最高裁判所裁判官の暴走を許さない

最高裁判所裁判官の国民審査は、衆議院選挙の時の「ついでに」ならないようにしましょう。辞めさせるのは国民の権利です。

トンデモ判決:結婚による名字の統一は憲法違反である

2022-03-27 16:12:40 | 日記
令和2(オ)1413  損害賠償請求事件
令和4年3月22日  最高裁判所第三小法廷  決定  棄却  広島高等裁判所
立法不作為の違法を理由とする国家賠償請求訴訟において,民法750条及び戸籍法74条1号は憲法24条に違反するとの意見が付された事例

結婚後の氏名についての扱いについての裁判のようですが、どこのweb上では出てきませんでした。

訴えの内容から見ます。
1 憲法24条は,旧憲法下の「家」制度の束縛から個人を解き放って,婚姻(法律婚)に関しても当事者の自由かつ平等な意思決定に委ねられるべき趣旨を明らかにしたものであり,これを施行すれば,婚姻にあたっても個人の尊厳を最大限に尊重すべきとの価値観に立ち,同条1項は,婚姻(法律婚)の自由を保障しているものと解される。そして,婚姻は多くの個人にとって重要な人生における岐路であり,また,とりわけ法律婚には明らかに事実婚では享受できない法的効果(民法890条等参照)があることに鑑みると,婚姻(法律婚)の自由は,実質的にも保障され
るべきものである。

一方,本件各規定は,民法739条1項とあいまって,夫または妻の氏のいずれかを夫婦が称する氏として定めて届け出ることを要求することによって,婚姻をしようとする者に従前の氏を変更するか法律婚を断念するかの二者択一を迫るものであり,婚姻の自由を制約することは明らかである。


この後半部分ですでにおかしいですね。今は通名が認められており、世間では実際の名前を知らない人がいっぱいいます。それが結婚の阻害要因にはなりえません。全く持って意味不明な訴えです。

2 婚姻をするために意に反する氏の変更をして個人の識別機能および人格の喪失という不利益を甘受せざるを得ない(または法律婚により享受できる法的効果や利益を断念して事実婚を選ばざるを得ない)個人は本件各規定により現実的かつ看過し難い制約に服することになることに鑑みると,以下のとおり,このような観念としての価値観や家族観がこのような制約を正当化するほどの強い根拠となるとは考え難い。

はあ?何度も書きますが、すでに通名が認められていますよね。

(1)家族の一体感は,間断のない互いの愛情と尊敬によってはじめて醸成,維持され得るものであり,同一氏制度によってのみ達成できるものではない。同一の氏を名乗る家族が必ずしも家族の一体感を持っているわけではなく,また,氏の変更を回避するために事実婚を選んだ(あるいは選ばざるを得なかった)家族の一体感が存在しないまたは低いというものではないことも自明であると思われる。

これはその通りでしょう。だから、社会で通用する別の名前が法的に認められるのですから、何か問題があるのですか?

(2)親の「氏」を考えるにあたっては子の福祉も最大限に尊重される必要があり,夫婦別氏を認める場合に両親が異なる氏であることによって生じ得る子への悪影響を可能な限り軽減すべきことはいうまでもない。・・・親と氏を異にする場合に子が受けるおそれがある不利益は,氏を異にすることに直接起因するというよりは,家族は同氏でなければならないという価値観やこれを前提とする社会慣行等に起因するもののようにも思われる。

しつこいようですがもう一度言います。通名が認められています。

(3)婚姻前の氏の通称としての使用(以下「通称使用」という。)が認められることによって夫婦同氏(婚姻に伴う氏の変更)を強制する制約の程度は軽減されているとはいえるものの,かえって,通称を使用する個人と戸籍上の個人の同一性をどのように確認するかなど,識別機能の観点から新たな問題を生じていることが指摘されている。

ならば外国人含め通名を全面禁止にしたらいいじゃないですか。

(4)個人が婚姻相手の氏に変更するとしても,選択的夫婦別氏制により選択の機会が与えられたうえで,個人がその意思で婚姻相手の氏への変更を選択したものであるか,夫婦同氏制により氏の変更が事実上余儀なくされた結果であるかには大きな違いがあり,その個人の意思決定がその後の生き方にも影響を与えることに鑑みると,このような選択の機会を与えることこそ,個人の尊厳の尊重であると考える。

そもそもそういう覚悟もなく結婚するんですね。だから離婚率が高まるんじゃないでしょうか。

結論
婚姻の自由に対する本件各規定による制約には客観的な合理性があるとは認め難く,したがって,本件各規定は,婚姻の自由を侵害するものとして憲法24条に違反するというべきである。

裁判官宇賀克也の意見
民法750条及び戸籍法74条1号が憲法24条に違反するという点において,渡 惠理子裁判官に同調するものであるが,その理由については,最高裁令和2年(ク)第102号同3年6月23日大法廷決定・裁判集民事266号登載予定における宮崎裕子裁判官との共同反対意見で述べたとおりである。

全員一致
裁判長裁判官 林 道晴  バカ
裁判官 戸倉三郎   バカ
裁判官 宇賀克也  バカ
裁判官 長嶺安政  バカ
裁判官 渡 惠理子  バカ


馬鹿ですか?
憲法第二十四条
婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。
② 配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。


本条1項でで「相互の協力により、維持されなければならない」とありますよね。
2条で、「法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。」とあります。
これをどうやったら夫婦同一の姓を名乗ることが憲法違反になるのでしょうか???もめるということは、当事者同士の協力体制がなっていないことになりませんか?
アンケートの結果をもって違憲だというのでしょうか?裁判官はそう言う判断を求められているのでしょうか?馬鹿丸出しです。

雑過ぎる判決文:課税対象は分割の対象とされた個々の不動産ごとに判断

2022-03-24 18:16:35 | 日記
令和3(行ヒ)62  不動産取得税賦課処分取消請求事件
令和4年3月22日  最高裁判所第三小法廷  判決  棄却  東京高等裁判所
いわゆる一括分割により不動産を取得した場合における地方税法73条の7第2号の3括弧書きの「分割前の当該共有物に係る持分の割合を超える部分」の有無等は,分割の対象とされた個々の不動産ごとに判断すべきである

ニュースには出てこなかったので、事実確認から見ていきます。
(1)地方税法73条の2第1項は,不動産取得税は,不動産の取得に対し,当該不動産の取得者に課する旨規定し,同法73条の7第2号の3は,共有物の分割による不動産の取得に対しては,同号括弧書きに規定する「当該不動産の取得者の分割前の当該共有物に係る持分の割合を超える部分」の取得を除き,同税を課することができない旨規定する。

逆に言うと共有部分も按分して税金を払えということになりますね。

(2)第1審判決別紙1物件目録記載の各不動産は,いずれも,Aが持分10分の6,上告人ほか3名が各持分10分の1の割合で共有していたところ,東京地方裁判所は,平成27年8月,本件各不動産に係る共有物分割の訴えについて,これらを一括して分割の対象とした上で,そのうち同目録記載17,20及び23の各土地(以下「本件各土地」という。)ほか1筆の土地を上告人の単独所有とし,その余を他の共有者らの各単独所有とすることなどを内容とする判決を言い渡し同判決は,その後確定した

訴えの内容は、
本件各処分の取消しを求める事案である。所論は,本件各取得に対しては地方税法73条の7第2号の3の規定により不動産取得税を課することができないにもかかわらず,本件各処分を適法とした原審の判断には,同号の解釈の誤りがあるというものである。

民事訴訟法338条で再審請求は可能なんですね。

地方税法73条の7第2号の3は,共有物の分割による不動産の取得について,同法73条の2第1項にいう「不動産の取得」に該当し,本来は不動産取得税の課税の対象となることを前提に,その例外として,持分超過部分の取得を除いては非課税とする旨を定めたものと解される。

なおこの事件では、本件各土地の各持分10分の9を取得しています。

地方税法73条の13第1項は,不動産取得税の課税標準を,不動産を取得した時における不動産の価格とする旨規定し,同法73条の21第1項本文は,固定資産課税台帳に固定資産の価格が登録されている不動産については,当該価格により当該不動産に係る同税の課税標準となるべき価格を決定するものとする旨規定する。

となると法文解釈の誤りではなく、税務署の手続きミスですか?

地方税法73条の15の2第1項は,不動産取得税の課税標準となるべき額が所定の額に満たない場合においては,同税を課することができない旨を規定するところ,同条2項は,複数の土地の取得又は複数の家屋の取得をもって一の土地の取得又は1戸の家屋の取得とみなして同条1項の規定を適用する場合について,特に規定している。

説明が雑でどういう状況なのか分からなくなってきました。複数の筆で複数の住宅を買ったことにしてあり、所定の金額に満たない物を複数買ったということですか?

隣接していない土地をバルク売りにしたのか、マンションのような一体のものを売ったのか、それによってもかなり違いますよ。そこははっきり書きましょうよ。

複数の不動産を一括して分割の対象とする共有物の分割により不動産を取得した場合における持分超過部分の有無及び額については,分割の対象とされた個々の不動産ごとに,分割前の持分の割合に相当する価格と分割後に所有することとなった不動産の価格とを比較して判断すべきものと解するのが相当である。

おそらくマンションの区画売買なんだと思いますが、もっときちんとした議論が必要なんじゃないですかね。

裁判長裁判官 戸倉三郎
裁判官 宇賀克也
裁判官 林 道晴
裁判官 長嶺安政
裁判官 渡 惠理子

結論自体はいいとして、もっと丁寧に他の解釈の余地なく書くべきじゃないですか?

労組との話し合いがまとまらないから賃下げは裁量権逸脱

2022-03-21 09:46:57 | 日記
令和3(行ヒ)171  山形大学不当労働行為救済命令取消請求事件
令和4年3月18日  最高裁判所第二小法廷  判決  破棄差戻  仙台高等裁判所

使用者が誠実に団体交渉に応ずべき義務に違反する不当労働行為をした場合には,当該団体交渉に係る事項に関して合意の成立する見込みがないときであっても,労働委員会は,使用者に対して誠実に団体交渉に応ずべき旨を命ずることを内容とする救済命令を発することができる

NHKの報道です。
山形大学は、平成27年に労働組合と合意がないまま教職員の基本給を引き下げ、県の労働委員会から、「十分な説明をしておらず不当労働行為にあたる」として団体交渉に応じるよう命令を受けました。
大学は命令を不服として訴えを起こし、2審の仙台高等裁判所は「給与の引き下げから命令までおよそ4年が経っていて、改めて団体交渉をしても有意義な合意をするのは事実上、不可能だ」として、1審に続いて大学の訴えを認め、労働委員会の命令を取り消す判決を言い渡しました。

労働新聞の報道です。
一審の山形地裁、二審の仙台高裁は、ともに賃下げから4年ほど経過した労委の命令時点で改めて団交をしても、労働組合にとって有意な合意は不可能だったと指摘。仮に誠実交渉義務違反があったとしても、労委命令は裁量の範囲を超える違法なものといわざるを得ないとして、救済命令を取り消した。
 最高裁は労委の裁量について「広範な裁量を有し、裁判所はその裁量を尊重する必要がある」と強調。合意の成立が見込まれないとしても、労委は誠実交渉を命じることができると判示した。誠実交渉義務違反があったかどうかについて、さらに審理を尽くす必要があるとして、仙台高裁に差し戻している。


これって、3.11の東日本大震災の時に公務員が一律に給与減額ボーナスカットされたことがありましたが、これもその後の回復がなされていません。
(1)国立大学である山形大学を設置する被上告人は,平成25年頃,その雇用する教職員等によって組織された労働組合である上告補助参加人に対し,平成24年度の人事院勧告に倣って平成26年1月1日から教職員のうち55歳を超える者の昇給を抑制することにつき,団体交渉の申入れをした。
(2)被上告人は,平成26年頃,上告補助参加人に対し,平成26年度の人事院勧告に倣って平成27年4月1日から教職員の給与制度の見直し(賃金の引下げ)をすることにつき,団体交渉の申入れをした。
(3)被上告人は,平成25年11月以降,上告補助参加人との間で,上記 及びの各事項につき複数回の団体交渉をしたが,その同意を得られないまま,同27年1月1日から上記 の昇給の抑制を実施し,同年4月1日から上記 の見直し後の給与制度を実施した。


不思議なのは国立大学法人なので国の直接管理下にあるわけでもないのに準公務員扱いで、給与も国から指示されるということです。どこまでが独立行政法人が独自判断できるのでしょうか???ちなみに文科省の本省は上級試験を通過したものしか採用しないそうで、地方国立大の事務職で優秀なのを本省に呼ぶらしいです。これって独立行政法人の意味があるんですかね。随分中途半端な制度にしたもんです。

(4)本件申立ては,本件各交渉事項に係る団体交渉における被上告人の対応が不誠実で労働組合法7条2号の不当労働行為に該当するとして,被上告人に対し,本件各交渉事項につき誠実に団体交渉に応ずべき旨及び上記団体交渉につき不当労働行為であると認定されたこと等を記載した文書の掲示等をすべき旨を命ずる内容の救済を請求するものである。

まあそうなりますね。ところが原審は4年経過した後だから、労組の組合員も入れ替わっているので、今更交渉するのは意味がないと判断しました。そりゃないでしょうに。労組の人格否定ですか??

最高裁は
(1)労働組合法7条2号は,使用者がその雇用する労働者の代表者と団体交渉をすることを正当な理由なく拒むことを不当労働行為として禁止するところ,使用者は,必要に応じてその主張の論拠を説明し,その裏付けとなる資料を提示するなどして,誠実に団体交渉に応ずべき義務(以下「誠実交渉義務」という。)を負い,この義務に違反することは,同号の不当労働行為に該当するものと解される。・・・ところで,団体交渉に係る事項に関して合意の成立する見込みがないと認められ
る場合には,誠実交渉命令を発しても,労働組合が労働条件等の獲得の機会を現実に回復することは期待できないものともいえる。しかしながら,このような場合であっても,使用者が労働組合に対する誠実交渉義務を尽くしていないときは,その後誠実に団体交渉に応ずるに至れば,労働組合は当該団体交渉に関して使用者から十分な説明や資料の提示を受けることができるようになるとともに,組合活動一般についても労働組合の交渉力の回復や労使間のコミュニケーションの正常化が図られるから,誠実交渉命令を発することは,不当労働行為によって発生した侵害状態を除去,是正し,正常な集団的労使関係秩序の迅速な回復,確保を図ることに資するものというべきである。


要するに、山形大は労働組合とちゃんと話し合いをしてないじゃないかと認定しています。

(2)本件認容部分は,被上告人が誠実交渉義務に違反する不当労働行為をしたとして,被上告人に対して本件各交渉事項につき誠実に団体交渉に応ずべき旨を命ずる誠実交渉命令であるところ,原審は,本件各交渉事項について,被上告人と上告補助参加人とが改めて団体交渉をしても一定の内容の合意を成立させることは事実上不可能であったと認められることのみを理由として,本件認容部分が処分行政庁の裁量権の範囲を逸脱したものとして違法であると判断したものである。そうすると,原審の上記判断には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるというべきである。

だって合意できないんだからしゃーないやんは駄目ですよ、裁量権の逸脱がありますと言ってます。

ということで審理やり直しを命じました。

裁判官全員一致
裁判長裁判官 岡村和美
裁判官 菅野博之
裁判官 三浦 守
裁判官 草野耕一

妥当な判断ですかね。ただ、準公務員でストライキが制限されている中、どうやって交渉の席につかせるか、この点が曖昧なままになっていることが問題の発端のように思えます。その点について最高裁は、労組よりにならざるを得ないのかなという気もしますが、立法には早くこの辺りの改善を求めたいところです。

一般論として、国立大の給料は非常に安いです。まともな教員を維持しようとすると、世界標準に合わせる必要があります。例えば、日本で助教の給料は年収で500万、中国による占領前の香港では1200万円です。人件費はきちんとやらないと国力が低下しますよ。

また、事務職と教員を同じ労働組合にするのもおかしな話です。Job型にしようという国の方針ならば、この辺りについても本気で改革が必要です。

事業者が当該資料を提出しないとき「優良誤認表示」とするのは合憲

2022-03-18 21:20:30 | 日記
令和3(行ツ)33  措置命令処分取消請求事件
令和4年3月8日  最高裁判所第三小法廷  判決  棄却  東京高等裁判所
 不当景品類及び不当表示防止法7条2項は,憲法21条1項,22条1項に違反しない

具体的な事件というより、法令そのものが対象になったようです。僅か3枚、実質1枚半で何が争われたのかよく分からない判決です。

1 不当景品類及び不当表示防止法7条1項は,内閣総理大臣は,法5条の規定に違反する行為等があるときは,当該事業者に対し,その行為の差止め又はその行為が再び行われることを防止するために必要な事項等を命ずることができる旨を規定する。そして,法7条2項は,内閣総理大臣は,同条1項の規定による命令に関し,事業者がした表示が法5条1号に該当するか否かを判断するため必要があると認めるときは,当該表示をした事業者に対し,期間を定めて,当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができ,この場合において,当該事業者が当該資料を提出しないときは,同項の規定の適用については,当該表示は同号に該当する表示(優良誤認表示)とみなす旨を規定する。

2 法7条2項は,事業者がした自己の供給する商品等の品質等を示す表示について,当該表示のとおりの品質等が実際の商品等には備わっていないなどの優良誤認表示の要件を満たすことが明らかでないとしても,所定の場合に優良誤認表示とみなして直ちに措置命令をすることができるとすることで,事業者との商品等の取引について自主的かつ合理的な選択を阻害されないという一般消費者の利益をより迅速に保護することを目的とするものであると解されるところ,この目的が公共の福祉に合致することは明らかである。


性能は正しく、効能も正しく書きなさいというのが不当景品類及び不当表示防止法の立法趣旨です。そのためには、制裁を加えますよという規則があります。ただそこに、明確に基準を満たしてなくても措置命令を出すことがありますよとなっています。

一般消費者は,事業者と商品等の取引を行うに当たり,当該事業者がした表示のとおりの品質等が当該商品等に備わっているものと期待するのが通常であって,実際にこれが備わっていなければ,その自主的かつ合理的な選択を阻害されるおそれがあるといい得るから,法5条1号の規律するところにも照らし,当該商品等の品質等を示す表示をする事業者は,その裏付けとなる合理的な根拠を有していてしかるべきである。

そもそも、一般消費者はその商品を信じて買っているのだから、その品質を守るのが当然でしょ、その根拠は揃えて当然でしょと言っています。

同項が適用される場合の措置命令は,当該事業者が裏付けとなる合理的な根拠を示す資料を備えた上で改めて同様の表示をすることについて,何ら制限するものではないと解される。

不満があるなら、ちゃんと根拠を示せばいいじゃないですかと言ってます。

法7条2項は,憲法21条1項,22条1項に違反するものではない。

裁判長裁判官 渡 惠理子
裁判官 戸倉三郎
裁判官 宇賀克也
裁判官 林 道晴
裁判官 長嶺安政

結論には文句はないのですが、法文解釈が憲法に反しているかどうかだけではなく何が具体的に争われているのか、もっとわかり易く書いてもらいたいものです。法律は司法関係者

妥当判決:土地評価額調査は調査した時期が重要

2022-03-13 09:31:36 | 日記
令和2(行ヒ)323  固定資産評価決定取消請求事件
令和4年3月3日  最高裁判所第一小法廷  判決  破棄差戻  広島高等裁判所
 固定資産課税台帳に登録されたゴルフ場用地の価格が固定資産評価基準の定める評価方法に従って算定されたものということができないとした原審の判断に違法があるとされた事例

マスコミでは取りあげられていないので、事実確認から見ていきます。
(1 ゴルフ場の用に供されている土地に係る固定資産税の納税義務者である被上告人が,土地課税台帳に登録された本件各土地の平成27年度の価格を不服として訴えた。
2 
1)ア 地方税法349条1項は,土地に対して課する基準年度の固定資産税の課税標準は,当該土地の基準年度に係る賦課期日における価格で土地課税台帳又は土地補充課税台帳に登録されたものとする旨規定し,同法403条1項は,市町村長は,同法388条1項の固定資産評価基準によって固定資産の価格を決定しなければならない旨規定する。平成27年度は上記の基準年度であり,これに係る賦課期日は平成27年1月1日である。
固定資産評価基準)は,ゴルフ場の用に供する一団の土地(以下「ゴルフ場用地」という。)
の評価について,大要,① 当該ゴルフ場を開設するに当たり要した当該ゴルフ場用地の取得価額に当該ゴルフ場用地の造成費を加算した価額を基準とし,当該ゴルフ場の位置,利用状況等を考慮してその価額を求める方法によるものとするとし,② この場合において,取得価額及び造成費は,当該ゴルフ場用地の取得後若しくは造成後において価格事情に変動があるとき,又はその取得価額若しくは造成費が不明のときは,附近の土地の価額又は最近における造成費から評定した価額によるものとすると定めている。


法的根拠があるというだけのようです。

(2)自治省税務局資産評価室長は,平成11年法律第87号による改正前の地方自治法245条4項(現行法の245条の4第1項参照)の技術的な助言として,各道府県総務部長等宛てに「ゴルフ場の用に供する土地の評価の取扱いについて」を発出した。
ア 本件各土地及びその周辺の土地は,古くは塩田跡地であったところ,本件各土地は,その後造成され,遅くとも昭和60年頃からゴルフ場用地となっている一方,その周辺の土地は,工場等の敷地(宅地)となっている。
イ 下松市長は,平成26年,本件各土地の価格について,本件定めによることを前提に,ゴルフ場用地として開発することを目的とする素地として評価するとの条件により,不動産鑑定士による鑑定(以下「本件鑑定」という。)を実施した。


出来た当時は塩田で人がいなかったのに、近所に工場や民家ができるようになった。土地の価値が変わったわけですね。
最高裁は、
4(1)土地の基準年度に係る賦課期日における登録価格が評価基準によって決定される価格を上回る場合には,同期日における当該土地の客観的な交換価値としての適正な時価を上回るか否かにかかわらず,その登録価格の決定は違法となるものというべきである(最高裁平成24年(行ヒ)第79号同25年7月12日第二小法廷判決・民集67巻6号1255頁)。

評価そのものよりも、評価した時期が問題だと言っているようです。

(2)平成27年度の固定資産税の賦課期日である平成27年1月1日において,本件各土地の周辺の土地は工場等の敷地となっていたものである。また,本件定めを含む評価基準は,ゴルフ場用地の評価に際し附近の土地に比準して取得価額を評定する方法として,特定の具体的な方法を挙げているものではないし,造成から長期間が経過するなどの事情により,当該ゴルフ場用地の造成前の状態を前提とした取得価額を正確に把握できない場合も想定される。

そうですよね。

第一小法廷判決
裁判長裁判官 安浪亮介
裁判官 山口 厚
裁判官 深山卓也
裁判官 岡 正晶
裁判官 堺 徹

当然判決:担当者でなくてもインサイダー取引は成立する

2022-03-07 11:30:06 | 日記
令和3(あ)96  金融商品取引法違反被告事件
令和4年2月25日  最高裁判所第三小法廷  決定  棄却  大阪高等裁判所
金融商品取引法167条1項6号にいう「その者の職務に関し知ったとき」に当たるとされた事例

新聞報道などには出ていない裁判です。相変わらず非常に読みにくい判決文です。こんな悪文を書いて、よく小学校を出たなと思えてきます。まずは事実確認から

被告人は,A証券株式会社(以下「A社」という。)の従業者のB(以下「B」という。)らが,株式会社C(以下「C社」という。)とのファイナンシャルアドバイザリー契約の締結に関し知った,C社の業務執行を決定する機関において,東京証券取引所が開設する有価証券市場に株券を上場していた株式会社D(以下「D社」という。)の株券の公開買付け(以下「本件公開買付け」という。)を行うことについての決定をした旨の公開買付けの実施に関する事実を,平成28年7月27日頃,A社の従業者として,その職務に関し知ったところ,知人のE(以下「E」という。)にあらかじめD社の株券を買い付けさせて利益を得させる目的で,本件公開買付けの実施に関する事実の公表前にEに対して同事実を伝達し,Eにおいて,法定の除外事由がないのに,同事実の公表前である同月28日から同年8月3日までの間,証券会社を介し,東京証券取引所において,D社株券合計29万6000株を代金合計5326万8100円で買い付けた
民間企業でこんな文章を書いたら追い出されますよ。

要するに、A証券会社にBが勤務している。BはC社がD社に公開買い付けを行う話を知った。C社はA証券にファイナンシャルアドバイザーの契約を結んでいた。Bは知人のEにあらかじめD社の株券を買い付けさせて利益を得させようとして株を買わせた。こう書けばいいのに訳分かりませんね。

(1)C社の業務執行を決定する機関は本件公開買付けを行うことについての決定をし,平成28年7月11日,C社はA社との間で本件公開買付けの実施に向けた支援業務の提供を受けることを内容とするファイナンシャルアドバイザリー契約を締結して,A社のF部(以下「F部」という。)がその業務を担当していた。F部では,ジュニア(上司の指示を受けて業務に従事する下位の実務担当者)のBを含むA社の従業者数名が本件公開買付けに係る案件を担当し,Bらは,上記契約の締結に関し,本件公開買付けの実施に関する事実を知った。
被告人は,F部のジュニアであり,本件公開買付けに係る案件の担当ではなかったが,Bと同じ室内で執務しており,電話で通話中のBの発言を聞き取ることができた。


本来の担当ですらない下っ端が、上級職の電話でのやり取りを聞いてスケベ根性を出してしまったようです。

F部に所属する従業者であれば本件一覧表にアクセスできた。

問題はここですね。営業秘密としてきちんと管理されていなかったようです。その上

(2)被告人は,平成28年7月27日までに,本件一覧表のBの欄を閲覧し,BがInfinity案件を担当しており,同案件は,A社とファイナンシャルアドバイザリー契約を締結している上場会社が,その上場子会社の株券の公開買付けを行い,完全子会社にする案件であるという事実を知った。
被告人は,同月27日,自席において,Bが,その席で電話により上司との間でInfinity案件に関する通話をする中で,不注意から顧客の社名として「C」と口にするのを聞き,Infinity案件の公開買付者がC社であるという事実を知った。


いかにもありそうな案件です。大部屋で大声で会話してて、仲間内だから守秘義務は大したことないと思ってしまったのでしょう。

(3)被告人は,インターネットで検索してC社の有価証券報告書を閲覧し,関係会社の中で上場子会社はD社のみであることを確認し,本件公開買付けの対象となるのはD社の株券であるという事実を知った。

思いっきり儲ける気満々です。

F部に所属するA社の従業者であった被告人は,その立場の者がアクセスできる本件一覧表に社名が特定されないように記入された情報と,F部の担当業務に関するBの不注意による発言を組み合わせることにより,C社の業務執行を決定する機関がその上場子会社の株券の公開買付けを行うことについての決定をしたことまで知った上,C社の有価証券報告書を閲覧して上記子会社はD社であると特定し,本件公開買付けの実施に関する事実を知るに至ったものである。このような事実関係の下では,自らの調査により上記子会社を特定したとしても,証券市場の公正性,健全性に対する一般投資家の信頼を確保するという金融商品取引法の目的に照らし,被告人において本件公開買付けの実施に関する事実を知ったことが同法167条1項6号にいう「その者の職務に関し知つたとき」に当たるのは明らかである。

A証券の中でランクは下とは言え、上の人と一緒の部屋で勤務しており、場合によっては手伝いをする環境にあったと思えます。そうなれば、その部署で扱われている案件は全て守秘義務となるのは社会通念上当然でしょう。依頼する側から見ても、ここではC社になりますが、この事件で不当に高く株を買わざるを得なくなったわけです。しかも仕事を依頼した先会社のせいで。

まあ当然の判決でしょう。

第三小法廷
裁判長裁判官 渡邉 惠理子
裁判官 戸倉三郎
裁判官 宇賀克也
裁判官 林 道晴
裁判官 長嶺安政