隅の老人のミステリー読書雑感

ミステリーの読後感や、関連のドラマ・映画など。

0062.ヴァイタル・サインズ―妊娠徴候―

2000年07月28日 | メディカル
ヴァイタル・サインズ―妊娠徴候―
VITAL SIGNS
読了日 2000/7/28
著 者 ロビン・クック
Robin Cook
訳 者 林克己
出版社 早川書房
形 態 文庫
ページ数 555
発行日 1995/07/15
ISBN 4-15-040670-7

回の事件は、タイトルに示すごとく妊娠についてだが、ごく普通に二人の子を授かった僕にとっては、欲しくても子の出来ない人たちの苦労には理解が及ばなった。
が、本書を読んで、世に不妊に悩む男女が多いということを知って、認識を新たにした。
そうした要求のあるところには必ずそれに応える産業が生まれるということも。受胎産業といわれる不妊治療の、闇の部分を主たるテーマとしたメディカル・サスペンスである。

~~~・~~~・~~~・~~~・~~~

不妊に悩む女医マリッサは体外受精に何度か失敗し、夫との間も気まずくなっていた。その矢先に、同じクリニックでやはり妊娠に失敗し、自分のカルテを要求していた女性患者が自殺するという事件が起きた。その女性と自分を含めて同じクリニックに通う五人もの患者が、結核性卵管炎という珍しい病気が原因で不妊になったことを知ったマリッサは、受胎産業の背後に潜む秘密に迫っていく。

 

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

0061.検屍解剖

2000年07月25日 | メディカル
検屍解剖
AUTOPSY
読了日 2000/7/25
著 者 ジョン・R・フィーゲル
John R. Feegel
訳 者 佐藤高子
出版社 新潮社
形 態 文庫
ページ数 435
発行日 1997/1/25
ISBN 4-04-254113-5

 

上の著者名をクリックすると、今まで読んだ著者の作品一覧へ移動します。

人と会社を共同経営するマール・ケイトンが、出張先のモテルで射殺体となって発見された。しかし自殺では保険金が支払われない。マールの妻パットに提訴を依頼された弁護士エリクソンは調査の結果、奇妙な点に気づく。
これは他殺ではないのか。犯人は?動機は?全米探偵作家クラブ賞受賞。

著者は、ジョージア州で検屍官を勤めていた医学博士だそうだが、本書はタイトルから受けるイメージの医学サスペンスと云うより、ハードボイルドと云った方が良いか?

 

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

0060.偽りと死のバラッド

2000年07月18日 | 本格
偽りと死のバラッド
SOME LIE AND SOME DIE
読了日 2000/7/18
著 者 ルース・レンデル
Ruth Rendel
訳 者 深町眞理子
出版社 角川書店
形 態 文庫
ページ数 318
発行日 1987/9/25
ISBN 4-04-254113-5

 

上の著者名をクリックすると、今まで読んだ著者の作品一覧へ移動します。

ングズマーカムの町始まって以来の大イベント、8万人を集めた野外コンサートは無事終わった。
だがウェクスフォードの安堵も長くは続かなかった。会場となった緑地のはずれから、とんでもないものが見つかったのだ。顔面を無惨に叩きつぶされた女の死体である。ウェクスフォード警部シリーズ第6作。
主としてロンドン郊外の町、キングスマーカム(架空の街)の警察署管内で発生した事件を扱うこのシリーズは、TVドラマ化もされて、原作とともに多くの読者、視聴者の支持を受けた。もちろん僕もその一人で、ドラマの方を先に見たが、原作も追々全部読みたいと思っている。

しかし、よく覚えていないのだが、雑誌のインタビュー記事かどこかで、ルース・レンデル女史の談話が載っており、彼女がアガサ・クリスティを評価していない旨の内容を読んで、意外に感じたことがある。
もしかしたら僕の勘違いかもしれないが、流儀は違うといえど、ミステリーとして両者ともに評価しているものとしてはちょっと驚き、いろんな見方があるものだと思った。
このウェクスフォード警部シリーズは先に映像の方でお目にかかっているので、原作を読んでもジョージ・ベイカー(ウエクスフォード警部)やクリストファー・レイヴンスクリフト(バーデン警部)の顔を思い浮かべてしまう。

 

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

0059.メグレと殺人者たち

2000年07月15日 | 警察小説
メグレと殺人者たち
MAIGRET ET SON MORT
読了日 2000/07/15
著 者 ジョルジュ・シムノン
Georges Simenon
訳 者 長島良三
出版社 河出書房新社
形 態 文庫
ページ数 269
発行日 2000/4/4
ISBN 4-309-46194-8

 

上の著者名をクリックすると、今まで読んだ著者の作品一覧へ移動します。

グレ警視のところに、見知らぬ男から電話がかかってくる。数人の男からつけ狙われ、生命が危いと告げ、助けを要請する。 メグレは男の告げた場所に刑事を派遣するが、彼はすでに立ち去ったあとであった。 深夜、電話の主とおぼしき男の死体がコンコルド広場で発見される…。

実は、僕は若い頃このシリーズを1篇しか読んでなく、それも、シリーズ以外の短編集に併載されていたものだった。 しかしながら、映像の方では、古くはジャン・ギャバンがメグレに扮する映画から、多くのTVドラマで見てきたので、小説を読んでも初めてという気がしない。
本国フランス以外の国でも数多く映像化されて親しまれているのは、やはり、市井の生活に根ざした人物像や、警察の捜査や、メグレ自身のキャラクターの魅力等々、 たくさんの要因があるからなのだろう。

 

今日はちょっと横道にそれて、昨日7月14日にワーナーホームビデオから発売された映画「コーマ」(本については37.参照)のDVDについて。3月にロビン・クック氏の原作を読んで、映画も見てみたいものだと思っていたら、割合早く観られることになった。
脚本・監督は自身もメディカル・ミステリー「緊急の場合は」でアメリカ探偵作家クラブ賞を受賞したマイケル・クライトン氏。
ドラマの舞台はクック氏の作品ではお馴染みのボストン記念病院。ここの8号手術室で手術後、原因不明の昏睡(コーマ)状態に陥った患者が1年の間に12人にも昇ることに不審を抱いた女医(原作では医学生)スーザンが独力で調査を始めるという筋書きだ。スーザンに扮するのはジュヌビエブ・ビヨルド、相棒のマークにはマイケル・ダグラス。
こうした映画は一つ間違うとどうしようもないチャチなものになってしまう恐れがあるが、なんとか上手くまとめてある。
社会福祉とか、健康保険に関する法律がわが国とは異なる背景があるので、理解しにくいところもあるがエンタテインメントとして及第点といって良いだろう。

 

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

0058.シャーロック・ホームズの冒険

2000年07月11日 | 短編集

'00年7月11日(火)

シャーロック・ホームズの冒険
THE ADVENTURES OF SHERLOCK HOLMES
読了日 2000/7/11
著者 コナン・ドイル
A.Conan Doyle
訳者 延原謙
出版社 新潮社
形態 文庫
ページ数 394
発行日 1990/05/30
ISBN 4-10-213401-6

 

上の著者名をクリックすると、今まで読んだ著者の作品一覧へ移動します。

 

の本と最初に出会ったのは、1955年(昭和30年)高校1年の時だ。探偵小説に夢中だった割に翻訳物には縁がなく、殆ど読んでなかった。当時存命だった伯母が、東横線祐天寺駅近くに洋裁店を開いており、高校入学が決まり、春休みに遊びに行ったとき駅近くの書店で何の気なしに買ったのがこの本だった。
そして本格的に探偵小説への開眼をしたというわけだ。その時の興奮は今でも忘れられず、こうして再び読書の世界に足を踏み入れた今、ぜひとも再読しておきたかったのだ。折に触れ、シリーズ全巻再読するつもりである。

収録作&原題
# タイトル 原題
1 ボヘミアの醜聞 A Scandal in Bohemia
2 赤髪組合 The Red-Headed League
3 花婿失踪事件 The Crooked Man
4 ボスコム谷の惨劇 The Boscombe
Valley Mystery
5 オレンジの種五つ The Five Orange Pips
6 唇の捩れた男 The Man with
the Twisted Lip
7 青いガーネット The Adventures of
the Blue Carbuncle
8 まだらの紐 The Adventures of
the Speckled Band
9 花嫁失踪事件 The Adventures of
the Noble Bachelor
10 椈屋敷 The Adventures of
the Copper Beeches




0057.ハームフル・インテント-医療裁判-

2000年07月06日 | メディカル
ハームフル・インテント―医療裁判―
HARMFULL INTENT
読了日 2000/7/6
著 者 ロビン・クック
Robin Cook
訳 者 林克己
出版社 早川書房
形 態 文庫
ページ数 566
発行日 1991/04/30
ISBN 4-15-040614-6

酔医ジェフリーは、薬の試用を謝って患者を死なせたとして医療過誤裁判に掛けられ、有罪を宣告された。
自分がミスを犯したとはどうしても信じられないジェフリーは、保釈中に逃亡し、事件の背後を調べていく。やがて、他の病院でも似たようなケースが起きていることがわかるが、麻酔薬が汚染されている?

~~~・~~~・~~~・~~~・~~~

ロビン・クック氏のメディカル・ミステリーはすべて林克己氏の名訳になるものだが、周知のごとく林氏もまた医学博士である。その林氏を以ってしても、頻繁に出てくる医学用語に戸惑うこともあるというのだから、僕のような全くの素人が、理解の及ばないところがあるのももっともだ。
だが、苦労の末の訳出ゆえのエンタテインメントとしての面白さに出会えるのだ。
フィクションとは言いながら、アメリカの実態は、数年後のわが国の実態となるといわれている。こんな怖い状況は来て欲しくないものだ。

 

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

0056.不変の神の事件

2000年07月03日 | 本格
不変の神の事件
THE CASE OF THE CONSTANT GOD
読了日 2000/07/03
著 者 ルーファス・キング
Rufas King
訳 者 高田恵子
出版社 東京創元社
形 態 文庫
ページ数 264
発行日 2000/04/14
ISBN 4-488-19102-9

 

上の著者名をクリックすると、今まで読んだ著者の作品一覧へ移動します。

ディアは宣言した。「これは殺人じゃないわ。処刑よ」
姉を自殺に追い込んだ憎き恐喝者が、いま残された家族の前で息絶えたのだ。彼らは死体を処分しようと画策するが、事件は早々に警察に知られてしまう。
一方、通報を受けたニューヨーク市警のヴァルクール警部補は着実に彼らの跡を追う。だが・・

 

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村