隅の老人のミステリー読書雑感

ミステリーの読後感や、関連のドラマ・映画など。

0301.不安な童話

2002年12月05日 | サスペンス
不安な童話語
読了日 2002/12/5
著 者 恩田陸
出版社 祥伝社
形 態 文庫
ページ数 319
発行日 2002/02/10
ISBN 4-396-32677-7

私(古橋万由子)は、25年前に亡くなった女流画家・高槻倫子の遺作展で、次々と絵を見ていくうちに、その描かれた情景が目の前に浮かび最後の絵から襲いかかれるような感じを受けてその場に失神した。彼女は、3年勤めた銀行を辞めた後、R大学に雇われて、三人の教授の掛け持ち秘書をしている。が、一人は病気療養中、一人は海外出張中で、結局今は残った浦田泰山の専任秘書のような形となっている。遺作展の後で、博物学の浦田教授と万由子は、高槻倫子の息子、秒の訪問を受ける。
彼は「生まれ変わりと言うものを信じておられますか?」と、いう質問に、浦田教授と私は固まる・・・・。

それから、秒の話は25年前に亡くなった母の話を始める。高槻倫子は殺されたのだと言った・・・・。彼女の絵に隠された謎とは?

この作者の作品は、通常のミステリーに見られるような謎の呈示があって、ストーリーの進行とともにそれが徐々に解き明かされて、最後にすべてが解決される、というような範疇に入らないものだ。だが、僕は一応そういうものもミステリーとして捕らえて、読書のリストに加えている。それは、やはりストーリーに含まれる謎や、科学的に照明されないような出来事であっても、物語として、十分に読む者に楽しみを与えているからだと思う。本作も、そうした不思議な感覚のストーリーだが、興味深く読んだ。

 

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