最高裁判所裁判官の暴走を許さない

最高裁判所裁判官の国民審査は、衆議院選挙の時の「ついでに」ならないようにしましょう。辞めさせるのは国民の権利です。

抵当権は賃借人と賃貸人の間の相殺に優先する

2024-03-17 10:10:13 | 日記
令和3(受)1620  取立金請求事件
令和5年11月27日  最高裁判所第二小法廷  判決  破棄自判  大阪高等裁判所

抵当不動産の賃借人は、抵当権者が物上代位権を行使して賃料債権を差し押さえる前に賃貸人との間でした、抵当権設定登記の後に取得した賃貸人に対する債権と上記の差押えがされた後の期間に対応する賃料債権とを直ちに対当額で相殺する旨の合意の効力を抵当権者に対抗することができるか

新聞報道がないので、事実確認から見ていきます。

(1)本件賃貸人は、平成29年1月、被上告人との間で、本件賃貸人が所有する第1審判決別紙物件目録記載の建物を次の約定で被上告人に賃貸する契約を締結し、同年10月1日、本件建物を被上告人に引き渡した。
ア 期 間 平成29年10月1日~平成39年(令和9年)9月30日
イ 賃 料 月額198万円(引渡日から2か月間は月額99万円)
毎月末日までに翌月分を支払う
(2)被上告人は、平成29年9月、本件賃貸人に対し、弁済期を平成30年4月30日、無利息、遅延損害金を年2割として990万円を貸し付けた(以下、「本件被上告人債権1」)。


家賃を入れてくれなかったので、金銭を貸し付けた形をとったようです。

本件賃貸人は、平成29年10月26日、上告人のために、本件建物について極度額を4億7400万円とする根抵当権を設定し、その旨の登記をした。

何でそんな事をしたんですかね。

(3)本件賃貸人は、平成29年10月26日、上告人のために、本件建物について極度額を4億7400万円とする根抵当権を設定し、その旨の登記をした。
(4)株式会社バディグループは、平成29年11月、被上告人から弁済期を平成30年4月30日として3000万円を無利息で借り受け、また、被上告人との間で、被上告人に対する建築請負工事に係る債務1000万円について、弁済期を同日とすることを約した。
イ 本件賃貸人は、平成29年11月、被上告人に対し、バディグループの上記アの各債務につき書面により連帯保証をした。
(5)平成30年4月30日、本件各被上告人債権について、本件賃
貸人から10万円の弁済を受け、本件賃貸人との間で残債権合計4980万円の弁済期を平成31年1月15日に変更する旨合意した。
(6)被上告人は、平成31年1月15日、本件賃貸人との間で、本件賃貸借契約における同年4月分から平成32年(令和2年)1月分までの賃料の全額1980万円及び同年2月分から平成34年(令和4年)2月分までの賃料のうち3000万円(各月120万円)の合計4980万円の債務について、期限の利益を放棄した上で、この債務に係る債権を本件各被上告人債権と対当額で相殺する旨の合意をした。
(7)上告人は、令和元年8月7日、大阪地方裁判所に対し、本件根抵当権に基づく物上代位権の行使として、本件賃貸借契約に係る賃料債権のうち、差押命令の送達時に支払期にある分以降4000万円に満つるまでの部分を差押債権とする差押命令の申立てをした。上記申立てに基づき、同月9日、差押命令が発せられ、同月14日、被上告人に送達され、同年12月9日、本件賃貸人に送達された。
(8)被上告人は、令和3年5月19日までに、上告人に対し、本件被差押債権の弁済として、令和2年2月分から令和3年4月分までの各月分につきそれぞれ78万円及び同年5月分につき40万円の合計1210万円を支払った。
(9)上告人は、本件差押命令により、本件賃料債権のうち、本件差押命令が被上告人に送達された後の期間に対応する令和元年9月分から令和3年4月分までの3960万円及び同年5月分のうち40万円の合計4000万円を差し押さえたと主張して、これから上記 の支払分を控除した部分についての支払を求めているところ、被上告人は、本件相殺合意の効力を上告人に対抗することができると主張して争っている。


何かわけ分かりませんね。書いた裁判官がいかにアホか分かります。
家主が物件を貸した。借りた人は、家賃の他に家主に金を貸した。家主はその金で工事を行った。借主に返せないので家賃相殺ということで手打ちちをした。家主は借金の全額を返せなかったので、借りていた建物が差し押さえに遭った。借主は既に払っているんだから、借りる権利があると主張したようです。

最高裁は
(1)抵当不動産の賃借人は、抵当権者が物上代位権を行使して賃料債権の差押えをする前においては、原則として、賃貸人に対する債権を自働債権とし、賃料債権を受働債権とする相殺をもって抵当権者に対抗することができる。・・・抵当不動産の賃借人は、抵当権者が物上代位権を行使して賃料債権を差し押さえる前に、賃貸人との間で、登記後取得債権と将来賃料債権とを直ちに対当額で相殺する旨の合意をしたとしても、当該合意の効力を抵当権者に対抗することはできないと解するのが相当である。

要するに抵当権をつけた人と賃借人とを比べると、過去の判決からすると抵当権をつけた人の方が優先されるということのようです。

(2)本件相殺合意の効力が被上告人に対する本件差押命令の送達前に生じたか否かにかかわらず、本件相殺合意により本件将来賃料債権と対当額で消滅することとなる対象債権が本件根抵当権の設定登記の後に取得された本件被上告人債権2であるときは、被上告人は、本件相殺合意の効力を上告人に対抗することはできないこととなる。

へー賃借人が保護されないんですね。それはそれで結構な話ではあります。抵当権を妨害するため、連携して家賃先払いでよそに持って行かれるのを妨害することが可能になりますからね。

第二小法廷判決裁判官全員一致の意見でした。判例主義上これは当然の判断になりますね。下級審が知らなかったということでしょう。

裁判官三浦守の補足意見

本件相殺合意は、本件賃料債権を本件被上告人債権1及び本件被上告人債権2と対当額で相殺する旨を合意したものであるが、相殺に関する充当の合意がされたものとはうかがわれず、平成29年法律第44号による改正前の民法512条489条の規定に照らし、本件各被上告人債権の弁済の利益に鑑みれば、平成30年4月30日に弁済された10万円及び本件賃料債権のうち本件差押命令の送達前の期間に対応する賃料債権990万円は、まず本件被上告人債権1に充当されるものと解される。


おいおい、契約の大前提である同意がないという疑問があるならば、反対意見を出さなきゃ駄目でしょう。

裁判官草野耕一の意見
1 抵当権制度(民法369条以下)には、対象不動産の所有者がその使用収益を継続することを許容しつつ、当該不動産の担保としての価値を活用した金融取引を可能にするという社会的意義があり、抵当権の物上代位(民法372条304条)が不動産の収益の果実といえる賃料請求権にも及ぶことを認めるに至った判例法は、この社会的意義をより強固なものにしたといえるであろう。

2(1) 本件は、抵当権者が物上代位権を行使して将来賃料債権を差し押さえたが、対象不動産の賃借人が同人の保有している登記後取得債権との合意による相殺を主張して当該将来賃料債権の支払を拒否したという事案である(なお、検討の便宜上、以下においては合意による相殺ではなく、法定の相殺を前提として検討を進め、法定の相殺と合意による相殺の違いについての評価は4項で述べる。)。


抵当権は普通に行われる件で重要なのはわかりますが、仮の話をここでする必要はあります?以下は今後の判決に影響せず勝手に何か言ってるに過ぎないので省略します。


裁判長裁判官 三浦 守  はぁ?
裁判官 草野耕一  ボケ
裁判官 岡村和美 妥当
裁判官 尾島 明 妥当

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