偶然かしら |
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読 了 日 |
2002/05/29 |
著 者 |
日下圭介 |
出 版 社 |
新潮社 |
形 態 |
文庫 |
ページ数 |
392 |
発 行 日 |
1989/08/25 |
ISBN |
4-10-105812-1 |
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活書房という市内の古書店でこの本が目に付き、目次を見ると短編集で、その中の1篇に「仰角の写真」があり買い求めた。
この「仰角の写真」という作品は「美談の行方」というタイトルでTVドラマ化され'90年1月30日にNTVで放送されている。このドラマはなんとなく気になって、VHSで録画したものを8mmテープにダビングして保存しておいた。
実はこのところ過去の、このように8mmテープで保存したものを再度ミニDVにダビングし直して、不要なものは捨てようと整理をしている最中で、このドラマも昨日見たばかりだった。その際タイトルクレジットで、改めて原作を知った。何気なく手にした本の中にその原作である「仰角の写真」があるとは、本のタイトル通り「偶然かしら」と思ってしまった。
帰宅後、早速読んでみる。
例によってドラマとは少し違うが(考えようによっては大いに違う?)凡そのところでは原作を生かしたドラマ作りが成されていると感じた。ミステリーがドラマ化される場合だが、当り前の話だが、どうしても映像が、即ち見せることが主体になるから、ある程度の脚色で原作と異なってしまうのはやむを得ないと思うのだが・・・・。
また、脚本家や演出をする監督の解釈にも依るのだろう。全くの別物になってしまう場合も多々有る。僕はミステリー小説を読むのと同じくらいドラマも好きなので、できればドラマも原作の味わいを損なわずにほしい。
て本書には、偶然が重なって起こった、一人の男の死。ごく平凡に見えるこの事件に微かな違和感を抱いた刑事がいた・・・・・という偶然性を扱った作品、表題作「偶然かしら」。
その他、一幕サスペンスの「歌で死ぬ」、写真トリックを使った「仰角の写真」など、9編が収録されている。
いずれも、サスペンスドラマになりそうな秀作で、60分や90分のドラマなら、長編より短編の方が歯切れの良い作品ができるのではないかと、いつも思っているのだが、サスペンスドラマはどうして長編ばかりを採用するのだろう?知名度のせいかな、やっぱり。
収録作
# |
タイトル |
紙誌名 |
発行月・号 |
1 |
偶然かしら 「もしも、あの時・・・」改題 |
小説NON |
昭和62年4月号 |
2 |
歌で死ぬ |
小説宝石 |
昭和63年3月号 |
3 |
透明な糸 |
小説推理 |
昭和60年12月号 |
4 |
消えない女 |
別冊小説宝石 |
昭和63年初夏特別号 |
5 |
健康のための殺意 |
小説新潮 |
昭和61年10月号 |
6 |
青い百合 |
小説現代 |
昭和61年8月臨時増刊号 |
7 |
仰角の写真 |
E.Q |
昭和61年7月号 |
8 |
印画紙の場面 |
小説現代 |
昭和62年7月臨時増刊号 |
9 |
長過ぎた一瞬間 |
別冊小説宝石 |
昭和61年初冬特別号 |