ABC殺人事件 THE A.B.C. MURDERS |
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読了日 | 2016/08/30 | |
著 者 | アガサ・クリスティ Agatha Christie |
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訳 者 | 中村能三 | |
出版社 | 新潮社 | |
形 態 | 文庫 | |
ページ数 | 327 | |
発行日 | 1960/09/25 | |
ISBN | 4-10-213506-5 |
前9時28分現在、当木更津地方は曇り空の隅から、薄日が差しかけて少し明るくなってきた。だが、相変わらずテレビでは台風10号の進路と、厳重な対応を促すニュースを流し続けている。思いもかけない複雑な進路で台風は、昼過ぎから夕方にかけて東北地方に上陸する恐れを予測させている。
温暖化の影響か?日本近海の海水温が、通常とは異なる上昇を示して、台風の強い勢力が衰えることなく日本本土を襲うことが、甚大な影響、被害をもたらすことになっている。科学の発達した現在でも、こうした自然の脅威を事前に防ぐことは難しく、気象庁が発表する気象状況によって、自ら対策を施す以外に道はない。
台風の進路に当たる地方の被害のできる限り小さな事を願うほかはない。
映像化されたミステリー(とは限らないが)のサイトなどで、視聴者から原作とイメージが違うという、クレームと思われる投稿をよく見かける。僕もそうしたことは結構感じることがあるが、それはそれとして僕は、 映像と原作とは別物と考えて、両方を楽しむことにしている。
こうしたことは幾度かここにも書いてきたが、本書を読んでいるうちに、エルキュール・ポワロに最も近いと評されたデヴィッド・スーシェ氏にしても、原作を読んでいるとき多少イメージの異なる感じを受けることもある。 そうはいっても、1989年から2013年までの14年にもわたり、ポワロを演じ続けたスーシェ氏の演技は、他と比べようもないほどの素晴らしさであることは、今更言うまでもない。アガサ・クリスティ女史の生み出したポワロ作品のすべてが、映像化されてそのすべてにポワロを演じることを、ライフワークとしたスーシェ氏の、ドラマへの入れ込みは並大抵のものではなかったという。
僕はそれほどの俳優の名演や役に対する心構え、映像化のスタッフへの賞賛などがあっても、所詮映像と原作とが多少は異なることがあるのは、当然のことだと言いたかっただけだ。
回に続き英国本国で映像化された、2大ミステリードラマ(その規模といい世界の国々で放送されたということでも、そう言っていいだろう)の一つである名探偵ポワロ(このタイトルは日本だけのもの)は、わが国では吹き替えを演じた熊倉一雄氏の名演でも脚光を浴びた。残念ながら熊倉氏は彼岸の人となった。
僕はずっと前に映像化されたこの「ABC殺人事件」を見ているのだが、読んでいてところどころしか思い出せないでいた。僕の記憶力の減退を今更言うつもりはないが、数多くのドラマを見ていると、時にはいくつかのドラマの内容が入り混じってしまうこともあるから、なかなか正確なことを記憶するのは難しい。(というのも多分僕だけのことか)
若い頃なぜかクリスティ女史の作品を敬遠したかのように、読むことがなかった割に、映像化されたものを見ることには、何の抵抗もなく楽しんできたから、作品を読まなくともすでに読んだかのように感じてきた。
英国のテレビドラマ以前には、1975年に公開されたアルバート・フィニー氏の主演による映画「オリエント急行殺人事件」が、大ヒットして、後にピーター・ユスチニフ氏のポワロで、何本か映画化された。
ポワロ作品のほかにミスマープル・シリーズからも映画化されて、クリスティ女史の作品の華やかさが映像向きだという批評もあって、いつの間にか僕もクリスティファンになっていたらしい。
本書を読んで原作の面白さが、記憶があいまいなドラマを再見して、どんなドラマになっているか確かめようとしたら、録画してDVDに保存したはずが見当たらない。仕方なく今NHKのBSプレミアムでハイビジョンリマスター版が放送されたら、もう一度録画してみることにしよう。
しかし、こうした古典的な名作を読んでいると、遥か昔に現在のミステリーで使われているシチュエーションや、あらゆるトリックなどの原型が作られていることを知って、「古きを訪ね新しきを知る」といった諺などを思い起こすことになり、ミステリーの奥深さをより知ることになる。
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