最高裁判所裁判官の暴走を許さない

最高裁判所裁判官の国民審査は、衆議院選挙の時の「ついでに」ならないようにしましょう。辞めさせるのは国民の権利です。

今ひとつ判決 民事裁判の証拠にしたいが検察が押収物を返さない事例

2022-08-27 21:25:32 | 日記
令和4(し)25  検察官がした押収物の還付に関する処分に対する準抗告棄却決定に対する特別抗告事件
令和4年7月27日  最高裁判所第一小法廷  決定  棄却  東京地方裁判所
捜査機関による押収処分を受けた者の還付請求が権利の濫用として許されないとされた事例

1 本件は、司法警察員が申立人から差し押さえた申立人所有の携帯電話機等について、申立人が、刑訴法222条1項が準用する同法123条1項に基づき、東京地方検察庁検察官に対して還付を請求したところ、同検察官がこれに応じず還付をしない処分をしたため、同法430条1項の準抗告を申し立てたが、棄却されたことから、特別抗告を申し立てた事案である。

警察に押収された証拠物が検察に渡り、裁判も終わったことだし返してくれよと言ったところ、駄目よと拒否されたようです。

(1)申立人は、いわゆるナンパの方法を指導する塾を経営し、女性との性交場面を撮影した動画等を塾生のグループ内で共有するなどしていたところ、・・・、塾生甲及び乙に対する集団準強姦被疑事件について、住居等の捜索を受け、その所有する携帯電話機2台及びICレコーダー1台を差し押さえられた。
(2)不還付物件1及び3は、いずれも女性Dを被害者とする申立人及び塾生丙に対する各準強制性交等被疑事件に関するものであり、不還付物件1には、申立人が抗拒不能の状態で横たわるDの陰部に指を挿入している状況を撮影した動画データやDの顔の画像データが、不還付物件3には、申立人らとDらが事件現場内で過ごしている状況や事件前後の状況(Dの姓名を告げている場面を含む。)等を録音した音声データがそれぞれ記録されている。申立人は、同被疑事件については不起訴処分となったが、Dの同意があった旨主張するなどしていた。


とんでもない連中だし、とんでもないデータが残っていたようです。

(3)令和3年8月、東京地方検察庁検察官に対して本件各不還付物件の還付を請求し、さらに、同検察官が同年11月にした本件各処分に対する準抗告を申し立てた。同検察官が本件各処分に際して上記 の各データの消去に応ずるのであれば還付する旨申し出たのに対し、申立人は、同各データは申立人に対する上記 の準強制性交等被告事件及び民事裁判において申立人の犯罪行為がなかったことを立証するために必要であるなどと主張しているが、同各データを含めた本件各不還付物件の還付を受けられないことにより申立人に著しい不利益が生じていることはうかがわれない。

うーん、検察で預かってもらって民事裁判の資料提供ってわけにはいかないのでしょうか。これでは刑事裁判が民事裁判を妨害することになりますよね。

申立人が本件各不還付物件の還付を請求することは、権利の濫用として許されないというべきである。

刑事で無罪判決が出ても民事で賠償が認められることがあります。必ずしも一致しないことがあります。やったことはろくなもんじゃないですが、犯人たちが民事で自分たちの主張をできないようにする、これを刑事裁判でやっていいのでしょうか?

第一小法廷全員一致
裁判長裁判官 堺 徹
裁判官 山口 厚
裁判官 深山卓也
裁判官 安浪亮介
裁判官 岡 正晶

全員今一つ、補足意見すらありません。

当然判決 弁護士がいないからと言って裁判は止まらない

2022-08-25 19:02:08 | 日記
令和4(す)428  営利略取、逮捕監禁致傷、大麻取締法違反被告事件についてした上告棄却決定に対する異議申立て事件
令和4年7月20日  最高裁判所第三小法廷  決定  棄却  最高裁判所

上告趣意書の差出最終日に弁護人が辞任し差出最終日には被告人に弁護人がなかったとしても、差出最終日までに上告趣意書を差し出さなかったことを理由に被告人の上告を棄却したことが正当であるとされた事例

事実確認を見ていきます。
(1)営利略取、逮捕監禁致傷の事実で、同年6月23日、大麻取締法違反の事実でそれぞれ起訴され、A弁護士を弁護人として選任していた。しかし、A弁護人は、論告、弁論が予定されていた公判期日の4日前である同年9月4日、辞任届を提出したため、第1審裁判所は、同公判期日を取り消し、その後、新たに別の弁護士の弁護人選任届が提出された。被告人は、同年12月16日、上記の各罪により懲役2年4月に処せられ、同月27日、控訴した。

もう無茶苦茶ですね。弁護士はあくまでも依頼人との間に信頼関係がなければやってられません。当然辞任する権利はあります。よほど陳述書か何か書くときに、言っていることが二転三転したのでしょう。そりゃ次の弁護士も4日で何をしろ?という状態ですので期日が延期されました。それでも有罪判決となりました。

(2)令和4年1月27日、原審裁判所は、控訴趣意書差出最終日を同年3月3日、第1回公判期日を同月18日とそれぞれ指定し、同年1月28日、A弁護士の弁護人選任届が提出された。しかし、A弁護人は、控訴趣意書差出最終日の3日前である同年2月28日、辞任届を提出したため、原審裁判所は、国選弁護人を選任するとともに、控訴趣意書差出最終日を同年3月31日まで延長し、第1回公判期日を同年4月15日に変更した。被告人は、同日、控訴棄却の判決を受け、同月29日、上告した。

ん?辞めたはずの弁護士が再任ですか?

(3)同年5月25日、当審にA弁護士の弁護人選任届が提出され、上告趣意書差出最終日が同年6月27日と指定された。しかし、A弁護人は、その最終日に至り、辞任届を提出し、その翌日である同月28日、新たにB弁護士の弁護人選任届が提出された。

また辞任ですか。これは裁判妨害?

(4)本件については、上告趣意書の提出がなく、同年7月1日、刑訴法414条376条刑訴規則266条、236条、252条により定めた期間内に上告趣意書を差し出さなかったことから、刑訴法414条、386条1項1号により、上告棄却の決定がされた。

結論です
このような事実関係の下では、上告趣意書差出最終日には被告人に弁護人がなかったとしても、上告趣意書差出最終日までに上告趣意書を差し出さなかったことを理由に被告人の上告を棄却したことは正当であり、本件申立てには理由がない。

第三小法廷 全員一致でした
裁判長裁判官 長嶺安政
裁判官 宇賀克也
裁判官 林 道晴
裁判官 渡 惠理子

当然でしょう。というのは、裁判は本人訴訟が原則です。弁護士はあくまでも代理人です。ただ不可解なのはA弁護士が期日直前に辞任し再任され、また辞任です。これって裁判妨害じゃない?という疑問が出てきます。国選でB弁護士が選出されても、同じ理由で期日延期は流石に駄目です。

これこそ男女不平等の判決:子供の連れ去り問題

2022-08-18 08:07:55 | 日記
これは芸能界のニュースでかつスポーツ紙を元に話をするので、法的には正確ではないかもしれませんし、登場人物には恨みはないので伏字にします。

××の〝親権調停中に極秘出産〟 所属事務所が認める「事実です」
××は先月、週刊文春に前夫の格闘家・○○が長女Aちゃん(7)を違法に連れ去っていることを告発。2人は19年末に離婚し、当初は○○がAちゃんの親権を持っていたが、20年に××が親権者変更と引き渡しを求める調停を申し立てた。東京家裁は昨年2月に親権を××に変更する決定を下した。同年4月には東京高裁が○○の抗告を棄却し、親権者変更が確定。それでもAちゃんが拒否したため、××は同居できず。これを○○の責任だと追及しており、世間の同情を集めていた。

勝手な想像です。二人とも芸能界とスポーツ選手なので、子どもの看護状態はほぼ同じだと思われます。母親が我が子を連れ去った場合は、母親にほぼ無審査状態で母親に親権が行きます。
ところが今回のように父親が連れ去った場合は、母親に監護権が変更され親権も移されてしまいます。何の本だったか忘れましたが、弁護士が書いた本では97%父親から母親に強制的に変更されます。
ここからは一般論です。
監護権選定には母性優先主義なる意味不明な原則があり、子どもの看護の実態を伴わないのに母親が優先されます。これは、浮気をしていようが夫婦間の問題とは全く別に優先され、また母親が精神疾患であろうが、麻薬中毒患者であろうが、子供に食事を与えていれば監護実績がある事になります。これで、子どもの福祉に適う判断ができるのでしょうか?

災害以外の水道供給停止は賠償請求の対象になりうる

2022-08-17 13:58:37 | 日記
令和3(オ)555  損害賠償等請求事件
令和4年7月19日  最高裁判所第三小法廷  判決  破棄差戻  福岡高等裁判所  那覇支部
 宮古島市水道事業給水条例(平成17年宮古島市条例第215号)16条3項は、水道事業者である市が水道法15条2項ただし書(平成30年法律第92号による改正前のもの)により給水義務を負わない場合において同義務の不履行に基づく損害賠償責任を負うものではないことを確認した規定にすぎず、市が給水義務を負う場合において同義務の不履行に基づく損害賠償責任を免除した規定ではない


毎日新聞の報道です
水道管理、責任は 最高裁、市勝訴の2審破棄 沖縄・宮古島
沖縄県宮古島市の伊良部(いらぶ)島で2018年に断水が発生し、損害を受けたとして、島内でホテルを経営する2社が、水道施設を管理する市に計約350万円の損害賠償を求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第3小法廷(林道晴裁判長)は19日、ホテル側敗訴とした2審福岡高裁那覇支部判決を破棄し、審理を福岡高裁に差し戻した。
 第3小法廷は「今回の断水がやむを得ない場合に当たるのか、審理を尽くした上で判断すべきだ」とした。


都毎日新聞の報道です
最高裁、高裁判決を破棄/伊良部島断水訴訟
今回裁判の争点となっている市の水道事業給水条例の16条では、1項で「給水は、非常災害、水道施設の損傷、公益上その他やむを得ない事情および法令またはこの条例の規定による場合のほか、制限または停止することはない」とし、3項では「1項の規定による給水の制限または停止のため損害を生ずることがあっても、市はその責めを負わない」としている。
この条項が「給水義務の不履行に基づく損害賠償責任を免除した規定であるか否か」が判断され、1審では市の重過失は認められず、2審でも「重大な過失となると評価することはできない」として控訴は棄却されていた。


朝日新聞の報道です
断水の損害、条例で免責は「ダメ」 最高裁判決、各地に影響か
市条例は、給水の制限や停止で損害が生じても「市はその責めを負わない」と定めている。同様の「免責」規定がある条例を持つ自治体は各地にあり、影響を及ぼす可能性がある。
 宮古島市では2018年4月、約40年間交換していなかった配水池の水位の調整装置が故障し、断水が発生した。市内でホテルを営む2社は「市が故障を防ぐ義務を怠った」として、宿泊キャンセルやレストランの営業停止などに伴う損害賠償を求めて提訴した。


事実関係を見ていきます。
(1)水道法14条1項は、水道事業者は、料金、給水装置工事の費用の負担区分その他の供給条件について、供給規程を定めなければならないと規定しており、被上告人は、上記供給条件等を定めることを目的として宮古島市水道事業給水条例(平成17年宮古島市条例第215号。以下「本件条例」という。)を制定している。
(3)平成30年4月27日、本件断水が発生し、被上告人は、上記宿泊施設に対する給水をすることができなくなった。その後、本件断水は解消され、被上告人が設置し管理する水道施設である配水池内の装置の破損が本件断水の原因であることが判明した。
(4)本件条例16条1項は、「給水は、非常災害、水道施設の損傷、公益上その他やむを得ない事情及び法令又はこの条例の規定による場合のほか、制限又は停止することはない。」と規定し、同条3項は、「第1項の規定による、給水の制限又は停止のため損害を生ずることがあっても、市はその責めを負わない。」と規定している。


「駐車場での事故は当店は責任を一切負いません」とか「傘の紛失は一切責任を負いません」というのは、実は商法上責任を負わなければならないのと一緒のように見えますね。確かに不可抗力は仕方ないですよ。例えば地震で配管が破裂したとかであれば。

4 水道法15条2項は、本文において、水道事業者は当該水道により給水を受ける者に対し常時水を供給しなければならないとして、水道事業者が常時給水の義務を負う旨を定めた上で、ただし書において、「災害その他正当な理由があってやむを得ない場合」には給水を停止することができる旨を定めており

ほらね。この後に市の条例の話が出てきますが、法律の方が上位なので、条例がああだこうだいっても意味はありません。

結論は裁判官全員一致の意見でした。
本件条例16条3項は、被上告人が、水道法15条2項ただし書により水道の使用者に対し給水義務を負わない場合において、当該使用者との関係で給水義務の不履行に基づく損害賠償責任を負うものではないことを確認した規定にすぎず、被上告人が給水義務を負う場合において、同義務の不履行に基づく損害賠償責任を免除した規定ではないと解するのが相当である。

裁判官林道晴の補足意見
水道法14条1項の供給規程として定められた本件条例16条1項は、給水を停止することができる場合として「非常災害、水道施設の損傷、公益上その他やむを得ない事情」等による場合と定めているところ、本件断水は、本件破損が原因となったものであって、形式的には「水道施設の損傷」による場合に当たるものである。もっとも、同条1項は、水道法15条2項を受けて、常時給水の原則を確認する趣旨で定められたものにすぎず、一定の事情の下における給水義務の存否は、その事情が同項ただし書に定める場合に当たるか否かによって判断されるべきものである。そして、同項は、水道事業者が給水義務を負わない場合を「災害その他正当な理由があってやむを得ない場合」に限定している。原審は、故意・重過失について論じているところであるが、いずれにせよ、本件断水による給水義務の不履行に基づく損害賠償責任の存否を検討するに当たっては、水道施設の損傷につき水道事業者の過失が認められるか否かという問題と給水義務の存否との関連性についても検討する必要があるように思われる。


原審では過失かどうか議論があったようですね。新聞記事では40年間交換してこなかったことが書かれています。となれば、そろそろ危険じゃないの?と総点検すべきだったのではないでしょうか。最高裁でも本来なら重過失かどうか議論があってしかるべきだったのではないかと思います。

第三小法廷判決
裁判長裁判官 林 道晴 まとも
裁判官 宇賀克也
裁判官 長嶺安政
裁判官 渡 惠理子

労災保険が自賠責の代位弁済していることがあるので、自賠責に直接請求できない事がある

2022-08-15 09:20:20 | 日記
令和3(受)1473  保険金請求事件
令和4年7月14日  最高裁判所第一小法廷  判決  破棄自判  大阪高等裁判所

 被害者の有する自賠法16条1項に基づく請求権の額と労災保険法12条の4第1項により国に移転した上記請求権の額の合計額が自賠責保険金額を超える場合であっても自賠責保険会社が国に対してした損害賠償額の支払は有効な弁済に当たる

報道がなかったので、事実確認から見ていきます。
1(1)1 本件は、交通事故によって傷害を受けた被上告人が、加害車両を被保険自動車とする自動車損害賠償責任保険の保険会社である上告人に対し、自動車損害賠償保障法16条1項の規定による請求権に基づき、保険金額120万円の限度における損害賠償額から上告人の被上告人に対する既払金を控除した残額である103万9212円の支払を求める事案である。

この金額だと弁護士費用ですべてすっ飛びましたね。日本の民事裁判の糞なところが出ています。

上告人は、被上告人が上記事故による傷害に関して労働者災害補償保険法に基づく給付(を受けたことにより国に移転した直接請求権の行使を受け、国に対して103万9212円の支払(以下「本件支払」という。)をしていることから、本件支払が有効な弁済に当たるか否かが争われている。

ある人が事故に巻き込まれました。120万円のうちお詫び代に相当する分は側近で出ましたが、本来払われるべき103万円は出ませんでした。理由は、仕事中だったので労災保険が降りたはずだから、弁済は終了したはずだと自賠責保険の会社は抗弁しています。

なお事故の概要は省略しますが、相手の前方不注意で10:0に近いようです。

⑶ 政府は、本件事故が第三者の行為によって生じた業務災害であるとして、被上告人に対し、本件傷害に関し、労災保険給付として療養補償給付及び休業補償給付を行った。これらの価額の合計は864万2146円である。
上記の労災保険給付を受けてもなお塡補されない被上告人の本件傷害による損害の額は、440万1977円である。また、自賠責保険の保険金額は、本件傷害による損害につき120万円である。


自賠責保険の趣旨はごくごく最低限の保証を確保するものですからね。

交通事故の被害者は、国も、同月14日、上告人に対し、政府が上記労災保険給付を行ったことに伴い労災保険法12条の4第1項により国に移転した直接請求権を行使した。
これらを受けて、上告人は、同年7月20日、被上告人(交通事故の被害者)に対して16万0788円を支払い、同月27日、国に対して103万9212円を支払った。


最高裁判所は
直接請求権は、被害者の被保険者(加害者)に対する自賠法3条の規定による損害賠償請求権と同額のものとして成立し、被害者に対する労災保険給付が行われた場合には、労災保険法12条の4第1項により上記労災保険給付の価額の限度で国に移転するものであって、国は上記価額の限度で直接請求権を取得することになる。

結論
被害者の有する直接請求権の額と、労災保険法12条の4第1項により国に移転した直接請求権の額の合計額が自賠責保険金額を超える場合であっても、自賠責保険の保険会社が国の上記直接請求権の行使を受けて国に対して自賠責保険金額の限度でした損害賠償額の支払は、有効な弁済に当たると解するのが相当である。

第一小法廷 全員一致です
裁判長裁判官 山口 厚 妥当
裁判官 深山卓也 妥当
裁判官 安浪亮介 妥当
裁判官 岡 正晶 妥当
裁判官 堺 徹 妥当

労災で認定されたときに、自賠責保険とはこんなやり取りをしてますよというような通知は被害者に届かないんですかね。

もうすぐ強制不妊手術の最高裁判決

2022-08-13 08:23:56 | 日記
まだ東京高裁と大阪高裁でしか判決が出ていません。おそらくそろそろ最高裁判決が出るころではないかと思います。優生保護法については、ナチスの発想だと言われていますが、フランスでもスウェーデンでもアメリカでもありました。べつに日本だけの問題ではなく、またナチの問題でもありません。

朝日新聞の報道です。
強制不妊手術、国に1500万円賠償命令 東京高裁
この日の東京高裁判決は、一審判決を一転させ原告勝訴とした。国の賠償責任はこれまで6件の地裁判決が認めておらず、認めたのは2月の大阪高裁判決に続いて2件目。
 訴えによると、宮城県内の児童施設に入所していた男性は57年、事情を知らされないまま病院で不妊手術を受けた。
 一、二審を通じた主な争点は、60年以上前の不法行為について国に賠償を求めることができるかどうかだった。
 2018年に提訴した男性側はこれまでの訴訟で①手術を受けたことで子どもができなくなった②精神疾患などがある子の出生を防ぐといった「優生思想」にもとづき受けた手術のため差別や偏見を恐れて周囲に秘密にせざるを得なかった――などと主張。「極めて重大な人権侵害で、損害は人生被害というべきだ」として、除斥期間を適用しないよう求めていた。
 国側は手術日を除斥期間の起算点とし、損害賠償を求める権利はすでに消えていると反論していた。


読売新聞の報道です
強制不妊、国に初の賠償命令…大阪高裁「人権侵害が強度」
旧優生保護法に基づく不妊手術を強制されたとして、近畿地方の男女3人が国に計5500万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、大阪高裁は22日、旧法は「非人道的かつ差別的」で違憲と判断し、国に計2750万円の賠償を命じた。不法行為から20年の経過で賠償請求権が消滅する「 除斥じょせき 期間」について、太田 晃詳てるよし 裁判長は「国が差別や偏見を助長しており、適用は著しく正義に反する」とし、適用を認めなかった。

優生保護法によれば、
第6条2項 前項の優生手術を受くべき旨の決定を受けた者の配偶者、親権者、後見人又は保佐人もまた、その再審査を申請することができる。
第八条 第四条の規定による申請者、優生手術を受くべき者及びその配偶者、親権者、後見人又は保佐人は、書面又は口頭で、都道府県優生保護審査会又は公衆衛生審議会に対し、第五条第一項の審査又は前条の再審査に関して、事実又は意見を述べることができる。

とあります。親権者が異議申し立てできるとあり、また生殖腺の切除を義務とはしていない点です。要するに、親の意思次第である事になります。
高裁では訴えの期間を過ぎていたことを理由にしていますが、事実誤認としか言いようがないでしょう。法文から見れば医師と親権者あるいは保護者の同意が前提となっています。国家の責任とするには問題があり、親権者あるいは保護者が拒否すれば止められた話です。

トンデモ判決 第三者委員会の弁護士はそのまま依頼人の弁護士になれる

2022-08-10 09:19:38 | 日記
令和4(許)3  訴訟代理人による訴訟行為の排除を求める申立て却下決定に対する抗告審の取消決定に対する許可抗告事件
令和4年6月27日  最高裁判所第一小法廷  決定  破棄自判  大阪高等裁判所
会社法423条1項に基づく損害賠償請求訴訟において原告の設置した取締役責任調査委員会の委員であった弁護士が原告の訴訟代理人として行う訴訟行為を弁護士法25条2号及び4号の類推適用により排除することはできないとされた事例

毎日新聞の報道です。
関電側弁護士の排除認めず 金品受領巡る訴訟で最高裁が高裁決定破棄
関西電力の金品受領問題などを受け、関電が旧経営陣に損害賠償を求めた訴訟を巡り、最高裁第1小法廷(安浪亮介裁判長)は関電側の代理人弁護士のうち、2人を訴訟から排除するよう求めた旧経営陣側の申し立てを却下する決定をした。排除を認めた大阪高裁決定を破棄した。

時事通信の報道です。
関電側弁護士の排除認めず
2人は、関電が旧経営陣の損害賠償責任を調べる目的で設けた取締役責任調査委員会の委員を務めた。第1小法廷は調査委が旧経営陣に事情聴取への協力を求めた際の文書には、聴取結果が訴訟の証拠に用いられる可能性があるとの記載があり、旧経営陣側も当然認識していたと指摘した。

訴えの内容を見ていきます。
1 株式会社である抗告人を原告とし、その取締役であった相手方らを被告とする訴訟において、相手方らが、弁護士及び木目田裕弁護士が抗告人の訴訟代理人として訴訟行為をすることは弁護士法25条2号、4号等の各趣旨に反すると主張して、太田弁護士らの各訴訟行為の排除を求める事案である。

この二人の弁護士は、関西電力の取締役責任調査委員会のメンバーで、独立した第三者委員会のメンバーだったようです。

2(1)令和元年9月、抗告人の取締役等が福井県における原子力発電事業に関して地元関係者から多額の金品を受領していた問題についての報道がされた。
(2)抗告人は、令和2年3月、金品受領問題等に関し、日本弁護士連合会のガイドラインに準拠して設置した第三者委員会から再発防止策の提言等を受けた後、相手方らが会社法423条1項により抗告人に対する損害賠償責任を負うか否か等について調査、検討を行うため、太田弁護士らを含む4名の弁護士に委員を委嘱して、取締役責任調査委員会を設置した。
(3)本件責任調査委員会は、相手方らに対し、文書により、金品受領問題等に関する事情聴取に協力するよう要請した。上記文書には、その事情聴取の結果は、抗告人の相手方らに対する責任追及訴訟において証拠として用いられる可能性がある旨の記載がされていた。
(4)令和2年6月、抗告人に対し、相手方らに損害賠償責任が認められるなどと記載した調査報告書を提出した。


思いっきりかかわってますね。

(5)抗告人は、令和2年6月、太田弁護士らを含む複数の弁護士を訴訟代理人として、本件訴訟を大阪地方裁判所に提起した。本件訴訟は、抗告人が、金品受領問題等に関し、相手方らが取締役としての任務を怠ったことにより損害が生じたと主張して、会社法423条1項に基づき、相手方らに対し、損害賠償を求めるものである。

抗告人は関西電力で、2人の弁護士に第三者委員会として参加、その後関西電力からの依頼で関西電力の弁護人になったようです。

(6)相手方らは、令和2年7月、大阪地方裁判所に対し、本件訴訟において太田弁護士らが抗告人の訴訟代理人として訴訟行為をすることは、弁護士法25条2号、4号等の各趣旨に反すると主張した。

まあそりゃそうですよね。第三者として事情聴取に応じたのですから、それが訴えてきたのですから。ある宗教者に罪を告白したところ、その宗教者がいきなり検事に変身したようなものです。

最高裁は
本件責任調査委員会は、金品受領問題等に関し、抗告人が相手方らの会社法423条1項に基づく損害賠償責任の有無等を調査、検討するために設置したものであり、その委員は、抗告人から委嘱を受けて、上記の調査等のために職務を行うものである。相手方らにおいても、本件責任調査委員会の名称及び設置目的並びに本件記載に照らし、本件責任調査委員会が、抗告人のために上記の調査等を行っており、事情聴取の結果が、抗告人の相手方らに対する損害賠償請求訴訟において証拠として用いられる可能性があることを当然認識していたというべきである

ん?これでは第三者委員会ではないですね。これは完全な騙し討ちですよ。問題が起こったことを探し出して、二度と同じようなことをさせないようにするための仕組みを作ることと、罰与えることは別であるべきです。こんな事をやったら、誰もが黙秘しますよ。

本件責任調査委員会の設置目的やその委員の職務の内容等に照らし、太田弁護士らが裁判官と変わらない立場にあったということもできない。これらのことは、抗告人が本件公表をしていたからといって、変わるものではない。そもそも、弁護士に委任をして訴訟を追行する当事者の利益や訴訟手続の安定等を考慮すると、弁護士法25条に違反する弁護士の訴訟行為を排除する判断において、同条の規定についてみだりに拡張又は類推して解釈すべきではない。

裁判官と同じであるはずはありません、ただ検事と同じような役割を果たしています。

本件訴訟において太田弁護士らが抗告人の訴訟代理人として行う各訴訟行為について、弁護士法25条2号及び4号の類推適用があるとして、これを排除することはできないと解するのが相当である。

全員一致の判断でした

裁判長裁判官 安浪亮介 トンデモ
裁判官 山口 厚 トンデモ
裁判官 深山卓也 トンデモ
裁判官 岡 正晶 トンデモ
裁判官 堺 徹 トンデモ

感情的にも裁判を進めるためのスピードについても第三者委員会のメンバーがいたほうがずっと効率的なのは分かります。ですが、第三者委員会とはなんですかね。これでは全く訳分かりません。
何かやらかしても、第三者員会にはこれから黙秘を通すしかないですね。補足意見の一つぐらいあってもよさそうな案件です。



Twitter上の犯罪歴消去の要件が決まりました

2022-08-08 13:05:07 | 日記
令和2(受)1442  投稿記事削除請求事件
令和4年6月24日  最高裁判所第二小法廷  判決  破棄自判  東京高等裁判所
 ある者のプライバシーに属する事実を摘示するツイートがされた場合にその者がツイッターの運営者に対して上記ツイートの削除を求めることができるとされた事例

時事通信の報道です。
過去の逮捕歴投稿、削除命令 ツイッター社逆転敗訴―「長期閲覧想定せず」・最高裁
原告の男性は2012年、建造物侵入容疑で逮捕され、略式命令を受けて罰金を納付した。実名報道され、ツイッターの投稿に記事が転載されるなどしたが、その後も検索すれば閲覧できる状態にあり、人格権の侵害を訴え削除を求めた。

産経の報道です
ツイッターへの削除命令 グーグル基準より緩和
公益性とプライバシーのどちらに軸足を置くべきか-。交流サイト(SNS)のツイッターで投稿された過去の逮捕歴の削除を巡り、最高裁が24日、削除を命じる判決を言い渡した。速報性や拡散性が高いツイッターの特徴を考慮して、インターネット検索大手「グーグル」を巡る最高裁判断よりも、削除に対するハードルを下げた形だ。専門家は「同種の投稿削除への追い風になる」と分析する。
グーグルを巡る平成29年の最高裁判断では、グーグルは「ネット上の重要な情報流通の基盤」とした上で、事実の性質や内容▽事実の伝達範囲と具体的被害の程度▽当事者の社会的地位や影響力-などを考慮して、公表されない利益(プライバシー)が公表する理由(公益性)より「優越することが明らか」な場合に削除できるとした。
これに対し、今回の最高裁判決では、グーグルの基準で示された「優越することが明らかな場合」ではなく、「優越する場合」に削除できると表現した。「明らか」という表現を使わなかったことで、グーグルよりも要件は緩まったといえる。



概要を見ていきます。
(2)上告人が逮捕された事実は、逮捕当日に報道され、その記事が複数の報道機関のウェブサイトに掲載された。
同日、ツイッター上の氏名不詳者らのアカウントにおいて、本件各ツイートがされた。本件各ツイートは、いずれも上記の報道記事の一部を転載して本件事実を摘示するものであり、そのうちの一つを除き、その転載された報道記事のウェブページへのリンクが設定されたものであった。なお、報道機関のウェブサイトにおいて、本件各ツイートに転載された報道記事はいずれも既に削除されている。


Facebookでは引用元記事が消されても、当時のトップ画面の一部がそのまま残りますが、Twitterでもどうなんですかね。

(3)上告人は、上記の逮捕の時点では会社員であったが、現在は、その父が営む事業の手伝いをするなどして生活している。また、上告人は、上記逮捕の数年後に婚姻したが、配偶者に対して本件事実を伝えていない。

あちゃーですね。これによると
前科は戸籍謄本にも住民票にも記載されません。罰金以上の前科に限り、本籍がおかれた市区町村の犯罪人名簿に記録されますが、一般の方は閲覧できませんし、前科について問い合わせても教えてくれません。
検察庁のデータベースには、科料や拘留を含め全ての前科が本人が死亡するまで保存されていますが、これも一般の方は閲覧できませんし、問い合わせても教えてくれません。
また、裁判所や警察、検察庁が本人の勤務先に前科について報告することもありません。そのため、実名報道されたり本人が言わない限り、前科が事件に関係のない一般の方に知られることないでしょう。


罰金刑までならまだしも、それ以上となると記録がかなり残るようです。つまり罰金刑とそれ以上では大きな扱いの差があるようです。

(4)ツイッターは、世界中で極めて多数の人々が利用しており、膨大な数のツイートが投稿されている。ツイッターには、利用者の入力した条件に合致するツイートを検索する機能が備えられており、利用者が上告人の氏名を条件としてツイートを検索すると、検索結果として本件各ツイートが表示される。

確か会員に限らず不特定多数が見られます。が、よほどしつこく探さないと数年前の記事なんかは出てきませんね。

最高裁は
(1)個人のプライバシーに属する事実をみだりに公表されない利益は、法的保護の対象となるというべきであり、このような人格的価値を侵害された者は、人格権に基づき、加害者に対し、現に行われている侵害行為を排除し、又は将来生ずべき侵害を予防するため、侵害行為の差止めを求めることができるものと解される(最高裁平成13年(オ)第851号同年(受)第837号同14年9月24日第三小法廷判決・裁判集民事207号243頁、最高裁平成28年(許)第45号同29年1月31日第三小法廷決定・民集71巻1号63頁参照)。

みだりにやったら駄目よってことですね。じゃあみだりというのはどの範囲かが問題になります。

本件事実の性質及び内容、本件各ツイートによって本件事実が伝達される範囲と上告人が被る具体的被害の程度、上告人の社会的地位や影響力、本件各ツイートの目的や意義、本件各ツイートがされた時の社会的状況とその後の変化など、上告人の本件事実を公表されない法的利益と本件各ツイートを一般の閲覧に供し続ける理由に関する諸事情を比較衡量して判断すべきもので、その結果、上告人の本件事実を公表されない法的利益が本件各ツイートを一般の閲覧に供し続ける理由に優越する場合には、本件各ツイートの削除を求めることができるものと解するのが相当である。

逮捕歴有とはいえ、罰金刑ですからね。再犯が何度もあったというなら、晒し者でも仕方ないかと思いますが。

(2)本件事実は、他人にみだりに知られたくない上告人のプライバシーに属する事実である。他方で、本件事実は、不特定多数の者が利用する場所において行われた軽微とはいえない犯罪事実に関するものとして、本件各ツイートがされた時点においては、公共の利害に関する事実であったといえる。しかし、上告人の逮捕から原審の口頭弁論終結時まで約8年が経過し、上告人が受けた刑の言渡しはその効力を失っており(刑法34条の2第1項後段)、本件各ツイートに転載された報道記事も既に削除されていることなどからすれば、本件事実の公共の利害との関わりの程度は小さくなってきている。

そしてここからが重要です。
膨大な数に上るツイートの中で本件各ツイートが特に注目を集めているといった事情はうかがわれないものの、上告人の氏名を条件としてツイートを検索すると検索結果として本件各ツイートが表示されるのであるから、本件事実を知らない上告人と面識のある者に本件事実が伝達される可能性が小さいとはいえない。加えて、上告人は、その父が営む事
業の手伝いをするなどして生活している者であり、公的立場にある者ではない。


①探せば出てくる
②面識のない人にも知られる可能性がある
③公的な立場ではない
この3条件がそろわないと消してもらえないことになります。

裁判官草野耕一の補足意見
(1)上告人の本件事実を公表されない法的利益
一市民として社会に復帰することを期待されており、前科等に関する事実の公表によって、新しく形成している社会生活の平穏を害され、その更生を妨げられることのない利益を有している(最高裁平成元年(オ)第1649号同6年2月8日第三小法廷判決・民集48巻2号149頁参照)。・・・家族や知人が本件各ツイートをいつ見るかもしれないと危惧し続けることによって平穏な暮らしを妨げられている上告人の不利益がツイッターの検索機能が弱いという理由によって甘受し得る程度のものに減少するとは考え難い。


(2)本件各ツイートを一般の閲覧に供し続ける理由
犯罪者が政治家等の公的立場にある者である場合は格別(本件はそのような事案ではない。)、犯罪者の氏名等は、原則として、犯罪事件の社会的意義に影響を与える情報ではない。よって、犯罪者の特定を可能とするこのような情報を、保全されるべき報道内容から排除しても報道の保全価値が損なわれることはほとんどないといってよいであろう。
ア 刑の執行が完了し、刑の言渡しの効力もなくなっている状況下において、実名報道の制裁的機能がもたらす効用をプライバシー侵害の可否をはかるうえでの比較衡量の対象となる社会的利益として評価する余地は全くないか、あるとしても僅少である。
イ 実名報道がもたらす第二の効用は、犯罪者の実名を公表することによって、当該犯罪者が他者に対して更なる害悪を及ぼす可能性を減少させ得る点に求めることができる。しかしながら、この効用は個人のプライバシーに属する事実をみだりに公表されない利益が法的保護の対象となるとする価値判断と原則的に相容れない側面を有している。なぜならば、人が社会の中で有効に自己実現を図っていくためには自己に関する情報の対外的流出をコントロールし得ることが不可欠であり、この点こそがプライバシーが保護されるべき利益であることの中核的理由の一つと考えられるからである。
ウ 第三に、実名報道がなされることにより犯罪者やその家族が受けるであろう精神的ないしは経済的苦しみを想像することに快楽を見出す人の存在を指摘せねばならない。


ウは2ちゃんねらーの事ですかね。

第二小法廷判決 全員一致です。
裁判長裁判官 草野耕一
裁判官 菅野博之
裁判官 三浦 守
裁判官 岡村和美

妥当だと思います。これが、殺人であるとか強制性交であれば、永久に乗せたままでいいと思います。

法定相続人は親子関係の不存在の訴えはできない

2022-08-05 15:23:44 | 日記
令和3(受)1463  親子関係不存在確認請求事件
令和4年6月24日  最高裁判所第二小法廷  判決  破棄自判  福岡高等裁判所  宮崎支部
 親子関係不存在確認の訴えについて確認の利益があるとされた事例

またダラダラと書いています。判決文に図を入れることは憲法違反なんですかね。

(1)亡A及び亡Bは、亡Cと亡Dとの間の子であり、亡Eは、戸籍上亡Cと亡Dとの間の子とされている者である。
(2)亡Aは昭和25年に、亡Eは平成14年に、亡Bは平成29年に、それぞれ死亡した。亡Bの戸籍上の法定相続人は、亡Aの子である上告人外1名及び亡Eの子ら3名である。
2 本件は、上告人が、検察官に対し、亡Eと亡C及び亡Dとの間の各親子関係(以下「本件各親子関係」という。)の不存在の確認を求める事案である

文字だけ見ていると何のことか分かりませんので、図にしてみました。


前記事実関係等によれば、上告人は、亡C及び亡Dの孫であり、亡Eの戸籍上の甥であって、亡Bの法定相続人であるところ、本件各親子関係が不存在であるとすれば、亡Bの相続において、亡Eの子らは法定相続人とならないことになり、本件各親子関係の存否により上告人の法定相続分に差異が生ずることになる。親子関係の不存在の確認の訴えを提起する者が当該訴えにつき法律上の利益を有するというためには、当該親子関係が不存在であることにより自己の身分関係に関する地位に直接影響を受けることを要すると解されるところ(最高裁昭和59年(オ)第236号同63年3月1日第三小法廷判決・民集42巻3号157頁参照)、法定相続人たる地位は身分関係に関するものであって、上告人は、その法定相続分に上記の差異が生ずることにより、自己の身分関係に関する地位に直接影響を受けるということができる。

ここからは想像です。伯父さんが平成29年に死亡した。訴えを起こしたのは令和3年、少なくとも2,3年は何もしてなかったことになります。伯父さんが恐らく大借金をしていたのでしょう。相続放棄の時期が過ぎてから大借金が発覚して、これは溜まらんとなった。よくよく見たら祖父母と父親との間にきちんとした親子関係になってない、ということで訴えを起こしたのだと勝手に想像します。
となると、今更何を言ってるんだ?信義則に反するのでは?というのが最高裁の判断なのかなと思います。

第二小法廷判決
裁判長裁判官 岡村和美
裁判官 菅野博之
裁判官 三浦 守
裁判官 草野耕一

全員妥当な判断です。

現行法では仕方ない、連れ去りのやったもん勝ち判決

2022-08-04 18:01:09 | 日記
令和3(許)8  間接強制決定に対する抗告審の取消決定に対する許可抗告事件
令和4年6月21日  最高裁判所第三小法廷  決定  棄却  大阪高等裁判所
ハーグ条約実施法134条に基づく間接強制の方法による子の返還の強制執行の申立てが不適法であるとされた事例

事件概要です。
フランス当局が日本人妻に逮捕状発行で注目の”連れ去り”離婚訴訟 敗訴の夫側は「日本の司法に失望」
ヴィンセントさんは昨年の東京五輪期間中に国立競技場前で「連れ去り被害」を訴え、3週間のハンガーストライキを敢行したことで注目を浴びた。4年前、離婚問題について話し合いをしている最中、妻が黙って二人の子供を連れ去ってしまったというのがヴィンセントさん側の訴えだ。
 一方、妻側は夫によるDVから逃れるために仕方なく取った避難行動であったと主張。妻側が離婚を求めて起こした訴訟で、親権が争われていた。判決では親権は妻に定められたが、妻側が主張していたDVについては認められなかった。
 昨年11月、フランス司法当局が日本人妻に対して「未成年者拉致の罪」(未成年者略取及び誘拐)と「未成年者を危険にさらした罪」で逮捕状を発行したことでもより大きな注目を集めた今回の判決公判。判決後に司法記者クラブで開かれた会見には、「ル・フィガロ」「ル・モンド」などのフランス主要メディアも駆けつけた。


これについて最高裁は

1 本件は、抗告人が、その夫である相手方に対し、国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律(以下「実施法」という。)134条に基づき、両名の子らのフランスへの返還を命ずる終局決定(以下「本件返還決定」という。)を債務名義として、間接強制の方法による子の返還の強制執行の申立てをした事案である。
2 職権をもって調査すると、記録によれば、本件申立ての後、抗告人が実施法134条に基づき本件返還決定を債務名義として申し立てた子の返還の代替執行により子の返還が完了したことによって、本件返還決定に係る強制執行の目的を達したことが明らかであるから、本件申立ては不適法になったものといわなければならない。そうすると、その余の点について判断するまでもなく、本件申立てを却下した原決定は、結論において是認することができる。


本当に糞でしょう。これは立法の責任です。

裁判官長嶺安政、同渡 惠理子の補足意見
外国における子の監護に関する裁判(しかも、いまだ確定もしていない。)がされたことのみを理由として子の返還の強制執行を許さないとすることは、仮に原決定が指摘するように上記裁判が適正な審理の下に行われたものであったとしても、国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約(ハーグ条約)の目的、同条約17条及びこれを受けて定められた実施法28条3項の趣旨に反するおそれがあるものと思料する。

面会交流すら認めないのはおかしいでしょといってます。この程度の事は全員で立法府に意見していいレベルです。

裁判長裁判官 戸倉三郎
裁判官 宇賀克也
裁判官 林 道晴
裁判官長嶺安政 まとも
裁判官 渡 惠理子 まとも

こういう事件があると、負け犬の遠吠えのような評価をする人がいますがとんでもない話です。現行法では、妻が浮気して子供を連れて逃げたとしても同じ判決になります。連れたったもん勝ちです。中には、連れ去りをそそのかす弁護士がいますが、不法行為をそそのかしているのですが、何故かまだ懲戒処分になったことがありません。被害者親は、相手弁護士を是非とも懲戒請求してください。
特に女性側はDVにあったと言いたがりますが、同情を買うために本当に適当な嘘を言うことがあります。これこそ虚偽告訴で逆提訴できるように法改正を求めます。