昨日のしんぶん赤旗には、社会面のトップ記事で、原子力機構への賠償命令が載っています。茨城新聞では２番目です。東京新聞ではベタ記事です。しんぶん赤旗がトップ記事なのは、原告が、共産党員・同調者であるからです。
なお、この判決を出した裁判長は、2月29日の「二股膏薬・コウモリ男」裁判で、「榎戸和也被告に33万余円の賠償命令」を下した広沢諭裁判長です。
旧動燃 共産党員・同調者を差別 原子力機構に賠償命令
高速増殖炉「もんじゅ」などを運営する日本原子力開発機構（原子力機構）の元職員６人が、日本共産党員やその同調者であるなどと機構側から「敵性判定」され、賃金・昇格差別を受けたとして損害賠償を求めた裁判の判決がありました。
廣澤諭裁判長は「差別的扱いがあったことは事実」として、機構に原告５人へ計4691万円（請求額1億6200万円）の賠償を命じました。
動燃総務部副次長の「資料」が決め手
原告は1969年から70年代に当時の動力炉・核燃料開発事業団（動燃、後に原子力機構へ組織統合）の茨城県内の事業所に入植した６人です。
判決は、提訴のきっかけとなった動燃総務部次長だった故西村成生さん宅で見つかった「西村資料」について、「動燃の業務に関連して作成したもので、信用性があるものと認められる」と認定しました。
「西村資料」をもとに、廣澤裁判長は「共産党員ないしその同調者と目される組合員の思想傾向を判定と評してA、B、Cなどとランク付して差別的取り扱い」があったと認めました。
「ぶんまわし」、「封じ込め」も認定
「判定」によって、遠距離や枢要でない配属先に異動させる「ぶんまわし」や、特定の部署に長期間配点したり、会議や研修から外す「封じ込め」が行われていたと認定。
その一方で、「転向」を働きかけ、「転向」したものには昇任を認めるといった処遇があったことも認めました。原告が「昇給においても著しく低い処遇を受けた」と認めた。
判決は、「71年ころから動燃内の労働組合で使用済核燃料再処理工場の設置に反対するなど安全を軽視してスケジュールを優先する動燃の姿勢を批判する勢力が影響力をもった」と述べ、差別政策の背景に言及しました。
他方、損害賠償請求権の一部について時効を過ぎたとして、退職時期が早い今井忠光さん（73）の請求を認めませんでした。
判決後の会見で、定年までの29年間、岡山県の人形峠事業所に配転させられた高野真一さん（70）は「今まで絶対に負けないと頑張ってきた。やはり筋を通してきて良かった」と発言。定年まで32年間、洗濯場での業務だった椎名定さん（69）は「原告団長の小松崎賢治さん＝昨年7月に死去＝に引っ張られてここまでやってきた。ここにいなくて残念」と語りました。
