令和3(受)1125 損害賠償請求事件
令和4年6月3日 最高裁判所第二小法廷 判決 その他 東京高等裁判所
建材メーカーが、石綿含有建材の製造販売に当たり、当該建材が使用される建物の解体作業従事者に対し、当該建材から生ずる粉じんにばく露すると石綿関連疾患にり患する危険があること等を表示すべき義務を負っていたとはいえないとされた事例
日経新聞の報道です。
2社はニチアスとエーアンドエーマテリアル。2020年8月の二審判決は、健康被害を防ぐため建材の包装や外装に警告表示をすべきだったと指摘し、各地の高裁判決で唯一、建物の改修・解体作業に従事した人たちに対しても賠償義務があると認めた。
2社は弁論で、建材の出荷から解体まで長期間が経過することから「作業に従事する人に実効性のある警告をするのは困難だ」と主張した。
京建労のHPです。
建材メーカーの責任が認められる可能性のある職種は、屋内作業者は基本的に問題がありませんが、屋外従事者と解体工は難しいと言わざるを得ません。屋外従事者については建材メーカーの予見可能性が否定され、解体工については警告表示による結果回避可能性が否定されてしまったからです。
判決文は悪文過ぎて何を言っているのか分かりません。事件の概要は日経新聞を読んだ方が圧倒的に分かりやすいです。
無茶苦茶簡単に言うと、建材メーカーは解体工事ついてきちんと危険性を警告しろと言う訴えです。
原審の確定した事実関係の概要
(1) 石綿は建材等に広く使用されてきた。
(2) 石綿が粉じんとなって発散し、解体作業従事者が石綿粉じんにばく露することがあった。
(3) 石綿関連疾患には、石綿肺、肺がん等がある。
(4)石綿粉じんへのばく露と石綿関連疾患のり患との間の因果関係に関しては、石綿肺につき昭和33年3月頃に、肺がん、中皮腫等につき昭和47年頃にそれぞれ医学的知見が確立し、昭和48年までに当該知見を基礎付ける研究報告等が国際機関等により公表されていた。
3 昭和50年1月1日以降、石綿含有建材を製造販売する当たり、当該建材が使用される建物の解体作業従事者に対し、①当該建材自体に本件警告情報を記載し、②本件警告情報を記載したシール等とこれを当該建材が使用された部分に貼付するよう当該建物の建設工事の施工者に求める文書とを当該建材に添付し、又は③本件警告情報を記載した注意書とこれを当該建物の所有者に交付するよう当該施工者に求める文書とを当該建材に添付するなどの方法により、本件警告情報を表示すべき義務を負っていたにもかかわらず、その義務を履行しなかった。
これは別の事件か何かあったのでしょうか。よく記録が残っていたもんです。と思ったら
前記事実関係によれば、石綿含有建材の中には、吹付け材のように当該建材自体に本件警告情報を記載することが困難なものがある上、その記載をしたとしても、加工等により当該記載が失われたり、他の建材、壁紙等と一体となるなどしてその視認が困難な状態となったりすることがあり得る。また、建物において石綿含有建材が使用される部位や態様は様々であるから、本件警告情報を記載したシール等を当該建材が使用された部分に貼付することが困難な場合がある上、その貼付がされたとしても、当該シール等の経年劣化等により本件警告情報の判読が困難な状態となることがあり得る。
やはりそうでしたか。
以上によれば、上告人らが、石綿含有建材を製造販売するに当たり、当該建材が使用される建物の解体作業従事者に対し、本件警告情報を表示すべき義務を負っていたということはできない。
そうなりますね。
全員一致でした。
第二小法廷
裁判長裁判官 菅野博之
裁判官 三浦 守
裁判官 草野耕一
裁判官 岡村和美
内容は妥当でしたが、とにかく一文が長い。自己満足で判決文を書くなと言いたくなるレベルです。
令和4年6月3日 最高裁判所第二小法廷 判決 その他 東京高等裁判所
建材メーカーが、石綿含有建材の製造販売に当たり、当該建材が使用される建物の解体作業従事者に対し、当該建材から生ずる粉じんにばく露すると石綿関連疾患にり患する危険があること等を表示すべき義務を負っていたとはいえないとされた事例
日経新聞の報道です。
2社はニチアスとエーアンドエーマテリアル。2020年8月の二審判決は、健康被害を防ぐため建材の包装や外装に警告表示をすべきだったと指摘し、各地の高裁判決で唯一、建物の改修・解体作業に従事した人たちに対しても賠償義務があると認めた。
2社は弁論で、建材の出荷から解体まで長期間が経過することから「作業に従事する人に実効性のある警告をするのは困難だ」と主張した。
京建労のHPです。
建材メーカーの責任が認められる可能性のある職種は、屋内作業者は基本的に問題がありませんが、屋外従事者と解体工は難しいと言わざるを得ません。屋外従事者については建材メーカーの予見可能性が否定され、解体工については警告表示による結果回避可能性が否定されてしまったからです。
判決文は悪文過ぎて何を言っているのか分かりません。事件の概要は日経新聞を読んだ方が圧倒的に分かりやすいです。
無茶苦茶簡単に言うと、建材メーカーは解体工事ついてきちんと危険性を警告しろと言う訴えです。
原審の確定した事実関係の概要
(1) 石綿は建材等に広く使用されてきた。
(2) 石綿が粉じんとなって発散し、解体作業従事者が石綿粉じんにばく露することがあった。
(3) 石綿関連疾患には、石綿肺、肺がん等がある。
(4)石綿粉じんへのばく露と石綿関連疾患のり患との間の因果関係に関しては、石綿肺につき昭和33年3月頃に、肺がん、中皮腫等につき昭和47年頃にそれぞれ医学的知見が確立し、昭和48年までに当該知見を基礎付ける研究報告等が国際機関等により公表されていた。
3 昭和50年1月1日以降、石綿含有建材を製造販売する当たり、当該建材が使用される建物の解体作業従事者に対し、①当該建材自体に本件警告情報を記載し、②本件警告情報を記載したシール等とこれを当該建材が使用された部分に貼付するよう当該建物の建設工事の施工者に求める文書とを当該建材に添付し、又は③本件警告情報を記載した注意書とこれを当該建物の所有者に交付するよう当該施工者に求める文書とを当該建材に添付するなどの方法により、本件警告情報を表示すべき義務を負っていたにもかかわらず、その義務を履行しなかった。
これは別の事件か何かあったのでしょうか。よく記録が残っていたもんです。と思ったら
前記事実関係によれば、石綿含有建材の中には、吹付け材のように当該建材自体に本件警告情報を記載することが困難なものがある上、その記載をしたとしても、加工等により当該記載が失われたり、他の建材、壁紙等と一体となるなどしてその視認が困難な状態となったりすることがあり得る。また、建物において石綿含有建材が使用される部位や態様は様々であるから、本件警告情報を記載したシール等を当該建材が使用された部分に貼付することが困難な場合がある上、その貼付がされたとしても、当該シール等の経年劣化等により本件警告情報の判読が困難な状態となることがあり得る。
やはりそうでしたか。
以上によれば、上告人らが、石綿含有建材を製造販売するに当たり、当該建材が使用される建物の解体作業従事者に対し、本件警告情報を表示すべき義務を負っていたということはできない。
そうなりますね。
全員一致でした。
第二小法廷
裁判長裁判官 菅野博之
裁判官 三浦 守
裁判官 草野耕一
裁判官 岡村和美
内容は妥当でしたが、とにかく一文が長い。自己満足で判決文を書くなと言いたくなるレベルです。