隅の老人のミステリー読書雑感

ミステリーの読後感や、関連のドラマ・映画など。

0221.十字路

2002年05月31日 | 倒叙ミステリー
十字路th>
読 了 日 2002/05/31
著  者 江戸川乱歩
出 版 社 講談社
形  態 文庫
ページ数 259
発 行 日 1988/02/08
ISBN 4-06-195229-3

 

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に読んだ「上を見るな」「人形はなぜ殺される」のところでも書いたが、昭和30年当時、講談社の書き下ろし探偵小説全集のために書き下ろされた作品。
一説によると、半分共作だということだが、この当時は胸躍らせて読んだものだ。Easyseekのメールマガジンで、紹介されているの見て、懐かしく思い購入した。

美しい秘書との交際を疑われた会社社長が、詰め寄る妻を誤って殺害してしまう。彼は、前に行ったことのある、近くダムの底になる村の古井戸に死体を捨てるのだが・・・・。
車に乗せた死体をその場所に運ぶ途中の十字路で、思わぬ運命が交錯する。というこの物語は、三国連太郎、新珠美千代諸氏の主演により映画化もされて、話題を呼んだ。時代背景が古いのは致し方ないが、複数の事件、思惑が交錯するストーリーは今でも面白く読める。

 

 

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0220.キャッツアイころがった

2002年05月30日 | 警察小説
キャッツアイころがった
読 了 日 2002/05/30
著  者 黒川博行
出 版 社 文藝春秋
形  態 文庫
ページ数 268
発 行 日 1986/08/15
ISBN 4-16-309140-8

 

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4回サントリーミステリー大賞受賞作。
こうした受賞作はドラマ化されるのが恒例となっているので、だいたい僕はドラマのほうを先に見てしまうことが多いのだが、このドラマはまだ見ていない。
著者はサントリーミステリー大賞に第1回と第2回にそれぞれ「二度のお別れ」、「雨に殺せば」という作品で応募し、佳作に選ばれており、3度目にして大賞を射止めたというわけである。
2カラットのキャッツ・アイ、時価500万円の宝石を飲み込んだ身元不明の男の死体が琵琶湖湖畔に上がった。という幕開けで始まるストーリーは、京都府警の黒木・亀田刑事の通称黒豆コンビによる捜査が開始される。時にコミカルな味を見せながらも、テンポの好い展開で進む。東南アジアで産出さえる宝石の流通などについて詳しく紹介されるのにも興味を引かれる。

 

 

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0219.偶然かしら

2002年05月29日 | 短編集
偶然かしら
読 了 日 2002/05/29
著  者 日下圭介
出 版 社 新潮社
形  態 文庫
ページ数 392
発 行 日 1989/08/25
ISBN 4-10-105812-1

 

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活書房という市内の古書店でこの本が目に付き、目次を見ると短編集で、その中の1篇に「仰角の写真」があり買い求めた。
この「仰角の写真」という作品は「美談の行方」というタイトルでTVドラマ化され'90年1月30日にNTVで放送されている。このドラマはなんとなく気になって、VHSで録画したものを8mmテープにダビングして保存しておいた。
実はこのところ過去の、このように8mmテープで保存したものを再度ミニDVにダビングし直して、不要なものは捨てようと整理をしている最中で、このドラマも昨日見たばかりだった。その際タイトルクレジットで、改めて原作を知った。何気なく手にした本の中にその原作である「仰角の写真」があるとは、本のタイトル通り「偶然かしら」と思ってしまった。

 

 

帰宅後、早速読んでみる。
例によってドラマとは少し違うが(考えようによっては大いに違う?)凡そのところでは原作を生かしたドラマ作りが成されていると感じた。ミステリーがドラマ化される場合だが、当り前の話だが、どうしても映像が、即ち見せることが主体になるから、ある程度の脚色で原作と異なってしまうのはやむを得ないと思うのだが・・・・。
また、脚本家や演出をする監督の解釈にも依るのだろう。全くの別物になってしまう場合も多々有る。僕はミステリー小説を読むのと同じくらいドラマも好きなので、できればドラマも原作の味わいを損なわずにほしい。

 

 

て本書には、偶然が重なって起こった、一人の男の死。ごく平凡に見えるこの事件に微かな違和感を抱いた刑事がいた・・・・・という偶然性を扱った作品、表題作「偶然かしら」。
その他、一幕サスペンスの「歌で死ぬ」、写真トリックを使った「仰角の写真」など、9編が収録されている。
いずれも、サスペンスドラマになりそうな秀作で、60分や90分のドラマなら、長編より短編の方が歯切れの良い作品ができるのではないかと、いつも思っているのだが、サスペンスドラマはどうして長編ばかりを採用するのだろう?知名度のせいかな、やっぱり。

 

収録作
# タイトル 紙誌名 発行月・号
1 偶然かしら
「もしも、あの時・・・」改題
小説NON 昭和62年4月号
2 歌で死ぬ 小説宝石 昭和63年3月号
3 透明な糸 小説推理 昭和60年12月号
4 消えない女 別冊小説宝石 昭和63年初夏特別号
5 健康のための殺意 小説新潮 昭和61年10月号
6 青い百合 小説現代 昭和61年8月臨時増刊号
7 仰角の写真 E.Q 昭和61年7月号
8 印画紙の場面 小説現代 昭和62年7月臨時増刊号
9 長過ぎた一瞬間 別冊小説宝石 昭和61年初冬特別号

 

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0218.時計館の殺人

2002年05月28日 | 本格
時計館の殺人
読了日 2002/05/28
著 者 綾辻行人
出版社 講談社
形 態 文庫
ページ数 626
発行日 1999/07/20
ISBN 4-06-185706-1

 

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部みゆき氏の「龍は眠る」(117.参照)と共に第45回日本推理作家協会賞を受賞した作品ということで、手に入れたものだが、文庫ながらその本の厚さに少々辟易した。
610余ページに亘る大長編小説である。だから登場人物もそれなりに多い。巻頭で紹介されている人物は27人。
その中にこの館シリーズで活躍する、ホームズ&ワトソンであるところの、駆け出しの推理作家・鹿谷門実(ししやかどみ)こと島田潔と雑誌編集者の江南(かわなみ-通称こなん)孝明がいる。
鹿谷は、しばらくぶりに訪ねてきた江南から鎌倉にある時計屋敷について聞かされる。元は時計メーカーの会長の所有していた屋敷に彼の死後、少女の幽霊が出て、周囲の森を徘徊するという噂があり、亡霊屋敷と呼ばれているらしい。江南の所属する雑誌「CHAOS(ケイオス)」では取材チームを屋敷に派遣して、その間に女性霊能者を使い交霊会を行い、少女の幽霊と交信しようという企画が持ち上がったというのである。最近売り出してきた光明寺美琴なるその女性霊能者は、偶然にも鹿谷の隣の部屋に住んでいた・・・。

 

 

僕は、いまだに新本格なる分野に偏見を持っていて、どうも食わず嫌いの性なのだが、この著者の本もたくさん出ていることは知っていたが、今回初めて読んだ。ところが、引き気味だった本の厚さや、新本格もなんのその、自然と物語に入り込める読みやすい本だった。

 

 

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0217.螺旋階段のアリス

2002年05月27日 | 連作短編集
螺旋階段のアリス
読了日 2002/5/27
著 者 加納朋子
出版社 文藝春秋
形 態 文庫
ページ数 271
発行日 2000/12/10
ISBN 4-16-319680-3

 

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木更津図書館所蔵で、図書館に通う都度少しずつ読んだ本。北村薫氏の「冬のオペラ」にシチュエーションが少し似たところがあるが、内容は勿論全くの別物。平成9年4月から12年10月にかけてオール読物に掲載された連作短編集。
大手企業の「転身退職者支援制度」を利用して私立探偵に転身した仁木順平と、猫を抱いた押しかけ助手の不思議な少女・市村安梨沙が遭遇する事件の数々?中年探偵が戸惑うようなメルヘンチックな少女、安梨沙の名推理が楽しい。収録作品は、以下の通り。

不思議の国のアリスを思わせる雰囲気の少女と冴えない中年探偵が織り成す物語だが、本格ミステリーを形成している。

タイトルともなっている第1作「螺旋階段のアリス」で、仁木順平と市村安梨沙の関係や、仁木順平が私立探偵を志して、雑居ビルの2回に事務所を構えるようになったいきさつが紹介されている。ビルの非常階段を登った飼い猫ダイナを追いかけて、安梨沙が行きついた2階の窓から覗くと、そこが仁木順平の探偵事務所だった、という皮切りでストーリーは始まる。
仁木氏が私立探偵と判ると、安梨沙は、即座に助手になるという。そんなところへ依頼人第1号が現れる。
初老の婦人の依頼は、亡くなった夫が隠した貸し金庫の鍵を探してほしいというものだった。迷探偵・仁木順平と名助手・安梨沙のコンビが手がける1号事件の結末は?

 

初出(オール読物)
# タイトル 発行月号
1 螺旋階段のアリス 1997年4月号
2 裏窓のアリス 1997年11月号
3 中庭のアリス 1998年11月号
4 地下室のアリス 1999年6月号
5 最上階のアリス 1999年11月号
6 子供部屋のアリス 2000年6月号
7 アリスのいない部屋 2000年10月号



 


0216.冬のオペラ

2002年05月27日 | ファンタジー
冬のオペラ
読了日 2002/5/27
著 者 北村薫
出版社 中央公論新社
形 態 文庫
ページ数 315
発行日 2000/02/25
ISBN 4-12-203592-9

 

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姫宮あゆみの勤務先、伯父の経営する姫宮不動産の2階で営業していたCDレンタル店が閉店して、その後に"名探偵巫(かんなぎ)弓彦"が開業した。
この自ら名探偵と称する男は、「名探偵はなるのではなく、存在であり、意志である」と言う。
しかも、探偵と言うものの、身許調査等の一般の探偵業はやらず、人知を越えた難事件だけを扱うと言うのだ。
あることをきっかけに、あゆみは巫を訪ね彼の記録者になることを申し出た。
二人のであった「三角の水」、「蘭と韋駄天」、「冬のオペラ」という三つの事件を収録。

 

~~~・~~~・~~~・~~~・~~~

話は変わるが、1週間ほど前から木更津市立図書館に通っている。ここでは一度に6冊の本を2週間借りられる。しかし僕が借りるのは読むのが目的ではないので早ければ1時間くらいで返しに行ける。だから多いときは1日3回くらい図書館との間を往復する。
500冊のミステリー読破を目標としてからこの日記とは別にアクセス(マイクロソフトのデータベース用のアプリケーション)で読書管理のデータベースを作ったのだが、その中の一つである著者のデータのフォームに顔写真を入れようと思ったのだ。はじめは購入した本に著者の顔写真があるものだけにしようと思ったのだが、できるだけ充実させたいという欲が出て、図書館通いが始まった。
今日現在で300名ほどの作家のデータを入力しているが、まだ日本の作家だけでも40名ほどの顔写真が不足している。海外の作家を加えると100名を超えるだろう。著作に顔写真の無いものは多く、単行本には殆ど無いから、結構集めるにも時間がかかるだろう。

 


0215.漂流裁判

2002年05月23日 | リーガル
漂流裁判
読了日 2002/05/17
著 者 笹倉明
出版社 文藝春秋
形 態 文庫
ページ数 350
発行日 1991-06-10
ISBN 4-16-753701-X

 

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6回サントリーミステリー大賞を受賞した本作は、’89年1月末、テレビ朝日で放送されたドラマの方を先に見てしまった。
人物設定等に多少原作と異なる部分もあったが、俳優諸氏の好演もあり全体としてはよく出来たドラマだった。そのドラマの印象から、ミステリー賞受賞作の1冊として早く読みたいと思っていたのだが、何軒か古書店を見て廻ったが見つからず、あるとき千葉市内でめったに行かない店でやっと手に入れた。

女からレイプを訴えられ、逮捕された前科のある男、その男の母親から懇願されて弁護を引き受ける弁護士、そして、女の訴えに立ち上がる女性検事。単純と思われた事件が、裁判の進行とともに混沌とした様相を示していく。女の訴えを否定する男の供述に弁護士は本気で調査を開始するが・・・。まさに男と女のドラマである。

 

 

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0214.アリスの国の殺人

2002年05月21日 | ファンタジー
アリスの国の殺人
読了日 2002/05/21
著 者 辻真先
出版社 徳間書店
形 態 文庫
ページ数 316
発行日 1990/06/15
ISBN 4-19-569105-2

 

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はまだルイス・キャロルのあまりにも有名な「不思議の国のアリス」を読んでいない。ドラマや映画も通してみたことはないが、何かの折にところどころは見ており、本の中身もところによっては何故か知っているという状態だ。
だから本書もある期待をもって読んだ。推理作家協会賞受賞ということも期待する要素だった。にもかかわらず、読むタイミングが悪かったか、僕の期待は見事に外れて、好みに合わない感じを持ったから、時間をかけて読んだにもかかわらず、ストーリーに入り込めなかったのが残念だ。

「不思議の国のアリス」の世界を愛す、児童書の編集者・綿畑克二はスナック”蟻巣”でうたた寝をして夢でアリスの世界へ。夢と現実を行き来する克二と、編集長殺人事件。と言うような世界に入り込むために、時を経てもう一度読んでみようか?

 

 

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0213.髪結い伊三次捕物余話 幻の声

2002年05月17日 | 時代ミステリー
幻の声 髪結い伊三次捕物余話
読 了 日 2002/05/17
著  者 宇江佐真理
出 版 社 文藝春秋
形  態 文庫
ページ数 276
発 行 日 2004/04/10
ISBN 4-16-764001-5

 

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ジTVで‘99年4月から6月にかけて放送されたドラマ「髪結い伊三次」の原作ということで買って読んだ。残念ながら、歌舞伎の中村橋之助主演のドラマのほうは見損なった。

髪結いが本業だが、もう一つの顔を持っている伊三次。町方同心・不破友之進の手先、下っ引きを務めているのだ。髪結いといっても店を持っているわけではない。廻り髪結いといって、声のかかった顧客の間を廻って髪を結う商売である。
そして、彼には威勢のいい芸者・お文とのつき合いがあった。廻り髪結いの身で、芸者を囲えるわけもないので、対等のつき合いだから、文と伊三次の掛け合いは遠慮のない威勢のいい掛け合いになる。そこがなんとも好感が持てるところだ。商売柄、市井の状況が良くわかり、それが事件の解決を手助けしている。

 

 

初出一覧
# タイトル 紙誌名 発行月・号
1 幻の声 オール読物 平成7年5月号
2 暁の雲 オール読物 平成7年10月号
3 赤い闇 別冊文藝春秋 第216号
4 備後表 別冊文藝春秋 第219号
5 星の降る夜 書下ろし  

 

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0212.狐罠

2002年05月16日 | 骨董
狐罠
読了日 2002/5/16
著 者 北森鴻
出版社 講談社
形 態 文庫
ページ数 511
発行日 2000/5/15
ISBN 4-06-264854-7

 

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ドラマと同じく、物語の中の主人公(必ずしも主人公でなくても良い)が魅力的に描かれていると、シリーズ化して他の作品でも観てみたい、あるいは読んでみたいと思う。
本書の主人公である「旗師」宇佐美陶子は、まさしくその魅力溢れるキャラクターである。「旗師」というのは、店舗を持たない骨董商を言うのだそうだが、自身の鑑定眼と経験や能力だけを頼りに骨董の取引を行う、いわば一匹狼のような存在だ。そうした仕事を生業とする、ということだけでも何とはなしに惹かれるものがあるが、若い女性が、海千山千の骨董商たちを相手に、戦いとも言える商いを挑む話が面白くないはずがない。

 

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同業の橘薫堂から仕入れた唐様切子紺碧椀(からようきりここんぺきわん)が贋作だった、という幕開けから、このプロの目を騙す「目利き殺し」に宇佐美陶子が意趣返しの罠を準備・計画するところはサスペンスを誘発してゾクゾクするほどだ。前に読んだ「花の下にて春死なむ」のバーのマスター・工藤と同様、この魅力的な主人公はぜひともシリーズ化して欲しいものだ。

 

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0211.花の棺

2002年05月14日 | 警察小説
花の棺
読了日 2002/05/14
著 者 山村美沙
出版社 光文社
形 態 文庫
ページ数 392
発行日 1986/11/20
ISBN 4-334-70446-8

 

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がこの本を探して古本屋さんを歩き回ったのは、テレビ朝日の土曜ワイド劇場というドラマ枠で、長寿を誇るシリーズ「京都殺人案内」の第1回の原作だからだ。京都府警の捜査一課に席を置く、係長の音川音次郎刑事の活躍を描くこのシリーズは、和久峻三氏の原作を基にしたドラマだが、第1回のみ、この山村美紗氏の「花の棺」が使われている。
従って登場人物も音川刑事ではなく、探偵役はキャサリン嬢で、刑事は狩矢警部である。キャストは狩矢警部に音川刑事と同じく藤田まこと氏が扮しているが、むっつり刑事ではなく、少しばかりひょうきんなキャラクターとして描かれている。

 

 

僕は長年この「京都殺人案内」シリーズ・ドラマのファンで放送の都度ビデオに録ってきたが、なぜ2回目から和久峻三氏の原作に変わったのかは知らない。しかし、この第1回のドラマはわりと原作に沿ってドラマ化されており、キャスティングも結構華やかな顔触れとなっている。
この中で名探偵振りを発揮するキャサリン嬢は、アメリカ副大統領の令嬢ということで、周囲の人間たちが振り回されることになるのだが、山村氏はこのキャサリン探偵をシリーズとして書き続け、TBSでやはりシリーズとしてドラマ化している。
但し、ドラマはキャサリンを日本の女性カメラマン・希麻倫子としている。

京都を舞台に華やかな華道の世界の二大勢力の紛争を描いたこの作品はドラマの舞台として恰好な素材のようで、TBSのシリーズでもドラマ化されているようだ。

 

 

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0210.ぼくのミステリな日常

2002年05月13日 | 安楽椅子探偵
ぼくのミステリな日常
読 了 日 2002/05/13
著  者 若竹七海
出 版 社 東京創元社
形  態 文庫
ページ数 357
発 行 日 2000/04/21
ISBN 4-488-41701-9

 

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0年代後半から'90年にかけて優秀な才能が次々と世に出た。著者もその中の一人。
ミステリ作家では、大学のミス研の出身者も多いと聞くが、事情通ではない僕は、よくは知らない。立教大学出身の著者もうろ覚えだが、そうではなかったかと思う。

本書は、著者と同名のOLが、社内報の編集長に選ばれて、上からの「小説を載せろ!」というお達しに困り果て、大学時代の先輩に泣き付いて、匿名作家を仲介してもらう。
この匿名作家が「ぼく」なのだ。毎月の誌面に載った短編は、ぼくの日常の小さな謎から大きな事件までに見事な推理で解明されるのだが・・・・。毎月の社内報のフォーマットが示されて、実際に社内報を読んでいるような感覚で、読み進める。連作短編の構成に工夫がなされ、毎月の僕の小説にも様々な伏線が張られているので、要注意だ。
著者のデビュー作。

 

 

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0209.今夜は眠れない

2002年05月11日 | 冒険
今夜は眠れない
読了日 2002/5/11
著者 宮部みゆき
出版社 中央公論新社
形態 文庫
ページ数 323
発行日 2001/12/10
ISBN 4-12-203278-4

 

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2月に読んだ「夢にも思わない」(167.参照)と同様、緒方雅男クンと、島崎俊彦クンの中学生コンビが活躍する物語。
こちらのほうが先に書かれた本なのだが、何しろ古本屋さんで、見かけたら買うというようなランダムな順序で読むものだから、読む順序が発行順にならないことはしょっちゅうである。

著者の子どもを描き方には評論家を唸らすほどにうまいという定評があるようだが、思わずにやりとされられる小理屈を言う子どもたちのセリフに感心する。だが、この子どもたちを生き生きと、元気にしているその親たちの生き方、世渡りが明るく、さわやかで僕はどっちかいうと、親たちのあり方に感動してしまうのだ。
「この親にしてこの子あり」と昔から言われているが、正にその通りだ、と、こうした物語を読むと感じるのだ。

ごくありきたりの、平凡な一家である雅男君の家に弁護士が現れ、「放浪の相場師」と呼ばれた男が雅男君の母親に五億円も遺贈したということを告げる。そこから始まる一家の悲喜劇を描いた物語である。

 

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0208.覆面作家の夢の家

2002年05月09日 | 安楽椅子探偵
覆面作家の夢の家
読了日 2002/5/10
著 者 北村薫
出版社 角川書店
形 態 文庫
ページ数 221
発行日 1997/1/30
ISBN 4-04-343203-8

 

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お嬢様の名探偵シリーズ第3弾。

 

収録作(全て書下ろし)
# タイトル
1 覆面作家と謎の写真
2 覆面作家と溶ける男
3 覆面作家の夢の家

 


0207.覆面作家の愛の歌

2002年05月09日 | 安楽椅子探偵
覆面作家の愛の歌
読了日 2002/5/8
著 者 北村薫
出版社 角川書店
形 態 単行本
ページ数 285
発行日 1995/9/30
ISBN 4-04-872886-5

 

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名探偵のお嬢様シリーズ、第2弾。

 

初出(野性時代)
# タイトル 発行月号
1 覆面作家のお茶の会 1994年5月号
2 覆面作家と溶ける男 1994年8月号
3 覆面作家の愛の歌 1995年2・3月号