隅の老人のミステリー読書雑感

ミステリーの読後感や、関連のドラマ・映画など。

2033.悪いものが、来ませんように

2021年07月26日 | サスペンス

 

悪いものが、来ませんように
読了日 2021/04/01
著 者 芦沢央
出版社 KADOKAWA
形 態 文庫
ページ数 299
発行日 2016/08/25
ISBN 978-4-04-104442-1

 

上の著者名をクリックすると、今まで読んだ著者の作品一覧へ移動します。

 

沢央と言う作家を知ったのは、本書ではなく他のタイトルだったと思うが、残念なことに覚えていない。僕の記憶は日増しに衰えていくようだ。老人性の健忘症か?そんなことを考えると誠に淋しい限りだが、歳をとることと記憶力は一説には無関係だともいわれている。
しかし現に僕の実体験では、若い頃には今のように頻繁に物忘れを起こすことはなかったような気がするのだ。だから、多少は加齢と物忘れも関りがあるのではないかと思うのだ。本の内容とは少し離れるが、と改めて断ることでもないか、僕の記事は本に関するところはほんの僅かで、無駄話が多く自分でも呆れているのだ。
近頃新たに知った女性作家さんはその小説の才能だけでなく、見目麗しさも並大抵ではないと感じているのだ。そうでなくてはデビューすることが出来ないのかと思うほどだ。(そんなことあるわけねえよ!)
と、そんなことを書くと、セクハラだの言葉による暴力だなどと言われかねないが、正直な僕の思いで、決して女性作家を貶めたり、軽蔑したりしているわけではない。むしろ、きれいな女性作家が多く出てくることは読書人としても誠に喜ばしいことなのだ。

 

 

と言ったところでプロローグを読み始めて、「僕の好みではなかった!」と感じて、直ぐにこの本を選んで買ったのは失敗だったか、そんな思いが湧いた。
女性心理の悩ましさなどを理解させるようなストーリーは、僕の最も苦手とするところで、すぐにそうした印象をもったから、途中でやめようかと思ったが、折角手に入れた本だからと第1章を読み進めるうちに、だんだんとストーリーに入り込むように進むではないか。プロローグが気にいらないからと言って、読むのを止めていたら、危うく傑作を見逃すところだった。
だが、そうして気に入らない小説を気分を悪くしながら読むことも珍しくはない。だが、もしかしたら僕はまた新たな好きな作家に出合えたのかもしれないと思うようになったのだ。
助産院で働く庵原紗英は、子供を欲しいと思っているが、夫・大志の協力が得られていない。そんな中彼女は大志が浮気していることをスマホから見つけてしまう。柏木奈津子は「別れちゃいなさい」というが、そういう奈津子自身も母や夫と理解しあえていなかった。
そして、大志の他殺死体が発見されて、事態は大きく変わっていく。
さらに、終盤「アッ!」と驚くような展開に、理解が及ばなくなるような感じを受けて、今までの何気ないストーリーの変遷が、まさかと思わせて震える。

 

 

日7月25日は新型コロナウィルスワクチンの、2回目の接種日で、僕は木更津市福祉会館に行ってきた。福祉会館は西口にあり、木更津市は古くからの街で、木更津港に面した西口が昔は栄えていたのだが、現在は新しく開発された東口に、住宅地や商店が乱立して西口方面はややさびれている感じがしていた。
それでも市役所や警察署などが、建物を新たに建て替えるなどの施策を施して、ややにぎやかさを取り戻している。福祉会館は玄関口が表通りに面していないので、駐車場などが分かり辛く1回目の時は、裏口に車を止めたが、今回は注意して分かり辛い玄関口を捜して、駐車場に車を入れた。
僕の時間は11時に設定されていたが、玄関口を探すなどで時間を取られると思い、早めに家を出たので、やや早めに着いてしまって、30分ほど待つことになった、受付で番号札をもらって待つこと30分。
接種はほんのちょっぴり“チクッ”としただけで、前回同様あっという間に終わる。その後15分の間座って待ち、ワクチン接種の証明書をもらい帰宅の途についた。僕はワクチン接種を急いでいたわけでもないから、かなり遅れてネット予約をして、何の支障もなく接種予約が出来て、接種そのものも今頃ではあるが、充分余裕をもってできたことに、かつて予約が取れない等の騒ぎは、何だったのだろうという気がしている。
毎日暑い日が続いているが今挽(7月26日)から、台風8号が近づいて大雨・暴風の影響が及ぶらしい。
被害の少ないことを祈るばかりだ。

 

 

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

 


2032.古書カフェすみれ屋と悩める書店員

2021年07月22日 | 図書
古書カフェすみれ屋悩める書店員
読了日 2021/03/30
著 者 里見蘭
出版社 大和書房
形 態 文庫
ページ数 299
発行日 2017/03/15
ISBN 978-4-479-30644-3

 

上の著者名をクリックすると、今まで読んだ著者の作品一覧へ移動します。

 

津市のBOOKOFFで100円の文庫棚から本書を見つけ、買って帰宅してからシリーズ2作目であることを知った。そういうことはBOOKOFFで贖う場合は珍しいことではない。出来ればシリーズ作品は発行順に読むことが良いには違いないが、こういう店ではシリーズ最新巻あるいは新しい巻が並んでいることが多いから、致し方がないと言えるだろう。
ところでいつものごとく、3月30日という早い時期に読んでしまい、その内容はとっくの昔に忘れており、おまけに読み終わって間もなく本は処分してしまっている。またBOOKOFFでうまく見つかれば買ってくるのだが、そううまくいくはずもなく途方に暮れた。
そこで、ヤフオクを見ていたら、なんとこのシリーズを2冊バンドルで出品している人がいたのだ。しかも締め切りが先週の土曜日で、僕が確認したのは7月11日くらいだったから、喜び勇んで入札したのだった。
入札額は商品代300円と送料198円でトータル498円だ。
土曜日まで競争相手は現れず、僕は運よく落札できて、今日(7月20日)無事商品を手にしたのだ。

一度読んで手放した本をまた買うなどと言った、バカげたことはあまりしたくないことだが、こんなことしているから僕は一年中懐具合が寂しいのだろう。大した額でもないからいいようなものだが、それでも無駄遣いには違いないから、気を付けよう。

 

 

 

さて、古書カフェすみれ屋とは、オーナーの玉川すみれが住宅街の一軒家を改造した個人の店だ。古書店とカフェ(軽食堂)が一体となった店で、カフェはオーナーがシェフを務めており、古書店は紙野君という青年が店長を務めている。
以前玉川すみれが書店と併設されていたカフェでアルバイトをしていた時、書店で働いていたのが紙野君だった。そんな紙野君はカフェを訪れる客が抱えるミステリーについて、「この本を買ってください」と、1冊の本を差し出すのだ。
紙野君が紹介する本は、すべてが実名で実際に出版されている。それも現時点で流通もしているから、読もうと思えば入手も可能だ。そんな本が客の謎を解決する助けをしてくれる。 本だけではなく、カフェで出される料理についても同様で、すみれさんの料理は食べて見たくなるほど、おいしそうな雰囲気を醸し出すのだ。3篇目の「サンドイッチ・ラプソディ」では、ウツになった姑が食べたいというハンバーガーの話だが、すみれたちが奔走しながら作るハンバーガーの中で、僕は以前ハンバーガーの好みについて弟と話し合ったことを思い出した。

 

 

は盛んにモスバーガーのハンバーガーの旨さを強調していたが、僕も一時期はモスバーガーファンとなったこともあるが、すぐにマクドナルド派に戻った。それはマクドナルドのハンバーガーに、シンプルな良さを見つけたからだ。もちろんマクドナルドのハンバーガーも多種多様のものがあるが、一番はただのハンバーガーのシンプルな良さだ。僕のそのシンプルなハンバーガーや、チーズバーガーの飾らない旨さが好きなのだ。
僕にすれば単に安いということも好みなのかも知れないが・・・。

すみれ屋のすみれさんが、アメリカナイズされて居るかの様な印象を受けたことと僕がアメリカそのものの様に感じているマクドナルドのハンバーガーに素朴な旨さを感じるのだ。

ハンバーガー談議になってしまったが、それはこの本から受ける印象のほんの一部だ。こういうお店が近くに有ったら、僕は入り浸ってしまうのではないかと感じている。

 

収録作
# タイトル
1 ほろ酔い姉さんの初恋
2 書店員の本懐
3 サンドイッチ・ラプソディ
4 彼女の流儀で

 

 

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

 


2031.教室がひとりになるまで

2021年07月13日 | 青春ミステリー

 

 

教室がひとりになるまで
読了日 2021/03/28
著 者 浅倉秋成
出版社 KADOKAWA
形 態 単行本
ページ数 284
発行日 2019/03/01
ISBN 978-4-04-107766-5

 

上の著者名をクリックすると、今まで読んだ著者の作品一覧へ移動します。

 

にこれといった目的もないのに、時々同じタイトルを見にするうち、だんだんと気になってくることがある。本書もそんなうちの1冊だ。タイトルの教室と言う文字から、青春小説かとも思ったが、ミステリーらしいから読んでみようか!
と言う気になって、木更津市立図書館で借りてきた。3月26日の事である。
ついその前まで緊急事態宣言中で休業していた図書館が再開したのも、僕を読もうという気にさせたのかもしれない。こんな風にして僕の新たな作者への挑戦が始まる。今まで知らなかった著者の作品を読むということは、僕にとっては未知への挑戦で、若い頃、と言ってもこの記録を始めた頃だから、60歳を超えていて決して若いとは言えないが、近ごろは60歳でも見方によっては若いという範疇に入るらしい。

 

 

今これを書いている7月13日は、アメリカ大リーグのホームランダービーが行われて、NHKテレビでその中継放送があった。多分多くの野球ファンがテレビの前で、日本選手がこのダービーに参加するのは初めてと言われる、エンジェルスの大谷翔平選手の活躍に、声援を送ったと思われるが、残念ながらファン・ソト選手に31対28で敗れ、1回戦で敗退した。
アメリカ大リーグの選手たちの競技を見ていて、思ったのはこれは技術競技もさることながら、究極は体力勝負だと感じた。彼らのスタミナにどう対処するかが勝負だと思ったが、案の定大谷選手は最初の3分間の勝負で、その体力を使い切ってしまったかのような様子だったから、対戦相手のファン・ソト選手に負けたのは無理はなかった。
これはもうリーグ戦の長い戦いの中での勝負とは一味も二味も異なる闘いだ。体力勝負では基礎体力の戦いだから、技術の差で戦う場合は圧倒的な技術を誇るところまでアップしておく必要がある。来年のダービーに出場できるかどうかは未知数だが、基礎体力の問題をどう解決するかが、勝ち上がる要因だろう。

 

 

て、本書のストーリーは、垣内友弘の通う北楓高校2年A組の生徒3人が自殺するという事件が続いていたというスタートだ。垣内は担任教師の河村に、休んでいる女生徒・白瀬の様子を見てきてほしいと言われる。
白瀬美月は垣内と同じマンションに住んでおり、しかも隣の部屋だった。
その日の内に隣のインタフォンを鳴らして、白瀬美月を呼び出すと、彼女は自殺したとみられている3人は、実は殺されたのだという。殺したのは、垣内たちのA組の隣B組で、定期的に行われている仮想パーティの時に、死神の扮装をしていた生徒だというのだ。
男だか女だか分からないその死神は特殊な能力を持つといって、まだ殺す人物がいると言う。白瀬は垣内に助けを求めた。

やがて、死神の特殊能力が本物だということが分かって、垣内は調査を始めるのだが…。

 

収録作
# タイトル
第一章 告白
第二章 国家
第三章 一般言語学講義
第四章 人間不平等起源論
第五章 悲劇の誕生

 

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

 


2030.チャイナ橙の謎

2021年07月11日 | 本格

 

 

チャイナ橙の謎
THE CHINIES ORANGE MYSTERY
読了日 2021/02/26
著 者 エラリイ・クイーン
Ellery Queen
訳 者 井上勇
出版社 東京創元社
形 態 文庫
ページ数 364
発行日 1960/01/01
ISBN 978-04-488-10412-2

 

上の著者名をクリックすると、今まで読んだ著者の作品一覧へ移動します。

 

い時からの憧れであったエラリイ・クイーン氏の、国名シリーズの1篇だ。その憧れだった割に僕はまだ今までに、たった3冊しか読み終わってない。いつもの言い訳をすれば、やはり、いろいろと面白い新刊ミステリーが泉のごとくに湧いてくるように、出現するからだ。
ミステリファンを自認するからには、やはりクラシックな作品、特に黄金時代と言われる頃の作品には目を通しておくべきと思いながらも、新たな作品の誘惑にはなかなか勝てない。
特に僕などは残された時間に限りがあり、読める量はそれほど多くはないから、余計に新作に目を惹かれるのだ。だが、僕は高校生の頃本格ミステリーの雄ともいわれていた、著者の作品に憧れていて、自分で金を稼ぐようになったらシリーズ全冊を買って読むんだと意気込んでいた。
その頃のことを思い起こしていると、エラリイ・クイーンの国名シリーズにあこがれていた一つの要因が蘇った。それは終盤近くになって、差し込まれている“読者への挑戦”だった。
それまでにすべてのヒント・条件が示されている。読者の推理を促すというわけだ。僕はこの“読者への挑戦” が純粋に本格ミステリーだということを示しているのだと、僕自身は犯人捜しは不得手ながらも、そうした読者と知恵比べをするような試みに強く惹かれたのである。
後に国産のミステリ―の中にもそうした試みを現す作品が出てきて、特に僕の好きな作家では高木彬光氏の作品に有ったと覚えている。

 

 

この『チャイだ橙の謎』にももちろん“読者への挑戦”は当然のごとく差し挟まれている。
だが、世界的なミステリー研究者とも言える、エラリイ・クイーン氏に向かって。大変失礼な言い方になるが、この作品では必ずしも読者に対して公平なヒントを与えているとは思えない。
あまりにもある一つの事柄に、偏向の嫌いがあるのだ。それが読者全員に理解されない所だと考えるのだ。それに、冗長ともいえるエラリイ・クイーン(主人公の探偵の方)の推理と言うか、解決に至るまでの行動についていけないと感じさせてしまうのだ。
もっとも尊敬すべき大作家の作品にケチをつけるわけではないが、僕はこの作品に少なからず落胆の気分を味わった。昔夢中で読んだ作品も、いまだ10冊を少し超えた位しか読み返してないから、偉そうなことは言えないが、いくら考えてもこの作品はエラリイ・クイーン作の中でも駄作に入るだろう。

 

 

よいよオリンピックの開催日が近づいてきた。無観客まで想定することにどんな意味があるのだろう?
東京都に発出された緊急事態宣言が、新型コロナ対策と矛盾していることに、何故気づけないのだろう。
まるでオリンピックがコロナウィルスを抑えるかのような考えを持っているのだろうか?この国のリーダー達は。いろいろと考えの違う人たちがいて、国が成り立っているのだが、リーダー達ばかりでなく、そのリーダーに寄り添う人たちの考えも、理解できないことの一つだ。
今日、7月10日は朝からNHKテレビでで、西日本の豪雨に対しての報道が続いている。まだ大きな災害の報告はないが、起きていてもおかし宇ない状況が、依然として続いている。
自然災害に対する我々人間の力がいかに弱いものか、新な思いを持たせる瞬間だ。

偉大なミステリー研究者としても尊敬するエラリイ・クイーン氏の作品に対する記事としては、少々嫌な感じになってしまったが、致し方がない。

 

 

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

2029.虚栄の肖像

2021年07月09日 | 絵画
虚栄の肖像
読了日 2021/02/18
著 者 北森鴻
出版社 文藝春秋
形 態 単行本
ページ数 245
発行日 2008/09/30
ISBN 978-4-16-327320-4

 

上の著者名をクリックすると、今まで読んだ著者の作品一覧へ移動します。

 

8歳という若さでこの世を去った、北森鴻氏はその若さながらたくさんのミステリー作品を残している。僕はこの読書記録を始めた頃は、ミステリーファンだとは言うものの、結構長いこと活字離れをおこしていた(いや、業務上の参考書類しか読んでなかった)から、ミステリー関連の知識も乏しく、特にその時代デビューした作家諸氏の事情にも疎かった。
木更津駅前に有った文教堂書店に機会あるたびに依っていたが、その頃はもっぱら新刊ミステリーを手にすることが多かった。東京創元社の主宰する鮎川哲也賞の受賞作『狂乱廿四孝』を目にするも、買おうか買うまいかとずいぶん迷っていたことを、今では懐かしく思い起こす。 その頃からすでに20年と言う月日が過ぎ去った。
そして著者が亡くなってからでさえ、11年が過ぎているのだ。何と時間の過ぎるのは無情にも早いのだろう。
この作品は、花師と絵画修復師という二つの顔を持つ佐月恭壱を主人公にした、『深淵のガランス』と言う作品のシリーズ作品。
著の作品にはこの他にもシリーズ作品はいくつかあって、いずれの作品も僕は好きなのだが、蓮杖那智という民俗学者のフィールドワークシリーズは、今僕が夢中になっている、「准教授・高槻彰良の推察」シリーズとは異なる面白さがあって、好きな作品だ。

 

 

 

ずいぶん暫くぶりの著者の作品だ。僕は先述の『狂乱廿四孝』以来著者のファンとして、20冊以上読んでいるから、もう未読の作品はそれ程数多くはないだろうが、このところあまり探してもないので、この際だから未読を探して読んでおこうと思っている。

この佐月恭壱シリーズ(シリーズと言っても『深淵のガランス』と本書の2作だけだが)の主人公である佐月恭壱を始め、旗師と呼ばれる冬狐堂・宇佐美陶子の特異なキャラクターも好きだ。
もう、新作は望むべくもないが、これからはまたおりにつけ好きなしリーズ作品を、読み返してみたいと思っている。が、次々と刊行される新作ミステリーの誘惑にも耐えがたい。もう、左程残された時間があるわけではないことを考えると、広く浅く読んでおきたいという僕の趣旨に反するようなことは、なかなかできない気もして・・・・

 

 

て、本書の収録作は下表のとおり、短編の三篇だ。
先にシリーズの主人公・佐月恭壱について、花師と絵画修復師の二つの顔を持つと紹介したが、彼の仕事場には佐月が「善ジイ・・・」と呼んでいる前畑善次郎と言う老人がいる。北森氏のストーリーを魅力足らしめているのは、必ずしも主人公だけでなく、こうしたサブキャラクターの寄るところが大いにあるのだ。
どうと言うことのない二人の会話の中にストーリーのキーがあったりするのが、読んでいてワクワクさせるところだったりする。
また、定番のような魅惑的な女性キャラの配置も、なんとも言えずストーリーに膨らみを持たしている。
この作品にも佐月をも虜にしそうな女性依頼人が登場して、ミステリーの謎をより一層深くするのである。

 

初出誌(別冊文藝春秋)
# タイトル 発行年・号
1/td> 虚栄の肖像 2007年5月、7月、9月号
2 葡萄と乳房 2008年1月、3月、5月号
3 秘画師異聞 書き下ろし

 

 

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

 


2028.准教授・高槻彰良の推察4 そして異界の扉がひらく

2021年07月07日 | 青春ミステリー
准教授・高槻彰良の推察4
そして異界の扉が開く
読了日 2021/02/16
著 者 澤村御影
出版社 KADOKAWA
形 態 文庫
ページ数 317
発行日 2020/05/25
ISBN 978-4-04-109264-4

 

上の著者名をクリックすると、今まで読んだ著者の作品一覧へ移動します。

 

昨日から昨日にかけて、いや実を言えばもう少し前からの事だ。心優しいヤフオク出品者に大分迷惑をかけてしまった。
僕は時々新刊のミステリーや名作ミステリーを捜して、ヤフオクを眺めることがあり、今回は多くのファンが認めている宝島社の「このミステリーがすごい!」大賞受賞作の『元彼の遺言状』が比較的安価で出品されているのを見て入札したところ、幸運にも落札できた。
ヤフオクはもう何度も利用しており、その後のヤフオクかんたん決済も滞りなく済んだとばかりと思っていたら、出品者から支払いの督促が来た。どうやら僕の処置の仕方にミスがあったようだ。
僕がゆうちょのページを一目確認すれば、いろいろと厄介なことにならなかったのだが、ミスはミスを呼び厄介なことになった。いろいろと出品者に謝ったが、先述のように心優しい出品者は、事情を察してくれた。
通常なら、落札者の都合でキャンセルとなって、悪い評価が付けられるところ、出品者の機転により僕のミスをカバーしたり、アドバイスをくれたりと言ったことで、商品も無事昨日僕の手に入ったのだった。

 

 

 

同じシリーズ作品を読んでいるのだから、同じような記事になるのは仕方がない。と思うのは僕の誠に勝手言い分だろう。まあ、文才のない僕の事だから、そうなるのは必然か!
でも僕は読んでいる中の一部分で、必ず「良いなあ!僕もそのうち。」などと思う箇所が出てくるのだ。
どういうところかと言えば、もちろん高槻彰良准教授の講義の場面だ。ここに何度も告白しているように、僕は高校しか出てないから、大学の授業風景に憧れがあるのだ。 高校でまじめに勉強していれば、大学に行けないことはなかったのだが、今考えても当時の僕は勉強に嫌気がさして、学校生活にも飽きてしまっていたのだった。今頃になって、なぜ恵まれた高校生活に不満があったのだろうと、不思議にも思うが人生はそんなものだろう。
後悔先に立たず、とはよく言ったものだ。心身ともに衰えている今からでは、と言うより、僕の弱点は経済的な余裕がないから、大学生活にあこがれても所詮は無理なのだ。

 

 

4月、今回は新年度で2年生となった深町が、1年生と間違われて各サークルから入部の勧誘を受けまくるところから始まる。そんな所を難波要一に笑われながら、木曜四限の現代民俗学講座Ⅰが行われる、第二校舎302教室へと向かうのだ。
高槻准教授の最初のテーマは異界についてだ。相変わらず人気の高槻彰良准教授の講座は、有名な都市伝説、“きさらぎ駅” について語られる。

さて、今日は当地方木更津は薄雲が広がっており、日の指す穏やかな天候だ。少し蒸し暑い。しかし中国地方の鳥取県あたりは大雨警報が発せられて、氾濫した川もあり、記録的短時間大雨災害情報が発せられている。
線状降水帯の記録されているところもあって、大変な事態を招いているようだ。
狭い日本とは言いながら、各地の状況は時により差があり、気象情報は災害の大きさの、顕著にその差を示している

 

収録作
# タイトル
第一章 四時四十四分の怪
第二章 人魚のいる海
「extra」 それはかつての日の話Ⅱ

 

 

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

 


2027.夜の床屋

2021年07月05日 | 本格
夜の床屋
読了日 2021/02/10
著 者 沢村浩輔
出版社 東京創元社
形 態 文庫
ページ数 309
発行日 2014/06/17
ISBN 978-4-488-43711-4

 

上の著者名をクリックすると、今まで読んだ著者の作品一覧へ移動します。

 

めてこのタイトルを見た時から気になっていた。それがどれくらい前だったかは忘れたが、発行日からはもう7年も前だと分かり、改めて月日の過ぎる速さを実感する。

昨日から関東地方を猛烈と言って良いほどの雨が襲っており、我が木更津地方にも珍しく大雨警報が発せられたほどだ。僕の居住地は元は山間地であったところで、海が見えるほどの高台なので、水害、土砂崩れなどについては心配ないが、つい今しがたのテレビの映像によれば、静岡の熱海での土砂崩れの凄まじいまでの勢いで、家屋を巻き込んで街中を流れ下っていた。
驚きや恐怖の思いは、なんとも言葉にできない出来事だ。
どうやら梅雨前線を伴った低気圧は東の海上へと遠ざかりつつあるようだが、かつての東北を始め関東までをも巻き込んだ大津波の流れを想起させるような土石流は多くの家屋をも巻き込んで、尊い人命も失うことになった。
昼過ぎに一旦雨が治まった時を見定めて、少しでも仕事を終わらせておこうとしたが、始めると再び雨は本降りとなったので、三分の一ほどで終わりにして引き上げた。

 

 

 

この分ではJLPGAの資生堂女子オープンも。中止になるのではと心配したが、協議を短縮して行うようだ。
このところ僕の贔屓の鈴木愛選手は、何かしらが狂っているようで調子が良くない。ベストテンに残らないどころか、予選落ちすることさえあった。
さて、競技は36ホールに短縮して行われて、2年ぶりの鈴木愛選手の優勝が決まった。

彼女の涙ながらの優勝インタビューに、思わずもらい泣きをする。こんな一流選手でスター選手でもある鈴木愛選手でも、苦しくてゴルフをやめようとさえ思うことがあったのだと知って、プロの世界の厳しさのすべてを知ることはできないが、応援するファンとしては見捨てることなく、「これからも続けて応援していくよ」と声援を送ったのである。

7月3日に書いた記事だから、日時の感覚が少し狂っており、ご勘弁ください。

 

 

日はテレビ各局ともに、熱海の土石流の現場取材で大忙しだ。現場取材に招かれた専門家によれば、土石流の起きた頂上付近に行われた「盛り土が土石流を招いた」との見解もあるが、いずれにせよ後からの意見はどうとでも言える。
盛り土を行う際もそれぞれ専門家の意見も斟酌されたのではないだろうか?自然災害から人的な災害へと見解が変われば、それはそれで大変なことになる。多くの人命も関わっており、責任の所在と言うことになれば、どこにそれを求めることになるのだろう?
今日7月5日は午後になって薄日が差すほどの天候になっている。いまだに行方や存在の明らかになってない人々は、警察、消防によって懸命の捜索が続いている。

 

収録作
# タイトル
1 夜の床屋
2 空飛ぶ絨毯
3 ドッペルゲンガーを捜しにいこう
4 葡萄荘のミラージュⅠ
5 葡萄荘のミラージュⅡ
6 「眠り姫」を売る男
  エピローグ

 

 

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

 


2016.MASK東京駅おもてうら交番 堀北恵平

2021年07月02日 | 警察小説

 

MASK東京駅おもてうら交番・堀北恵平
読了日 2021/02/07
著 者 内藤了
出版社 KADOKAWA
形 態 文庫
ページ数 306
発行日 2019/02/25
ISBN 978-4-04-107784-9

 

上の著者名をクリックすると、今まで読んだ著者の作品一覧へ移動します。

 

れっぽいのが僕の―短所?長所どっちだろう?―まあ、長所としておこうか。猟奇犯罪捜査班 藤堂比奈子シリーズで、すっかり著者のファンになってしまったから、他の作品も読んでみようと、本書はその2冊目だ。
1冊目はシリーズの番外編ともいうべき作品だったから、純粋にシリーズ外作品はこれが初めてか。
だが、買ってはみたものの読み始めるまでに多くの時間を費やすのは、例によって僕の悪い癖なのだ。この本も買ってから大分日時が過ぎた。しばらくぶりで読む著者の警察小説は、前のシリーズとはまた違った魅力的なキャラクターを配してセリフ回しが心地良い作品だ。
タイトルにもあるように、堀北恵平(けっぺいと読む)と言う名の新人刑事(の卵)をメインとする警察小説。だが、他の多くの多作品にある如く彼女がいじめにあうような描写はない。
ミニパトで交通整理をする婦人警官から、刑事への転身で好奇心旺盛な性格が、いろいろと新人らしい発見もあり、この後も楽しみなシリーズに発展しそうな予感がするのである。

 

 

僕は自然治癒力が人より高い、と言うような根拠のない自信を持っていた。誰しもそのようなものを持っているのだろうが、別に確たる目安があるわけではなく、あまり病気をしないという、単にそんなことからの儚い自信だ。 
だが、最近の体調不良にしても、病院に行くことをやめて様子を見ようとするのも、そうした自然治癒力を信じてのことかもしれない。本当は「生兵法は大けがのもと」などともいわれるから(ちょっと意味合いは違うか)、特に年寄りにとっては、万一を考えていち早く病院で医師の診断を受けることが良いのかも。
それでも体調不良の要因の一つに、椎間板ヘルニアがある。もう2年になるか、腰痛になりそれが左足まで広がって、整形外科で椎間板ヘルニアの診断を受けた。
痛みが治まらず、ブロック注射をされて、奇跡的に痛みは治まり通常の生活が復活した。それ以来腰痛も起きず、快適に収まっていたから安心して、つい重いものを持ってまたもや腰痛が起きて、足の方まで痛みが広がった。驚いて整形外科で痛み止めの薬を処方されて、少し様子を見ようということになって、数日したら痛みは治まった。
そんなことからも僕の自然治癒力への妄信が始まったのだ。

 

 

かしもう80歳を超えているから、根拠のない自然治癒力を信じてばかりもいられない。少し考えを改めて億劫ながら病院通いをしてみるか。もともと僕は病院と言うかドクターの診断は、120%信用していたのだから。そうしたことから僕にとってはプラセボ効果も絶大だろうと思っている。
なんだかまたまた訳の分からない話になってきた。偽の薬、いや薬でない、偽の薬らしいものでも多分病気が治ってしまうのではないかと思っている。誰しもが持っているものらしいが、僕は特にそうした傾向が強いのかもしれない。
最近はそうしたことがないが、以前は病院で診察を受けたというだけで、安心して治ってしまうということが一度ならずあった。
先述のごとくドクターへの信頼度が高いからの事だろうと思う。


停滞する梅雨前線のおかげで、今日は朝から雨模様だ。そればかりか午前中に防災無線から、珍しく木更津地方に大雨警報が発せられたという放送があった。雨は土曜、日曜と続くらしいから、仕事は月曜日以降になるか?

 

 

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村