隅の老人のミステリー読書雑感

ミステリーの読後感や、関連のドラマ・映画など。

0684.ゴールド1/密室

2005年12月29日 | 本格
ゴールド1/密室
THE GOLD SOLUTION
読 了 日 2005/12/29
著  者 ハーバート・レズニコウ
Herbert Resnicow
訳  者 後藤安彦
出 版 社 東京創元社
形  態 文庫
ページ数 269
発 行 日 1987/09/25
ISBN 4-488-24501-3

 

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術師の「箱抜け」を思わせるような表紙のイラストだが、本書の中で起きる密室殺人事件のイメージだ。
僕はミステリーが好きなくせに、論理的な思考はあまりないようで、事件の容疑者・すなわち犯人を推理するしたりすることは、全くの苦手だ。それなのに、結末で「あっ!」と言わせるような作品に出会うことを、ミステリーを読む醍醐味だと考えている、のはちょっと矛盾するかもしれない。
なぜなら、「あっ!」と思うのは自分が考えていたこと、想像していたことと全く異なる結末に対しての反応だから。まあ、しかし、考えていたことや、想像していたことは必ずしも論理的思考によって生まれるわけでもないから、あまり深く考えなくても良いのか?
この作品を是非読みたいと思ったのは、密室殺人もさることながら、安楽椅子探偵の新しい形、という紹介をどこかで見たからだ。
多分、この本の出版社である東京創元社の戸川安宣氏が、どこかで書いているのを読んだのだろうと思うが。ミステリーへの造詣の深さで僕の尊敬する人の一人である戸川氏は、古今のミステリーの発掘に力を入れているが、特に海外の古典的ミステリーを甦らせて、創元推理文庫で数多く紹介しており、僕はミステリー読書の指針としている。

ハーバート・レズニコウという作家には初めて出会うのだが、本書巻末の戸川氏の解説では、このシリーズ第2作で著者について書くと言うことで、まだ不明。
本書については、戸川氏は洋書店でエラリイ・クイーンズ・ミステリー・マガジンの書評で紹介されていた本格ミステリーだと言うことで、飛びついたそうだが、彼の絶賛にかかわらず、こちらではさほどの読者の受け入れがなされなかったようで残念。
タイトルに謳われている「ゴールド」とは本編で活躍する名探偵・アレクサンダー・ゴールドのことである。彼の推理を引き出すためのデータ収集に当たるのは、妻のノーマで、本編の語り手でもある。このゴールド夫妻によって、解決に導かれる安楽椅子探偵は、ワクワクとさせる展開は、じっくりとコーヒーを片手に読むのが良い。

 

 

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