後藤和弘のブログ

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イギリスのEU離脱を讃えたい、それにしてもマスコミの偏向報道

2016年07月07日 | 日記・エッセイ・コラム
イギリスのEU離脱を国民の半分以上が賛成したのです。
ある方が先日、以下のようなコメントを送ってくださいました。
イギリス人に気概があれば、EU脱退を今後の発展の正解にできるし、努力しなければ不正解になるだけです。EU結成自体大きな賭けで、まだ正解も不正解も出ていないように思います。
この意見は客観的にしかも公平に見ています。将来の歴史も見ないうちからマスコミはイギリスが凋落すると騒ぎたてます。
マスコミはイギリスのEUへの負担金や自由な移民による職場の減少という経済的な理由だけを報じ、離脱を一方的に非難しています。
そして離脱に賛成した人々の心の中にあるいろいろな理由を一顧だにしません。
ですから経済的理由だけを報道するマスコミは偏向報道と非難されるべきです。これが私の今日の記事の主張です。
それではEU離脱の重要な理由とは何でしょうか?
その理由は民族特有の文化を守るためです。イギリスの文化的アイデンティテーを守るためです。
ある民族にとってその理由は経済的理由より重要な理由だったとしたら、その投票結果は称賛すべきです。これは私の個人的な意見ですが、まあ続きをお読み下さい。
ヨーロッパの旅をなさった方々にはお分かりとおもいます。国ごとに文化が違います。その文化の違いに魅了されます。
イギリスはドイツと違います。フランスと違います。イタリアと非常に違います。スウェーデンと違います。
料理の美味しい国はフランスです。イタリアです。ドイツ料理もイギリス料理も尊敬出来ません。
絵画芸術や彫刻はフランスとイタリアです。クラシック音楽の作曲はべートーベンやモーツルトのようにドイツ文化圏です。
産業革命と科学技術の国はイギリスです。
そしてヨーロッパ人は自国の文化に強烈な誇りを持っているのです。
昔ドイツに住んでいた頃に、何度もドイツ人と一緒にビールを飲みました。酔ってくると彼らは自国の文化を自慢し始めます。クラシック音楽と物理学を作ったのはドイツ人だと自慢します。私がイギリスの産業革命を褒めると、イギリスはヨーロッパではないと放言します。
そして宗教改革をしたのはドイツ人だと自慢します。私がカトリックやローマ法王の重要さを指摘すると、イタリアはアフリカの始まりでヨーロッパの辺境だと言います。
酒席の議論ですから論点がどんどんずれて行きます。話になりません。
しかしドイツ人の本音が出て来ます。それで判ったことはヨーロッパ人の強烈な文化的自負心です。
これはドイツに限ったことではありません。フランスに行き、レストランで間違ってドイツ語を話したら大変です。フランス語でまくし立てて、早く注文しろとフランス語のメニューを見せます。
ならばと英語を使うと態度が柔らかになりますが、フランス語を使います。彼らは私の使う単純なドイツ語も英語も判るのです。しかしフランス語しか使いません。彼らはフランス語を自慢に思っているのです。
あるフランスの友人にうっかりドイツを褒めました。そうしたらフランスの印象派の美術館を見なさいと言います。そしてドイツにはたった一人の画家、デューラーしかいませんと言います。
文化の違いに関心がある人ならヨーロッパの国々の文化の違いに魅了されると思います。
最後に簡単な実例を一つだけあげます。
それは国別の乗用車の違いです。日本で外車に乗っている人を見ると、「金持ちが見栄で乗っている」と軽蔑する人がいます。
これは車文化の違いが判らない偏見的な批判です。
実際に自分で運転してみると外車はそれぞれ日本の車と非常に違うのです。
詳しく書くと長くなるので割愛しますが、例えばドイツ車はドイツの文化を背負っています。運転してみると全ての部品が正確に動きます。イタリアのアルファロメオはイタリアらしい人生の謳歌を感じさせます。しかしよく故障します。フランスの車はドイツ資本が入っていてもフランスらしい美しい内装と外観があります。いささか信頼性に欠けます。そしてイギリスの高級車はかつてのロールスロイスの雰囲気があります。大衆車のミニクーパーには、あのMGの走りを感じさます。
このようにヨーロッパの車は皆独自の文化を感じさせます。ですから運転していて楽しいのです。
一番個性の無い車は、私が愛用している日本の車です。故障が無くて安心なのです。外車は面白いのですが手が届きません。
そしてアメリカの車も乗り心地は良いのですが文化的な個性がありません。
イギリスがEUに残留していたら伝統的な固有の文化がいずれ消滅するでしょう。そして移民で成立しているアメリカのような文化に変わって行くのです。
マスコミは「移民に反対だからEUから離脱する」という言葉の深い意味を考えないで、経済的理由とだけと報道しています。マスコミの浅薄さが結果として偏向報道になったのでしょうか?
日本のマスコミはもっともっとヨーロッパの多様な文化の相違を分かりやすく報道すべきと思います。
そしてイギリスのEU離脱の理由を経済問題だけと決めつけないで欲しいのです。イギリス文化のアイデンティテーの保守にあるという事も報道すべきと思います。
西洋には「人間はパンのみで生きるべきではない」という教えがあります。今回の大多数のイギリス人はこれに従っただけです。
なお今回の記事では東ヨーロッパの諸国やウクライナやロシアに言及しませんでしたが、私はヨーロッパに含めて考えています。
今日の挿し絵代わりの写真は昨日、行った町田市立の薬師池公園で撮った写真です。

それはそれとして、今日も皆様のご健康と平和をお祈り申し上げます。後藤和弘(藤山杜人)













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