隅の老人のミステリー読書雑感

ミステリーの読後感や、関連のドラマ・映画など。

2016.京都寺町三条のホームズ13 ~麗しの上海楼~

2021年04月24日 | 青春ミステリー

~

 

 

京都寺町三条のホームズ13
~麗しの上海楼~
読了日 2020/11/05
著 者 望月麻衣
出版社 双葉社
形 態 文庫
ページ数 285
発行日 2020/01/19
ISBN 978-4-575-52308-9

 

上の著者名をクリックすると、今まで読んだ著者の作品一覧へ移動します。

 

気シリーズの本作は、いよいよ13作目となって、海外へと舞台を移す。
長く続くシリーズの定番?ともいえる海外の舞台だが、もちろん必然性があっての話だ。美術品の鑑定を生業とする鑑定士の話だから、その本場ともいえる中国は上海、そこを舞台としたストーリーは、スリリングな展開を示しながら、京都寺町三条のホームズが存分の活躍をする。

このシリーズを読んでいると、旅行好きでもない僕が、登場人物たちが活躍の場とする地を、ゆっくりと散策してみたい、などと言う気にさせる。サラリーマン現役時代からどちらかと言えば、出不精で社内旅行なども願うことなら行きたくない、と言う方だった。
そんな僕を行ってみたいと思わせるこのシリーズの、京都案内は半端なくその魅力を発散させているのだ。

 

 

しかしそんな魅力的なシリーズを、1年近くも放っておいたとは信じられない話だ。 本作を手に取ってから、前のデータを振り返ってみたら、この前読んだのが1年近く前だったのだ。その間読みたい本が目白押しだったかと言えば、そんなこともなくどうでもいいようなテレビのバラエティ番組を夢中で、と言うほどでもないが見続けていたのだ。


昔中学生だったころ、親しい友が「テレビは見続けて見ていると、癖になる」と言っていたことを思い出す。まだその頃はどこの家庭にもテレビがある時代ではなく、見たい番組は近所のテレビのある家に押しかけて見せてもらった時代だ。
パン屋さんだった彼の家では割と早くから、テレビを見ることのできた裕福な家庭だったのだ。
何と数えれば70年近くも前の事を突然思いだした。人の記憶の不思議さだ。
最近は、昭和も遠くなりにけり、と言われるほどだが、いつまでも若いつもりでいた僕も、昭和、平成、令和と三世代に亘って生きてきたのだ。20世紀末も経験したし、あと何年生きられるだろう?

 

 

心の本の内容は大方忘れたが、寺町三丁目のホームズこと、家頭清貴が上海を訪れている頃、真城葵(彼女はホームズのパートナーすなわち恋人、いや、婚約者だ)は世界的な権威である女性キュレーターに招かれて、ニューヨークに行くことになっていた。
家頭―ヤガシラと読み、「この姓がもとでホームズと呼ばれる」と、当のホームズは言うのだが、多くの人たちが彼をホームズと呼ぶのは、もちろん そのシャーロック・ホームズ張りの明晰な頭脳に対しての賛辞だ。
骨董品に関する謎だけでなく、身に降りかかる謎のすべてを、持てる知識や経験が鮮やかな推理を展開して、解明する。

このシリーズが長く続くのは、そのホームズと彼が愛する真城葵との関係が一役も二役も買っているから、毎回二人の間柄をくっ付けたり話したりと、バランスをとっている。(と僕は思うのだがいかがだろう)

 

 

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

 


2015.ニャン氏の事件簿

2021年04月14日 | ファンタジー
ニャン氏の事件簿
読 了 日 2020/10/29
著  者 松尾由美
出 版 社 東京創元社
形  態 文庫
ページ数 264
発 行 日 2017/02/24
ISBN 978-4-488-43908-8

 

上の著者名をクリックすると、今まで読んだ著者の作品一覧へ移動します。

 

々僕はこの作者の新作が出ていないかを、Amazonなどで探してみている。
ライトノベルと言えるような軽い内容のストーリーが、ちょっとした日頃のストレスを解消してくれるからだ。若い頃はコテコテの本格派だった(今でも多少その傾向は残っている)が、最近嵌ったのは、「准教授・高槻彰良の推察」という、民俗学の先生とおかしな耳を持つ学生とのコンビが、持ち込まれる怪奇な現象に体当たりの活躍をするシリーズだ。
こちらも怪奇現象を追求する高槻准教授の、自身の不気味な過去にかかわりがあるのか、民俗学の講義は至極まじめな一方、怪奇・不思議の世界に惹かれる準教授の可笑しさが交錯して、面白く進むストーリーだ。
さて、松尾由美氏の作品群はミステリーが絡んではいるが、どちらかと言えばファンタジーとも呼べる作品で、独特のユーモアや、ペーソスともいえるストーリーで、僕の興味をそそる。

 

 

昔から猫はミステリーの要素として、エドガー・アラン・ポーの時代から、描かれている。
昔の一時期日本映画の全盛期時代には、ホラー映画ともいえる一分野で、化け猫映画が目白押しと言う時代もあった。
赤川次郎氏の“三毛猫ホームズ”を始めとして、猫が活躍するミステリーは数あるが、なんと言っても僕の頭から離れないのは、もうなくなってしまったが、女流ミステリー作家の草分けともいうべき、仁木悦子氏だ。
彼女の『猫は知っていた』は、映画にもなったほどで、江戸川乱歩賞のごく初期の受賞作でもあって、忘れることのできない作品だ。
ア!、話がだんだんそれてきた。
僕の話は大部分が無駄話で、終始することが多いから、気を付けないと何を言ってるのかわからなくなる。

 

 

日は朝からどんよりとした曇り空で、気温は割と高めなのだが、温かさを感じないのは、お天気のせいか。
世間は相変わらずのコロナ感染者の増加を憂いており、一層のテレワークを推進したり、不要不急の外出の抑制をしたりと、第4波の発生を抑え込もうとしている。
しかし、素人考えながら、もう第4パは始まっているのではないかと思うが・・・。
世の中十人十色と言うのか、いろいろな人がいて、マスクを巡って逮捕されるという人がいることに、驚いてはいられない。僕もカミさんを乗せてスーパーへの買い物に付き合っているから、危険な目に合わぬよう気を付けよう。

 

初出一覧(ミステリーズ!)
# タイトル 発行年月
1 ニャン氏登場 vol.68 2014年12月
2 猫目の猫目院家 vol.74 2015年12月
3 山荘の魔術師 vol.75 2016年2月
4 ネコと和解せよ vol.76 2016年4月
5 海からの贈り物 書下ろし
6 真鱈の日 書下ろし

 

 

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

 


2014.カインの倣慢

2021年04月09日 | メディカル
カインの倣慢
読了日 2020/10/12
著 者 中山七里
出版社 KADOKAWA
形 態 単行本
ページ数 301
発行日 2020/05/29
ISBN 978-4-04-109423-5

 

上の著者名をクリックすると、今まで読んだ著者の作品一覧へ移動します。

 

山七里氏の作品には、他の作品で活躍したキャラクターが、シリーズとは言えない作品にも登場して、あたかもその作品の重要な役割を果たすことがある。例えば刑事・犬養隼人は、『切り裂きジャックの告白』から始まって、『七色の毒』、『ハーメルンの誘拐魔』、『ドクター・デスの遺産』と続いて出てくるから、ああ、これはシリーズか!
僕は中山氏の作品を次々読んでいるから、少し混乱したらしい。
カインと言うのは旧約聖書に出てくる、アダムとイブの息子で、良く翻訳小説に弟アベルと一緒に題材にされるのだが、僕はその旧約聖書については無知だが、従来たびたび目にしていたから、薄々は知っていた。
人類最初の殺人事件の加害者と被害者として知られている。
と言うようなことは、左程本書を語るうえで、重要なことではない?

 

 

 

不法な臓器移植に題材を得たストーリー。
警視庁捜査1課に在職する犬養隼人は、女性刑事・高千穂明日香とともに、少年に対する連続殺人事件に立ち向かう。貧困が生み出す犯罪と臓器移植。
人間の尊厳を冒すような、凶悪な犯罪に背筋が寒くなる。 世界の片隅にはまだまだ僕の知らない事柄が、幅を利かせていることがあって、需要と供給が奇怪なバランスをとっているようだ。そんなことを思わせるような内容は、自分とは関わりのないことだと、なかなか割り切れない所に、現実味を感じるのだろう。

温かい日が続いて、このまま春から初夏へと順調に移行するのかと思っていたが、新型コロナウィルスの跋扈する世の中、そう簡単には進まない。そんな思いを起させたのは、4月5日の肌寒さであった。

 

 

当に月日の過ぎるのを早く感じるのは、歳をとったせいばかりではないような気がする。
大阪府や兵庫県、北の方では宮城県の新型コロナ感染者が、増加の一途をたどっている。変異株も猛威を振るっているようだ。第4波の始まりだろうか?当初の想定より新型コロナウィルスは、したたかな模様を示している。


毎晩NHKテレビの競泳日本選手権を見て、選手たちから元気をもらっているが、特に池江璃花子選手の復活ぶりには驚くばかりだ。2年の歳月には我々の想像もつかないような、努力や闘いの日々があったのだろうと思うと・・・・。
バタフライ100mの決勝でゴール後、掲示板を振り返った時の、こみ上げる号泣ともいえるプールでの彼女の姿に、思わずもらい泣きをした。
世界に誇る一流選手、スター選手のこれからに増々拍手を送りたくなったのだ。
だが、果たして彼らの努力の結果を示せる、オリンピックは開催されるのだろうか?そんな疑問もわいてくるのだ。海外からの選手の受け入れもままならない状態で、目の前に迫っている開催日が、幻のごとく消えていくような気もしている。

 

 

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

 


2013.カンパニュラの銀翼

2021年04月04日 | サスペンス

 

カンパニュラの銀翼
読了日 2020/10/09
著 者 中里友香
出版社 早川書房
形 態 単行本
ページ数 465
発行日 2012/10/25
ISBN 978-4-15-209327-1

 

上の著者名をクリックすると、今まで読んだ著者の作品一覧へ移動します。

 

日、4月4日はJLPGA(日本女子プロゴルフ協会)及びヤマハ主催の、ヤマハレディースオープンの最終日の競技が、静岡県の葛城コースで行われた。ファーストラウンドから好成績でトップを走ったのは、新世代と称される山下美夢有選手だったが、なんと最終日66というベストスコアをマークした、稲見萌寧音選手が逆転優勝を果たした。
ゴルフに限らず若手の有望株が次々と現れては、その活躍ぶりを示していく展開に、一観戦者としては驚くばかりだ。残念ながら優勝を逃し2位となった山下美夢有選手はまだ19歳だから、今後の活躍が大いに期待されるところだ。
新型コロナウィルス感染予防のため、無観客の大会だったが、それにもめげず各選手の活躍ぶりに、力をもらった。

 

 

文学賞はどれも似たような審査員が関わっているから、特に並外れた作品を期待しようもないが、早川書房の主宰するアガサ・クリスティ賞は、第一回受賞作の森晶麿氏の『黒猫シリーズ』に魅せられて、既刊前作を読んでいるので、その後に続く受賞作にも目が向く。
この作品は第2回の受賞作だが、うっかりと言うか、何か難しそうな感じがして、後回しになっていた。歴史問題がどちらかと言えば苦手な僕は、中世ヨーロッパについても同様で、と言うより日本の歴史よりもなお苦手だ。
苦手と言うのは理解力がないことだろう。好きなことにはさほど努力せずに、何とか理解できるのだが、苦手 意識があると、はなから敬遠してしまうから、いつまでもとっつきにくいという感じが抜けないのだ。
それでも図書館のサイトでは本書を始めとする僕の苦手と思う図書は、いつでも貸出可となっているから、僕だけでなく苦手な人は多いらしい。

 

 

み始めて直ぐに、哲学的などと言う単語が飛び出すから、読むのを戸惑わせたが、ミステリーの醍醐味を味合わせるがごとき、初っ端のエピソードに依り惚れこんでしまった。
エリオット・フォッセーは、資産家の娘で目の見えなくなった妹(クリスティン)に、血の繋がりのない兄のふりをして、通い続けていた。そんな彼のもとにシグモンド・ヴェルティゴという見目麗しい男が現れた。
物憂い雰囲気に包まれた人物たちと、1920年代の英国貴族の家庭が、アガサ・クリスティ・ミステリーとは別の魅力を漂わせるストーリー。

午後遅くからは雨になるという気象情報、の割にはまだ3時半過ぎだからか、木更津地方はまだ少し晴れ間もあって明るい。 別にこれと言った用事があるわけではないから、雨でも構わないのだが、やはり晴れ間は気も晴れる。

 

 

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村