少し寄り道をしていたので、久しぶりにこのCD全集のことを書いてみる。
記念すべき1巻目のはずなのに、このCDで私が一番聴いたのは、キリ・テ・カナワが歌うアイ・ガット・リズム。フィガロの伯爵夫人を歌うような方が、こんなジャズっぽい曲を・・と驚いたが、結構好きで何度も聴いたなぁ。
それ以外の曲はあまり聴いてなくて、あらためて新鮮な気分で聴き直した。
ウィーン少年合唱団の「赤とんぼ」。何かテンポが速くて、とてもきれいなんだけど、この人たちが歌うとみんなドイツ民謡になってしまうね・・というようなことは、書いてはいけないんだろうな。
個人的にショックだったのは、中学の頃から慣れ親しんでいるイタリア歌曲のマルティーニ作曲の「愛の喜び」。ダメですね・・・若い頃に意味も考えずに、いつのまにか暗譜してしまった曲というのは。
この曲は「愛の喜び」を歌っている歌ではないのだ。単に歌詞の出だしが「愛の喜び」であるだけで、もう少し続けると「愛の喜びが続くのは、つかの間に過ぎない」となり、さらに「愛の悲しみは生命ある限りつづく」とくる。想い人の不実を嘆く歌で、むしろ愛の悲しみを歌った歌なのだ。
ちゃんと和訳も読んでいたし、わかってたはずなんだけど、尻切れトンボのタイトルのせいで・・・しくしく・・・タイトルに異議あり!
フィッシャー=ディースカウの歌う「アデライーデ」もよいね。亡くなられたのは本当に残念。フィッシャー=ディースカウはバリトンだけど、とても甘い声の持ち主。これは若い頃の録音だけれど、恋に不器用だったはずのベートーヴェンのストレートで若干空回り気味の若さがはじけ飛んでくるように歌われていて、とても好感が持てると思った。
残るはあと1巻だ。