隅の老人のミステリー読書雑感

ミステリーの読後感や、関連のドラマ・映画など。

1931.名もなき花の 紅雲町珈琲屋こよみ

2019年11月18日 | 短編集
名もなき花の
紅雲町珈琲屋こよみ
読了日 2019/08/21
著 者 吉永南央
出版社 文藝春秋
形 態 文庫
ページ数 308
発行日 2014/07/10
ISBN 978-4-16-790135-6

 

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早くには小雨がぱらついていたが、9時過ぎには雨も止んで青空が広がった。冬も目の前だとは言いながら、暖かな陽気が続くのはまことにありがたい。
昨日はLPGAツアーのテレビ放送を見ながら、興奮の時間を過ごした。それというのも贔屓の鈴木愛選手の活躍を見ることが出来たおかげだ。先週末は彼女の2週連続の優勝という快挙に、拍手を送ったのだがまさかの3週連続の優勝になるとは、いよいよ女子ゴルフ界の大スターとなったのだ。
しばらくは渋野日向子選手一辺倒だったテレビも、今回の伊藤園レディースゴルフトーナメントでは、鈴木愛選手から目を離せなくなったのだ。パットの名手と言われる愛選手だが、そのもととなる納得いくまでの猛練習風景は、業界の誰もが認めるところだから、この3週連続の優勝という快挙も、その練習の成果だといえるだろう。
また、彼女は体の不調から10月の1か月間を休んでいたから、その休み明けに立て続けの優勝には、誰もが驚いただろう。この優勝で鈴木選手は韓国の申ジエ選手を抜いて、賞金ランキング1位になった。今シーズン残り3試合で、変わる可能性はあるものの、彼女の勢いが止まることのないよう祈るばかりだ。

 

 

前の回にこのシリーズのことに少し触れたおかげで、読みたくなって借りてきた。僕の気まぐれな読書の最たる例だ。老婦人が主人公とは言いながら、『お蔦さんの神楽坂日記』とは少し趣が異なって、こちらはお草さん(主人公の名前だ)の思い込みによるところもあって、ちょっとやそっとでは解決に至らない。
僕はもう彼女たちよりも年上になっており、彼女たちの住む町にお邪魔したいという気もある。最近、テレビでもよく見るのが、田舎暮らしへの移住や、転居が話題となっているが、限界集落などともいわれる、小さな村や町では、住人が都会へと流出して、空き家が増えているらしい。そうした町や村の活性化の一環として、都会から移住する人向けに安価で貸すというシステムを導入して、小規模の地方行政も必至だ。
しかし、住むところによって情報の遅れなどが生じないインターネットの社会は、IT関連の業務を行う人たちにも、田舎暮らしを進める傾向があるみたいだ。

 

 

もマイハウス(昔は、いや今でもマイホームを手に入れる、という言い方があるが、僕はマイハウスが正しい言い方だと思っている。)を手に入れるまでは、そうした田舎暮らしを考えたこともあるが、今のようにどんな田舎にも福祉施設がいきわたる(いや、まだそこまで入ってないか)世の中になるとは思っていなかったから、息子の施設入所を頭に入れて―というのは主にカミさんの考えだったが―現在のところの住居を構えることになった。
話の行く先がだんだんそれていって、何を言っているのかわからなくなった。

本を読んだ後に生ずる想いは、その時の自分の年齢や、環境など多くの要素によっても、いろいろと変わるものだろう。ごく当たり前のことが、その時にはわからないことも往々にしてある。好き嫌いだって時には変化するから、また体調などによる心の動きにも、関りがあるのだろう。
このシリーズを木更津市立図書館で借りた時も、そんな感じがしたものだ。というのは今頃になって読んでみたいと思うのは、僕の前に読んだ時の想いが薄れている証拠だからだ。というのは前にシリーズを2冊読んでいるにも関わらず、その時には続けて読もうという気にもならなかった。そうした思いにも至らなかったのは、たぶん、僕の望んでいた面白さではなかったのか、という思いを持っていたからなのだ。

 

 

あまり関りのないことだが、第五話の“皐月の嵐”で、「フランス窓」という単語が出てきて、僕は「おやっ!」と思った。昔ミステリーを読んでいると、盛んにこのフランス窓が出てきて、僕はそれがどんな窓なのか知らず、その名からモダンな窓なのだろうと思っていた。
後で床と同じ位置にレールのある窓で、開ければそのままベランダなどに出られる窓だと知り、「なあーんだ。」と半ばがっかりしたことを思い出す。今は昔の話だ。
巻末に記された初出によれば、第二話の“霜月の虹”のみがオール讀物2012年5月号に掲載された作品で、後はすべて書き下ろしだという。僕は読み終わった時、第一話から最終六話までストーリーの流れが、全く違和感なくスムーズに展開していることに、改めて驚いた。

朝晩寒いほどに気温が下がるが、日中は晴れれば僕の部屋は暖かく、時には多少厚さを感じられるくらいだ。できればこの暖かさがもうしばらく続いてほしいものだ。

 

収録作
# タイトル
第一話 長月、ひと雨ごとに
第二話 霜月の虹
第三話 睦月に集う
第四話 弥生の灯
第五話 皐月の嵐
第六話 文月、名もなき花の

 

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1930.無花果の実のなるころ お蔦さんの神楽坂日記

2019年11月07日 | 連作短編集
無花果の実のなるころに
お蔦さんの神楽坂日記
読了日 2019/08/14
著 者 西條奈加
出版社 東京創元社
形 態 文庫
ページ数 296
発行日 2013/09/20
ISBN 978-4-488-43011-5

 

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日の土曜日は僕の誕生日で、夜食を外食の予定だったが、あいにく娘の勤務日で帰りを待つと遅くなるから、誕生祝の外食は翌日に日延べとなった。我が家は僕とカミさん、息子は障害者で福祉施設に入所しているので、娘との3人暮らしだ。
それぞれの誕生日にはその日の夜食を、ささやかな外食にすることで祝う。前にも何度か書いたことがあるが、今回はすかいらーくグループが運営する“夢庵”がその会場となった。更に夜食ではなく、昼食だ。
と言うのは僕の視力が夜盲症というほどではないが、夜の暗さに少しずつ見えにくくなっているからだ。
祝いの食事とはいっても、大げさなことではなく、ごく普通の食事だ。夢庵木更津店は木更津市ほたる野の交差点角のあり、近くに大型スーパーのアピタや、ユニクロなどもある新興の開拓地だ。
我が家から最短の場所にある店舗だ。日曜だったので混んでいるかと思ったら、それほどでもなく待たずに食事ができた。

 

 

メニューは新聞の折り込みのチラシに載っていたもので、カミさんが前から決めていた。入店して奥の席に案内され着席後まもなく、チャイムを押して係員にオーダーする。
10分ほどで料理が来た。店内は適当な混み具合で、日曜の割には小さな子供の声もせず、静かだ。幼児の泣き声などには、僕の方は一向に気にならないが、カミさんは小さな子供や乳飲み子を抱いた人を見ると、傍によってあやしたりするのだが、就学前の子供のぐずったりする姿に嫌悪感を示す。今回はそうしたことがなく、穏やかに食事を済ますことが出来た。

この本を読んでみようと思ったのは、 “お蔦さんの神楽坂日記”というサブタイトル(もしかしたら、こっちのほうがメインタイトル?どちらでもいいか。)に、惹かれたからだ。
前に、1冊だけ吉永南央氏の『紅雲町珈琲屋こよみ』という、シリーズ作品を読んでいるからだ。どちらも年配の婦人が―いわゆるお婆さんが―主人公の、短編集だ。
そんな作品は、アガサ・クリスティ女史の、ミス・マープルのシリーズを連想して、僕好みのストーリーだと、思ったからぜひ読んでみたいと借りてきた。

 

 

、いろいろ書いたが、要するに僕が好ましいと思う作品は、探せばまだまだ世の中にたくさんあるということなのだろう。だが、気づかずに見逃していることの方が多いから、出会った時の嬉しさはまた格別なのだ。 元芸者のお蔦さんは、息子の家族と同居していたのだが、彼が北海道へと転勤になったため、長男の中学3年生(滝本望)を残して転居した。 お蔦さんにとって孫の望は、結構機転の利く少年で、彼にとってはお祖母さんだが、「お蔦さん」と呼んで彼女の台所仕事を受け持っている。滝本家は代々そうした仕事は男性が受け持つものという不文律があり、望もその例にもれず、腕前を誇っているのだ。 お蔦さんの物言いは、元芸者さんということだけでなく、人におもねることなく思ったことは遠慮なく言うところが、物語を引き締めて心地よく読める。いわゆる“日常の謎派”と言われるジャンルに属するのだろうが、お蔦さんと望少年の息もあって、表題作他6つのミステリーを名探偵お蔦さんの名推理で解かれる。

 

収録作
# タイトル
1 罪かぶりの夜
2 蝉の赤
3 無花果の実のなるころに
4 酸っぱい遺産
5 果てしのない嘘
6 シナガワ戦争

 

 

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1929.化学探偵Mr.キュリー3

2019年11月02日 | 短編集
化学探偵Mr.キュリー 3
読了日 2018/08/10
著 者 喜多喜久
出版社 中央公論新社
形 態 単行本
ページ数 331
発行日 2015/06/25
ISBN 978-4-12-206123-1

 

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神状態が安定していないような気がする。何をしていいのかわからない状態が続いている。前回BDレコーダが突然直ったということを書いて、いろいろやりたいことがあって、ワクワクしていたのだが、いざCS放送を録画してあったものをダビングしたりしている内に、なんとなく無駄なことをしているような感じがして、昨日あたりからそれもやめた。
CS録画はそのままではDVDにダビングすることが出来ないため、一旦BDレコーダに移し替える必要があるのだが、今度は大量の記録はBDでないと容量不足になるから、BDディスクが必要だ。今のところそんなものを買う余裕もないから、BDレコーダのHDDが余裕がなくなってくる。
僕は、「何をやっているのだろう?」と、やっていることに疑問を抱く。まあ、そんなことで途中でやめる、といったことなのだ。見方によればぜいたくな悩みかもしれない。おかげでブログも間が開くのは当たり前のこととなってきた。
以前は80歳で、2千冊を読み終えることを目標に、読書を頑張ってきたが、昨年のパソコンの故障により、そんな目標もどうでもいいという気になって、現在に至っている。

 

 

今日は僕のその80歳の誕生日だ。“目出たくもあり目出たくもなし”という心境で、大した感慨もなく、それでもサボっていたブログを書こうという気になった。かつては今日で2千冊を読もうとしていたのに、今のところ大分不足している。
まあしかし、来年の81歳までにどうやら目標以達するようだから、80歳の内に読めれば良しとしよう。
読書を趣味とする人なら誰でもそうだろうが、量を自慢するよりいかに中身を理解するか、あるいは楽しむことが出来るか、ということに価値を見出しているだろう。
ところが僕ははなからある程度の量を読むことを目的としていたから、どうしてもこだわってしまうのだ。

 

 

書は僕の好きなシリーズ作品の一つで、と言ってもファンになったのはだいぶ遅いから、シリーズ作品はすでに8巻まで刊行されており、雄子ファンになった特典として、待たずに次々と読めることが嬉しい。
浅学な僕はそんな人気シリーズ作品を、知らずにいてかなり遅くなってのファン作品がいくつもあった。ということで、前述の如くの得点を何度も味わうことで、幸せを感じている。知らないことも時には良いこともあるのだ。
このシリーズの面白いところは、やはりMr.キュリーと呼ばれている沖野春彦教授の、事件に対する視点や名推理だ。ミステリーの謎解きはマジックの種明かし同様、解かれてみればなるほどとは思うが、中にはなんだそんな事か、と思えることもある。
そこはここに登場する名探偵の、専門の化学的見地からによる、解明はいやおうなく納得させられて、楽しい。

 

収録作
# タイトル
第一話 化学探偵と呪いの藁人形
第二話 化学探偵と真夜中の住人
第三話 化学探偵と化学少年の奮闘
第四話 化学探偵と見えない毒

 

 

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