隅の老人のミステリー読書雑感

ミステリーの読後感や、関連のドラマ・映画など。

0506.プリンス・ザレスキーの事件簿

2004年09月21日 | 短編集
プリンス・ザレスキーの事件簿
THE CASEBOOK OF PRINCE ZALESKI
読了日 2004/09/21
(2011/04/19)
著 者 M・P・シール
M.P.SHIEL
訳 者 中村能三
出版社 東京創元社
形 態 文庫
ページ数 363
発行日 1981/01/23
ISBN 4-488-18601-7

 

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の文章は読み終わった2004年9月21日のものではない。それから、7年も経った2011年4月19日に書いたものだということをお断りしておく。
この本を読んだ頃は、言い訳がましいが、とにかく読むことを最優先させていたから、読むだけ読んで何も書かずに、本のデータだけの記録が非常に多い。
後で書こうと思いながら、何年も過ぎると思いだけはあるものの、読んだ時の記憶はきれいさっぱり消え去って、書こうにもかけない状態が続いている。
全く何のための読書記録かとも思うが仕方がない。

ここ1か月ばかり、ブログの記事の体裁(フォーマット)を、最新のものに統一しようとして、その作業に追われている。
僕のブログの作法(というほどのものではないが)は、ワードで記録した文章を、予めメモ帳にHTMLで作ったフォーマットに流し込んで、それをコピーしてBroachの記事の投稿にペーストする、といった方法をとっている。
HTMLのフォーマットはいくつかのパターン(例えば「長編国内」、「長編海外」、「短編集国内」、「短編集海外」などという)を作っておいて、そこに例えばタイトル、読了日、著者などといったデータを埋め込んでいくのである。
記事の投稿欄にペーストした後、プレビューで誤字、脱字などの確認をしてから、保存(投稿)をするといった順序で、作っていく。
この方法をとるようになったのは2年ほど前からなので、それ以前の記事は形の整っていないままだ。そこで、すべての記事を今の形の変えて少しでも読みやすくしておこうと考えたのだが、何しろ1000冊を超えたデータは半端ではない。作業は、本来の読書の時間を削って行うものだから、本末転倒といった感はぬぐえない。
自分自身を納得させるのは容易なものではない。

 

 

さて、そうした作業の中で、506冊目に至った時、この本だけは何か書いておかなくてはと、思い立って書き始めたというわけである。というのも、本書は多くの著名人が「安楽椅子探偵」ストーリーの起源だといっており、ぜひ読んでおきたいと思い、僕はこの当時ずいぶん探して歩いたのだ。
僕が探して歩いたというのは、本書がなくて探したというのではなく、僕の買える安い本を探したということだ。なぜかネットに出品されている本も、まるで稀覯本のごとき高い価格が設定されており、とても手を出せるものではなかった。
それでもようやく、折り合いのつく価格の本を見つけて、読むことが出来たのに、何も書かなかったのはどうしたことだったのだろうと、今考えれば不思議な気もする。

 

 

イトルは「プリンス・ザレスキーの事件簿」となっているが、プリンス・ザレスキーのストーリーは下記のごとく、4篇、カミングス・キング・モンクのストーリーが3篇、そして、単独の1篇「推理の一問題」で構成されている。
戸川安宣氏(当時東京創元社の編集者、後に同社の社長に就任したが、現在は退任して、ミステリー専門の書店を経営する傍ら、ミステリーおよびミステリー作家の発掘に力を注いでいる、らしい?)の解説によれば、ここに収録された4篇がプリンス・ザレスキーの探偵譚のすべてだそうだ。それでは1冊にできないので、著者M.P.シールが生み出したもう一人の名探偵キングス・モンクのストーリー他を加えたのだそうだ。
後にアメリカで同じ名前の人気ドラマ「名探偵モンク」が生まれたが、もちろん無関係。
本書は当時戸川氏が創元推理文庫で、“シャーロック・ホームズのライヴァルたち”という企画の中で刊行した1冊。この企画には、他に「フォーチュン氏の事件簿」、「アプルビイの事件簿」、「ピーター卿の事件簿」等々、数々の名著が収められた。
今でいえば、ミステリー界の世界遺産とでもいうべきか、長く後世に残される名作が推理文庫として刊行された意義は貴重なものだ。

 

収録作と原題
# タイトル 原題
プリンス・ザレスキー
1 オーブンの一族 The Race of Orven
2 エドマンズベリー僧院の宝石 The Stone of Edmundsbury Monks
3 S・S The S.S.
4 プリンス・ザレスキー再び The Return of Prince Zaleski
  
5 推理の一問題 A Case of Deduction
カミングズ・キング・モンク
6 もんく、女たちを騒がす Meddles with Women
7 もんく、『精神の偉大さ』を定義す He Defines "Greatness of Mind"
8 モンク、木霊を呼び醒す He Wakes an Echo



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0505.ルームメイト

2004年09月19日 | 本格
ルームメイト
読 了 日 2004/09/19
著  者 今邑彩
出 版 社 中央公論新社
形  態 新書
ページ数 214
発 行 日 1997/08/25
I S B N 4-12-500487-0

 

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邑彩氏の作品が続く。僕にとって不思議な魅力を放つ今邑作品は、読み始めると続けてその世界を味わいたくなる。
今回は、大学へ通うために上京してきた萩尾春海ができるだけ家賃を安く上げるため、不動産屋を物色している折に、同じ大学生だといって一緒に住むことを提案して声をかけてきた西村麗子という女性と知り合う。
彼女は京都から出てきたという。お互いに干渉しないという約束で始まった同居生活は、うまくいっていたが、ある時を境に折半の家賃が振り込まれないまま、西村麗子が失踪した。
困った晴海は何とか西村麗子の自宅を探して、電話をかけたが彼女はまったくの別人だった。ルームメイトは他人の名を騙っていたのだ。

春海が訪ね歩くうちにルームメイトの不可思議な二重、三重の生活が明らかになっていき、果たして何のためにそんな生活を送っていたのか謎が深まる。

僕の好きなある種の「幻の女」探しのストーリーで、読んでいてワクワクするようなこれぞ今邑ワールドなのだ。

 

 

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