横浜美術館で中島清之展を見た。一昨日4日は速足で会場を一周してどのような構成になっているかを見ただけであった。本日はちょうど1時間をかけて、印象に残った作品をとりあえず展示目録にチェックをしてきた。
中島清之という画家については私はこれまで未知であった。そして今でもまだよくわからない点もいっぱいある。多彩な表現を試みており、「これが中島清之だ」というような特徴をあげることはむずかしいと思えた。
11月27日(金)の学芸員によるギャラリートーク、12月9日(水)のアートクルーズを経てから私なりの評価や感想を掲載してみたい。本日のところは一昨日と本日に気になった作品をピックアップだけはしておこうと思う。
「保土ヶ谷風景」(1924)、「庫裏」(1930)、「和春」(1947)、「方広会の夜」(1950)、「流れB」(1955)、「顔」(1960)、「霧氷」(1963)、「朝のしじも」(1966)、「湖心」(1972)、「塑像」(1974)、「緑扇」(1975)、「秋月」(1976)、「凍夜」(1976)、「花影」(1976)、「雷神」(1977)の15作品。
このうち、4点のポストカードがあったので本日はこれを購入した。本日段階の感想を記してみた。間違った鑑賞があるかもしれないが、勘弁してもらいたい。
図録はまだ購入していないので、他の作品は後日掲載予定。
★「和春」(1947)
この作品は水墨画である長谷川等伯の「竹林猿猴図屏風」の右双、牧谿の猿猴図を念頭に置いていると思われる。
色彩特に中央下の緑がいい。金網や遊び具の金属質の描写と、羽毛に覆われた猿の描写の対比も気に入っている。
しかし猿のボリュームがあまりに痩せすぎなのは少々気になっている。
★「方広会の夜」(1950)
いるはずのところに僧侶がいない。さらに僧侶の不在が背景の壁に描かれた、または空中の天部の像を浮かび上がらせる灯明が僧侶の観念を表しているのかもしれない。
★「朝のしじま」(1966)
これは四国遍路の体験を描いたと云われている。始めは人物2名とは気がつかなかった。水平に画面を区切る茶・赤・緑の横線と株の白い丸みのある白っぽい塊が印象的である。具象画というよりも形にとらわれない抽象画のような印象すらある。
★「緑扇」(1975)
二曲一双の屏風絵。竹の幹が背景に溶け込んでいるが、この朦朧とした幹の林立に現実感が色濃い。地面に竹の葉が敷き詰められたような左の暗い部分は、果たして地面なのか、生きている派なのか判然としていない。この曖昧さもまた魅力に見えた。