なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

直腸潰瘍からの出血

2024年05月01日 | 消化器疾患

 4月27日(土)は当直だった。午後4時過ぎに病院に着いて、気になる入院患者さんの温度板を画面で確認した。

 その日の日直は消化器科医だった。「入院はありましたか」と訊くと、入院はなかったが血便の患者さんを地域の基幹病院に搬送したという。

 

 患者さんは透析クリニックで透析を受けている患者さんだった。3月19日に脳梗塞を発症して、基幹病院の脳神経内科に入院した。その後、4月17日に当院にリハビリ目的で転院してきた。

 転院の患者さんは内科系医師が交代で担当しているが、透析患者さんなので腎臓内科の若い先生が担当になっていた。転院してすぐの4月20日に新鮮血下血があった。(下血と記載していたが、正確には新鮮血下血)

 抗血小板薬(バイアスピリン)を中止して、出血は治まった。22日には腹部造影CTを行ったが、出血源は特定されなかった。(腫瘍や憩室はなかった)Hb12.3g/dLから9.8g/Lと貧血を呈した。

 25日からバイアスピリンを再開したが、27日にまた新鮮血下血があり、日直だった消化器科医が転院を依頼して搬送となった。

 何年も前から当院では緊急内視鏡の対応ができなくなった。基本的に平日でも(大量の)吐血・下血の救急は受けていない。(輸血は基本的に院内ストックはない。予定輸血は取り寄せで可能だが、時間外は検査技師不在で輸血不可。)

 

 先方の病院からすぐに連絡がきて、下部消化管の緊急内視鏡検査で直腸潰瘍からの出血と判明して、焼灼処置で止血したという。「透析を継続するのが困難なので、3連休明けの30日には転院で戻したい」といわれて、それで了解したそうだ。(当院は維持透析病院だが、先方は透析患者が入院した時だけ施行。実際は30日には転院にならなかった。)

 

 造影CTを見ると、かなりの便秘がある。便秘から直腸潰瘍形成になったと思われた。直腸潰瘍からの出血は小動脈性なので、内視鏡止血処置が必要になる。

 

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする