蜜蜂と遠雷 | ||
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読了日 | 2019/07/30 | |
著 者 | 恩田陸 | |
出版社 | 幻冬舎 | |
形 態 | 単行本 | |
ページ数 | 507 | |
発行日 | 2016/09/20 | |
ISBN | 978-4-344-03003-9 |
件もの予約が続いていたので、僕の番はもう少し先になるだろうと思っていたら、存外早く「予約の資料が用意できました」のメールが入った。このところ専ら図書館を利用していて、著者や出版社には申し訳ない気持ちもあるが、何しろ手許不如意も続いており、致し方なし。
原因はタイヤ交換他の、車の維持費の出費によるものだ。現役の頃は外回りも多い代わりに、車検を始めとして車両保険、燃料費など、車に関する費用はすべて会社持ちだったから、楽だった。
20年以上も前のことを言っても始まらないが、僕にとっての古き良き時代の話だ。
2017年度、第156回直木三十五賞、及び本屋大賞を受賞して、多くのファンの称賛を得た本書。
著者にとっても、またファンにしても長く待ちわびた直木賞の受賞で、中には何をいまさらという感じを持った人も少なくないのでは? だが、僕は本書を読み始めて、従来とは異なる恩田節といった感じを持った。
では正当恩田節とはいかなるものか? 僕はデビュー作の「六番目の小夜子」に続く、ファンタジックな流れが、それだと思ってきたのだ。一部のファンは恩田氏の作品は分かりにくいという人もいるようだが、僕はそうした分かりにくいと感ずる作品も、それはそれで恩田氏独特の作風だと思っている。
そういえば、本屋大賞は第2回にも「夜のピクニック」で受賞しており、書店員が大挙して推すところを見れば、多くのファンが恩田作品を読んでいる証拠でもある。
僕も今までに、恩田作品は28冊も読んでおり、本書で29冊目となるが、特に好きなのは『遠野物語』に準じたというか、現代に移し替えたようなシリーズが好きだ。「光の帝国 常野物語」、「月の裏側」、「蒲公英 タンポポ草紙」、「エンドゲーム 常野物語」などを魅力的に感じている。
て、本書は若き天才ピアニストたちの、コンサートの模様を描くストーリーだ。コンサートを勝ち抜くための努力や、彼らの演奏の素晴らしさと、行間から音が飛び出しているかのような、描写が感動を呼び起こした作品は、2012年に読んだ中山七里氏の、『さよならドビュッシー』ですでに味わっているが、この作品では少し趣の違った、一流ピアニストを目指す天才たちの、コンサート演奏が繰り広げられて、迫力のある描写が繰り広げられる。
3年ごとに開催される芳ヶ江国際ピアノコンクール。「ここを制した者は世界最高峰のS国際ピアノコンクールで優勝する」と言われているジンクスがあり近年、覇者である新たな才能の出現は音楽界の事件となっていた。
今回の出場者の中でも、養蜂家の父とともに各地を転々とし自宅にピアノを持たない少年・風間塵15歳についての演奏と、その描写の生々しさは驚異的ともいえる印象を与える。
だが、唯一この作品で惜しまれるところは、この少年の活躍について中途半端で終始しているところなのだ。読者としては、もう少し世界の一流音楽家の指導や、彼が認めた天才のいかに技術を習得したか、と言ったことも知りたいところだ。
台風の自然災害に関する記述で、僕は毎回被害のないわが千葉県の良さを吹聴してきた。ところが長い間の付けが回ってきたかのような、甚大な被害が停電という恐ろしい形で、今もなお続いている。
我が家も、これは僕のうっかりミスの結果なのだが、二階の僕の部屋の窓ガラスが割れるという被害があった。夜中に「バリンッ!」という大きな音とともに、窓ガラスが寝ている僕の胸に向かって飛んできた。幸いかけていたタオルケットの上に、平らな状態で落ちたので怪我はなかったが、危ないところだった。
雨戸を閉めておけばどうということはなかったのだが、前述のように僕の閉めたという思い込みが、小さな被害に及んだというだけだが、ひとつ間違えば重大なことになりかねなかった。僕の住む真舟地区は高台で水の被害もなく、さらに停電も免れている。
今日も台風一過の晴天に、被災者には申し訳ないが、よかったという思いでいっぱいだ。
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