なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

「ぽやぽやした陰影」

2017年08月23日 | Weblog

 昨日は内科当番で、宿直医(外科)から午前1時に連絡が来た。63歳男性が呼吸苦・息切れで受診したそうだ。血液ガスで低酸素血症があった(Pa2 53.0・PaCO2 40.8・pH 7.425)。胸部X線・CTで両側上葉末梢に「ぽやぽやした陰影」があるという。発熱はない。白血球数8600・CRP0.3と大した上昇はではなく、BNPは正常域だった。Dダイマー1.5と有意ではない。

 「通常の細菌性肺炎ではないようですが、どうしたものでしょうか」、という。1週間前から咳・痰があって、呼吸が苦しくなっての救急外来受診だった。その陰影というのが、よくわからない。間質性ですがと訊くと、そのようでもあるという。入院して酸素吸入で経過をみて、朝になってから検討してもいいのかもしれないが、何だか気持ちが悪い。間質性肺炎は当院では診れないので、すぐ紹介している。

 地域の基幹病院(呼吸器内科常勤医3名)に連絡して、受け入れ可能であれば、紹介して下さいと伝えた。ベット事情が厳しい病院だが、受けてくれた。

 朝病院に来てから、その画像を確認した。心陰影が少し拡大しているが、それほどではない。肺動脈が目立ち、肺野末梢まで追えるようだ。その「ほやほやした陰影」というのは、両側上葉に淡くあったが、急性間質性肺炎の像ではない。肺血栓塞栓症かどうかわからないが、造影CTを見たかった。

 この方は喫煙者で、ふだんから少し労作時の息切れがあるらしい。ということは、もともと酸素分圧は少し低下しているのか。気腫像はないが、気管支壁の拡張からは、COPD(慢性気管支炎)?。副鼻腔炎で手術を受けていて、現在も耳鼻咽喉科からクラリスなどの処方を受けている。呼吸音は異常なしで、少なくとも喘鳴はなかったようだ。

 案外コモンなCOPD+感染(細菌性かウイルス性か)なのだろうか。当院で治療するとして、酸素吸入をして、抗菌薬はとりあえずセフトリアキソン?。肺炎球菌尿中抗原は陰性で、喘息発作のようなRSウイルス感染ではなさそうだが、ヒトメタニューモウイルスなども検査すべきなのか。実力のなさを感じてしまうが、ぜひ正解を知りたい。

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