なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

当地域のコロナ事情

2023年09月12日 | Weblog

 昨日は地域の基幹病院主催の「感染対策合同カンファランス」があった。管轄する保健所や医師会の先生方も参加するので、午後7時からweb開催だった。

 会議室のテレビ画面につないでもらって、感染管理ナース(ICN)と細菌検査担当の検査技師さんと3人で参加した。通常は各病院での報告があるが、今回はほぼ講演会で、もっぱら視聴するだけだった。

 

 保健所の報告では、県全体でもコロナの患者数が増加しているが、当地域は特に増加している。定点当たり報告数で45~50以上になっている。

 忽那先生のYahoo newsには「単純に比較することはできませんが、インフルエンザであれば10を超えれば「注意報」レベル、30を超えれば「警報レベル」となっています。第8波の時期はまだ定点報告ではありませんでしたが、さかのぼって同じ算出方法で計算すると、第8波のピーク時には約30であったことが分かっています。」とある。

 当地域では、今回の第9波は第8波に迫る(超す)勢いということになる。

 

 基幹病院では20名のCOVID-19患者が入院しているそうだ。院内感染の分が多いのだろう。看護師さんも20名が罹患して現在でも10名が罹患して休んでいる、そのため病棟運営が難しく入院制限をかけている、ということだった。

 当院では今回入院患者さん4名の発生があったが、そこから職員は罹患していない。散発的には各病棟内で1名か2名がコロナで休んでいる。ほとんどが子供さんからの家庭内感染だった。腎臓内科の若い先生にいわれたが、当院は院内発生、職員の罹患とも他の医療機関よりは少ない。(感染管理がしっかりしているからではなく、単に「運がいい」と解釈している)

 

 大学の感染症科の先生がCOVID-19 の講演をされた。その中で抗ウイルス薬の選択の話もあった。

 2023年8月21日に「新型コロナウイルス感染症 診療の手引き 第10.0版」が出ている。これまで抗ウイルス薬は並列で記載されていて、どれを選ぶべきかはっきりしていなかった。岡秀昭先生が「COVID-19特講」で、順位付けをするべきと言われていた。

 今回は「成人の外来診療における抗ウイルス薬の選択」として順位付けされている。外来診療なので、「軽症~中等症Ⅰかつ自宅療養可能な患者さん」ということになる。

 重症化リスクが高い患者さんでは、ニルマトレルビル/リトナビル(パキロビッド)を使用する(発症から5日以内)。ただし併用禁忌薬ありと高度腎機能障害(eGFR<30)では使用できない。

 これが使用できない場合は、レムデシビル(ベクルリー)を使用する(発症から7日以内)。通院による点滴治療が困難なためレムデシビルが使用できない場合は、モルヌピラビル(ラベブリオ)を使用する(発症から5日以内)。

 重症化リスクが低い患者さんでは、基本的には対症療法だが、高熱・呼吸困難(低酸素ではない)・強い倦怠感/咳/咽頭痛 などがある場合は、エンシトレルビル(ゾコーバ)を使用する(発症から3日以内)。

 入院診療ではどうなるかはないが、内服できればニルマトレルビル/リトナビル(パキロビッド)、内服できなければレムデシビル(ベクルリー)なのだろう。

 

 当院で抗ウイルス薬を処方しているのはもっぱら当方で、もう一人の先生も抗ウイルス薬を時々処方している。他の先生方はほとんど処方しておらず、70~80歳代のコロナ陽性でもアセトアミノフェンだけになっている。(当方が薬好きなだけ?)

 日本では併用禁忌薬がなく腎機能の問題もないので、処方しやすいラゲブリオが一番多く処方されている。大規模臨床試験の結果によれば効果はパキロビッドに比べて大分落ちる。

 

 

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