隅の老人のミステリー読書雑感

ミステリーの読後感や、関連のドラマ・映画など。

1718.天久鷹央の推理カルテⅡ

2017年03月04日 | 本格
天久鷹央の推理カルテⅡ
読 了 日 2017/03/04
著  者 知念実希人
出 版 社 新潮社
形  態 文庫
ページ数 299
発 行 日 2015/03/01
ISBN 978-4-10-180027-1

 

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日はカミさんと二人、日帰り旅行で横浜へ行ってきた。房総エキスプレスという会社が企画したツアーで、“港町横浜めぐり”は横浜みなと博物館と帆船日本丸の見学、赤レンガ倉庫でランチ、三渓園で梅見、そして昭和レトロな商店街での買い物といった内容だ。
カミさんと二人で出かけたのはもう20年以上も前のことだ。彼女はいくつもの持病を抱えて、特にリウマチのため足腰が弱っているから、近年遠くに出掛けることがなくなっており、特に外泊が出来なくなっている。
それでも週に一回介護センターでリハビリを行っているから、普段の生活にさほどの支障はないが、とにかく長時間の歩行が困難だから、うちに引篭り状態になりがちだ。
毎日のように新聞に折り込まれたり、ポスティングされたりのタウン情報誌で今回のツアー案内を見たカミさんが、珍しく参加したいというので、申し込んだのが2月初旬だった。一つには費用が格段に安かった言うこともあったのだが、80歳過ぎ(本年8月をもって82歳となる)の身体に鞭打って出かけようとする気力を尊重したのだ。

 

 

昨日の気象情報では、風も止み穏やかな晴れでお出かけ日和ということだったが、予報が少しずれたのか、少しではあったが冷たい風とうす曇りの天候は、寒さを感じる。木更津市の参加組に駅前8時45分発というバスが、それでもわずかに早く来たので、長時間寒さに震えることはなかった。僕たち他数名が乗ると、君津から参加した人たちが10数名席についている。さらに袖ケ浦のバスターミナルで数名が乗り込んで、合計29名のツアラーを乗せたバスは、アクアラインを一路横浜に向けて出発した。
途中海ほたるでトイレ休憩を入れて、横浜みなと博物館についたのが10時、1時間かけて案内人の説明を聞きながら見学。その後一行は横浜みなと博物館に入るも、僕とカミさんはそれを忘れてトイレに入った後、バスに乗って一行を長い時間待つことに。早くも小腹をすかせたカミさんは、早く赤レンガ倉庫に行きたいという。

 

 

を重ねて我がカミさんは少しこらえ性がなくなったようだ。待った一行が揃って乗車した後10分ほどで、待望の赤レンガ倉庫に到着、2号館3階のビュッフェへと繰り込む。バイキング料理は和食好みのカミさんには得意ではないようだが、それでも大皿いっぱいに乗せた料理を少しずつ口に運ぶ。
土曜日とあって店内は8分通りの入りで賑わっているが、我々一行に与えられた席は十二分にあり割とのんびり食事ができた。1時間の時間制限がある割には皆さん十分に食べた様子。赤レンガ倉庫の周辺ではいつでも何かしらのイベントが開かれているようで、少し離れた場所ではリレーマラソンなる者が行われて、大勢の家族連れで賑わっており、また他方ではパン祭りなるイベントで、小さな子供連れのカップルが行列を作っていた。
2時に赤レンガ倉庫に別れを告げて、バスは三渓園へと向かう。ところが満開だったはずの梅は姿を見せなかった。少し時期がずれたようだ。たまたま開催していた高円宮妃の写真展などを見たり、軽食の店に入ったりと、それなりに時間をつぶした一行を乗せたバスは、最後の東神奈川の六角橋商店街へ。

 

 

ここは昔ながらの郷愁を感じさせるアーケードと、近年作られた新しい感覚の商店街とが隣り合っている珍しい街で、混雑しているときは人のすれ違いも困難なほどの狭い道幅の古い商店街には、両脇に長年続けられていると思われるような小さな商店が軒を連ねていた。
その幾つかの店で買い物を楽しんだカミさんは、十分満足したようだ。
予定より20分ほど遅れて、5時20分に帰途に向けて出発したバスは、道路がすいていたせいで逆に20分ほど定刻より早く帰着した。夕食の際疲れてないかカミさんに問うと、「それほどでもない」と言いながら、食べ終わって間もなく寝についたようだ。
僕も足に疲れがあり、これをブログにアップロードしたら、すぐに寝るつもりだ。

 

 

更津市立図書館が2月21日(火)から28日(火)まで、蔵書整理のため休刊するという。そこで前日20日に読み終わった3冊の単行本を返しに行ったついでに、文庫の棚を見て回り、本書を含めた知念実希人氏の文庫4冊を借りてきた。
この天久鷹央の推理カルテシリーズの第1巻を読んだのは少し前だと思っていたら、データを見ると2015年9月となっているから1年半も前だった。当然その内容は忘れたが、まるで女子高校生のように見える、若き女医がパートナーともいえる年上の男性医師を手足のようにこき使いながら、そのたぐいまれな頭脳を使いこなして、難しい診断を下して謎を解く。そうしたストーリー展開だったことはわずかに記憶に残っていて、早い機会にその後のシリーズを読もう、と思っていたことは間違いないのだが、例によって僕のいつかはいつになるかわからなく、かなりの間をあけた。
“ドS刑事”なる若い女性刑事が同僚の刑事を、いじめるかのごとき七尾与史氏のミステリーがあったが、こちらはそのドクター版ともいえるかもしれない。

 

 

近年の風潮なのか女性のボスが頼りない男性の同僚や部下を叱咤激励?激励はしないか、そうしたシチュエーションが方々に見られるようになっている。それが結構読者の支持を集めているようなのは、次々似た様な設定のストーリーが刊行されているところを見ればわかる。
僕は女性の主人公が活躍するストーリーが好きだ、と言って極端に強い女性が部下や同僚の男性をへこませるような設定を好むわけではない。しかし、このシリーズについては、主人公の言動の可笑しさは、彼女の特異体質からくるものだ、という納得させる説明があるから、抵抗なく楽しめるのだ。
少女のような容姿とかけ離れた乱暴な言葉遣いなど、その容姿とのギャップの面白さもあるが、やはりこのシリーズの面白さは、彼女の自らを天才と言ってはばからない、その明晰な頭脳と有り余るような知識が、あらゆる謎を解き明かすということにある。
今回は初っ端から聞いたこともないような病名が出てきて驚かされるが、本職のしかも現役の医師だとはいえ、そうした病気をミステリーに仕立てるには容易なことではないだろう。

 

収録作
# タイトル 紙誌名 発行月・号
1 プロローグ 書き下ろし  
2 甘い毒 小説新潮  2014年2月号
3 吸血鬼症候群 書き下ろし  
4 天使の舞い降りる夜 書き下ろし  
5 エピローグ    

 

 

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