最高裁判所裁判官の暴走を許さない

最高裁判所裁判官の国民審査は、衆議院選挙の時の「ついでに」ならないようにしましょう。辞めさせるのは国民の権利です。

虚偽の自首は自首ではない

2020-12-31 17:15:03 | 日記
令和1(あ)1843  殺人,窃盗,住居侵入,会社法違反被告事件
令和2年12月7日  最高裁判所第一小法廷  決定  棄却  大阪高等裁判所
 捜査機関への申告内容に虚偽が含まれていた事案につき刑法42条1項の自首が成立しないとされた事例

朝日新聞の報道です。
女性に頼まれて殺したと自首したが、実は依頼はなかった――。この場合に自首は成立するかが問われた裁判で、最高裁第一小法廷(山口厚裁判長)は「被告は嘱託を受けた事実がないのに偽って申告した。自己の犯罪を申告したといえず、自首は成立しない」とし、被告の上告を退けた。

判決文は1枚だけ
弁護人吉田誠及び被告人本人の各上告趣意は,いずれも,事実誤認,単なる法令違反の主張であって,刑訴法405条の上告理由に当たらない。
なお,原判決及びその是認する第1審判決の認定並びに記録によれば,被告人は,自宅で,被害者をその嘱託を受けることなく殺害した後,この事実が捜査機関に発覚する前に,嘱託を受けて被害者を殺害した旨の虚偽の事実を記載したメモを遺体のそばに置いた状態で,自宅の外から警察署に電話をかけ,自宅に遺体があり,そのそばにあるメモを見れば経緯が分かる旨伝えるとともに,自宅の住所を告げ,その後,警察署において,司法警察員に対し,嘱託を受けて被害者を殺害した旨の虚偽の供述をしたことが認められる。
以上の事実関係によれば,被告人は,嘱託を受けた事実がないのに,嘱託を受けて被害者を殺害したと事実を偽って申告しており,自己の犯罪事実を申告したものということはできないから,刑法42条1項の自首は成立しないというべきである。これと同旨の第1審判決を是認した原判決は,正当である。


1段落目は定型文なのでいいとして、2段落目からは非常に雑ですね。
捜査妨害についての自首ですよね。と思ったら違うようで、嘘の自首を自首だと認めろというもののようです。何で最高裁まで争う?そんなにネタがないと思いますが。当然の判決です。事実認定の問題で最高裁まで争われる内容とは思えません。

しかし、会社法違反被告事件とありますが、判決文には一切会社法は出てきません。何で?これは裁判所書記官の問題?

第一小法廷決定全員一致でした。
裁判長裁判官 山口 厚
裁判官 池上政幸
裁判官 小池 裕
裁判官 木澤克之
裁判官 深山卓也

監査手続がリスクに対応していないので会計士協会のHPで公開は問題ない

2020-12-28 20:05:29 | 日記
令和1(受)1900  開示禁止処分等請求控訴,同附帯控訴事件
令和2年11月27日  最高裁判所第二小法廷  判決  破棄差戻  東京高等裁判所

上場会社監査事務所名簿への登録を認めない旨の決定を受けた公認会計士らにつき,その実施した監査手続がリスクに対応したものか否か等を十分に検討することなく監査の基準不適合の事実はないとして当該決定の開示の差止めを認めた原審の判断に違法があるとされた事例

1 公認会計士である被上告人らは,上告人の設置する品質管理委員会に対し,上場会社監査事務所名簿への登録を申請したところ,本件委員会から上記登録を認めない旨の決定を受けた。
本件は,被上告人らが,本件決定が上告人のウェブサイトで開示されると被上告人らの名誉又は信用が毀損されるなどと主張し,上告人に対し,人格権に基づき,上記の開示の差止め等を求める事案である。


公認会計士は弁護士かと同様に、公認会計士協会に登録しなければなりません。さらに、監査の品質についても調査を受けて一覧に記載されることになります。

2 限定事項付き結論を表明し,かつ,その限定事項が上記監査事務所の表明した監査意見の妥当性に重大な疑念を生じさせるものである等の場合には上記登録を認めないことを検討することとされており,本件委員会が上記登録を認めない決定をした場合,本件委員会の委員長は,その決定を受けた監査事務所を上場会社監査事務所名簿等抹消リストに記載し,上記登録を認めなかった旨等を上告人のウェブサイトで開示することとされている。

監査報告書には適正意見、不適正意見、意見差し控えの3つが原則ですが、場合によっては限定付き適正意見というのがあります。例えば、大きな災害等があって期限内に監査しきれなかった部分以外はOKとするようなことです。中には怪しいものがあって、特定の取引についてはおかしいと思った場合につけられます。

(3) 上告人の規則等に基づき定められた「品質管理レビュー手続」において,限定事項付き結論は,品質管理レビューの対象とされた監査事務所の品質管理のシステムに関する担当者又は専門要員等につき「品質管理の基準が求める個々の監査業務における品質管理の手続を実施していない事実」(以下「基準不適合事実」という。)が見受けられ,そのために上記監査事務所が実施した監査業務において職業的専門家としての基準及び適用される法令等に対する重要な準拠違反が発生している相当程度の懸念がある場合等に表明されるものとされている。

監査基準に準拠しないで監査意見を出してしまったと会計士協会は言ってるだけですね。これはプロとしてはやってはいけない例ですね。

(5) 本件会社は,本件監査の以前から,連続して営業損失を計上し,営業活動によるキャッシュ・フローがマイナスとなるなどしていたほか,1億円程度を現金で保有することが常態化していた。被上告人らは,本件監査において本件会社の現金預金につき特別な検討を必要とするリスクを識別し,現金勘定の出入金記録の確認のため,現金元帳と通帳及び領収書等との突合を上記事業年度のうち約5箇月半につき実施するなどした。また,被上告人らは,上記事業年度の末日を基準時とする銀行に対する本件会社の預金残高確認を実施した。もっとも,本件会社が被上告人らに対して上記現金の所在を明らかにしなかったため,被上告人らは,現金の実在性の確認(以下「現金実査」という。)を上記事業年度の末日である平成26年3月31日までに実施することを予定していたにもかかわらず,これを予定どおり実施することができず,同年5月及び6月にようやく実施することができた。
その上で,被上告人らは,上記財務諸表につき無限定適正意見を表明した。


以前から色々あった会社みたいですね。監査法人が当てにならんということで、新しく変更したけど会社側が抵抗してちゃんと資料を提出しないばかりか、実査もさせない状態でしたか。プロならばこの時点で意見差し控えが相当でしょう。その代りこの会社は、管理ポストに放り込まれますので、その影響は会社存続にもかかわる話になります。

(6) 本件委員会は,被上告人らに対して品質管理レビューを実施し,本件監査において被上告人らが上記突合を監査対象期間の一部につき実施していなかったことなどから被上告人らにつき基準不適合事実が見受けられるとして,平成27年5月,「経営者が進めている継続企業の評価に関する対応策等の前提となる資金である現金預金について,特別な検討を必要とするリスクを識別しているものの,監査意見を形成するに足る十分かつ適切な監査証拠を入手するための実証手続が十分に実施されておらず,継続企業を前提として財務諸表を作成することの適切性に関する監査証拠が十分に入手されていない。」との限定事項を付した結論を表明し,上記限定事項が被上告人らの表明した監査意見の妥当性に重大な疑念を生じさせるものであるとして本件決定をした。

公認会計士が監査をやる上で、実査をしなかったというのは監査をやらなかったのと同じです。

結論
営業活動によるキャッシュ・フローがマイナスとなるなど財政的安定性や収益性に問題があるというべき状態にあり,かつ,1億円程度に上る多額の現金を保有することが常態化していた。また,被上告人らは,本件会社が上記現金の所在を明らかにしなかったために,本件監査の対象事業年度末に予定していた現金実査を行うことができなかった。これらの事象等は,不正な財務報告若しくは資産の流用につながり得るもの又はこれらの兆候を示すものといえ,本件監査において財務諸表における重要な虚偽表示のリスクを識別すべき要因に当たることが明らかなものであったといえる。・・・上記の点を検討することなく,被上告人らにつき基準不適合事実に該当する事実があるとはいえないとした原審の判断には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。

これは会計を勉強していれば一発でoutと分かる案件です。これでも一審は会計士側の主張を認めていたというのは、とんでもない裁判官でしたね。

裁判官三浦守の補足意見
1 (公認会計士法により)公的な性格を有する法人であって,その事務の全般にわたり,金融庁長官の監督に服しており,内部的な自律性も,その監督の制約を受けるものと解される。
2 上場会社監査事務所登録制度は,社会的に影響の大きい上場会社を監査する監査事務所の品質管理体制を強化し,資本市場における公認会計士等による監査の信頼性を確保することを目的として,上告人の会則に基づいて運用される制度である(平成27年7月21日付け変更前の日本公認会計士協会会則第6章第2節)。・・・(公認会計士法により)上場会社監査事務所登録制度については,公認会計士・監査審査会による品質管理レビューの結果の審査等を通じて,公的な監督が及んでいるということができる。


??監督??公認会計士は、監査業務が仕事であり監督は業務ではありませんよ。公認会計士法を読みましたか?会計事務所が使用人を監督する義務はありますが、依頼人を監督する条文はただの一つもありません。

3 被上告人らの上場会社監査事務所名簿への登録を認めない旨の決定につき,その前提となった事実の有無等が争われているものであるが,前記のとおり,上場会社監査事務所登録制度が,公認会計士の監査業務の専門性及び独立性を踏まえ,公認会計士等によって組織される上告人の制度として運用される趣旨等に鑑みると,上記事実があるとした場合には,これを前提としてされた品質管理委員会の決定については,その専門性,独立性を踏まえた知見に基づく判断として,その合理的な裁量が尊重されるべきものと解される。

裁判官草野耕一,同岡村和美の補足意見
1 監査対象期間の全部について証憑突合を行うことが現金預金の監査手続として「実効的でない」という原審の見解には看過し難い誤謬があるといわざるを得ない。


その通り!実査をやらない監査は監査じゃないですよ。

2 原審への指摘
(1) 第1に指摘すべきことは,監査対象事業年度に関する本件会社の有価証券報告書上,同年度における本件会社の営業活動による連結キャッシュ・フローの正味合計額はマイナス7億6884万5000円に上っているという点である。
(2) 第2に指摘すべきことは,本件会社が設置した第三者委員会の作成に係る平成27年1月19日付けの報告書には,本件会社が監査対象事業年度のうちで被上告人らが証憑突合を行わなかった約6箇月半の期間の一部である平成26年1月から3月の間に3件の多額現金取引(取引対象額はいずれも2000万円を超えている)を行った旨の記述があるという点である。この記述内容が正しいとすれば,被上告人らが多額現金取引があった期間に限定して証憑突合を行ったという主張は成立し得ないように思われる。


この二人は地裁裁判官の勉強不足を指摘しています。この点はごもっとも。

裁判長裁判官 草野耕一  当然
裁判官 菅野博之  当然
裁判官 三浦 守 条文をきちんと読め!
裁判官 岡村和美  当然

会計士協会は弁護士会よりも仕事してますね。株を買う時、問題を起こした会社の監査法人が監査した会社の株は売れというのが常識です。ましてや、監査人に問題があるとなれば、それを公開してもらわなければ株なんか買えませんよ。

トンデモ判決 自治体議員の懲戒は裁判所でやれ

2020-12-27 09:02:06 | 日記
平成30(行ヒ)417  出席停止処分取消等請求事件
令和2年11月25日  最高裁判所大法廷  判決  棄却  仙台高等裁判所

朝日新聞の報道です
最高裁が60年前の判例変更 宮城県の市議会処分めぐり
地方議会の議員処分について、司法はどこまで関与できるか――。宮城県岩沼市議会の出席停止をめぐる裁判の上告審判決で、最高裁大法廷(裁判長=大谷直人長官)は25日、「出席停止について裁判所は常に適否を判断できる」と述べ、市側の上告を退けた。議員処分のうち最も重い除名以外は「裁判の対象外」とした1960年の判例が変わり、これまでより幅広く司法が判断できるようになる。
 今回の出席停止を「裁判対象」と認めて審理を地裁に差し戻すとした二審・仙台高裁の判決が確定した。裁判官15人の全員一致の結論。


時事通信の報道です
議員出席停止「裁判の対象」 60年ぶり判例変更―岩沼市の上告棄却・最高裁
大法廷は、出席停止処分を受けると議決など議員としての中核的な活動ができなくなり、「住民の負託を受けた責務を十分に果たすことができなくなる」と指摘。議会に一定の裁量が認められるとしつつ、「裁判所は常にその適否を判断することができる」と述べ、市側の上告を棄却した。15人の裁判官全員一致の意見。
 審理は仙台地裁に差し戻され、改めて処分取り消しの適否などが判断される。
 最高裁は1960年、自律的な法規範を持つ団体では、法規範の実現は自治的措置に任せるべき場合があるとし、「地方議会の出席停止は裁判の対象から除く」とする判決を出した。
 原告の元市議は2016年6月の議会運営委員会で、陳謝処分となった議員をかばい、「(陳謝文で)読み上げられた中身は真実とは限らない」などと発言したことを理由に、9月定例会の全会期23日間の出席停止処分となった。この間の議員報酬約27万円も減額された。


では訴えの内容から見ていきます。
1 本件は,岩沼市議会の議員であった被上告人が,市議会から科された23日間の出席停止の懲罰が違憲,違法であるとして,上告人を相手に,その取消しを求めるとともに,議会議員の議員報酬,費用弁償及び期末手当に関する条例に基づき,議員報酬のうち本件処分による減額分の支払を求める事案である。

事実確認です。
(1) 被上告人は,本件処分当時,市議会の議員であった。
(2) 市議会の定例会の回数は,岩沼市議会定例会の回数に関する条例(昭和31年岩沼市条例第78号)により,毎年4回とされており,同年9月に招集された定例会の会期は同月6日から同月28日までの23日間とされた。
(3) 本件条例によると,市議会の議員の議員報酬は月額36万3000円とされ(2条),一定期間の出席停止の懲罰を受けた議員の議員報酬は,出席停止の日数分を日割計算により減額するものとされている(6条の2,3条3項)。
(4) 被上告人と同一の会派に属するA議員は,海外渡航のため,平成28年4月25日に行われた市議会の教育民生常任委員会を欠席した。市議会は,同年6月14日,6月定例会において,A議員に対し,上記の欠席について,議決により公開の議場における陳謝の懲罰を科した。これを受け,A議員は,市議会の議場において,陳謝文を読み上げた。


国会議員でもいましたよね、無断欠席して温泉にしけこんでいたり海外に行っていたり。

(5) 被上告人は,平成28年6月21日,市議会の議会運営委員会において,上記(4)のA議員が陳謝文を読み上げた行為に関し,「読み上げたのは,事実です。しかし,読み上げられた中身に書いてあることは,事実とは限りません。それから,仮に読み上げなければ,次の懲罰があります。こういうのを政治的妥協といいます。政治的に妥協したんです。」との発言をした。

政治的判断であっても、陳謝したならそれ以降はすべて受け入れなければならないでしょう。腹が立っていたとはいえ、議会での発言は駄目でしょう。

(6) 市議会は,本件発言を問題として被上告人に対する懲罰動議を閉会中の継続審査とすることとし,懲罰特別委員会における審査を経た上,定例会において,被上告人に対し,本件発言について,議決により23日間の出席停止の懲罰を科する旨の本件処分をした。
(7) 上告人は,被上告人に対し,本件条例に基づき,本件処分により出席停止とされた23日間の分に相当する27万8300円を減額して議員報酬を支給した。


当然ですよね

(2)ア 憲法は,地方公共団体の組織及び運営に関する基本原則として,その施策を住民の意思に基づいて行うべきものとするいわゆる住民自治の原則を採用しており,普通地方公共団体の議会は,憲法にその設置の根拠を有する議事機関として,住民の代表である議員により構成され,所定の重要事項について当該地方公共団体の意思を決定するなどの権能を有する。そして,議会の運営に関する事項については,議事機関としての自主的かつ円滑な運営を確保すべく,その性質上,議会の自律的な権能が尊重されるべきであるところ,議員に対する懲罰は,会議体としての議会内の秩序を保持し,もってその運営を円滑にすることを目的として科され議会が行う上記の各事項等について,議事に参与し,議決に加わるなどして,住民の代表としてその意思を当該普通地方公共団体の意思決定に反映させるべく活動する責務を負うものである。

イ 項等について,議事に参与し,議決に加わるなどして,住民の代表としてその意思を当該普通地方公共団体の意思決定に反映させるべく活動する責務を負うものである。
るものであり,その権能は上記の自律的な権能の一内容を構成する。・・・その適否が専ら議会の自主的,自律的な解決に委ねられるべきであるということはできない。


は?自治権はそういうところも含めて自治じゃないんですか?弁護士会の自治権と何が違うんですか?国家管理せよと?

(3) したがって,普通地方公共団体の議会の議員に対する出席停止の懲罰の適否は,司法審査の対象となるというべきである。

結論
市議会の議員である被上告人に対する出席停止の懲罰である本件処分の適否は司法審査の対象となるから,本件訴えのうち,本件処分の取消しを求める部分は適法であり,議員報酬の支払を求める部分も当然に適法である。そうすると,本件訴えが適法であるとした原審の判断は,結論において是認することができる。論旨は採用することができない。

訳分かりません。

裁判官宇賀克也の補足意見は
2 国会との相違
国会については,国権の最高機関(憲法41条)としての自律性を憲法が尊重していることは明確であり,憲法自身が議員の資格争訟の裁判権を議院に付与し(憲法55条),議員が議院で行った演説,討論又は表決についての院外での免責規定を設けている(憲法51条)。しかし,地方議会については,憲法55条や51条のような規定は設けられておらず,憲法は,自律性の点において,国会と地方議会を同視していないことは明らかである。


国会議員の免責特権と何が関係するのでしょうか?論理に飛躍があります。

3 住民自治
もとより地方議会議員の活動は,議会に出席し,そこで発言し,投票することに限られるわけではないが,それが地方議会議員の本質的責務であると理解されていることは,正当な理由なく議会を欠席することが一般に懲罰事由とされていることからも明らかである。
したがって,地方議会議員を出席停止にすることは,地方議会議員の本質的責務の履行を不可能にするものであり,それは,同時に当該議員に投票した有権者の意思の反映を制約するものとなり,住民自治を阻害することになる。


事実をよく見なさいよ。A議員は議会で謝罪したんですよ。理由はどうあれ。にもかかわらず、それをちゃぶ台返しするようなごね方をしたのです。これを懲罰しなくて議事運営ができますか?しかも議会で決めた事なんです。この裁判官はアホですか?

4 議会の裁量
したがって,地方議会議員に対する出席停止の懲罰の適否を司法審査の対象とした場合,濫用的な懲罰は抑止されることが期待できるが,過度に地方議会の自律性を阻害することにはならないと考える。


司法の傲慢さがぷんぷん匂う判決です。

大法廷
裁判長裁判官 大谷直人
裁判官 池上政幸
裁判官 小池 裕
裁判官 木澤克之
裁判官 菅野博之
裁判官 山口 厚
裁判官 戸倉三郎
裁判官 林 景一
裁判官 宮崎裕子
裁判官 深山卓也
裁判官 三浦 守
裁判官 草野耕一
裁判官 宇賀克也
裁判官 林 道晴
裁判官 岡村和美

全員傲慢。特に裁判官宇賀克也の補足意見は論理の飛躍が酷い

黒川元検事長に起訴相当議決

2020-12-25 13:57:03 | 日記
NHKニュースからの引用です。
黒川元検事長に起訴相当議決 賭けマージャン問題で 検察審査会
緊急事態宣言の中、賭けマージャンをしていた問題で賭博などの疑いで刑事告発され、起訴猶予となった東京高等検察庁の黒川弘務元検事長について東京の検察審査会は「起訴すべきだ」という議決をしました。これを受けて検察は再び捜査することになりました。
東京高等検察庁の黒川元検事長は緊急事態宣言の中、新聞記者ら3人と賭けマージャンをしていたとして賭博などの疑いで刑事告発されましたが、東京地方検察庁はことし7月「1日に動いていた金額が多いとは言えない」などとして起訴猶予にしました。


一般人なら金額の問題で済むでしょうが、取り締まる側がこんなのでは法の執行に何ら信頼性がありませんよ。遡って辞表ではなく懲戒免職で退職金召し上げが相当でしょう。
警察官でも酒気帯び運転なら懲戒処分です。
酒気帯び運転で免許センターへ 容疑の警官を懲戒処分
立場はこれ以上ですからね。

鳥取地裁 「万引き理由に自主退学させられた」元生徒側と県が和解、校長は誤り認め直接謝罪

2020-12-24 13:47:10 | 日記
毎日新聞の報道です。
「万引き理由に自主退学させられた」元生徒側と県が和解、校長は誤り認め直接謝罪
万引きを理由に県立高校を自主退学させられたのは不当として、元生徒の男性(20)と両親が鳥取県に160万円の損害賠償を求める訴訟を起こし、21日、鳥取地裁米子支部で和解が成立した。当時の校長が判断の誤りを認めて直接謝罪したほか、県が和解金80万円を支払う。
 訴状などによると、男性は2016年10月に靴を万引きして警察に補導され、ほかにも万引きの経験があると学校に報告。母親は当時の校長から、自主退学しないと退学処分にすると言われ、退学願を出したという。原告側は、万引きは重大犯罪ではないのに、退学処分相当だと誤って信じさせられたと主張していた。


これは調停なのか裁判だったのか分かりませんが、とんでもないですね。これはきっちりと判決が出るまでやるべきでした。

原告側は、万引きは重大犯罪ではないのにとありますが、窃盗ですよ。しかも前科があります。犯罪者なんです。

窃盗は犯罪であることは、小学生でもわかることです。

和解を勧告されたのか、どこからかのプレッシャーに負けたのか分かりませんが、これは裁判で徹底的に争って欲しかったですね。会社員・公務員でも窃盗をやったら、懲戒免職ですよ。当たり前のことじゃないですか。
これが前例になり万引きは退学にならないというようなことがないようにしてもらいたいです。

鳥取地裁 「万引き理由に自主退学させられた」元生徒側と県が和解、校長は誤り認め直接謝罪

2020-12-24 13:47:10 | 日記
毎日新聞の報道です。
「万引き理由に自主退学させられた」元生徒側と県が和解、校長は誤り認め直接謝罪
万引きを理由に県立高校を自主退学させられたのは不当として、元生徒の男性(20)と両親が鳥取県に160万円の損害賠償を求める訴訟を起こし、21日、鳥取地裁米子支部で和解が成立した。当時の校長が判断の誤りを認めて直接謝罪したほか、県が和解金80万円を支払う。
 訴状などによると、男性は2016年10月に靴を万引きして警察に補導され、ほかにも万引きの経験があると学校に報告。母親は当時の校長から、自主退学しないと退学処分にすると言われ、退学願を出したという。原告側は、万引きは重大犯罪ではないのに、退学処分相当だと誤って信じさせられたと主張していた。


これは調停なのか裁判だったのか分かりませんが、とんでもないですね。これはきっちりと判決が出るまでやるべきでした。

原告側は、万引きは重大犯罪ではないのにとありますが、窃盗ですよ。しかも前科があります。犯罪者なんです。

窃盗は犯罪であることは、小学生でもわかることです。

和解を勧告されたのか、どこからかのプレッシャーに負けたのか分かりませんが、これは裁判で徹底的に争って欲しかったですね。会社員・公務員でも窃盗をやったら、懲戒免職ですよ。当たり前のことじゃないですか。
これが前例になり万引きは退学にならないというようなことがないようにしてもらいたいです。

令和2(行ツ)78  選挙無効請求事件の続き補足意見 裁判官宇賀克也の反対意見

2020-12-23 19:59:15 | 日記
一定の年齢に達していれば,1人1票を等しく保障しなければならない。・・・憲法14条1項の平等原則に違反すると同時に,平等性を内包した選挙権の侵害という憲法15条1項違反の問題を生ぜしめる。

1票の価値をできる限り等しくするようにするための最大限の努力を前提にした上での裁量であって,1票の価値の平等は,他の諸要素と総合考慮される際の一つの考慮要素にとどまるものではなく,最優先の考慮事項として立法裁量を制約するものと考えられる。

憲法に反するから立法裁量権は制約される。

いわゆる「ねじれ国会」となり,衆議院で可決された法律案を参議院が否決した場合,衆議院が出席議員の3分の2以上の多数で再び可決できなければ,法律案を成立させることは不可能になるから,参議院の権能は大きい。したがって,衆参両院の上記のような制度の相違が,参議院議員選挙における1票の価値の不均衡を衆議院議員選挙におけるそれよりも大きくすることの正当化根拠にはならないと思われる。

個人的には、参議院は貴族院の成れの果てでイギリスですら廃止しましたからね。日本も要らないと思いますが、今回は論点ではないので外します。

衆議院と異なる選挙制度を構築する立法裁量を国会が有するとはいえ,参議院では衆議院よりも投票価値の平等の要請が後退してよいと解すべき憲法上の根拠は見いだし難いと思われる。

参議院において都道府県代表を重視する根拠を憲法上見いだせないのみならず,より一般的に地域代表的性格を参議院に持たせるために1票の価値の不均衡を正当化することも,憲法上は困難ではないかと考える。すなわち,憲法43条1項は,「両議院は,全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する」と定めており,衆議院議員のみならず参議院議員も,地域の代表ではなく全国民を代表するものでなければならない。

ならば全員全国区にしますか?

看過し難い投票価値の不平等があり,かつ,それがやむを得ないものであることについての合理的な説明が国会によってなされていない以上,遺憾ながら違憲状態にあったといわざるを得ないと考える。なお,本件定数配分規定が違憲状態にあったと判断することは,国会の立法裁量を否定し,特定の選択肢の採用を国会に迫るものではないことを念のため付言しておきたい。

後半は聞くに値する意見だと思います。居住地の自由が保障されている限り、人口移動は制御できませんから。ほっといたって都市部に人は移動しますし、止められないとなると、国会にどうしろ?と思えます。

違憲状態を是正するための合理的期間を経過している

それでもこういいますか?

現時点では違憲を宣言する判決にとどめて,国会の対応を期待し,もはやそのような判決では実効性がないことが明確になれば,無効判決への対応の仕方も示して無効判決を出すという過程を経ることが適切であると考える。

この結論が現実的なところでしょう。

裁判官 宇賀克也 比較的現実的か

令和2(行ツ)78  選挙無効請求事件の続き補足意見 裁判官宮崎裕子の反対意見

2020-12-22 19:49:18 | 日記
平成24年大法廷判決は,この理由について,都道府県が行政等の単位として政治的に一つのまとまりを有するという限度では相応の合理性を有していたものの,都道府県を各選挙区の単位としなければならないという憲法上の要請はなく,むしろ,都道府県を各選挙区の単位として固定する結果,その間の人口較差に起因して投票価値の著しい不平等状態(当時は最大較差5倍前後)が長期にわたって継続していると認められる状況の下では,その仕組み自体を見直すことが必要になる旨判示し,さらに,参議院についての憲法の定めからすれば許容されるとされた,議員定数配分を衆議院より長期にわたって固定するとの立法政策も,ほぼ一貫して人口の都市部への集中が続いてきた状況の下で,数十年間にもわたり投票価値の大きな較差が継続することを正当化する理由としては十分なものとはいえない旨も判示して,同判決の判断対象であった選挙制度の下で行われた選挙に関し違憲状態であると判断した。平成26年大法廷判決もほぼ同旨の判断をしている。平成24年大法廷判決及び平成26年大法廷判決の判断対象であった選挙制度は平成27年改正前のものであり,最大較差は,それぞれ5.00倍,4.77倍であった。・・・合区の導入は最大較差を3倍程度まで縮小させる効果があったということになる。
ダラダラ書くなと小学校の先生に習わなかったのでしょうか。

(2)これまでの当審判決に付された個別意見の中で,十指に余る数の裁判官が,投票価値の平等という観点からは,2倍以上又は2倍を超える較差は著しく不平等であるという意見を表明している。これらの意見は,2倍以上又は2倍を超える投票価値の不平等は,民主主義社会における社会常識に照らして容認できないという趣旨において共通するものがあると思われ,その趣旨には私も同調する。・・・議会においては1票の差であっても過半数の賛成票を得れば決議は成立し,1票足りなくても決議は否決されるという極めて厳格な多数決が支配する民主主義のルールの下では,ある選挙区の選挙人の投票価値に比べて隣の選挙区の選挙人の投票価値が3分の1しかないという状態は,単に不平等というだけでなく著しい不平等であることは否定できないと考える。

2倍以上は全て違憲と考えるようです。民主主義では1票であっても勝ちは勝ち、負けは負けになるのだから、当然2倍以内に収めよと言っています。この他いくつか理屈らしいことを言っていますが、要約するとこうなります。

これはこれで筋が通っていますが、もっと文章を考えて伝えることを前提に書けよと言いたくなります。

裁判官 宮崎裕子 まあまあ

前回令和2(行ツ)78  選挙無効請求事件の続き補足意見 裁判官林景一の反対意見

2020-12-21 17:39:10 | 日記
1 1票の投票価値の約3倍に達する状態について,合憲状態との評価を明言することには「ためらいがある」という表現により違憲状態であるという判断を示したものであるが,平成28年選挙と本件選挙とでは,最大較差については有意な差がないので,本件選挙も違憲状態であると判断する。

2 多数意見の背景には,参議院の独自性(衆議院との関係で期待されるチェック機能や半数改選制度等を含む。)や参議院発足当時の最大較差が2.62倍であったこと等を理由として,3倍程度の最大較差をもって,直ちに著しい不平等があるとまでいわなくてもよいという考え方があるのかもしれない。しかしながら,私には,投票価値の平等という民主代表制の根幹に関わる平等について,3倍の較差を著しい不平等と考えないというのは,常識からの乖離があるとしか思えない。例えば,国が,金員を支給する目的が全く同一であるにもかかわらず,ある県の住民への支給額を別の県の住民への支給額の3倍とすれば,たちまちそのような格差は許容できない不平等であるとの声が上がるであろう。/span>

馬鹿の一つ覚えで、単純に最大格差だけ見ようという趣旨のようです。先日の草野さんとは違ってトンデモです。これで選挙無効とするならば、裁判所の政治介入園ものなんですよ。司法が立法に介入することは一般教養の憲法の授業でも習うように、やってはいけないことなんです。それを覆そうっていう事なんでしょうか?


しかしながら,私のみるところでは,今回,国会において,様々な見直し案について幅広く議論が行われたとはいえるとしても,平成29年大法廷判決の合憲判断も念頭にあったのか,あるいは合区への反発を考慮したのか,「抜本的な見直し」による具体的な選択肢に合意するための踏み込んだ検討にまで至った形跡はうかがえず,その結果が平成30年改正という微々たる成果にとどまったと評価せざるを得ない。

もはや感情論にすぎません。

裁判官 林景一 こんなのが最高裁判事なの?レベルです

前回令和2(行ツ)78  選挙無効請求事件の続き補足意見 裁判官草野耕一

2020-12-20 09:31:45 | 日記
裁判官草野耕一は多数派、すなわち合憲と判断しています。

1 最大較差は,最も大きな投票価値を与えられている有権者と最も小さな投票価値しか与えられていない有権者の違いのみに着目した概念であるがゆえに,最も小さな投票価値しか与えられていない有権者がいかに自分が不利益を受けているかを訴えるための指標として用いるのであれば格別,選挙制度全体における投票価値の配分の不均衡を論ずるための指標としてはいささか精度を欠いているといわざるを得ない。
利益配分の不均衡を評価する指標として統計学上広く使われているジニ係数を用いることを考える。


ジニ係数は経済学でよく使われている不平等具合を計測する計算方法です。やっとまともに議論しようとしています。

2 当審が参議院の議員定数の不均衡が違憲状態にあると認定した平成22年選挙と平成25年選挙のジニ係数はそれぞれ22.97%と20.55%である(図2は平成25年選挙のローレンツ曲線を示している。)。

これを見るとかなり平等ですよ。やっと科学的=ここでは検証可能な形で議論するという点で非常に好感を持てます。
ただどうすべきか、まで踏み込むのは裁判官としてやりすぎかなとは思います。

裁判官 草野耕一 非常にまとも

前回令和2(行ツ)78  選挙無効請求事件の続き補足意見 三浦裁判官

2020-12-14 10:20:11 | 日記
裁判官三浦守の意見
違憲の問題が生ずる程度の著しい不平等状態にあったものと考える
司法権と立法権の関係を踏まえた上で,①当該定数配分規定の下での選挙区間における投票価値の不均衡が,違憲の問題が生ずる程度の著しい不平等状態に至っているか否か,②上記の状態に至っている場合に,当該選挙までの期間内にその是正がされなかったことが国会の裁量権の限界を超えるとして当該定数配分規定が憲法に違反するに至っているか否かという2段階の判断枠組みを前提として審査を行ってきており


この時点でおかしいですね。これ著しい不平等ですか?

両議院の選挙制度の変遷をみると,いずれも,政党に重きを置いた選挙制度を旨とする改正が行われている上,都道府県又はそれを細分化した地域を選挙区とする選挙と,より広範な地域を選挙の単位とする比例代表選出議員の選挙との組合せという類似した選出方法が採られ,その結果として同質的な選挙制度となってきており,急速に変化する社会の情勢の下で,議員の長い任期を背景に国政の運営における参議院の役割がこれまでにも増して大きくなってきている。

参議院の役割が増している?これ論理の飛躍では?

参議院においては,憲法上3年ごとに議員の半数を改選することとされ,各選挙区に偶数の定数を配分することが想定されるなど,議員定数の配分に当たり考慮を要する固有の要素があり,それが制度設計上の技術的な制約となり得るにしても,そのことが衆議院に比して格段に大きな投票価値の不均衡を許容する理由となるものではない。

大きな投票価値の不均衡、この言葉自体が最初からして価値観にまみれており、客観的に見ようとしていません。科学的ではなく感情論ですね。

しかし,選挙区間の最大較差が5倍前後から3倍程度に縮小したといっても,そのことによって,このような投票価値の不均衡が当然に正当化されるというものではない。

だからと言って何倍なら許容されるべきかは一切論じられません。

投票価値の3倍程度という不均衡は,それ自体,1人1票という選挙の基本原則に照らし

議論を始めるなら、まずはここからでしょう。どうしてそうならなければならないのか、法的根拠は何か。

2.9倍超という水準でみると,投票価値の不均衡はむしろ広がっており,今後,更に拡大する事態も予想される。

この人思い込みが激しいですね。

イ 選挙区の単位について
人口の特に少ない選挙区にも2人の定数を配分することを前提に,都道府県を各選挙区の単位とする基本的な仕組みを維持することによって,是正されるべき不平等状態がなお継続し,その是正にも著しい困難を伴うという状況にあっては,その不平等状態を正当化すべき合理的な事情があるとはいえない。


県を合併させて潰してしまえということですか?これこそ司法権の逸脱だと思いますけど。

ウ 合区について
このような合区の導入は,前記の当裁判所大法廷判決の趣旨に沿って較差の是正を図ろうとしたものであるにしても,選挙制度の仕組みを部分的,暫定的に改めるにとどまるものであって,今述べたような問題も認められることから,平成27年改正により導入された合区が維持されたからといって,3倍程度の較差を正当化すべき合理的な事情があるとはいえない。
エ 較差の是正に関する国会の姿勢等について
平成27年改正法附則7条によって示された,較差の更なる是正に向けての方向性と立法府の決意が,平成30年改正においても,引き続き維持され,較差の更なる是正を指向するものと評価することは到底できないというべきである。このような国会の姿勢等が前記のような投票価値の不均衡を正当化すべき合理的な事情とならないことは明らかである。


傲慢な文章だなぁと思います。

国防上の問題からも議員数は一定以上必要なんです。今大量に沖縄と北海道が外国人に土地が変われています。こういうのは都民は興味を持ちますか?規制法を入れようとしても、深刻に考えておらえてないのですよ。ウクライナみたいに独立宣言されてしまう可能性があるのです。

裁判官三浦守・・・トンデモ

感情論か?論証になってないません。

当然判決:R1年の参議院選挙は合憲

2020-12-06 17:17:42 | 日記
令和2(行ツ)78  選挙無効請求事件
令和2年11月18日  最高裁判所大法廷  判決  棄却  東京高等裁判所
令和元年7月21日施行の参議院議員通常選挙当時,平成30年法律第75号による改正後の公職選挙法14条,別表第3の参議院(選挙区選出)議員の議員定数配分規定の下での選挙区間における投票価値の不均衡は,違憲の問題が生ずる程度の著しい不平等状態にあったものとはいえず,上記規定が憲法14条1項等に違反するに至っていたということはできない。

今回は59枚の判決文です。一言言いたい病が大量発生したようです。

NHKの報道です。
去年7月の参議院選挙では、選挙区によって議員1人当たりの有権者の数に最大で3.002倍の格差があり、憲法に違反するとして、2つの弁護士グループが選挙の無効を求める訴えを全国で起こしました。各地の高裁判決では、憲法に違反しないとする「合憲」の判断が14件、「違憲状態」の判断が2件となっていました。
これらの裁判について最高裁判所大法廷は、18日午後3時に判決を言い渡し、統一的な判断を示します。
参議院選挙の1票の格差をめぐって最高裁は、5倍前後の格差が続いていた平成22年と25年の選挙について「違憲状態」と判断しました。平成28年の選挙では国会で合区を含む格差是正が行われ、3.08倍に縮小し、最高裁は「合憲」と判断した一方、「次回の選挙に向けて抜本的な見直しを検討して必ず結論を得るとされている」として、格差を是正する必要性を指摘しました。
しかし、去年の選挙では、埼玉選挙区の改選議席を1議席増やす是正によって3.002倍となり、3倍程度の格差が続いています。


毎日新聞の報道です
今回の訴訟は、2019年参院選に向けた国会の格差是正措置が、埼玉選挙区の定数2増にとどまった点をどう評価するかが最大の争点だった。大法廷は、3年前の16年選挙と単純に比較するのではなく、1票の格差が3・00倍にまで縮小した経緯に着目して合憲判断を導いた。
 大法廷は、参院選の1票の格差が5倍前後だった1995~07年の5回については合憲としつつ、国会に是正への取り組みを要求してきた。ただし大がかりな見直しはなく、格差が高止まりしているとみた大法廷は、10年選挙と13年選挙を立て続けに「違憲状態」と判断。この結果、「鳥取・島根」「徳島・高知」の「合区」が初めて実現し、16年選挙の格差は3・08倍にまで縮まった。大法廷は、15年成立の改正公職選挙法の付則に「抜本的な見直しを続ける」と明記されたことも踏まえ、16年選挙を合憲と結論付けた。


私は基本的に、裁判所は政治に口出すべきではないと思っています。これはどうかというと、かなり政治に口出ししているように思えます。東京が差別されているということになりますあ、ならば最低賃金はどうなのでしょうか?金と暇が余っている東京の住民のわがままにしか聞こえません。

さて訴えの内容です。
令和元年7月21日施行の参議院議員通常選挙が、平成6年法律第2号による改正前の別表第2を含め,「定数配分規定」は憲法に違反し無効であるから,これに基づき施行された本件選挙の上記各選挙区における選挙も無効であると主張して提起した選挙無効訴訟である。

こういう訴えを起こすのであれば、国会解散差し止め請求の訴訟をしたらどうですかね。裁判所は政治に介入しているのですから、そのくらいやってくれるかもしれませんよ。

(1)平成12年法律第118号による公職選挙法の改正(以下「平成12年改正」という。)により,参議院議員の総定数が242人とされ,比例代表選出議員96人及び選挙区選出議員146人とされた。

一応は改正して格差がないようにしているわけです。
.(2)最大較差の大幅な縮小を図るためには現行の選挙制度の仕組み自体の見直しが必要となる旨の指摘がそれぞれされるなど,選挙区間の最大較差が5倍前後で常態化する中で,較差の状況について投票価値の平等の観点から実質的にはより厳格な評価がされるようになっていた。

この議論の問題は、このままでは島根鳥取のような過疎地では、議員を国会に送れなくなります。一方、東京はじめ都心部に人口が集まります。ほったらかしにしても、どんどん人口構成が変わっているのです。東京が不満を申し立てるならば、東京に新たに人口流入を拒否する政策をセットにしないと実現性がないのです。

(3)平成18年改正後は投票価値の大きな不平等がある状態の解消に向けた法改正が行われることのないまま平成22年選挙に至ったことなどの事情を総合考慮すると,同選挙当時の最大較差が示す選挙区間における投票価値の不均衡は,違憲の問題が生ずる程度の著しい不平等状態にあった旨判示するとともに,都道府県を単位として各選挙区の定数を設定する現行の方式をしかるべき形で改めるなど,現行の選挙制度の仕組み自体の見直しを内容とする立法的措置を講じ,できるだけ速やかに違憲の問題が生ずる上記の不平等状態を解消する必要がある旨を指摘した。

裁判所の指摘は言いっぱなしでその後の責任を取りませんからね、民事事件でも。

(4)平成25年7月21日,平成24年改正法による改正後の定数配分規定の下での初めての通常選挙(以下「平成25年選挙」という。)が施行された。同選挙当時の選挙区間の最大較差は4.77倍であった。
(5)各会派の意見が一致しなかったことから,同年12月26日,各会派から示された提案等を併記した報告書が参議院議長に提出された。

(7)人口の少ない選挙区について合区を導入することを内容とする①「4県2合区を含む10増10減」の改正案と②「20県10合区による12増12減」の改正案とにおおむね集約され,同年7月23日,上記の各案を内容とする公職選挙法の一部を改正する法律案がそれぞれ国会に提出された。

こういう地域に住む住民の人権を無視することになるんですよ。格差が3倍以内になったことについて

(8)平成28年選挙当時の定数配分規定の下での選挙区間における投票価値の不均衡は,違憲の問題が生ずる程度の著しい不平等状態にあったものとはいえず,同規定が憲法に違反するに至っていたということはできないとした。

当然ですね。これ以上どうしようもないのに、格差だと権利を要求するのはおかしいとしているのです。

(9)平成28年選挙において,合区の対象となった4県のうち島根県を除く3県では,投票率が低下して当時における過去最低の投票率となったほか,無効投票率が全国平均を上回り,高知県での無効投票率は全国最高となった。
(10)本件選挙において,合区の対象となった徳島県での投票率は全国最低となり,鳥取県及び島根県でもそれぞれ過去最低の投票率となった。また,合区の対象となった4県での無効投票率はいずれも全国平均を上回り,徳島県では全国最高となった。


東京のわがままが地方に思いっきりしわ寄せが行ったわけです。

3(1)憲法は,選挙権の内容の平等,換言すれば,議員の選出における各選挙人の投票の有する影響力の平等,すなわち投票価値の平等を要求していると解される。しかしながら,憲法は,国民の利害や意見を公正かつ効果的に国政に反映させるために選挙制度をどのような制度にするかの決定を国会の裁量に委ねているのであるから,投票価値の平等は,選挙制度の仕組みを決定する唯一,絶対の基準となるものではなく,国会が正当に考慮することができる他の政策的目的ないし理由との関連において調和的に実現されるべきものである。

全くその通りです。

(2)憲法は,二院制の下で,一定の事項について衆議院の優越を認める反面,参議院議員につき任期を6年の長期とし,解散もなく,選挙は3年ごとにその半数について行うことを定めている(46条等)。
(3)平成27年改正により5倍前後から約3倍に縮小した選挙区間の較差(平成28年選挙当時は3.08倍)は僅かではあるが更に縮小し,2.99倍(本件選挙当時は3.00倍)となった。
(4)参議院選挙制度の改革に際しては,憲法が採用している二院制の仕組みなどから導かれる参議院が果たすべき役割等も踏まえる必要があるなど,事柄の性質上慎重な考慮を要することに鑑みれば,その実現は漸進的にならざるを得ない面がある。そうすると,立法府の検討過程において較差の是正を指向する姿勢が失われるに至ったと断ずることはできない。


結論
本件選挙当時,平成30年改正後の本件定数配分規定の下での選挙区間における投票価値の不均衡は,違憲の問題が生ずる程度の著しい不平等状態にあったものとはいえず,本件定数配分規定が憲法に違反するに至っていたということはできない。

大法廷なので全員出動ですが、個別意見が多数出ているので次回以降に回します。ここまでで13ページ、もう少しきれいにまとめられないのかよと言いたくなります。