最高裁判所裁判官の暴走を許さない

最高裁判所裁判官の国民審査は、衆議院選挙の時の「ついでに」ならないようにしましょう。辞めさせるのは国民の権利です。

大崎事件の再審請求却下は当然

2019-06-30 13:12:13 | 日記
平成30(し)146  再審開始決定に対する即時抗告棄却決定に対する特別抗告事件
令和元年6月25日  最高裁判所第一小法廷  決定  その他  福岡高等裁判所  宮崎支部
鑑定等の新証拠が無罪を言い渡すべき明らかな証拠に当たるとして再審開始の決定をした原々決定及び結論においてこれを是認した原決定にはいずれも刑訴法435条6号の解釈適用を誤った違法があるとされた事例

いわゆる大崎事件の再審請求が棄却された事件です。
大崎事件については再審・冤罪事件連絡会のページで概要が分かります。
東京新聞では以下のように報道しています。

 最高裁は、一、二審が重視した弁護側が新証拠として提出した法医学鑑定を検討。鑑定は、確定判決が「窒息死と推定される」とした男性の死因について、「転落事故による出血性ショックの可能性が極めて高い」と指摘していた。
 最高裁は鑑定について、写真だけでしか遺体の情報を把握できていないことなどを挙げ、「死因または死亡時期の認定に、決定的な証明力を有するとまではいえない」と判断した。
 有罪の根拠となった「タオルで首を絞めた」などとする元夫ら親族三人の自白については、「三人の知的能力や供述の変遷に問題があることを考慮しても、信用性は強固だといえる」と評価。「法医学鑑定に問題があることを踏まえると、自白に疑義が生じたというには無理がある」とした。
 最高裁は「鑑定を『無罪を言い渡すべき明らかな証拠』とした高裁支部と地裁の決定を取り消さなければ著しく正義に反する」と結論づけた。


再審請求の事件の割には、大本になった大崎事件の事実認定から始まっています。通常は、その証拠能力云々のみが議論されるもんだと思っていましたが。
まず、裁判所の事実認定から見ていきます。

犯行の経緯
1 請求人は,昭和25年3月Aと結婚して,共に農業に従事してきた。Aは10人兄弟の長男に当たり,同人方に屋敷を接して同人の実弟であるB(二男)及びC(四男)がそれぞれ居住し,同じく農業に従事していた。Cは酒癖が悪く、家族が連れ帰ることが多かった。
Cは,請求人によって妻と離婚させられ,一緒になることを妨害されているとして請求人に反感を抱き,酒に酔っては請求人を「打ち殺す」などと言って暴れ,一度は請求人方に押し掛けて入浴中の請求人を外まで追い回したこともあり,請求人夫婦及びBは日頃からCの存在を快く思っていなかった。
Aの姉の結婚式にCは出てこず、同日も酒浸りで下半身裸のまま寝ころんでいたので、近所の人が家まで送ってやった。
Aは近所の人に謝りに行って戻ってくると、C見ると殺意が出てきてAとAの弟Bと相談して殺害に至った。


こういう人います。アルコール中毒で被害妄想。アルコール中毒でなくても人格障害で、やたらと身近な人に絡んでくる人。これはどうしようもないです。単に結婚相手となれば追い出せば済みますが、きょうだいとなるとなかなかそうはいきません。この点は同情します。

2 罪となるべき事実
AとBはタオルで首を絞めてAの妻Dと穴を掘って埋めた。

裁判手続きの経緯
1 I旧鑑定は,死体の腐敗が著しいため,損傷の有無,程度等が判然としないが,頸部,右側胸腹部,右上肢及び両下肢に外力が作用した痕跡があり,内部においても,頸部,右胸郭等に外力の作用した痕跡が認められ,他に著しい所見を認めないので,窒息死を推定するほかない,仮に窒息死したものとすれば頸部内部の組織間出血は頸部に外力の作用したことを推測させ,他殺を想像させるというものである。鹿鹿児島地方裁判所は,昭和55年3月31日,前記罪となるべき事実等を認定し,請求人を懲役10年に処した。
控訴審においても,請求人が本件各犯行に関与したか否かが争われたが,昭和55年10月14日,福岡高等裁判所宮崎支部は控訴棄却の判決をし,その後請求人の上告も棄却され,前記鹿児島地方裁判所判決が確定した。

Aを懲役8年,Bを懲役7年,Dを懲役1年に処したが,3名はいずれも控訴せず,3名に対する第1審判決は確定した。

2 第1次再審請求において,請求人は,同人,A,B及びDのいずれも本件各犯行に関与していないと主張し,A,B及びDの各自白の信用性を争った。すなわち,弁護人は,Cは溝に自転車ごと転落して事故死した可能性が最も高いから,絞殺を前提とする前記3名の各自白及び確定判決の認定事実はCの死因と矛盾するなどとして,新証拠としてI教授により作成された補充鑑定書(I新鑑定),J教授により法医学的見地から作成された鑑定書(J鑑定)等を提出した。これに対して,検察官は,K教授により法医学的見地から作成された意見書等を提出し,I教授,J教授,K教授,E,D,G及びHの各証人尋問等が行われた。

3 第2次再審請求で,弁護人は,A,B及びDの各自白の信用性を減殺する新証拠として,L医師による法医学的見地からの意見に関する証拠,M教授及びN教授が供述心理学の立場からA,B及びDの各自白等を対象として行った鑑定に関する証拠(M・N旧鑑定)等を提出した。M・N旧鑑定は,これらの自白には変遷があり,体験に基づかない供述であることを示す兆候もみられるというものである。鹿児島地方裁判所は,新証拠にはA,B及びDの各自白の信用性を動揺させるような証拠価値は認められないなどとして,平成25年3月6日,再審請求を棄却した。請求人による即時抗告は平成26年7月15日に棄却され,特別抗告は平成27年2月2日に棄却された。



再審請求した人はいったんは犯行を認め、僅か1審で上告せずに刑に服したのですね。それが刑期を終えた後で、あれは無実だったとして訴えたようです。その根拠が、取り調べを受けているうちに、現実と取り調べで刷り込まれたことが区別がつかなくなってしまったという主張のようです。
ですが、その鑑定を受けて再審請求がなされましたが、最高裁で却下されました。確かに、心理学的にそういう鑑定がなされたとしても、物証ではないので難しいですね。

今回の請求
1 再審請求の趣旨は,無罪を言い渡すべき明らかな証拠を新たに発見したから,刑訴法435条6号により再審開始の決定を求めるというものである。
O鑑定の骨子は,①頸部圧迫による窒息死の死体であれば,圧迫部上方や顔面の鬱血を必ず認め,頸部筋肉内出血を大半に認める,また,腹臥位で遺棄された場合には,体の前面に死斑,血液就下を認める,腐敗が進むと,鬱血,死斑,血液就下は黒くなるはずであり,白くなることも消えることもない,ところが,Cの死体は,顔面,前頸上部及び胸部の外表並びに前頸部及び胸部の筋肉が白っぽく,前記の各所見をいずれも欠いており,タオルで頸部を力一杯絞めて殺したとする確定判決の認定事実と矛盾する,②死体の右腹部及び胸部の変色は,深層に,肋骨骨折による胸壁出血,腎損傷による後腹膜下出血,骨盤骨折による骨盤腔軟部組織出血等の存在を示唆するもので本来切開すべきであるところ,I旧鑑定はこれを怠っている,死斑,血液就下,腐敗血管網を認めず,体の右側に打撲によると推定される広範な出血を認めるCの死因は,農道上の発見状況も勘案すれば,出血性ショックである可能性が極めて高いというものである。


ん?出血性ショックで死んだのであれば、穴に埋められたというのはどうなるのでしょうか?この鑑定をもとに原審、高裁では再審を認めろという判断が出たようです。

Cは溝に自転車ごと転落したことにより既に出血性ショックで死亡し,あるいは瀕死の状態にあった可能性が相当程度に存在することになるから,C方に到着した後の出来事に関するG及びHの各供述は,Cが既に出血性ショックにより死亡し,あるいは瀕死の状態で倒れていたとすれば,そのような状態のCを同人方に運び入れた様子としては不自然,不合理であって,客観的証拠と整合しない可能性が否定できない。また,Cの死亡時期についても,その死因が頸部圧迫による窒息死であることを前提に,G及びHがCを同人方土間に放置して退出した後であると即断することはできないことになる。以上を踏まえると,G及びHの各供述のうち,C方に到着した後,同人を土間に放置するまでの軽トラックの位置関係,同人の様子,同人方で実施した作業の前後関係等にみられる看過し難い食い違いは,生きている状態のCを同人方土間に運び入れて放置し退出したという核心部分の信用性に疑義を生じさせるに足りるものとなる。加えて,Gが,Cの位牌の前で「3日間苦しかったろう。おい(自分)も3日間風呂に入らずきばった。すまんかった。」などと,Cの死体が発見される以前から同人が堆肥に埋まっていることを知っていたことをうかがわせる不可解な言動をしている・・・

うーん、最高裁も同じ疑問を持ちましたが、どうも合理的な説明ができる証言が出てきているようですね。

このような客観的状況を踏まえて,信用性に争いのあるA,B及びDの各自白及びEの目撃供述をみると,客観的状況による裏付けを欠き,かえって頸部圧迫による窒息死とみるのは矛盾するとの客観的証拠(O鑑定)が存在するから,これらの各自白や供述が大筋において合致するからといって,直ちに信用できるものではない。

そりゃそうでしょう。さらに最高裁は続けます。
ア 昭和54年10月15日昼過ぎ頃,C方牛小屋の堆肥置場において,堆肥に完全に埋没した状態で同人の死体が発見された。
イ I旧鑑定の結果,Cの両肺の気管支内腔に堆肥の粉末等が侵入したように見受けられないとされ,堆肥に埋没した状態で死亡したものではないと推測された。
ウ Cは,同月12日,酒を飲んで外を出歩き,夜になって道路脇の溝付近に倒れているのを地域の住人に発見されている。
エ C方は,A方及びB方に隣接しており,これらの敷地はそれぞれ周囲を崖や林に囲まれていることなどから,夜間,C方敷地内に立ち入る者として,同人方,A方及びB方の居住者か,これらの居宅への来訪者以外は現実的には想定し難い。
オ C方には物色された形跡がなかった。
カ 請求人とCの間には確執があり,請求人,A及びBは日頃からCの存在を快く思っていなかった。
キ 確定判決において証拠の標目に掲げられたI旧鑑定は,Cの死体は腐敗が著しく,頸部等に外力が作用した痕跡の他に著しい所見を認めないので窒息死を推定するほかないなどというものにすぎず,死因を断定するものではなかった


50年も前の話で捜査のやり方も今とは全然違うとはいえ、これはひっくり返しようもないですよね。
結論です。

O鑑定が無罪を言い渡すべき明らかな証拠に当たるとした原決定の判断には刑訴法435条6号の解釈適用を誤った違法があり,O鑑定及びM・N新鑑定がそのような証拠に当たるとした原々決定の判断にも同様の違法があるといわざるを得ず,これらの違法が決定に影響を及ぼすことは明らかであり,これらを取り消さなければ著しく正義に反するものと認められる。

積極的に有罪と言っているのではなく、ひっくり返すだけの証拠がないと言っています。これは妥当な判断としか言いようがないでしょう。

裁判長裁判官 小池 裕
裁判官 池上政幸
裁判官 木澤克之
裁判官 山口 厚
裁判官 深山卓也

日本弁護士連合会のページでは、会長声明を出しています。
弁護士はすべて依頼人のために働くという職忠実義務がありますが、その延長線にある声明ですね。書いてある内容もそのまんま延長線でした。

しかし、訴訟権の乱用にならないのでしょうか。そろそろそっちで却下されそうな感じがします。

衆参同日選挙はなくなりました

2019-06-27 08:10:33 | 日記
参議院選挙は7月21日投票日です。
個人的には忙しかったので、誰を落とすべきかをまとめている余裕がなかったので助かりました。
が、国家の観点からすれば国政選挙のたびにやって欲しいと思います。

地裁トンデモ判決:野田虐待致死執行猶予付き

2019-06-26 19:37:24 | 日記
野田小4女児虐待事件判決が出ました。
なんと、千葉地裁は26日、懲役2年6月、保護観察付き執行猶予5年(求刑・懲役2年)の有罪判決を言い渡した。

これは実刑で当然の事件だと思いますが、求刑でもたった2年でした。

毎日新聞の報道によると、


判決によると、なぎさ被告は1月22~24日、夫の勇一郎被告(41)=傷害致死罪などで起訴=が自宅浴室で女児に冷水のシャワーを浴びせるなどした一連の暴行を制止せず、勇一郎被告の指示で女児に食事を与えないなど傷害を手助けした。
 小池裁判長は勇一郎被告の虐待行為について、「執拗(しつよう)かつ非情。常習的で虐待自体が目的化している」と批判。虐待を目の当たりにしながら、なぎさ被告が児童相談所や警察に通報しなかったなどとして、「家族関係を壊したくないと虐待に目を背けた。迎合するところもうかがえ、父親の虐待に母親が手を貸すことは女児の大きなストレスになった」と述べた。一方で、「(勇一郎被告に)あらがうことは困難だったとうかがえる。虐待を止めに入って暴行を受けるなど、勇一郎被告の支配的な影響は大きかった」と被告の置かれていた立場も考慮した。
 小池裁判長は説諭で「虐待に同調した責任は重い。傷害の重さと関与の度合いを考慮して実刑も真剣に検討し勇一郎被告の影響で抵抗することが難しかった点を考慮した」と説明。「女児にしたことを振り返りながら、社会の中で自省と反省の日々を過ごしてほしい」と語りかけた。


母親以外頼るすべを持たなかった子供は。どうなるのでしょうか?これでも母性があったとでもいうのでしょうか。

雑感:ダブル選挙をやるのでしょうか

2019-06-16 10:33:41 | 日記
ダブル選挙となると衆議院議員選挙になり、そうなると最高裁判事の国民審査も同時に行うことになります。
この国民審査制度は、いろいろ問題があります。
1 衆議院選挙の時にしか行わない。これまで2人審査を受けずに定年になっています。参議院選挙の時もやって欲しいものです。
2 一度審査を受けると、定年まで審査を受けない。酷いのがいましたよ。一度審査を受けてからトンデモ判決、意見を垂れ流した裁判官がいても辞めさせられません。毎回全員審査対象にしてください。
3 〇ではなく×をつけること。よく理解しないまま、投票している人はいませんか?×ですよ。
4 そもそも就任段階で、公聴会が開かれない。特に弁護士や学者からの採用、学者はまだ論文を探せばどういう思考の持ち主化は分かりますは、弁護士の場合は誰のどんな事件の弁護を引き受けてきたのか公開されないのでどういう人か全くわかりません。せめて公聴会ぐらいはやって欲しいです。

これも選挙の争点にしてほしいものです。

トンデモ判決:違反を映したドラレコ映像を警察官は見せなくても罰金刑にできる

2019-06-07 18:19:50 | 日記
平成29(あ)67  道路交通法違反被告事件
令和元年6月3日  最高裁判所第一小法廷  判決  破棄自判  大阪高等裁判所

交通反則告知書の受領を拒否したことにつき道路交通法130条2号に当たると解するのは信義に反するなどとして同号該当性を否定した原判決には法令の解釈適用を誤った違法があるとされた事例


共同通信が配信していますが、内容が大雑把なのでよくわかりません。NHKが比較的まとまっておりますので、ここから引用します。

交通違反起訴無効取り消し有罪へ
06月03日 17時57分
信号無視を認めず起訴された男性の裁判で、パトカーの車載カメラの映像で違反を確認させなかった現場の警察官の対応が不誠実だとして起訴そのものを無効とした2審の判決を最高裁判所が取り消し、男性の罰金刑が確定することになりました。
大阪・枚方市の63歳の男性は、平成27年に枚方市の国道で警察官から赤信号を無視したと指摘された際、パトカーの車載カメラの映像を確認したいと求めましたが、「そんなものはない」と拒まれました。
男性は違反を認めず、反則切符を受け取らなかったとして逮捕され、道路交通法違反の罪で起訴されました。
男性の裁判で、2審の大阪高等裁判所は、警察官の対応は極めて不誠実だとして起訴そのものを無効とする判決を言い渡しました。


事実認定を見ていきます。

1 信号機の表示する信号を確認し,これに従うべき注 意義務があるのにこれを怠り,過失により,信号機の表示する赤色の灯火信号を看 過してこれに従わないで,停止線を越えて普通乗用自動車を運転して進行した」と いうものである。

信号無視で覆面パトカーに捕まってしまったのですね。

2 警察は罰金9000円に処した。
3 第1審判決に対して訴訟手続の法令違反,量刑不当を理由に控訴 したところ,原判決は,控訴理由に対する判断に先立ち,職権で,本件公訴の提起 は,道路交通法130条各号に掲げる場合でないのに,同条に掲記された手続が行 われることなくされたもので無効であるから,第1審裁判所は不法に公訴を受理し たものであるとして,378条、刑訴法397条1項,2号により第1審判決を破棄 し,同法338条4号により本件公訴を棄却した。


詳細に見ていくと
1)被告人が,黄色信号だっ たと主張して違反の事実を認めず,降車を拒否し,運転免許証も提示しなかったこ とから,被告人を道路交通法違反(信号無視)の現行犯人として逮捕した。
2)被告人は,交通取締りの現場や逮捕後に引致された警察署で,警察官らに 対し,対面信号機が赤色であったことを示すパトカーの車載カメラの映像(以下 「本件車載カメラ映像」という。)の提示を求めたが,警察官らは,その映像が存 在するにもかかわらず,そのようなものはないと言って拒否した。
3)検察官から取調べを受けた際も,対面信号機は黄色であったと 主張したが,その後,本件車載カメラ映像を見せられると,赤色の灯火信号を看過 した事実を認め,交通反則通告制度の適用を求めた。検察官は,平成28年4月5 日,被告人を起訴し,第1審裁判所は,公判期日を開いて審理した上,同年6月1 4日,公訴事実どおりの事実を認め,被告人を罰金9000円に処する判決を言い渡した。


まあ当然ですね。まず警察官が道交法違反で検挙する場合は、「私が見ていたんだから」という警察官の証言が優先されていました。しかし今はそういう時代じゃないでしょう。客観的な証拠に基づいてきちんと対応すべきです。
その上で、当の警察官は車載カメラの存在をないと嘘を言って対応したわけです。そりゃふざけるなって話になります。

4)原判決は,被告人が交通反則告知書の受領を拒んだのは,本件車載カメラ映 像が存在するにもかかわらず,そのようなものはないと言って提示を拒否した警察 官らの不誠実な対応が一因を成しているというべきであるから,そのことを棚に上 げ,一旦交通反則告知書の受領を拒んだ以上その効果は覆せないなどとして,道路交通法130条2号に当たると解するのは,信義に反するものであり,

ごもっともでございます。私も裁判官ならそのような判断を出します。本来は簡易裁判所で裁判すべきものを、略式で警察官の判断で切符を切ることが可能な状態になっているだけなのです。

ところが最高裁判所は以下のように判断しています。

警察官らが交通反則告知書 の記載内容及び交通反則通告制度について説明をした際,赤色の灯火信号を看過し た事実を否認して交通反則告知書の受領を拒否したのであるから,道路交通法130条2号に該当する事由があることは明らかである。


ちょっと待てよレベルですね。違法な証拠による逮捕は無効ですし当然違反切符を切ること自体おかしなことです。この時に警察が正当な行為であるとなぜ示さなかったのでしょうか。
「あんた、酒臭いから逮捕ね」なんてことは許されませんよね。通常は、ちゃんと本人の目の前で数値で問題があると見せて逮捕なり罰金なりにします。これをしないというのは正統な職務遂行とは言えないでしょう。


裁判官池上政幸の補足意見
これに応じて任意に反則金を納付した者は,当該行為につい て公訴を提起されないこととして,事件の簡易迅速な処理を図ろうとする行政上の 措置として設けられたものである

先ほど書いたように略式ですね。

警察官は,反則者があると認めるときは,その 者の居所又は氏名が明らかでない場合等を除き,書面により,反則行為となるべき 事実の要旨,反則行為の種別等を告知すべきものとされ(道路交通法126条1 項),同書面には,交通反則通告制度の手続を理解させるため必要な事項を記載す るものとされている(同条2項)が,その交付に当たり,上記の範囲を超えて,反 則者の求めに応じて反則行為となるべき事実を証する資料・証拠等を提示ないし教 示することは求められていない。また,同事実及びその犯人の確定は同法違反の罪 についての捜査として行われるものであるが,捜査の手続上,司法警察職員として の警察官が被疑者である反則者に収集された証拠等を提示ないし開示する必要があ るとする理由を見いだすことはできない。

おいおい。ならばなおさらすべての交通違反は裁判をやるべきでしょう。

裁判長裁判官 木澤克之 トンデモ
裁判官 池上政幸 トンデモ
裁判官 小池 裕 トンデモ
裁判官 山口 厚 トンデモ
裁判官 深山卓也 トンデモ

何ですかこの判決は。警察官が性善説になっている前提に立っていますよね。
しかし、日本でもこういう警察官もいるのです。もし、この運転手がドラレコを付けていなければ、罰金だったのです。
警察官といえども、自分の職務の正当性を示すことは当然であり、これこそ信義則なんです。最高裁のおっちゃんたちは運転手がいて自分が捕まる事はないと思っているからなんでしょうか、こんなトンデモない判決をだして。
ちなみにアメリカの場合は警察官が普通にありもしない交通違反をでっち上げる事が普通にあるようです。日本も普通にあるとは言いませんが、何の抗弁もする手段もない状態でこういう扱いをするのは本当に正義なんでしょうか。