ところで、先ほどの大江健三郎さんの本に沿っての話しに戻ります。30年前の24歳の入社した新人時代の自分と54歳の退社する今の自分とが, どのようにつながっているのか・・・です。 54歳の私が24歳の私に問いかけます。「あなたの30年後の私の姿を見て想像した通りになっていますか、どのように感じますか?」「大地にしっかりと根を張って生きていますか?」「その根っこはあなたにつながっておりますか?」 と。
普及という仕事を30年足らずやってきました。最初のひと月の所内指導を除いて単独で29年10ヶ月ほど稼動をしました。 申込書を取った人は,W率が低い分 のべ2万千人位になると思います。 おそらく○○出版の歴史51年間を通して10本の指の中には入るだろうと思います。 皆さん、私は決して自慢をする為に言っているのではありません。反対です。21,000人の見知らぬ沢山の人達から栄養分を頂いて、私の姓にもありますように、樹木の根をのばして頂いた、しかも、妻と子供4人。家族6人が生きていくための滋養分を貰ったということです。 感謝の一言です。
このことは決してお客さんとばかりつながっているものではありません。今までに数え切れないほど辞めていかれた方,ご指導を頂いた上司や先輩,同僚ともつながっておりますし既に亡くなられた同志ともつながっております。今、こうやって私の話を聞いている皆さんともつながっております。厳しい普及の仕事をしながらも笑顔を見せてくれた人とも、電話などで叱咤激励してくれた人とも、いつも嫌がらず無理を聞いてくれた内務の人とも、若い人達ともつながっております。 この30年間の,不可思議とも思えるそのつながりにもう一度感謝をしたいと思います。長い間、本当にありがとうございました。心より感謝を申し上げます。
さて、今後の私ですが,少しボヤ-ッとした時間を もちたいと思っています。が、食っていく為にあと10年を最低に15年を目標に仕事をしたいと考えております。そのために勉強をしたいと思っていることがあります。長年、自分と人とを相手にやって参りましたので、それに基つくものであればいいなあと思いますがどうなりますことやら。
九州支店に弓道を趣味にしてらっしゃる方がおられますが、何かの本の中にこのような言葉がありました。「矢は弓の力なり 男の仕業は女の力なり」の一文です。矢は自身では飛びませんよ、弓の力によって飛ぶんですよ、同様に男の人のしわざは女の力によりますよ、ということでしょうが、所詮,男の私一人では, たかが知れたものでしょうから 妻の協力を得ながら、未だに充分な根を張っているとは,到底思いませんので、24歳当時の私と同じようにこれからも 苦しくとも、もがきながらも、先ほど申しましたように後10年、15年と仕事をしていきたいと考えております。おんなへんに台を書いて、それが私の始まりです。
今朝、空港に向かうために家を出ながら狭い我家の庭の木を眺めておりますと今年の寒い季節で すっかり葉っぱを落とした木の枝からも,ヒガンザクラですが小さな芽がたくさん出て膨らんでおりました。まもなく開花するでしょう。自然の摂理です。 今、販売環境は寒く厳しい状況にありますけれども先ほどの自然の摂理でいうと、芽がたくさん出ている時だと思います。どうか皆さん自分を信じて進んで行って花を咲かせて下さい。終わりになりますが、このような送別会を開いて頂いた支店長、皆さん方ありがとうございました、皆さんのご健康とご家族の方々の幸多いことをお祈りして 私の挨拶といたします。長々とお聞き頂きありがとうございました。
3月吉日 」