とは少し違う意味で教員力が試されるのです。
 また、中学生で16%にまで落ち込んだ理解率が、高校では倍以上の35%にまで復活することについても、分析が必要なように思います。通常、学年が進むにつれて理解度は下がるものなのですから。もしかしたら、そこに何かヒントが隠されているのかもしれません。
 小河氏は、コラムの中で『教育負担軽減とともに、児童手当の上乗せ支給やひとり親世帯への児童扶養手当の増額』などを求めています。当然の指摘ですが、学校の授業や学校生活における要望には一切触れていません。学校や教員には期待しないということだとすれば悲しいことです。
 文科省や教委は、貧困家庭の子供に対する学校や教員の対応の仕方について、基本的な考え方や指導事例など早急にまとめて示すべきではないでしょうか。
 

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