旅はまだ終わらない(旧構造有機化学研究室)

構造有機化学研究室(1992-2023)のホームページを引き継いだものです。

ノーベル賞受賞と現実

2016-10-06 20:21:15 | 大学のこと

       

今年のノーベル医学・生理学賞を大隅良典・東京工業大栄誉教授が受賞された。 特に、地元福岡出身ということもあり、これまで以上に受賞を嬉しく感じた。 日本人のノーベル賞受賞は3年連続で25人目であるが、ただ、将来的な見通しに関しては、必ずしも楽観できる状況ではないとの意見も多い。 

       

その一例が、先月、北大で発表された大幅な人件費削減である。 要約すると、
国立大の運営交付金ルールで年1.6%削減が課されており、平成29年度から平成33年度までの5年間で55億円が不足する見込みで、そのために、医学部、歯学部等以外で、一律14.4%の人件費を削減(教授だと205人分相当)するというものである。 すなわち、平成29年度から退職者の不補充、任期付き教員の雇い止め、昇任の停止、経費カットなどで対応していくようである。 旧帝大である北大でさえ、このような厳しい状況であることから、他の多くの国立大学はさらに深刻な状況であることは間違いない。 

       

本学においても、大学における教育・研究組織として機能しうる最低の人的パワーさえなくなりつつ状況であり、組織をいじったり、規則を変えたりすることでは、もうどうしようもない状態にまで悪化している。 本学科も、教員の数は、一時期の三分の二以下、さらには機器分析センターの技官の補充もなく、研究基盤の弱体化が急速に進んでいる。 大学で研究職について30年になるが、これまで以上に、強く閉塞感、停滞感を感じている。 今は、まだ多くの先生方が、何とかしようと頑張っておられることは間違いないが、ただ、これ以上、状況が悪化してしまうと、そんな意欲も削がれ、「あきらめ感」になってしまうかもしれない。 そうなったら、ほんとうに大変である。 南カルフォルニア大学では、同時期、化学科のファカルティメンバーの数は約1.8倍に増加している。

       

From Face Book: We are facing a severe budget cut for universities ever.

 

コメント
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