隅の老人のミステリー読書雑感

ミステリーの読後感や、関連のドラマ・映画など。

1650.悲嘆の門

2016年07月21日 | クライムストーリー
悲嘆の門
読了日 2016/07/21
著 者 宮部みゆき
出版社 毎日新聞社
形 態 単行本
ページ数 (上)406
(下)393
発行日 2015/01/20
ISBN (上) 978-4-620-10808-7
(下) 978-4-620-10809-4

 

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し前に永六輔氏やザ・ピーナッツの伊藤ユミ氏の訃報を聞いたと思ったら、昨日は大橋巨泉氏の亡くなったことがテレビのニュースで報じられた。
テレビの創世記から、黄金時代とも言える時までを駆け抜け、あっという間に若くして引退した巨泉氏は、僕にとってもある種の憧れであった。時の流れが人の命を奪っていくことが、無情にも思えるが自然の摂理で仕方のないことだ。
テレビから遠ざかっていたから、彼が闘病生活を送っていたことも全く知らずに、僕にとって突然の訃報は、余計に寂しさを感じさせる。次第に遠くなる戦後の昭和という時代を、懐かしく時に切なく思い起こすことが、だんだん少なくなっていくのも、これまた仕方のないことだと思うが歳をとった証拠か。

 

 

何日か前に木更津市立図書館の貸し出し情報をネットで見たときには、貸出可となっていたので、6月25日に図書館に足を運ぶと一足違いで、先客がいたらしく貸出中となっている。こうしたアンラッキーな事態はほかの図書館でも何度か経験しているから、どうも僕にはそうしたことが付きまとっているのか?
帰宅後、今度は君津市の図書館の情報を検索すると、体育館の図書室に上下巻ともに貸出可となっていたので、誰かに先を越される前にすぐさま車で駆けつける。
この体育館の図書室は市立図書館の別館のような形で、木更津市の僕のところからだと、こちらの方が本館よ りいくらか近いのと、図書館で貸し出し中の本がこちらには有るということが、これまでにも何回かあって、僕は便利に利用している。
宮部みゆき氏の本はもう45作目くらいになるだろう。僕にとっては特別な存在と言っていい著者で、読書本来の楽しさや喜びを僕に与えてくれた作家だと感じている。僕の人生もあとどのくらい残っているか分からないが、それほど多くはないだろうから、これほど多くの本を読む作家はもう現れないだろうと思っている。
僕はほとんど内容の概略さえ確かめずに読み始めるから、時々思いもよらないストーリーにびっくりすることがある。

 

 

書も表紙のイラストを見て、単に現代物だろうと(このところ宮部氏の作品には時代物が多いような気がしていたから、いや、時代物だって読み始めればその面白さに没入するのだが、今は現代物に惹かれるのだ)読み始めたら、まあ現代物?には相違ないがどうもパラレルワールド?というかファンタジーのようだ。
いや、SFとも言えるのか?こういう物語はどういうカテゴリーになるのか、よく分からないがそれはともかく、カテゴリーやジャンルはどうあれ、いつものようにストーリーの展開に僕は次第に引き込まれていった。
悲惨な状態を示すプロローグから、本編はどんな展開になるのだろうと、思いながら読み進めると、第1章は大学1年の孝太郎青年が「サイバーパトロール」という仕事にアルバイトとして関わることになる経緯に、するっという感じで入り込んでいく。

死体の一部が切り取られるという連続殺人かと思われる事件が相次ぐ。そんな中、大学1年生の三島孝太郎は、先輩の真岐誠吾からアルバイトに誘われる。仕事は「サイバー・パトロール」という、いわばネットの監視と言ったことである。

 

 

現実の世界でも今や、多くの人間が利用するネットの社会で発するデータは、ビッグデータと言って多数の企業がその活用にしのぎを削る時代だ。
そう言えば先日、テレビでソフトバンクが英国に本社を置くIT企業のARMを、買収するというニュースを放送していた。社長の孫正義氏自ら壇上で発表する姿を撮して、飛躍するIT企業の未来を、象徴するかのような姿を印象づけていた。
IoT(インターネット オブ シングス)時代の到来は、すべてのものがインターネットに繋がる、と言ったような意味らしいが、近い将来、SF物語と思われていたような事柄が、現実となっていろいろと生活上に便利さをもたらすことになるようだが、一抹の不安も感じるのは僕の取り越し苦労だろうか?

そうした仕事から三島孝太郎が遭遇したのは、丸い塔の建物の屋上ににあるガーゴイル像が動くという噂だった。孝太郎と退職した元刑事の都築は、その実態を探るべく真夜中の塔の屋上へと赴くのだが・・・・。
ガーゴイルとは西洋で多く見かける怪物をかたどった彫刻が施されている雨樋のことだそうだ。主に屋上に設置されていて、雨樋から流れる水の排出口としての役割を果たしているという。(Wikipediaより)

物語に出てくるガーゴイルの姿は、大きな羽をせなかに、手には大鎌を持つという奇怪な姿をしているが、それが空を飛んでいるのではないかという疑いを持つようなストーリー展開を示していく。

 

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